2008年ベスト・アルバム10選
谷口敦子


Jeffery Broussard


Corey Ledet


Best of the Bayou


Christine Balfa

  1. JEFFERY BROUSSARD AND THE CREOLE COWBOYS / Keeping the Tradition Alive (Mason De Soul MDS-1087)
    ジェフリーがザディコ・フォースを実質的に抜けてからこのバンドを組んで数年して、やっと出たCD。 お馴染みの先乗りのアコが後ろ乗りになって、レイドバックした感じ。この盤を録音した頃はまだ、メンバーが固定していなかったようだけど、この後、ベースに元ブーズー・チェイヴィスのクラッシー・バルーJr.が加入、そのせいかどうかクレオール・カウボーイズ、ライブでは音がかなり変わった。

  2. CEDRIC WATSON / Cedric Watson (Valcour VAL-CD-0004)
    このソロを出してからパイン・リーフ・ボーイズを抜けてしまったセドリック。一人だけブラックでケイジャン・バンドで頑張ってたのを応援してたのに、残念がったのは私だけではない。テキサス育ち、10代で、絶滅しかけていたクレオール音楽のフィドルを復活させるムーブメントの仕掛け人になった感がある彼、初のソロを聴いてまず、「セドリック、ええ曲書くやん」と思った。南西ルイジアナのクレオール音楽やケイジャンの伝統を踏まえた上で、自分というフィルターを通して上手く表現してる。 フィドルはもとより、アコーディオンや他の楽器もできるマルチ・プレイヤーのセドリック、一人でも頑張ってる好盤。この後、あんまり大人しくならないで、弾けてください。

  3. JIMMY BREAUX & FRIENDS / Live at Festivals Acadiens (Way Down In Louisiana WDIL-1301)
    2年前のフェスティヴァルズ・アカディエンズで「録音します」と公表されていたのに、出るのが2年かかってしまったライブ盤だけど、場の雰囲気をとてもよく捉えている。ジミー・ブローはボーソレィのアコーディオン弾きで、自らは歌わない。よって彼のソロは誰がシンガーになるかによってバンドの雰囲気はかなり変わるけど、この人はなんだかロッキン・ケイジャンが好きなのかも知れないと思わせるような音。ボーソレィの各楽器が絡み合うような緊張感はないけど、南西ルイジアナのダンスホールで好まれるような音だと思う。(このCD、Amazon ではダウンロードだけで販売している)

以下次点
  1. LEON CHAVIS & THE ZYDECO FLAMES / Holla @ Me (Leon Chavis, no number)
    チープな作りのザディコのCDはチープな作りが多い中、レオン・チェイヴィスのこれはちゃんと作られた感じがする。彼自身、他のザディコ・バンドと違う事がしたい、と言ってたので、この先どうなるか楽しみ。

  2. COREY LEDET / Don't Shut Me Out
    いつの間にか出ていたコーリー’リル・ポップ”レデットの新譜。何もかも詰め込んだ感じだったデビュー盤から、セドリック・ワトソンとのデュオCDを経て、この新譜はもっと纏まった感じがする。クリフトン・シェニエがかなり好きらしい彼、最近のトレンドに反してピアノ・アコをかなり使用している。若手の中ではアコがかなり上手い人。

  3. VARIOUS ARTISTS / Blue Moon Presents: Best Of The Bayou (Blue Moon)
    ジェフリー・ブルッサー&クレオール・カウボーイズと、ブルーランナーズと、ロスト・バイユー・ランブラーズが順々に4曲ずつ入った、ライブCD。08年3月、テキサス州オースティンで、SXSWのイベントの一環として行われた、ベスト・オブ・ザ・バイユーでのライブ録音。いつもと変わらないロスト・バイユー・ランブラーズに、3人になってしまったブルーランナーズ、そしてクレオール・カウボーイズの現在の音が聴ける。

  4. FEUFOLLET / Cow Island Hop (Valcour VAL-CD-0005)
    のんびりしてたら、出てる事を知らずに年末ぎりぎりに注文した、フォーフォレーの新譜。メンバー全員が10代前半でデビューして、可愛い声の割には良くできたCDをリリース。かなり完成度の高いセカンドを出して驚かせてくれたフォーフォレーも、そのあとメンバーがだいぶ変わってしまった。3枚目のCDではほぼ現在のメンバーだが、バンドとしてのダイナミズムが少なかった。で、4枚目にあたるこの新譜では、かなりはじけて、基本的にはケイジャンというフォーマットを崩さないけど、各自の好きな音楽を取り入れてやりたい事をやっている感じが良い。1曲目はオルタナ・ロックというか、ダグ・サームがやってたような感じでギターが唸っている。初代女性シンガーのブリトニーも良かったけど、今のメンバーのアナ・ローラの声もかなり良いです。元気の出る声。

    番外編
  5. CHRISTINE BALFA / Plays The Traingle (Valcour VAL-CD-0006)
    これはもう、凄いです。
    何がって、ケイジャン・トライアングルのソロCD。一曲だけ「あ〜」と掛け声が入ってるけど、その他はツーステップかワルツかの違いくらいで、ほぼ同じリズムが一時間続く。曲はそれぞれ違うけどね(笑)。「こんな盤はもう、この先録音される事はない」と発売元が公言する。その割には、紙の中開きジャケで、写真も綺麗だし、ちゃんとライナーノーツまでついている。ギャグのようなCDを、ここまで丁寧に作るのはもう尊敬に値します。このCDの使い方で思いつけるのは、ケイジャン・アコーディオンかフィドルの練習のバックにする事だけど、そんな楽器している人はここ読んでる中に5人も居ないと思うしなあ。あとは・・・ひたすら大音量でかけて、トランス状態を楽しむか?枚数限定発売なので、興味のある方はお早めに。【注文サイト】(日本にもちゃんと送ってくれるぞー)

あとがき
今年は何故か、全部南西ルイジアナもの、それもケイジャンかザディコかクレオール音楽で統一・・・したかった訳じゃあないんだけど、そうなってしまった。毎年かなり変則的な順位の付け方の上、10枚に満たないですが、一位の3枚は今年一番良く聴いた盤という事で。ジミー・ブローとブルームーンはどちらもライブ盤で、どちらも現場にいたという偶然、でもないけど、単にライブとしての出来も良いと思う。

赤色: 新録もの

紺色: 再発もの




ベスト・ライブ
は・・・なんだったでしょうかね?良く行くフェスティヴァルでは、それぞれ良いショウをみるけど、いっぺんに色んなバンド見るんで、覚えてないや。





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