2003年ベスト・アルバム10選
上田有


The Waltz


Bruce Cockburn


The Iguanas


Richard Thompson

特に他意はないのですが、ブルース色が薄いです。ブル銀で良いのでしょうか?受けた自分が軽率なのか…。えーっとブルース、大好きなんですよ。なーんていいわけが必要なくらいです。旧譜中心に購入し聴いた一年でした。その中でココロに残る 2003モノの愛聴盤を選んでみました。

★1★
THE WALTZ / Okinawan Christmas (NMCL1016)

来年2月には18周年を迎える!オキナワの誇るリズム&ブルースバンド「ザ・ワル ツ」のクリスマスアルバム。自他共に認めるクリスマス好きのローリー(Vo&G)による全曲オリジナルという前代未聞のソウルクリスマス!昨年12月の沖縄先行発売に遅れること約一年、2003年秋に全国発売を果たしました。とにかくこの国にこんなサイコーのミュージシャンがいたのか!ってくらい素晴らしいローリーの存在を皆さん記憶に刻むべき!沖縄のまちに向いうたい続けてきた彼はそれゆえに本土での知名度が低すぎる(哀)彼のうたとギターは一見の価値アリです。驚くはず。さて、リー・アレンマナーのウォーキングモノインストで賑やかに始まったパーティは、スタックス的展開やサム・クックを消化してスウィートソウルとまさにごった煮状態で、基地の街コザの誇るR&Bバンドの魅力全開。もうなすがままってかんじです。近年はソロ作で一筋縄ではいかない独自の世界を展開するローリーもここではわりとまっすぐにソウルバンドしている。しかし「ベールベール」のようにミーターズが速度超過でクラッシュして琉球落下、そこでラップを踏みつけてアフってるかのようなサウンドにキビシー!ウチナーグチがのっかるナンバー?ではミスターコザとよばれる唯一無二のローリーの個性が爆発。また9・11以来混沌とする世の中に沖縄からおくるメッセ−ジ性の強いナンバー「127E×26N」をはじめとしてローリー/ワルツの諸作の中では比較的わかりやすい作品に仕上がっている。新春ではありますがクリスマス以外にも楽しめます。是非!

  1. HOWARD TATE / Rediscovered (Private Music 82876-52692-2)
    誰もが選出してるんでしょうねー。ワタシも選びます。実はなかなか入手できなくっ て年末にラストスパートでステレオセットのヘヴィロ−テ−ション入りしてます。出 会いは14、5年前だったでしょうか?皆さんと同じくまさかライヴが観られるとは思 いませんでした。ブル銀掲示板で復活!の報に接した時の驚きときたら…。ライヴ感 動的でした。この作品、大事にします。

  2. SYL JOHNSON / Straight Up (P-Vine PCD-25004)
    かっこいいですねー。イナタイねー。とても満足してます。思わず微笑してしまう特 典LIVE CDも良かった!かつて、のけぞりギターとシャウト!のファンキーオヤジぶ りをジャズフェスで体験したことがあります。また日本でも観たいです。でもなんだ か、誰かの代役で来日!って味も捨てがたいかも(謝)
    ※(編注)タワー・レコードでこのCDを購入すると、特典としてシルの未発表ライヴCDが付いて来る。

  3. BRUCE COCKBURN / You've Never Seen Everything (Sterling Sound COCB-53099)
    みんな!コバーンの近作は毎回チェックしてるかーい?(ナゼか呼びかけてみる)カナダのシンガーソングライターでジャズギタリスト的側面も持つ彼の作品には難解なものもあるのだけれど近作はどれもこれも最高。ワールドミュージック(死語)テイストやR&B、ブルース色が強くなりそれまでのコバーンの作品に彩りを増しているのです。ブル銀的に乱暴に言ってしまえばオル・ダラを好きな方なら感涙だろう!(苦情は受け付けません)とにかく彼のすんばらしいギタープレイ、詩人としての語り口。是非御試し下さい。本作の研ぎすまされ具合は驚異的です。スルメ的作品。

  4. THE IGUANAS / Plastic Silver 9-Volt Heart (Yep Rock 2038)
    イグアナス、好きなんです。ライヴは本当最高です。パークタワーにやってきたりし ないかなぁ…へたなロック風ブルース系?出演者より盛り上げてくれること確実なん ですけどね〜。近作は店頭に並び辛くなっていて残念ですがどのアルバムも大好きで す。ロスロボスより薄味だけどコクがある。ワッカルカなぁ〜?ルイジアナのザ・バ ンドとでもよぶか!うーん。よばないか…。

  5. WARREN ZEVON / The Wind (COCB-53087)
    このHP見てる人で彼のCDを持っている人は何人いるのだろうか?88年のゆうぽうとに行ってた人は…ぼくにとって以前は欠かさず新作をチェックする存在で、あの驚異的不入りの来日公演も目撃しました。その彼が肺癌で余命いくばくもないことを明かしたと友人から聞いたのは2003年でしたでしょうか?そして彼の死の報に接したのは2003年でした。そして更にラストアルバムである本作が届けられたのも2003年でした。あっという間でした。正直いってこの遺影ともいえるカヴァーフォトに始まり、凛としていたり鬼気迫っていたりするこの新作について今は語れません。…実はあまり聴きこんでないのです。もったいないのだ!もしこれから彼の作品を聴くなら、この素晴らしい(言ってしまった!)遺作ではなく他の作品からどうぞ。ベスト盤でもいいでしょう。ぜひこの孤高のシンガーソングライターの作品に触れてみてください。無骨でナイーヴな皮肉屋。鈍クサイハードボイルド?決して綺麗事ではすませない男。うーんなんだろう。ディランは死に直面した彼にむけセットリストにジヴォンの曲を3曲組み入れてツアーを続けたとのこと…。ディランやニール・ヤングが大好きな人なら彼の歌世界にはいる扉は開いています。

  6. KIM WILSON / Lookin' For Trouble (M.C. Records MC-0049)
    ラケンロー!ブルーズマンとして生きてゆくキム・ウィルソン。かっこいいじゃぁあーりませんか。ワタクシはこの人やデューク・ロビラード、ジミー・ヴォーン、キッ ド・ラモス、サックス・ゴードン等々この周辺の人たち大好きです。ヘタな若手黒人 ブルースマン(危ない表現)よりずっと素晴らしいブルースプレイヤーだと思います。彼ら現場に近いところで生き続けるバンドマンを、クラプトンさんたちと同じ枠の白人ブルース系ミュージシャンとして扱うのは酷ってもんでしょう。この作品、ブルースファンたちと楽しく聴きました。再来日を期待します!

  7. RICHARD THOMPSON / The Old Kit Bag (Cooking Vinyl PCD-23366)
    元フェアポート、こんな肩書きは無用なほど確固たる地位を築いたトンプスン。トラッドとロックンロールの狭間で真にオリジナルな音楽を作り続けてきた彼の作品の日本盤がなんとPヴァインから登場。歌内容の理解が難しいので感謝。今回はシンプルなバンドサウンドでジャンルの枠を飛び越えるバグパイプギターなんかがたっぷり堪能できます。ダニー・トンプソンのベースとのデュオも素晴らしいけどやっぱりバンドサウンドはいいなぁー。来日してもクアトロ1日のここ数年。今考えるとパルコ劇場での4、5?日間のリチャード・トンプスン・バンド公演は夢のようだったなぁ。じっくり歌詞を読みながら歌世界に浸る楽しみも有り。今回も文句なしです。

  8. JOE KROWN / New Orleans Piano Rolls (STR Digital STR-1012)
    ゲイトマウス・ブラウンを10年近くにわたって支えつづけるバックバンド「GATES EXPRESS」のキーボード奏者、ジョー・クラウンの5枚目の作品。最近は「JOE KROWN ORGAN COMBO」名義でのリリースが続いていたので久し振りのソロ作品だ。演奏姿の絵が(2002年のPiano Nightの会場でライヴで描かれた)ジャケットを飾る本作はソロピアノ集。ファーストアルバムもソロピアノだったのだけど、しっとり楽しめた前作と味わいを異にする外にひらけた仕上がりとなっている。とにかく地味ながら近年の充実ぶりが滲みでる素晴らしい仕上がりで「TIPITINA」で幕を開けるニューオリンズピアノ絵巻といった感の本作からは彼がかの地を代表するピアノ奏者として認知されつつあることが伝わってくる。

  9. V.A. / 琉球詩歌(りゅうきゅううた) (MUCD-1073)
    (『芭蕉布 / THE WALTZ』収録)

    沖縄音楽のオムニバス。買って損なしという作品集なのですが、ワタシにとってはシングルですねコレは。「ザ・ワルツ」の新録が一曲入っているのです。曲は沖縄県歌とも言われるスタンダード「芭蕉布」(作者はローリーの実父・普久原恒勇氏)。なんとそれの超絶ジャンプバージョン!!!どーしましょう最高過ぎます。(沖縄マニアには不評か?)ローリーののたうちながら登場するギターソロにのけぞります。まいりました。聴きまくりました&聴かせまくりましたこの一曲。バッパーズ好きな方は是非!(コレばっかり)いやぁまいった。

赤色: 新録もの

緑色: 再発もの




ベスト・ライブ
●The Rolling Stones (日本武道舘, Mar. 10)
やっぱりこれです。特にセットのないステージで演奏するストーンズの姿は夢のようだった。
…でもひとつに絞るのはキツイですー。で、

●カクラバ・ロビ (小金井市関野町八幡神社, Jul. 12)
アフリカ木琴、コギリの第一人者が来日、住宅街の中の本当に小さい八幡宮(集会所があるだけってかんじ)で無料ライヴを開催。地面にゴザをひいて、PA等電気モノ一切なし。取り囲むのは近所のお婆ちゃんという驚異的な空間に圧倒された。ロビ氏や共演した弟子の方によると、今ではアフリカでもめったにみられないという地域での音楽的集い。(あってもやはりなにか作為的なものが介在するらしい)「スピリチュアルな空間」で木々のそよぐ音とひょうたんの振動音がまじわる。絵的にも凄いものがあった。立ち会えた幸せを感じるような演奏でした。関係者や、神社を気軽に使用させた小金井関野町町会に感謝。音楽のマジックを体験しました。

●パークタワー・ブルース・フェスティバル (新宿パークタワー・ホール, Dec. 12 & 14)
ゲイトマウスにハワード・テイト。こんな豪華なフェスティバル。あっていいのでしょうか???最終日のゲイトマウス。アンコールでの押し寄せた観客を前にした勇姿に感動。毎年観たい!…余談ですがかつてジョー・クラウンのバックで12弦アコースティックギターを弾くゲイトマウスを観たことがあります。さらにその後ピアノ2台で向かい合ってゲイトマウスはジョー氏とピアノ連弾!!を披露しました。嘘みたいなホントの話。





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