2007年ベスト・アルバム10選
陶守正寛


Bharath & His Rhythm Four


Texas Northside Kings


Roddie Romero


John Lisi & Delta Funk!

ブルースの来日公演って本当に少なくなっちゃいましたねー。海外でライヴを観ることも殆どなくなってしまったので、生のブルースに触れる機会が激減しているのが淋しい限りです。そんな中で、ココ・テイラー、ルリー・ベルが来たブルース・カーニバルはブルース度高くてよかったです。新譜もどブルースはあまり聴いてないような気もしますが、聴いているものはどれもブルースっぽいと言えば言えなくもないかな。しかし、最近整理が(記憶も?)悪くて、何が2007年だったのか思い出せない始末(苦笑)。思い出したものから、選びました。

  1. BHARATH & HIS RHYTHM FOUR / Friday Night Fatty (no label, no number)
    初めて聞く名前でしたが、ジュニア・ワトソンが全面バックアップしている作ということで興味を持って聞いてみました。50年代、60年代のマディ・ウォーターズのバンドを彷彿させるシカゴ・ブルース・サウンドで、デイヴ・マイヤーズがブラックトップから出した「You Can't Do That」に通ずるワクワク感がありました。バラット本人はリトル・ウォルターばりのアンプリファイド・ハープを吹く人ですが、彼ひとりが突出することなく、バンドのアンサンブルを大切にしている感じがよかったです。彼はカナダの人らしいですが、近年はこういう音を出す人は本場シカゴより外により多くいるのかもしれませんね。
  2. TEXAS NORTHSIDE KINGS (Dialtone/P-Vine PCD-25053)
    ダイアルトーン・レーベルからの作品には素晴らしいものが多いですが、日本のPヴァインも後押しして実現したというこの盤にはやられました。地元以外ではあまり知られていない若手の逸材数名にベテラン勢のバンドがバックをつけ、ゴツゴツとしたブルース・アルバムを作り上げました。1曲1曲が本当に光っています。
  3. RODDIE ROMERO and the HUB CITY ALL-STARS / CIty All-stars / The La Louisianne Sesions (Octavia Records, no number)
    これもガツンと来ましたねー。基本はザディコやケイジャンですが、アメリカン・ルーツ・ロック的でもあり、ニューオーリンズR&Bっぽい曲もあって、もろ好みでした。勢いもあります。"セッション"というタイトルの割りには、音はよく練られた完成度の高いものになっています。
  4. JOHN LISI & DELTA FUNK! / Dead Cat Bounce (219 Records, TNR 1013)
    こういうのを現在進行形のニューオーリンズ音楽のひとつと言えるんでしょうか。ブルージーでロックしてて、オリジナリティーを感じます。ここ数年ビッグ・チーフ・モンク・ブードローが彼らとよく一緒に活動しているそうですが、どんなかんじなんだろうと興味を覚えました。
  5. VARIOUS ARTISTS / Goin' Home - A Tribute to Fats Domino (Vanguard 225/26-2)
    一見よくある有名どころのアーティストが集結したトリビュート・アルバムですが、アーティストの人選、曲のアレンジとも、一曲一曲絶妙ではまりました。アーティストの組み合わせが面白いものが多いんですよね。レニー・クラヴィッツが参加した"Whole Lotta Lovin’"なんかがいい例です。レニーとリバース・ブラスバンドやJB'sを組み合わせることによって、ファッツとは全然違うニューオーリンズっぽいファンクに仕上がっていて、すごいと思いました。ロバート・プラントとリル・バンド・オ・ゴールドの組み合わせも、どこから思いついたのかなぁ。何度聴いても飽きません。
  6. GENO DELAFOSE & THE FRENCH ROCKIN' BOOGIE / Le Cowboy Creole (Times Square TSQ-CD-9063)
    ザディコも若手の新しめなサウンドも色々と出ていてそういうのも悪くはないのですが、ジノの古きよきのほほんとしたサウンドを聴くと、気持ちいいんですよね。のれるし、しみじみ聴きいる感じの曲もあるし、やっぱ今回のアルバムもいいなぁと思いました。
  7. EDDIE BO / Saints, Let's Go Marching In (Bo-Sound 1256)
    もうエディー・ボーも80歳近いはず。ニューオーリンズ勢で50年代から活躍する人では、いまや数少ない現役の人ですが、この年になって、こんなにヒップでファンキーな作品を出してくるとは驚きでした。この人、まだまだいけると思います。
  8. ROCKIE CHARLES / I Want First Class (Soulgate 2007)
    俺が手作りしてももっとマシに作れると断言できるジャケットのチープさには度肝を抜かれましたが、音はしっかりしていて二度ビックリ。チャールズのソウルを感じる力作です。
  9. RY COODER / My Name Is Buddy (Nonesuch 79961-2)
    ライってもう昔のようなソロ作は出さないのかなと思っていたので、このアルバムは本当に嬉しかった。フラーコやジム・ケルトナーも参加して「Get Rhythm」以前のライのサウンドが戻ってきた感じです。僕はライとリンドレーだったらどちらかというとリンドレーが好きなんですが、やっぱこれ聴いちゃうと、ライもいいなぁって思います。前作もそうでしたが、ストーリー性を持ったアルバムで、ジャケットが絵本仕立てになっているのも楽しいですね。そういうところも力入ってます。
  10. JOHN NEMETH / Magic Touch (Blind Pig BPCD 5109)
    前作でヴォーカルのよさに惚れ込んだのですが、今回もよかったです。ブルースでは大手のブラインド・ピッグからのリリースなので、多分知名度もだいぶ上がったんではないでしょうか。ハープを吹けばジミー・リードやサニー・ボーイっぽい雰囲気もあり、歌を歌えば本当に力強くてソウルフル。歌がこれだけうまい人は若手ではとっても貴重だと思います。
他によかったのはオヤジロック系ではジョン・フォガティーにニール・ヤング、イーグルスも飽きずに聴けました。ベティー・ラベットの新作も力が入っていましたねー。再発関係ではアレサのアトランティックの未発表ものはすごかった。彼女の数々の名作アルバムの裏には、完成度の高い"捨て曲"がたくさんあったのねと妙に納得しました。あとは、マディ・ウォーターズのライヴ「Breakin' It Up, Breakin' It Down」。こんなすごいライヴが録ってあったんですねー。マディのソロと言う感じではなくジョニー・ウィンターとジェイムズ・コットンもフィーチャーされているのが嬉しかった。

赤色: 新録もの

緑色: 再発もの




ベスト・ライブ
Lurrie Bell
(目黒ブルースアレイジャパン, Jul. 21)

ライブは、久々に来日したルリーが勢いがありました。形式ばらずに地元のクラブのりでやってくれたのがかえってよかったと思います。ストレートなブルースでここまでインパクトの強いライブは近年では貴重でしょう。新譜もよかったし、ルリーにはこれからも頑張ってほしいですね。





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