2005年ベスト・アルバム10選
陶守正寛


Rich DelGrosso


Floyd Dixon


RJ Mischo


Kirk Joseph's Backyard Groove

2005年は、目立った来日が少なかったこともあって、ライブに足を運ぶ頻度はいつになく少なかったような...。特にブルースは、人気や実力面で来日公演が成り立つような存在が、次々と姿を消しているので淋しい限り。昨年は、ゲイトマウス、リトル・ミルトンが亡くなっただけでも、がっくしでした。

ライブが減ったかわりと言っては何ですが、CDは結構買ったように思います。再発もの、発掘もの、それに映像作品にもいいリリースはありましたが、それは外して新録のCDから10枚選びました。大好きなニューオリンズがあんなことになってしまい、正直涙が出ますが、ニューオリンズものは例年以上に聴いた年でした。がんばれ!ニューオリンズ!!

  1. RICH DELGROSSO / Get Your Nose Outta My Bizness! (Rich DelGrosso MB10001)
    教則本も出している、L.A.のマンドリン・プレイヤー/ライターのデルグロッソ。マンドリンを前面に出したブルースっていうのも結構渋いと言えばそうだけど、結構のりはいい。ゲストのパイントップ・パーキンズが彼の味を添えているのがまたいいんです。
    http://www.mandolinblues.com/
  2. LOS SUPER 7 / Heard It On The X (Telarc CD-83623)
    ロスロボス関係が大好きな僕としては、このグループはファーストから聴いているけど、今回はロスロボスのメンバーが入っていないのはビックリした。そのかわり、デルバート・マクリントン、チャーリー・セクストン等が新たに加わり、ブルース/R&Bとラテンがいい感じでブレンドされた音になった。僕の好みのど真ん中を突かれました。9月に亡くなったゲイトマウスがラストを締めるのが印象的です。「俺の墓をきれいにしておいてくれ」だって。出来すぎた話ではありますが。
  3. FLOYD DIXON / Fine! Fine! Thing! (Hijohn 01739)
    アリゲーターからアルバムを出してから随分経っているし、あまり目立った動きもなかったので、どうしているのかなぁと思っていたら、久々に出してくれました。だいぶ声は衰えてしまったけど、人懐っこい味わいは変わらない。バンドの演奏もサウンドの仕上がりも丁寧で満足です。ゲストのキャンディ・ケインとのデュエットも微笑ましい。
  4. JIMMY T99 NELSON / The Legend (Nettie Marie 002)
    この人も久々です。前作とまったく同じデューク・ロビラード等の豪華メンバーでゆったりとスウィングします。ゲストのシュガー・レイがハープを吹くためにやったと思われるサニーボーイの"Help Me"は、ちょっとジミーのカラーには合わないと思うけど、これも愛嬌でしょう。
  5. VARIOUS ARTISTS / Our New Orleans 2005 (Nonesuch 79934-2)
    カトリーナ以降、色々なチャリティー企画が出てきているけど、これはその中でも、突出した出来だと思いました。被災したアラン・トゥーサンらニューオリンズのミュージシャンが自ら立ち上がっている、その意気込みと逞しさに感服。
  6. VAN MORRISON / Magic Time (Geffen B0004662-02)
    この人は今回も、いつものやつっって感じですが、やはりいいです。すごくブルージーで円熟した癒し系サウンドは、タイプは違うけど僕の中ではチャールズ・ブラウンあたりと接し方が似ているかも。
  7. RJ MISCHO / He Came To Play... (Raytone RT-101)
    アルバム・ジャケットはなんだかB級のSFみたいで、カッコ悪いけど内容は最高。チャーリー・マッスルホワイトのバンドがバックをつけ、がんがんスウィングしてくれます。ミネアポリスの人だけど、ウェストコースト・サウンド濃厚です。こういう人がもっと注目されるといいなと思います。
    http://www.rjblues.com/
  8. BETTYE LAVETTE / I've Got My Own Hell To Raise (Anti 86772-2)
    いわゆる典型的なソウル・ミュージックではないけど、これほど歌にソウルを感じた作品は久々です。重い音ではありますが、肉声の迫力がビシバシ伝わってきて、ゾクゾクしました。
  9. KIRK JOSEPH'S BACKYARD GROOVE / Sousafunk Ave.(Audible Vision AVR-10501)
    カークがこれまでかかわった作品ともまた一味違うファンキーで、ニューオリンズ味溢れる作品。レコーディングを見学させてもらったこともあり、非常に思い出深いです。ゲストのドクター・ジョンのトラックは、彼の世界に引きずり込まれます。やはり彼は偉大です。
    http://www.kirkjoseph.com/
  10. STEP RIDEAU / A Step Ahead (Bridge Entertainment BEZ 2007-2)
    ザディコに関しては、それほど聴きませんでしたが、これは聴いた中ではしっくり来ました。過度に体育会系でない(笑)のがいいかな?でも勢いはしっかりあります。ステイプル・シンガーズのカバーなんておっ!って思いましたよ。
あとは、映像作品では、歓喜の声を上げてしまったのは、The!!!! Beatの全DVD化。映像ソフトは買ってもなかなか見ないものもありますが、これは全部繰り返し見ました。貴重な映像の連続に興奮しっぱなしです。あとは、再発ではソネット音源が突如ユニバーサルからどどっと出たのにはビックリ。長年聴きたくても聴けなかったアール・キングのソネット音源がやっと聴けて感動でした。あとは、オーティス・ラッシュの秘蔵ライブも勢いが感じられるないようでしたね。また、こういうライブを生で展開してほしいものです。

赤色: 新録もの

緑色: 再発もの




ベスト・ライブ
North Mississippi Allstars
(ジャパン・ブルース・カーニバル, 日比谷野外音楽堂, June 4)

チョコクリやテラプレインのチャリティー・ライブも胸が熱くなるものがありましたが、今回は個性的なステージを見せたノース・ミシシッピーをベストとさせてもらいました。R.L.バーンサイド直伝のコテコテ・ブルースからオールマン的なフリー・ジャムっぽい音になだれ込むその音の広がりはとても気持ちよかった。トリ前の30分くらいの短い演奏が残念だった。次回は、フルセットを見たい。





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