2004年ベスト・アルバム10選
いちむらまさき


Cindy Cashdollar


Hound Dog Taylor


有山じゅんじ


Johnny Hiland

僕の好みは、スライド・ギターとニューオリンズ系ファンクとジャム・バンドとオルガン物とカントリー・ギターです。で、今年の印象は不作というイメージ。超強力な新人or新譜には、お目にかかっていない。「とりあえず聴いてみるか」で買ってはいるものの、ヘビー・ローテションCDは少なかったという感想です。一応、順列は付けているけど、並列でもかまわないベスト10です。

  1. CINDY CASHDOLLAR / Slide Show (Silver Shot SS 9481)
    ドブロとスティール・ギターを操るおばちゃんだが割と美人。インスト多く歌物も少しあり。基本がウェスタン・スウィングなものの、そこからは彼女の好みと思われるニューオリンズ系やロッケンロールへの融合を目指す兆しが見えてて、今後も期待したい。とりあえずサニー・ランドレスとのスライド・デュオ1曲目だけでも買って当たりだった。スライド・ギター同士の合奏で、これだけ音色が違うってのも含めて、全体的にも良いアルバム。

  2. HOUND DOG TAYLOR / Release the Hound (P-Vine/Alligator PCD-23513)
    まぁ、歴史的なとか未発表とか、そういう価値も大きいんだろうけど、それよりも単純に「この臨場感が最高だね」というライブ音源の良さで聴いた。その意味では「いつものハウンド・ドッグ・テイラーの音源で初めて聴くテイク」という感じ。つまりは、これまでに発表されてたライヴ盤も十分に迫力があったので、それらと比べるという感じはなく「やっぱ、ハウンド・ドッグ・テイラーはええなぁ」と単純に。

  3. 有山じゅんじ / Thinkin' Of You (Rice UKRR6022)
    有山さんのアルバムは、ほぼ聴いているけど「ぼちぼちいこか」が一番で、そこを超えるってことはない。が、今年のアルバムは、それにかなり近い弾き語りの純粋さが出てて、ブラインド・ブレイク風なフィンガー・ピッキングが、ここ数年のアルバムの中で最も生きている。有山じゅんじというシンガーの弾くギター・インストは、そんじょそこらのソロ・スタイル・ギタリストよりも上。絶対に上。

  4. 内田勘太郎 / Guitar Blues
    アコースティック・ブルース・アルバム。勘太郎さんが、ほぼひとりでってアルバムのは初めてで、歌物は憂歌団以降で最も憂歌団に近く、それでいて勘太郎さんらしさが発揮できているアルバムかと思う。年を追うごとに気負っていないってのが表れてきてて、リラックスというテーマが見えてくる。8曲のギター・インストも感情豊か。

  5. SHANE THERIOT / The Grease Factor
    2枚を重複買いしてしまったアルバム。つまり最初に買ってきた時には、そんなにハマらなかったんだけど、後日も買って、こりゃええなぁ〜と思って聴いていたら、棚の奥からもう一枚出て来た。スティーヴ・モーズにも近いハードなファンク・インスト集で、ちょっと若いなって気がしないでもないけど、その技工は嫌みにはなってない。まぁ、フリーにも近いフレーズ多様で新しいニューオリンズ音楽を作ろうとしている点という意味では、次のアルバムも出たら即買ってしまうだろうなぁ。

  6. MARC ADAMS / Adams Rides Again
    オルガン・ファンクが好きなんで、こういうのはつい買ってしまう。凄くワイルドってわけでもないけど、なんとなく聴いていると身体が揺れてくる。

  7. JOHN JORGENSON / Franco +American Swing
    今、日本で上映している映画でジャンゴ・ラインハルト役をやったジョン・ジョーゲンソンのヘルキャスターズ解散後のアルバムは、ジャンゴ流のジプシー・スウィング・アルバム。でも、そこはやっぱり、普通じゃないギタリストだから、ジプシー・スウィングらしからぬ楽器を導入していたりの新鮮さが良い。ギターは滅茶滅茶うまいのは当たり前として、こういうスウィング表現もあるのか、という発見的な面白さも大きい。

  8. LENNY BREAU / Hallmark Sessions
    ギター・マニアには知られているものの、一般的には知られていない天才ギタリスト/故レニー・ブロウ19才時の、リック・ダンゴとレボン・ヘルムとのトリオ編成セッション1961年の未発表音源。つまりはザ・バンドのデビュー7年前。やっぱり、偉大なミュージシャンって若いうちから、やるべきことをやってるという感じ。で19才でジャズとカントリーとブルースの融合ギターをこれだけ弾いていたのか!という驚きがでかい、でかい。

  9. JOHNNY HILAND / Johnny Hiland
    ナッシュビルのメイン通りのライヴハウスで箱バンとして活動してて、凄い評判の若手カントリー・ギタリストがスティーヴ・ヴァイのレーベルから発売したデビューCD。若干、目が不自由で、その分、全てをギターに注ぎ込んできた奴で、バリバリのカントリー・インストはとにかく上手い。アルバート・リー、ヘルキャスターズ、ブレント・メイソン系列の最新型。で、まぁ、多少は、スティーヴ・ヴァイ・ファンに向けたロック・インストも入れておきましょうってアルバム。

  10. TOMMY EMMANUEL / Endlessroad
    まぁ、僕的には当たり前すぎなんで一応10位に。


赤色: 新録もの

緑色: 再発もの




ベスト・ライブ
ムーニー&日倉士歳朗
(Hey!ブルースマン/小金井公会堂/April 18)

ブルースが漫画の題材になったことで行われた日本のブルース・バンドがたくさん出たコンサート。エレクトリック・バンドが次々に登場するステージが続くなか、ドンチョウ・カーテンの手前で(さも、セット替えの合間に、、、的な雰囲気)2人だけでアコースティック・ギター2本で40分ほどの演奏。それが盛り上げ方といい、空気感といい、他のバンドとは一線を超えていた。演奏力とか、サウンド構築とか、音量とか、そんなの関係ない。やっている奴の人間性を見せるのがライブでしょう、と再確認。まぁ、他のバンドが悪かったのではなく、この2人が異常に凄かったということです。





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