2003年ベスト・アルバム10選
陶守正寛


James Harman


Mickey Champion


The 6th Ward


John Lee Hooker

アメリカではブルースの年とされた2003年。日本では不景気でブルースを肌で味わっちゃうようなこの頃ですが、その割には2003年はいい音楽にたくさん巡り合いました。夏のクリス・アルドワンのライヴに年末のパークタワー。ライヴはこの2つがあっただけでも快挙だと思いますが、キャンベル・ブラザーズにロバート・ランドルフなどなど、呼び屋さんの頑張りに思いっきりありがとー!!!!な一年でした。

  1. JAMES HARMAN / Lonesome Moon Trance (Pacific Blues PBCD-2304)
    所属していたキャノンボール・レーベルの倒産もあって、5年間もブランクがあいてしまいましたが、久々のこの新譜を聴いて思わずにんまり。風貌はかなり怪しくなってきたけど、相変わらずノリノリなブルースを聴かせてくれているのはもちろん、曲ごとに表情も豊かで、ベテランらしい懐の深い音に満足の1枚でした。

  2. JOHN HIATT & THE GONERS / Beneath This Gruff Exterior (New West NW66045)
    今年は、僕の周囲ではサニー・ランドレスの来日で沸いている人がとても多かったですが、サニーのゴナーズをバックにつけたジョン・ハイアットの新譜はそういう中、タイムリーなリリースで、よく聴きました。もちろんサニーの新譜もよかったんですが、バンドとしての勢いと曲の素晴らしさで、僕はこちらに軍配を上げます。1曲目のリズムにまず血湧き肉躍ってしまいました。

  3. LITTLE JOE WASHINGTON / Houston Guitar Blues (Dialtone/P-Vine PCD-5698)
    「なんじゃこりゃ!」昨年のパークタワーでこの人が出てきたとき、殆どの人がそう思ったに違いないです。それほどインパクトがありました。うまい人はこの世にいくらでもいるけど、こういう地の存在感で沸かせてくれる人って貴重です。CDになっても、そのキャラクターはよく捉えていると思います。傑作です。

  4. MICKEY CHAMPION / What You Want (Tondef BRI7973)
    80年代にL.A.で彼女のライブをみて以来、ずっと気になっていた存在でしたが、数年前にデビューCDとなるライブ盤をリリース。2003年にスタジオ盤のこのセカンドをリリースしました。僕がライヴをみたときは力技の歌で客席を沸かせる感じでしたが、年も重ねて円熟味を増したこのアルバムはジャジーでブルージーで、調子のいいときのルース・ブラウンのような存在感がありました。

  5. V.A. / Straight From The Sixth Ward (Tipitina's 1532)
    ニューオーリンズのブラス・バンドの勢いを贅沢にてんこ盛りにした感じ。トレメ・ブラス・バンド(本CDにも収録)の来日もあって、ニューオーリンズにまた行きたいなと思いました。

  6. AL GREEN / I Can't Stop (Blue Note 7243 5 93556 2 7)
    かなり話題になっている新譜ですが、やはりいいです。アルは9月にロングビーチでライヴもみたので、個人的には一層盛り上がってます。来日もしてほしいですね。これだけ話題になっていれば実現するかも?

  7. HOWARD TATE / Rediscovered (Private Music 82876-52692-2)
    一昨年、カムバックしたてのハワードをロングビーチでみて、新譜にも大いに期待していたのですが、やっとでました。過去の作品に比べて抑え気味かな?と最初は思いましたが、聴いているうちにジワジワと彼の世界に引きずり込まれていきました。そして年末の来日!このアルバムから"Either Side Of The Same Town"などをじっくり歌い上げる彼の姿をみて、目がうるうるしてしまいました。ブランクを感じさせない歌声には驚くばかりです。

  8. JOHN LEE HOOKER / Face To Face (Eagle Records ER 20023-2)
    既に故人となってしまったジョン・リーに新譜とは変ですが、彼の録りためていたレコーディングの数々にゲストの演奏を被せてリリースされました。これが、予想以上によかったです。初期の弾き語りのスタイルを再現したドロドロしたものや、元気のいいブギなど、ジョン・リー節全開で、彼がまだ生きているようでした。

  9. V.A. / American Folk Blues Festival Vol. 1 & 2 DVD (Hip-O B0000750/51-09)
    再発ものでは、これが断トツでした。やはり映像付きだとインパクトありますね。ウルフにTボーンに、動いている姿をみるだけでも貴重なのに、画像もきれいで、ばっちしいい演奏が聴けて、興奮しっぱなし!鼻血ブー!!!(笑)

  10. BOBBY BLUE BLAND / Blues At Midnight (Malaco MCD7512)
    のっけから渋いスローな曲でじっくり歌いあげるブランド。年を重ねても、充実作を出し続けているのが嬉しいです。痰吐きボーカルも健在ですね。これを嫌う人もいるけど、僕はやっぱ、これを聴くと「ああ、やっぱブランドだなぁ」って頷くのです。"What A Wondeful World"のカヴァーも染みます。

赤色: 新録もの

緑色: 再発もの




ベスト・ライブ
Lynwood Slim with Kirk Fletcher
(Cafe Boogaloo, Aug. 28, Hermosa Beach, CA)

パークタワーのゲイトにテイト、ロバート・ランドルフなど来日公演にも素晴らしいものはいくつもありましたが、あえてそれらは外してこれを選びます。こんなにいい音を出している彼らをもっと多くの人に聴いてもらいたいという期待を込めてです。ここには入れませんでしたが、カークは今年素晴らしい新譜も出してくれました。リンウッド・スリムは新譜はご無沙汰してますが、ニック・モスの新譜でプロデューサーとして参加しています。彼の新譜も早いところ実現してほしいです。





inserted by FC2 system