2008年は自分の演奏活動がやたら充実していて、その関係もあって日本のミュージシャンに耳が向いていました。もちろんニューオーリンズものでも面白いものは多かったですね。それに比べるとブルースの新作にはあんまりピンと来なかったんです。ざっと選んだら20枚くらい候補があがりましたけど、BSR にレビュー書いたものは外して何とか10枚に絞ってみました。でもタジ・マハル、ボビー・ラッシュあたりはよく聴いたなぁ。
- KROWN WASHINGTON BATISTE / Live at the Maple Leaf (JK 1003)
実は強烈にファンキーなウルフマン・ワシントンのソロが僕にとってのことしのベストなんですけど、BSRに書いちゃいましたからそちらを見てもらうことにして、そのウルフマンがヴォーカルとギターをとった本作をまず挙げましょう。ウルフマンはソロ作に比べると控え目ですけど、ジョー・クラウンの巧みな仕切りで素晴らしいアルバムになっています。バティステのドラムも、ジョージ・ポーター、ブライアン・ストルツとやったアルバムでも感じたんですが、随分柔らかくなった印象です。
- IRMA THOMAS / Simply Grand (Rounder/Decca 478 1068)
いろんなピアニストをたっぷり味わえるって意味でも美味しい1枚なんですが、落ち着いたアーマの歌声がやっぱり素晴らしいです。ニューオーリンズもののヴォーカルではジョン・ブッテも快作を連発していました。ピアノものではヘンリー・バトラー、マーシャ・ボールのものが気に入りました。
- THE TREME BRASS BAND / The Treme Brass Band (Mardi Gras MG 1115)
ポップな選曲とニューオーリンズの伝統を守るサウンドが見事に融合しています。特にラスト3曲の葬儀風景を彷彿させる演奏にぐっと来ました。
- LEON CHAVIS & THE ZYDECO FLAMES / Holla @ Me (Leon Chavis, no number)
ザディコではこれが一番気に入りました。クリス・アルドワンの一番魅力的だった時代に通じるサウンドです。クリスの新譜もあったんですが、あそこまで行っちゃうとザディコの魅力がどこかに飛んでっちゃったように思えるんですよね。
- CLARENCE DOBBINS / The Uprising (P-Vine PCD-93178)
僕とほぼ同い年なんですが、このディープさにはやられました。スロー良しファンキーもの良しです。
- SOLOMON BURKE / Like A Fire (P-Vine PCD-93126)
まさに王者の風格ですか。これだけアコースティックな雰囲気になっても、難なく歌い上げちゃうんだから。ラストのジャジーなスタイルもたまりませんね。
- 山本太郎トリオ / New Orleans New Orleans (YPM 020)
日本にもこんなにニューオーリンズ・テイスト溢れるジャズ・トリオがあるんです。山本太郎のオールドスタイルのクラリネットの音色は本当は生で聴くともっといいんですけどね。
- 小林創 / Swing Easy? (YPM 022)
山本太郎トリオでもピアノを弾いていた小林創、ミッチのバックもやっていますが、この一発録りのソロがまた素晴らしいです。彼の中から湧き出る音楽が目の前に見えるようです。ちなみにこの人の参加するライヴを各種合計10回以上見ましたが、毎回インパクトを受けました。
- コージー大内 / 角打ブルース (Maruyoshi 02)
ライトニン大内の時代から注目していたんですが、このアルバムは見事なプロデュースで彼の魅力を弾き出しています。彼と共演できたのも2008年の収穫。ことしのバレンタインデーに横浜でまた共演します。
- やなぎ / 青い空からBLUESが降ってくる (Yanagi YMC-002)
あまり知られていないフォーク系の人ですけれど、真っすぐで、心に響く歌を歌います。ギターの音色もシンプルなんですが枯れ味が美しく、実は大変な名手だってことが分かります。
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