ブルース銀座: 2010年ベスト・アルバム10選: スカンクちかの



2010年ベスト・アルバム10選
スカンクちかの
http://homepage1.nifty.com/bluesknk/


Dumpstaphunk


Galactic


Honey Island Swamp Band


Carolina Chocolate Drops

 2009年に引き続き、週末は自分のライヴに明け暮れていたために、あんまりゆっくり音楽を聴く時間がありませんでした。よってアメリカ直送の ニューオーリンズものがどうしても多くなってしまいました。ブルースの現在形がどうなるかは気になるところですが、それよりガツンと来る音にどう しても耳が行きます。それに特に日本のメジャーなメディアが垂れ流す音楽のあまりのつまらなさにもあきれています。そんな思いの中、お気に入りか ら10枚選んでみました。
  1. DUMPSTAPHUNK / Everybody Want Sum (Dumpstaphunk, no number)
     これは来ましたね。アイヴァン・ネヴィルにイアン・ネヴィルが参加する超弩級のファンク・バンドです。前作よりもさらに重心が下がり、しかも ヴォーカルやコーラスも心地良く、今後の活躍とか来日とかを期待しちゃいます。

  2. MAVIS STAPLES / You Are Not Alone (Anti/Epic EICP-1400)
     年の最後にいいアルバムに出会いました。リック・ホルストロムがローバックを意識したようなギターでサポートし、往年の声ではなくなった分を暖 かみに変えて歌ってます。C.C.R.の「すべての人に歌を」のストレートなカヴァーが個人的には感激しました。

  3. LEON CHAVIS & THE ZYDECO FLAMES / Zydeco Soulchild (Leon Chavis, no number)
     2010年のザディコではこれが一押しです。新しい流れを吸収しながらも、伝統の技をきちんと踏まえ、センスの良いリフやメロディでポップさを 出してます。録音も丁寧でキーボードでの味付けなども嫌味がなく秀逸です。

  4. GALACTIC / Ya-Ka-May (P&C Galactic Funk / P-Vine PCDT-5)
     化け物ですね。すごいゲスト陣なんですが、全部ギャラクティックの方に持ってっちゃってます。ヒップホップやクラブ・サウンドに大きく重心を移 しながらも、本来のジャム・バンド的アプローチを見失っていないのはさすが。スタントン・ムーアのドラムもさすが。

  5. TROMBONE SHORTY / Backatown (Verve Forecast UCCB-1036)
     メジャーデビューのようですが、それに媚びないいい作品になっています。ルーツに当たるジャズ、フォンク、セカンドラインやブラスバンドのサウ ンドをしっかり生かしながら、ヒップホップやクラブサウンドもたくみに取り込んでいます。本人も参加しているアラン・トゥーサンの"On Your Way Down"の格好良さったら!

  6. SOLOMON BURKE / Nothing's Impossible (E1 Entertainment EIE-CD-2086)
     なんとふたりの追悼盤になってしまいましたね。生を見逃したのが悔やまれます。ソロモン大王という最高の素材をウィリー・ミッチェルに料理させると、そりゃ素晴らしいものになりますね。スローの良さはもちろん、ミディアムの美しさは言葉を失うほどです。

  7. HONEY ISLAND SWAMP BAND - Good to You (Threadhead, no number)
     来日したこともあるクリス・ミューレのバンドなんで注目してきましたが、ぐっと黒っぽくなりました。ジミー・カーペンターのホーン・アレンジが いい仕事しています。エリック・リンデル、マーク・アダムズも参加して、カントリー・テイストを残したスワンピーだけど黒さのあるロックを展開し てます

  8. CAROLINA CHOCOLATE DROPS / Genuine Negro Jig (Nonesuch 7559-79839-8)
     若手黒人男女3人組が、戦前のルーラルなストリングやバンジョーなどを用いたブラック・ミュージックを取り上げています。40年くらい前ならそれこそウッドストック一派のやりそうなことを、黒人たちが、伝統の継承というよりは、再発見と再構成といった姿勢で取り上げているという事実が、時代の変化とこれからの可能性を感じさせます。

  9. THE ROBERT CRAY BAND / Cookin' In Mobile (Vanguard 78073-2)
     一昨年の来日も評判が良かったですが、その延長にある好ライヴだと思います。リチャード・カズンズが戻ったことがクレイを原点回帰させたのかもしれません。どこを切ってもまごうことのないクレイのギターと歌。迷いのないサウンドが本当に心地良いです。

  10. VARIOUS ARTISTS / Treme - Music From The HBO Original Series, Season 1 (Geffen/HBO B0014910-02)
     ニューオーリンズ音楽のショーケースのような音源です。ドクター・ジョン、リバース・ブラスバンド、カーミット・ラフィンズ、トロンボーン・ショーティ、ジョン・ブッテ、アーマ・トーマスと名前を挙げるだけで切りのない出演者たちが、ビッグ・イージーに対する愛情を込めた演奏を繰り広げています。

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赤色: 新録もの

紺色: 再発もの




ベスト・ライブ
SAPPORO FUNK ORGANIZATION
(東京新橋ZZ, Nov. 21)

 とにかくライヴをほとんど見ていませんが、これが一押しです。「日経おとなのバンド大賞」のグランプリを取った札幌のファンクバンドの、まさに本大会で優勝を勝ち取ったその日の夜の凱旋ライヴです。素晴らしいテンションで、狭い店内がグルーヴで渦巻きました。テレビやFMで流れる日本の 音楽がすべてクソに聞こえるくらいでした。





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