2002年ベスト・アルバム10選
文屋章


Rockin' Jake


Rockie Charles


Ray Ellington Quartet


John Hiatt

遅くなりました。Booney's Best 10を「ぶる銀」バージョンでお届けします。選んだものは極く極く私的な愛聴盤ばかり。2002年発売でないものもありますが、今年入手分ということでご勘弁を。今年以前のものは紹介文中でふれます。

  1. Calliope (Calliope No Number)
    "Calliope"はニューオーリンズの低所得者層が生活するプロジェクトの呼称です。そこで作られたマルディグラ・インディアンのCD。ニューオーリンズに旅行した友人からお土産にもらったものです。まさにヒップ・ホップ世代のインディアン・チャントで、ストリート感覚たっぷりの内容です。”Fu*k"言葉が生々しいナレイションとともに飛び出し、怖い、凄いの99年制作のお宝です。

  2. ROCKIN' JAKE / Full-Time Work (Zuluzu ZLZ-072)
    ニューオーリンズのハーモニカ・プレイヤー、ロッキン・ジェイクの確か3作目。現ミーターズのギタリスト、ブライアン・ストルツがプロデュースした超弩級ファンク・アルバム。ラップ調のヴォーカルにクロマティック・ハーモニカが絡むとこなど新鮮です。パパ・グロのジョン・グロスのハモンドもいかしてるなー。

  3. BRYAN LEE / Six String Therapy (Justin Time Just185-2)
    バーボン・ストリートのクラブで長年活躍するブルース・マン。今回のCDで初めて聞きました。大好きなデューク・ロビラードがバック・アップした仕事だし、サックス・ゴードンも入ってるので購入したら、これがなかなかいい出来です。バック・サウンドはデューク・ロビラードの作る分厚い音、ブライアンのヴォーカルもデュークそっくりなので、何だデュークそのものじゃん、とも思いますがこのサウンド好きなんだからしょーがない。スマイリー・ルイスのカヴァーがたまらんジャンプぶりで一押しです。

  4. ROCKIE CHARLES / The War Is Over (Rockie Charles RC-0001)
    6年ほど前にOrleansから復活CDを出したきりごぶさたのルイジアナ・ブルースマンだが、しっかり自己のレーベルを立ち上げ、マイ・ペースで頑張っております。4曲入りのミニ・アルバムで、音はかなりチープだが、この人の持ち味であるソフトでレイジーなグルーヴに変わりはありません。典型的サザン・ソウル仕様の曲も入っており、そこでの枯れたヴォーカル(ヘタウマの味わい)が泣けます。おいおい、戦争なんか終わってねーだろー、とロッキーさんの社会観に不安も残りますが。2001年制作です。

  5. TODD RHODES / 1950-51 (Classics 5040)
    英エイスからもリイシューが出たようですが、クラシックスの仕事ぶりに敬意を表してこのアルバムを選びました。キティ嬢の姉御肌ヴォーカルが何つったって素晴らしい。

  6. BLUERUNNERS / Le Grand Bleu (Louisiana Red Hot LRHR1137)
    大昔にニューオーリンズで見て元気一杯のステージ(跳んだり跳ねたり)に感動したことがあります。彼らも大人になったのですね、哀愁たっぷりのケイジャン・ルーツ・ミュージックが楽しめます。ぶっきらぼうのヴォーカル、アコーディオン、フィドルが渾然一体となったスリリングな2002年制作のオルタナ・ケイジャンであります。

  7. THE RAY ELLINGTON QUARTET / That's Nice (Castle Pulse PLS CD482)
    イギリス版ナット・キング・コールと言ってよい、レイさんのリイシュー盤第2弾。軽快にスウィングするこの洒脱なコンボ・サウンドは酒のおともに欠かせない。レイさんはピアノでなくドラム叩いて歌うわけだが、この粋でジャイヴィな50年代録音を聞いていると、同じくナット・キング・コールの線を狙う今の人、ジョン・ピサレリあたりはまだまだだな、と感じます。

  8. V.A. / Meat & Gravy from Bea & Baby (Sanctuary CMDDD 610)
    Bea & Babyやレッド・ライトニンのLPで耳にしてはいたが、どーんと出されりゃ降参するしかありません。60年代のシカゴ・ブルース、それも黒人街で流れたローカルな音とくりゃ、込められたエネルギーが違うのです。僕がブルースを聞き始めた原点がシカゴなわけで、ああ、帰ってきたなという安心感が出てしまいます。今年は久々にシカゴ行ってみっか。

  9. JOHN HIATT / The Tiki Bar Is Open (Vanguard 79593-2)
    久々のThe Gonersとの録音に飛び上がって喜んでしまいました。サニー・ラン ドレスとジョンとのコラボレイションは、ライ・クーダーとのそれより土臭くて好き です。ジョンの完全なミーハーなので、最新作が出たら迷わずベスト10候補 に入ってしまいます。こういう大人の耳に感動を与えるロックが日本にあれば、 と思ったりする今日この頃です。2001年制作。

  10. THE WHO / The Ultimate Collection (Polydor 065 300-2)
    60年代後半に「洋楽」を聞き始めたのですが、ビートルズもストーンズもフーも オリジナル・アルバムは買ったことがありません。でもフーのピート・タウンシェ ンドはウッドストックの映画以来、かっこいい奴と気にしていました。高校時代 に買ったシングル盤の「サマータイム・ブルース」以外、縁のなかったフーでし たが、ライヴ・アット・リーズのデラックス・エディションに続き、今年この3枚組 編集盤を入手。久しく忘れていた「あー、これがロックだ!!」というブルース(ロッ ク)衝動が漲り、遅ればせながらフーのファンになりました。腕をブンブン振り回 してギターと格闘するピートの勇姿が見えてきます。かっこいい、音楽はこれに 尽きる!!

赤色: 新録もの

緑色: 再発もの

ぶんやあきら
音楽ライターとしてしてお馴染の文屋さん。ニューオーリンズものやジャンプ&ジャイヴ系への愛情は相当なもの。某有名DIY店社員という別の顔も。





inserted by FC2 system