ブルース銀座: 2010年ベスト・アルバム10選: 妹尾みえ



2010年ベスト・アルバム10選
妹尾みえ
http://www.ramblin.co.jp/


Spencer Wiggins


John Legend


Vieux Farka Tour?


The Fave Raves

  1. SPENCER WIGGINS / Feed the Flame: The Fame & XL Recordings (Kent Records UK)
    聞くたびに大地にしっかと足をつけ、背筋を伸ばして歌う姿が思い浮かぶ。目力の強ささえ感じる、まっすぐで誠実な歌声だ。“I'd Rather Go Blind”はじめ一曲一曲いろいろ語ることはあるのだが、ここはもぉとにかくありがとうございましたと頭を垂れるのみ。

  2. JOHN LEGEND & THE ROOTS / Wake Up! (Sony Music Entertainment XAT-1245551847)
    70年代ソウルのカヴァーというトピックを差し引いても、気持ちをリフトアップさせてくれるすがすがしさ。志を持った音楽に出会えてうれしい。マガジンで小出さんも書いていたけど、娯楽の音楽に志の高さを求める必要なんてないという人もいるのはわかってる。でもなぜ歌うのか、なぜそのアルバムを出すのか、そこに確かさのない音楽はやはり訴えるものが弱いと思うのだ。逆に言えば、そこをクリアできているなら、カヴァーだろうが自作だろうが、それはオリジナリティになりうる。

  3. JUNIOR WELLS & THE ACES / Live In Boston 1966 (Delmark/P-Vine PCD-93378)
    久々に出会ったトキメキのシカゴ・ブルースだった。なんといってもライヴならではの空気感が抜群だ。演奏はもちろん、、あれだけリラックスして客席とやりとりしてるジュニアは新鮮だったし、エイシズの腕前を再確認。ともすれば予想どおりに終始してしまう可能性もあるのだが、いい意味で裏切ってくれたライヴ盤でした。

  4. 近藤房之介 / 1968 (Zain ZACL-9044)
    気に入って聞いていたとは言え、ここのところ昭和歌謡のアルバムが続いていたので、正直言ってちょっと怖かった。でも本気度が違った。ジョン・レジェンドの続きみたいになってしまうが、自分自身から目を背けず、真摯にブルースを歌ったアルバムだ。歌声に耳を傾けながら、房之助さんの歩んできた道が一本道のように見えた気がした。ベテラン勢には、ライヴだけでなくアルバムの制作でも、まだまだん頑張っていただきたいです!

  5. VIEUX FARJA TOURE' / Live (Six Degrees AFR0143)
    ライ・クーダーがゲスト参加したアリ・ファルカトゥーレ&トゥマニ・ジャバテもよく聞いたが、あえて息子ヴィューのファンキーなライヴ盤を。ジェフ・ラングとのギター・バトルも熱い。

  6. HABIB KOITE & BAMADA / Foly!(オルターポップ AFPCD-30301)
    アビブ・コワテはマリ出身のシンガーソングライターの2枚組ライヴ盤。広がりのあるファンタスティックなアンサンブルは、Lastfm聞いたとき一発で気に入った。来日公演観たかった! ボニー・レイットも傾倒していると知って、なんだか納得。

  7. 古川ロッパ傑作集(Neach Records NEACH-4568)
    バートン・クレーン作品集でノックアウトされた人も多い、武蔵小山アゲインから喜劇人シリーズ登場。監修に瀬川昌久氏を迎え、満を持しての古川ロッパ全20曲だ。企画はもちろん石川茂樹さん。ジャケットデザインもいいですね〜。エノケンに比べると圧倒的に音源不足だった人だけに、その幅の広い芸風がうかがえ感慨深いものがありました。武蔵小山に引っ越したいです。

  8. モアリズム/ EVERY SONG IS LOVE SONG (バウンディ)
    カリフラワーズ時代から毎回、良質なアルバムを届けてくれる彼ら。「ルーツに根差すダンス・ミュージック そして、愛」を目指すと標榜するだけあり、やや通過点的な印象も感じられた。とは言え、今回もナカムラのメロディはするりと心に滑り込み、「すべての歌はラヴソング」というフレーズがときどき脳裏をよぎる。

  9. VARIOUS ARTISTS / アフロ・キュービズム (ライス・レコード WCR-23018)
    本来、キューバとマリのミュージシャンが共演するはずだったブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ。叶わなかった夢が14年の時を経てここに実現、というそれだけで胸が震えるような想いがしたが、聞いてこれまた潤いのある音にうっとり。エリアーデス・オチョーア、トゥマニ・ジャバテらが参加しています。

  10. THE FAVE RAVES with THE FAVELETTES Bombed / THE FAVE RAVES REVUE IN OSAKA (BOMBCD-98 )
    一貫してサザン・ソウルを演奏し続けるバンド。噂には聞いていたが、ここへきて7インチ盤、アルバムを聴く機会に恵まれた。愛情たっぷりの演奏がツボに効く。ブラック・フィーリングがとか、本場と比べてとか言うんじゃなく、彼ら自身の熱い気持ちが確かに伝わってきました。 昨年、山岸さんが帰ってきたとき「オレらブルースごっこがしたいねん」というようなことを言ってた。アメリカでもブルースのツボを分かるプレイヤー、観客は少なくなっているらしい。だから、日本に帰ってきて気心のあう仲間とステージに立つと、ものすごく丁寧にブルースを演奏できて楽しいらしい。何より聞いてる私も楽しかった。形式美の上に立つ、ブルースごっこ、ソウルごっこ。極めれば最高です。

赤色: 新録もの

紺色: 再発もの




ベスト・ライブ
SOLOMON BURKE
(Japan Blues & Soul Carnival;東京/日比谷野外音楽堂)
王様の声が聞こえた途端、人知れず泣けてきた。深い。でかい。愛とはこのことだ。これぞブラック・ミュージックの声の力。もう一度、逢いたかった。

次点:ジェフ&エイモス(クアトロ)





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