陶守正寛
1999年ブルース・アルバム・ベスト10



Kirk Fletcher


J. Monque'D


Cesar Rosas


Sonny Rhodes

順不同です。取りあえず、ブルース&ソウル・レコーズ誌 No. 31で白人ブルースのベスト5を挙げたので、それ以外で99年に気に入ったものを10枚挙げました。

  1. KIRK "ELI" FLETCHER / I'm Here & I'm Gone (JSP JSPCD2119)
    ロサンジェルスのギタリスト、カーク“イーライ”フレッチャー。アルバム全体の仕上がりとしてはチグハグなところもあるのだけど、現在23歳、今後の活動に期待を込めて選びました。ボーカルはとらないものの、ギターのプレイは充分注目に値するものです。ブルースでは今どき珍しいレスポールを使い、気合いの入ったプレイを聴かせます。

  2. RUTH BROWN / A Good Day For The Blues
    (Bullseye Blues & Jazz BB 11661-9613-2)

    僕、ルース・ブラウンは本当に大ファンなんですが、新作も選曲、歌、バンドともに充実していて、文句なしの1枚でした。タイトル曲でじっくり歌い上げる様は迫力があるし、ユーモアとスウィング感もたっぷりな歌を全編で聴くことが出来て、さすがと思わせます。アルバム・リリース後、ガンで入院してしまったけど、その後も順調に回復しているようで嬉しい。

  3. CESAR ROSAS / Soul Disguise (Rykodisc RCD 10459)
    ロスロボスのシーザー・ロサスの初のソロ・アルバムは、ブルースじゃない?いや、絶対これはブルース・ベスト10に入れてもおかしくない、極上のブルース/ソウル/R&Bです。もちろん彼のお株であるテックスメックスもやってるけど、もともとロスロボスの中でも、ブルース色が強いんだよね、この人。ブレイク&フルームが関わるようになって、ロスロボスはすっかり雰囲気が変わってしまったけど(あれはあれで悪くはないです、念のため)、このシーザーのソロでは初期のロスロボスのストレートなゴキゲンさが再現されていて、もう最高!

  4. J. MONQUE'D / Chittlin' Eating Music (Reel To Reel, No Number)
    ニューオーリンズのハーピストJ.モンキDは、知名度は低いかも知れないけど、前作に続いて内容はノリノリ。ジャケットのダサさに惑わされるべからず。ストレートなブギ調のブルースから、タビー・トーマスやサイラス・ホーガンなどを意識した感じのルイジアナっぽいローダウンな感じのもの、はたまた土地柄のセカンドライン・ビートのナンバーまで、楽しいアルバムです。マリンバンドをナチュラル・トーンで鳴らしたプレイは重厚感は皆無だが、実に気持ちいい。ゲスト参加のマイケル・ワードのバイオリンが、またいい味を添えている。ちなみに、J.モンキDはライブも楽しいので、ニューオーリンズへ行ったら是非観てね。

  5. JIMMY 'T99' NELSON / Rockin' And Shoutin' The Blues
    (Bullseye Blues & Jazz BB 9593)

    ヒューストンのジャンプ系歌手、久々の新作。ルームフル・オブ・ブルースとクラレンス・ホリマンという的確なバックを得て、生き生きとスゥイングしてます。若かりしころのようなシャウターというイメージはないが、歳を重ねたからこそ出せる円熟した味がここにあると思います。スタンダード曲"How Long Blues"で追加されたセクシーな歌詞もよいなあ。もう結構な歳なのに気は若いなぁ、と。

  6. SONNY RHODES / Blue Diamond (Stony Plain SPCD 1257)
    ターバン巻いたラップ・スティール・ギタリスト、サニー・ローズは過去のアルバムもアルバム紹介コーナーで取り上げているけど、もっともっと評価されてほしい人。決して色物じゃありません。新作も相変わらずの良い内容でした。

  7. SYL JOHNSON / Talkin' Bout Chicago! (Delmark DE-729)
    前作はジョニー・ラングをゲストに迎えていたけど、今回はそういう目玉はなく、直球勝負で実に濃い内容のものを作ってくれました。"Diff'rent Strokes"のリメイクなんていうオッ!と思うものも含まれているけど、本当に小細工なしのスカッと突き抜ける感じのできです。

  8. CLARENCE GATEMOUTH BROWN / American Music, Texas Style
    (Blue Thumb 314 547 536-2)
    前作"Gate Swings"が好きになれなかった僕もこれにはやられました。前作の延長線にあるビッグ・バンド路線ながら、選曲もギターのプレイも前作をはるかにしのぐ出来栄えに満足。初期(アラディン)の"Guitar In My Hand"をファンキー仕立てでやるなど、ゲイトらしいウィット、アイデアにも富んでいます。

  9. JOHN JACKSON / Front Porch Blues (Alligator ALCD 4867)
    この人もすごく久しぶりの新譜じゃないかな。牧歌的なほのぼのした持ち味は変わらず、聴いていて和みました。シリアスな感じは微塵もないけど、これもブルースだなって思います。

  10. LLOYD JONES / Love Gotcha (Blind Pig BPCD 5057)
    前作"Trouble Monkey"をひょんなことから聴いてそれ以来すごく気に入っているのだけど、このロイド・ジョーンズ、ストレートなブルースもいいけど、ファンキーでソウルフルな持ち味がたまらないんだよねぇ。本作も期待以上の充実ぶりでした。トゥワンギーなギターがファンキーな雰囲気を一層もり立ててくれます。歌もソウルフルで大好き。

    僕はその年のベストというと、どうしても現在進行形である新録を選びたくなるのですが、リイッシューもの、発掘ものにいいものがなかったわけじゃないです。特に"And This Is Maxwell Street"と"I Blueskvarter"にはそそられました。

青色: 新録もの
オレンジ色: 再発もの
陶守正寛
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