宮崎けい
1999年ブルース・アルバム・ベスト10



Gatemouth Brown


Rockin' Tabby Thomas


I Blueskvarter


Big Bill Morganfield

  1. V.A. / And This Is Maxwell Street (Pヴァイン PCD-5527/28)
    これまでマクスウェルストリートには3回行ったことがある。3回目は「かなりやばいな」というのが実感だった。敷地が狭くなっただけではなく、かつてのブラックパワーに代わってメキシコ色が幅を効かせていた。その点、このCDは全盛期の充実ぶりがストレートに伝わってくる。特に1枚目13曲目の"Peter Gunn Jam"は演奏の迫力に自動車などの街頭の音が加わりリアリティを増している。

  2. CLARENCE GATEMOUTH BROWN / American Music, Texas Style
    (Blue Thumb 314 547 536-2)
    シンプルなタイトル、テキサスの「ローンスター」のデザインのCDディスクと、パッケージを開けたときから何やら気分のいいやつだ。1曲目のオハコ、"Rock My Blues Away"からフィドルと女性コーラスが入る大胆さ。

  3. V.A. / Live! Great Gospel Performances (Chordant EGD 0250)
    FM番組「ブルーズ・アンド・ゴスペル・アワーズ」をやってることもあり、ゴスペルも入れさせていただこう。「みんな元気なオムニバス」というところが気持ち良い。サウンドとしてはまさに「今」を語る若さみなぎるものばかり。さりとてシンセが耳につくような受け入れがたさはみじんもない。イチオシのゴスペルだ。

  4. CLARENCE GATEMOUTH BROWN / Okie Dokie Stomp (Bullseye Blues & Jazz BBB 11661-9622-2)
    またもやゲイトマウスの登場だ。まずはジャケットのギターを持ったゲイトマウスの手の形を見ていただきたい。この右手の反った親指と人差し指こそテキサスサウンドを生み出す源?もちろん音だって正統派テキサスサウンドだぜ。

  5. ROCKIN' TABBY THOMAS / A Lousiana Legend (Blue Beat BBR 7208)
    ルイジアナには独特の「ルーズさ」みたいなものが漂っていて、これが役人の汚職につながる場合もあるらしが、これのおけげでシカゴあたりでは決して味わえない温かいサウンドがあるような気がする。そのルイジアナの州都バトンルージュの主、タビー・トーマスのルイジアナサウンドはご機嫌!

  6. V.A. / I Blueskvarter Chicago 1964 Vol.1 (Jefferson SBACD 12653/4)
    スエーデンのラジオ局がシカゴへ渡り、当時のヴィヴィッドなサウンドを集めた貴重な「資料」であり同時に「芸術品」でもある。お宝モノ!昔の「ジャズ批評」でスタンリー・ジョーダンのことを「ひとり明大マンドリンクラブ」と評した方がいたが、ここにはホンマモンのマンドリンブルーズも入ってるよ!

  7. B.B. KING / Let The Good Time Roll (MCA MVCE-24195)
    B.B.がルイ・ジョーダンのナンバーを演奏する、おしゃれで、時としておチャメな作品だ。ルイに敬意を表して、彼のスタイルに忠実なアプローチをしながら、B.B.の円熟味が味わえる名盤だ。

  8. SYL JOHNSON / Talkin' Bout Chicago! (Delmark DE-729)
    実業家ブルーズマンとしても名高いシルだが、最近は充実した音楽活動ぶりを見せている。ステージではストレートブルーズでノリまくることもあるし、アルバムを作ればこのような歯切れの良いソウルサウンドもおまかせだ!ジャケット写真の煉瓦色のビルが、丸の内の某大手損保会社の本店とそっくりに見えるのは私だけだろうか?

  9. Allen Toussaint ほか / OffBeat Festival 1999 (Offbeat OB99-4001)
    ニュー・オーリンズの「ぴあ」(いや、「ブル・マ」?)とも言えるオフビート誌を購読して6年以上になるが、近年嬉しいのは、新作オムニバスCDを無料で読者に郵送(もちろん日本にも!)してくれるのだ。今回のはアラン・トウーサンをはじめ、ロッキン・ドプシー・ジュニアやマーヴァ・ライトも入っていて充実している。またアンケート回答出しておいたから次回も送ってネ。

  10. BIG BILL MORGANFIELD / Rising Son (Blind Pig BPCD 5053)
    「ビッグ・ビル」という名前だけでもすごい。しかも、「モーガンフィールド」とくれば、もしかして?そう、マディーのご子息だ。でも、ちょっと・・・いや、「永遠に不滅」の親父さんと比べたらかわいそうだよね、カズシゲさん?!まあ、いいじゃないですか、こうやって次世代がやってる事実だけでも。スライドギターの入魂一発と口元の表情に御尊父様の面影を感じる次第です。

青色: 新録もの
オレンジ色: 再発もの
宮崎けい
むさしのFMで「ブルース&ゴスペル・アワーズ」というラジオ番組を月に1度DJとして担当。雑誌「ブルース・マーケット」でブルース旅行記を執筆。ギタリストとしても活躍し、JoJoサワドとバンドを組んでいる。









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