2008年ベスト・アルバム10選
陶守正寛


David Egan


Sid Morris


Eddie Floyd


John Boutte

最近以前と比べてCDを買う枚数がだいぶ減りました。金の節約っていうのもありますが、何だか買いたい!と思わせるリリースが減っているようにも思います。その代わりにと言うわけでもないかも知れないですが、往年の名盤や発掘音源がやれデラックス・エディションだとか、紙ジャケ仕様だとか言って、どんどん出てきます。そういうのもたまにだとありがたみがあるけど、こう乱発されちゃうと、食傷気味だなぁ。レコード会社にすれば新しいものをリリースするより楽なんだろうけど、こんなんじゃ音楽業界が停滞してもしょーがないのかなって思っちゃいますね。

なんて、愚痴はおいといて10枚選びました。2年ぶりにニューオーリンズのジャズフェスに行ったこともあり、ニューオーリンズものはよく聴きました。素直によく聴いたものを挙げてみました。

  1. DAVID EGAN / You Don't Know Your Mind (Out Of The Past, no number)
    前作もよかったですが、これは更にパワーアップした感じです。ソングライターとしての実績を積んでいるだけあって、曲がいいんですよね。"Bourbon in My Cup"などブルージーな曲が光っています。しかし、リル・バンド・オ・ゴールドもレコーディングが済んでいるはずなんですが、そっちはどうなってしまったんだろ。期待しています。

  2. SID MORRIS / Take Me Back (Greaseland GR20821-CD)
    サンフランシスコ周辺で活動するブルース・ピアニストです。ビッグ・メイシオのカバーなどストレートなブルースから、ニューオーリンズ・スタイルのピアノまで聴かせるごきげんなアルバム。すっかりはまりました。

  3. IRMA THOMAS / Simply Grand (Rounder/Decca 478 1068)
    アーマは、新譜が出ればとりあえず必ず買います。豪華ゲスト参加のアルバムって、あまりよかった試しがないので、このアルバムも聴く前は嫌な予感がしていたのですが、想像していたものとは全く違いました。ゲストのピアノだけをバックにつけたシンプルなサウンドで、アーマの歌を十二分に堪能できました。あえてゲストには歌わせず、伴奏に専念させたところがよかったと思います。それでもドクター・ジョンとか、個性が出ている人はいますね。

  4. KROWN WASHINGTON BATISTE / Live at the Maple Leaf (JK 1003)
    ニューオーリンズのクラブシーンで活躍する3人が組んで作った新ユニットは、目新しい内容ではないのですが、安定感のあるグルーヴとオルガン・サウンドが気持ちよくて、何回も繰り返し聴きたくなる1枚です。ウルフマン絶好調ですね!

  5. B.B. KING / One Kind of Favor (Geffen B0011791-02)
    前作のライブ盤では80歳を超えた衰えが気になってしまいましたが、ここではなかなか元気。もう83歳のB.B.。まだ堅実なペースで作品を出してくること自体がすごいなって思います。B.B.らしいサウンドが花開いた快作です。

  6. EDDIE FLOYD /Eddie Loves You So (Stax 0888072307957)
    昔のカバーが中心ですが、変に新しいことをやるより本来得意なサウンドを展開している分、エディーも乗っています。特に"You're So Fine"にはやられました。

  7. SAN PEDRO SLIM / Barhoppin' (Barroom Blues Music BB2302)
    LAを拠点にするハーピストで、久々にリリースした新作です。あまり知られていない人かも知れないですが、リック・ホームストロームがギターとプロデュースで全面参加し、のりのりなブルースを聴かせます。軽快にスウィングしながらも、結構サウンドにはゴツゴツした感じもあり、それがいい味になっているように思います。

  8. EGG YOLK JUBILEE / Labor of Lunch (No label, no number)
    おもちゃ箱をひっくり返したような何でもありなサウンドがめちゃくちゃ楽しい。ボーネラマにも言えますが、ニューオーリンズ・ブラスバンドとハードロックとジャズが同居しているような摩訶不思議な世界が癖になります。ニューオーリンズならではサウンドですね。特に目まぐるしく展開するスタンダード・ナンバー"Lazy River"のアレンジは圧巻でした。

  9. JOHN BOUTTE / Good Neighbor (No label, no number)
  10. PAUL SANCHEZ / Exit to Mystery Street (No label, no number)
    ジョンとポールはお互いの新作にも参加しあっていますし、ジョンの新作の曲の大半は両者の共作です。昨年もニューオーリンズでジョン・ブッテを2回みましたが、やっぱり彼の歌唱力と存在感はすごいものがあります。多分、現在活躍しているニューオーリンズの歌手では最高峰でしょう。ライブでも新作のタイトル曲で会場を大いに沸かせていました。ポール・サンチェスはカウボーイ・マウスを脱退しリリースしたソロですが、ポップでフォーキーでラテン調も織り交ぜたサウンドは独特で、はまりました。両方のアルバムとも同じ"Door Poppin'"という曲がオープニングに収録されていますが、聴き比べるのも面白いです。

以上10枚ですが、これ以外ではドクター・ジョン、タジ・マハール、リトル・フィート、ランディー・ニューマンあたりも気に入っています。ランディーは長年熱望していたライブを遂にニューオーリンズで観ることができたので、感激でした。ソロで登場した彼は、毒っ気は少しも減っていないランディー節全開でした。新作も実に彼らしい内容だと思います。

赤色: 新録もの

紺色: 再発もの




ベスト・ライブ
Willie Walker & The Butanes
(九段会館, Oct. 5, 2008)

ニューオーリンズでみたライブの数々にも素晴らしいものが多かったんですが、祝来日ということで、ウィリー・ウォーカーを押します。予想していたよりずっと小柄で、ソウルマンとは思えないほど控えめなウィリーでしたが、声は心の奥底まで届くような深いものがありました。完璧なまでのButanesのサポートも涙ものでした。バンド毎呼んでくれた主催者Pヴァインに感謝です。





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