マーティン・スコセッシのブルース映画が大々的に劇場公開され、ブルースが盛り上がりを見せているなどと言われた2004年。ブルース盛り上がっているぜ!イエイ!などと騒いでみてもどうも盛り上がっている気がしなかったのはなぜ?なんと言っても、年末恒例パークタワー・ブルース・フェスティバルの幕がとうとう下ろされてしまったことが大きかったです。例年、パークタワーでの余韻を楽しむ中で、このベスト10を考えるのが常でしたが、今回はそれがなく何とも淋しい年末となりました。これまで、多くの素晴らしいアーティストを連れてきてくれたこのフェスティバルに、感謝です。規模は大きくはなかったけど、その果たした役割は大きかったと思います。
個人的には新職場で働きだしたり、年末に子供が生まれたりと、色々変化に富んだ一年でした。春にはニューオリンズに7年ぶりに行きました。昔ながらの雰囲気を保ちつつも、細かく見れば随分と様変わりしたと感じも。特に音楽の世代交代が進んでいることを実感させられました。プレイヤー達は変わっていっても、音楽シーンの躍動感は変わらないところは、すごいと思います。
以下10選、順不同です。
- THE MANNISH BOYS / That Represent Man (Delta Groove Productions DGPCD100)
近年ストレートで濃いブルースがめっきり減ったとお嘆きの貴兄に、このアルバムは是非お薦めです!ヴォーカルにファイニス・タスビー、ピアノにレオン・ブルー、ギターにカーク・フレッチャーとフランク・ゴールドワッサーなど、西海岸を中心とした知る人ぞ知るつわものメンバーで構成されたこのユニット、シカゴ的なサウンドを中心に、かなり濃いサウンドを展開しています。おまけにゲストにロイ・ゲインズ、ミッキー・チャンピオン、ジョニー・ダイアー等も加わり、華を添えています。BSR誌でも選びましたが、それだけ気に入ったということで。
- JOHNNY DYER WITH MARK HUMMEL / Rolling Fork Revisited (Mountain Top MTPCD-201)
マディー・ウォーターズのカバー集です。ストレートな演奏で、奇をてらったところは全くないですが、まるでマディが生き返ったかのような生き生きとしているのが印象的です。ブラックトップでは、ギタリストのリック・ホームストロームと組んでごきげんなサウンドを展開していたジョニー・ダイアーですが、ここではハーピストのマーク・ハメルと組み、彼は歌に専念しています。50年代のシカゴが甦ったかのようなサウンドには、デイブ・マイヤーズの「You Can't Do That」を思い出しました。内容が似ているというわけではありませんが。
- JOHN FOGERTY / Deja Vu All Over Again (Geffen B0003257-02)
久々の新譜は、「CCRの未発表アルバム発掘か?」と思ってしまうくらい、昔のまんまのフォガティー節でした。それだけに、すっと馴染んでへヴィ・ローテーションになった1枚でした。これだけ普遍の魅力を持ちつづけられるっていうのは、すごいことだと思います!
- AFRO CUBAN ALL STARS / Live In Japan (Globestar GBS 02)
自分が会場にいた2002年のライブがCD化になったことで、嬉しいリリースでした。「ライブCD+ボーナスDVD」ということで購入したら、ボーナスであるはずのDVDには同じライブの映像がCDよりも長く収録されていて、これはボーナスじゃねえだろう!と喜んでしまいました。これでCD1枚分の値段でしたから、かなりお得と思います。入れ替わり歌うボーカル、ビシッと決まっているホーン・セクション、改めて豪華なライブだと思いました。
- VARIOUS ARTISTS / Christmas Gumbo (Flambeau 3344)
実は、クリスマスが過ぎてから入手しました(笑)。ニューオリンズ、ルイジアナの雰囲気にあふれたクリスマス・アルバムで、年があけても聴いています。アレン・トゥーサン、アーロン・ネヴィル、マーク・ブルッサー、イングリッド・ルシアなどなど、ベテランから若手まで色々聴けて自分の趣味のストライク・ゾーンに来ました。
- BOBBY RUSH / Folkfunk (Deep Rush DRD 1001)
電子楽器を一切使わず、ストレートにブルースをやっている内容にガツンとやられました。最高にファンキー(土臭いという意味で)で、カッコいいです。
- JOHN "PAPA" GROS / Day's End (Funky Krewe FKY0032)
パパ・グロウズ・ファンクにはピンと来なかった(というより苦手だった)僕ですが、このアルバムは彼流のニューオリンズ・サウンドが非常に気持ちよく、はまりました。特にいいなぁと思ったのは彼のピアノのプレイでした。向こうでライブみたときも感じたのですが、この人はオルガンもいいですが、ピアノの弾き語り形式が結構いい感じなんですよね。
- CHRIS MULE' / The Unmentionables (Teabag Productions TBP-1001)
エリック・リンデルのバンドなどで活躍するニューオリンズの若手ギタリストです。ニューオリンズで本人から頂いたものですが、気怠いブルージーな雰囲気とカントリー的な要素が織り混ざったなかなか味のあるアルバムで、よく聴きました。今後はカーク・ジョセフのバンドでの活動も多くなりそうで、要注目な存在です。
- SAX GORDON / Live At The Sax Blast (Me & My Blues MMBCD 11)
ジャンプ&スウィングのホンカー、サックス・ゴードン。この人大好きなんです。ブルズアイのアルバムも愛聴盤です。今回はライブとあって、のっけから一層豪快かつノリノリにブローしまくっていて、最高です。これほどワイルドに吹きまくる人って近ごろでは少ないのではないでしょうか。そのプレイは、最盛期のアーネット・コブを思い起こさせます。
- CANDI STATON / Candi Staton (Honest Jons 7243 594 422 5)
遂にCD化されたキャンディのフェイム時代の名作の数々。コンプリート集でないという不満はあるものの、やはりまずは祝リリースです。ハワード・テイトのヴァーヴ時代のレコーディングが限定盤という形ながら、コンプリートでCD化されたのも非常に嬉しかったです。
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