2001年ベスト・アルバム10選
陶守正寛


Nick Moss


Henry Gray


Carole King


West Coast
Guitar Killers

気がつけば、「ニューオーリンズ/ルイジアナ大好き」を自称しながら、まだドクター・ジョンの新譜もブーズー・チェイヴィスの遺作(涙)も聴いてない。聴きたいものをあれもこれも聴くっていうのは、とても無理なことですね。なんて言っているうちに、廃盤になっていく寿命の短いCD達。あー、こんなこと考えると体に悪いなぁ。ブラックトップやキャノンボールといった名レーベルの倒産を考えると、欲しいものは今すぐ買っておきたいのだけど...。

ともあれ10枚選びました。ブルース&ソウル・レコーズ誌 No.43にもベスト10を寄せたので、それとはダブらないようにしたんですが、それぞれの10選に意図したカラーがあるわけではありません。ただ、よかったかな、というものを適当に並べただけです。そういう安直なやつです。(^^ゞ

  1. NICK MOSS & THE FLIP TOPS / Got A New Plan (Blue Bella BBCD1002)
    元ジミー・ロジャーズのバンドでギターを弾いていたニック。前作は往年のシカゴ・ブルースに敬意を表した感じの音でしたが、今度はもっと音の幅が広がり、地が出てきたように思います。ロックンロール的なのりとパワーのプレイも聴け、僕はかなり気に入りました。

  2. HENRY GRAY AND THE CATS / Watch Yourself (Lucky Cat LC 1002)
    古きよきブルースのパターンですが、元気いっぱいです。歌も味わい深いけど、何と言ってもピアノのプレイが素晴らしいです。軽快なスウィング調の曲の中でも、ヘンリーのピアノの音には、後々まで印象に残る影があり、これがクセになります。

  3. CAROLE KING / Love Makes The World (Rockingale RKGL/KOC-CD-8346)
    キャロルの新作は7年ぶりとのこと。そう言えば、最近何してんだろう?と思ってました。彼女のアルバム「タペストリー」で、シンガーソングライター系にはまった人って多いと思いますが、僕もそんなひとり。キャロルやジャクソン・ブラウンあたりは、いつも気になる存在なのです。ベイビーフェイス等の参加とか、新しめな音にも色気を使ってますが、基本的に昔から聴きなれたキャロル調の歌がたっぷり聴ける、故郷に帰ってきたかのような安らぎを与えてくれる内容です。

  4. LOS SUPER SEVEN / Canto (Columbia/Legacy CK 61428)
    ロスロボスのメンバー等の別プロジェクトの2作目。前回参加していたフレディー・フェンダー、フラーコは今回は入ってないですが、かわりにカエタノ・ヴェローソが参加。より、サルサ、ブラジリアン的な音に仕上がっていて、これがまた気持ちいいんだなぁ。

  5. KIM WILSON / Smokin' Joint (MC Records MC-0043)
    ファビュラス・サンダーバーズも好きだけど、彼のソロ作ってほんとどれもゴキゲンなブルースで、ハズレがないと思います。今回のは、ビリー・フリン、ラスティー・ジンらおいしいバックがついたクラブ・ライヴ。ウェストコースト・スウィング的なのりはたまりません。

  6. IKE TURNER / Here And Now (Ikon IKOCD8850)
    アイク&ティナ解散後のアイクの活動は、端からみているとどうもアンダーグラウンドな雰囲気が漂っていたのですが、久々に表舞台に出てきた印象を受ける作品です。変にティナ抜きでアイク&ティナを再現しようとはせず、原点の50年代的R&B、ブルースに的を絞った作りは大正解。これでバックののりがもっとワイルドになればいうことないんだけど。

  7. LAZY LESTER / Blues Stop Knockin' (Antones TMG-ANT0051)
    ブルージーという言葉とは逆を行くような明るく、カラッとしたトーンのハープ、それでいて、ルイジアナ・サウンドの奥深さがギュッと濃縮されたこのCD。往年のエクセロのスワンプ・サウンドが大好きな人も、アントンズのハウス・パーティー的な楽しいノリのサウンドが好きな人も、絶対気に入ると思います。前作もよかったけど、今回のいきいきとしたこの演奏は、それを更に上回る勢いです。

  8. HOWARD TATE / (今度出るはずの)新作
    これは反則技ですが、先物買いということで(笑)。昨年、30年ぶりに復活した彼のライブを早々にみれたことは、貴重な体験でした。長いブランクを経てあれだけ歌えるとは、ほんとすごいと思いました。彼の新作はもう2001年中にレコーディングはすんでいるはず。昨年のライブの出来からしても、またかつてのパートナー、ジェリー・ラゴヴォイと再び組んだことからしても、新作はかなり期待できるはずです。昨年のアトランティック盤の再発に続き、今年は最高傑作と名高いVerve盤も再発される予定だそうだし、ここに新譜がリリースされれば、2002年はハワード・テイトの年となるのは間違いないでしょう!

  9. V.A. / Jump 'n' Shout! -New Orleans Blues & Rhythm- (Delmark DE-715)
    デルマークが推し進めているユナイテッド等のレーベル音源のCD化の一環で出てきたもので、40年代、50年代のニューオーリンズのジャンプものです。ノリノリです。

  10. V.A. / West Coast Guitar Killers Vol.1 & 2 (El Segundo ESR01002/3)
    これは、明らかに海賊盤なのですが、強烈な内容でした。50年代、60年代のウェストコーストのギターの名演がギッシリ。ジョニー・ギター・ワトソン等有名どころにとどまらず、知られざる名演満載です。Vol.2に入っているスライ・ウィリアムズは、僕はレッド・ライトニンのLPで愛聴してましたが、このCDに入っているものの方が音が断然よくてビックリ。シリーズで「Bay Area Blues Blasters」も買いです。

2001年はテロやら、小泉内閣やら、不信船やら、不景気やら、世の中は穏やかでない一年でしたが、いずれにせよ争いごとはやめてほしいなぁ。テロは絶対許せないけど、それが他国を攻撃するための免罪符になっていいはずがない。結局、アルカイダとアメリカ合州国なんて一緒じゃんと思ってしまうのは僕だけじゃないでしょう。世界に君臨している大国がやることであれば何でも正義っていう論理としか思えない。アメリカは僕にとって、すごく好きな面とすごく嫌い面が共存する、複雑な国です。ベスト10とは関係ないけど、1年の総括ということで...。



赤色: 新録もの

緑色: 再発もの

すもりまさひろ
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