2005年ベスト・アルバム10選
チュートン


KiLA


ふちがみとふなと


The Soul Seekers


Stevie Wonder

最初は少しブルース系に比重を置いたものにしようかとも思ったのですが、ここはやはり自分に正直なリストにしようと決め、選んだのが下記のとおりです。こだわりとしては、全て新録から選びました。

  1. KiLA / Live In Dublin (Kila KRCD 010)
    まず1位はダントツでアイルランドのキーラ。昨年の日本公演も素晴らしかったけれど、さすが地元ダブリンで収録されたこのライヴ盤は、とんでもない迫力とグルーヴを生み出している。ちょっと落ち込んだときや、機嫌の悪いときでも、これを大音量で聴くと、たちまち舞い上がってしまいます。
以下は順不同で、思いつくままに挙げています。
  1. THE SOUL SEEKERS / The Soul Seekers (Zomba Gospel)
    ライヴではいつも引いてしまうゴスペルだけれど、この高揚感には素直に引き込まれてしまったのが、ソウル・シーカーズ。演奏はよかったけれど選曲のあざとさで白けてしまったキャンベル・ブラザーズの新譜よりも気に入ってしまったのでした。
  2. ふちがみとふなと / ヒーのワルツ (Yoshida House YHL-007)
    オリジナル、カヴァーを含め、既にライヴでおなじみの曲を中心に練り上げて収録したのと、製作の仕方を変えた(?)のが功を奏して、ふちがみとふなとは、これまでの課題だったスタジオ録音の弱さを一気に挽回。
  3. DONNA THE BUFFALO / Life's A Ride (Reincarnate Music)
    たまたまタワーレコードの試聴器で聴いて以来、ハマり続けているのが、アメリカン・ルーツ系のジャム・バンド、ドナ・ザ・バッファロー。実はネットでダウンロードできる彼らの日々のライヴ録音も楽しんでいるのです。
  4. JERRY DOUGLAS / The Best Kept Secret (Koch KOC CD9847)
    こちらはブルースならぬブルーグラス出身なのですが、ジェリー・ダグラスのドブロは凡百のスライド・ギター奏者が束になっても敵わない魅力と迫力に満ちているし、マンネリになりそうでならない独特のフレーズが光っています。
  5. VARIOUS ARTISTS / Our New Orleans 2005 (Nonesuch 79934-2)
    ニューオーリンズのチャリティ盤も秋以降数多く発売され、いずれもNOゆかりのミュージシャンやその音楽をルーツに持つ人達の愛情溢れるディスクになっているけれど、一番良かったと思うのがこれ。
  6. FREDDIE McGREGOR / Comin' In Tough (Big Ship/VP)
    実はレゲエも好きなんです、というよりも、フレディ・マグレガーはその歌声がたまらなく好きで、新譜がでるごとに愛聴盤になってしまうのでした。今回は曲も粒揃いの良さで、充実振りを物語っています。
  7. AL KOOPER / Black Coffee (Favored Nations FN 25202)
    ほとんど出来なんてものに期待はしていなかっただけに、アル・クーパーが、今更ながらもルーツに忠実で聴き応えもタップリの新作を出してくれたのは嬉しかった。改めて脱帽します。
  8. FLOETRY / Flo'Ology (Geffen B000560902)
    実は最近のソウル、それもネオ・フィリー系の女性ヴォーカルにも魅力的な人が多くて、昨年出たジル・スコットと同じく、デビュー盤の次にライヴ盤をはさんで発表されたフロエトリーのセカンドも素敵でした。ラップ・アレルギーの自分も、これなら大丈夫。
  9. STEVIE WONDER / A Time 2 Love (Motown/Universal UICT-1027)
    で、この数ヶ月で最もよく聴いたのが、実はスティーヴィー・ワンダーの新作。待たされた甲斐があって、ここまで完成された作品をぶつけられたら、文句は言えないでしょう。この普遍性にはあがなえません。「キー・オブ・ライフ」では赤ちゃんだったアイシャがすっかり大人の女性になっていたのにも感慨が...。

勿論、今年話題のブルースの新譜でも、B.B.キング&フレンズ、コリー・ハリス、オーティス・ラッシュの発掘盤などは良かったけれど、上記の作品ほどはのめりこめなかったのでした。ソウル系では、アル・グリーンもいいんだけど何かが足りない気がして。

DVDでは、「ライトニング・イン・ア・ボトル」...よりも、ドクター・ジョンの「ライヴ・アット・モントルー」がゴキゲンでした。基本的に今も昔もドクターのライヴに外れはないけれど、長ったらしいバンド名でやっていたこの時代の演奏は最高。映像として残してくれたことに感謝です。

リイシューでは、フランキー・ギアリングのザ・グローリーズ世界初CD化にブッ飛びましたよ。クワイエット・エレガンス以前の録音なんて知らなかった。

ベスト・ライヴは、勿論ダン・ヒックス&ザ・ホット・リックス...といきたいところですが、彼らは別格ということで、あえて、最近予備知識なしで見た、スクラッピー・ジャド・ニューコム&ウォルター・トラガートを挙げておきましょう。後半に歌われたカヴァー・ソングの数々、とりわけサム&デイヴの"I Can't Stand Up For Falling Down"にはグッときました。 それにしても、今年を振り返ると、何と死亡したミュージシャンの多かったことか。とりわけゲイトマウスの訃報には、覚悟はしていたもののショックでした。最後の録音となったニューオーリンズ・フェスのライヴ盤は、あれから聴けません。 そして、結果として彼にトドメを刺したニューオーリンズの人災(とあえて書きます)に、アメリカ社会の歪と、日本の未来を見せつけられた気がします。

赤色: 新録もの

緑色: 再発もの




ベスト・ライブ
SCRAPPY JUD NEWCOMB & WALTER TRAGERT





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