2013/12/23

ジョン・リー・フッカーの来日公演(1984年)  ブルース

古い思い出話ですみません。

思えば、ブルースに興味を持ってから、色々ライブを見に行きましたが、やはり初めて見たコンサートのインパクトを超えるものはそうないような気がします。

僕が初めて見たブルースのライブは、ジョン・リー・フッカー。1984年の夏、高校3年のときでした。高校に入った頃からブルースにずぶずぶとはまっていたのですが、生で見るジョン・リーの存在感に圧倒され、ますますブルース街道まっしぐらになりました。僕にとっては今振り返っても原点とも言えるショーでした。

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来日公演のチケット。コピー用紙くらい薄っぺらい紙で、半券のミシン目も
入っていなかったので、入口ではハサミで半券を切っていました(笑)。

彼が来日することを知ったのは偶然と言えば偶然でした。地元の書店で、「ブラック・ミュージック・リヴュー(bmr)」なる雑誌を見つけ、そこにジョン・リーの来日公演の告知が出ていたのでした。当時のbmrは、ミニコミ誌のように薄っぺらいのに500円もして、高校生には痛い出費でしたが、そこであの雑誌に飛びつかなければ、あのライブを経験することもなかったと思えば安い買い物だったのかも知れません。

ジョン・リー・フッカーのような大御所が来日するのなら是非見たいと、喜び勇んで主催のブルース・インターアクションズに電話をし、券を購入しました。とは言え、当時はたいして彼について知識があった訳でもなく、不謹慎ながら「まだ生きていたのか」なんて思った様な記憶があります。古いレコード・ジャケットの印象から、勝手に遥か昔の人と思い込んでいたのでした。「期待の若手」ロバート・クレイが前座に決まっていましたが、彼については全く知りませんでした。

そのクレイもよかったのですが、バックが自分のバンドではなかったこともあり、後に花開いてから見せたようなインパクトはなく、それだけにジョン・リーの存在感が一層際立ったのでした。

バンドメンバーの「It's time to boogie」とのMCで登場したジョン・リーはギターを抱えて椅子に座ると、開放弦で軽くデロリロリーンとギターを鳴らし、マイクに向かって唸りました。何の曲かは判らなかったけど、まぁそんなことはどうでもよかったんですね。本当にそのシンプルな数秒の音だけで、ジョン・リー節としか言いようのない独特な音をしていました。渋いけどノリノリでまさにtime to boogieでした。

ライブの前半に"Boom Boom"や"Serves Me Right To Suffer"など有名どころをもったいぶることもなく繰り出し、会場は大盛り上がり。このときの観客にも、僕は軽く衝撃を受けたんです。ウドーやキョードーがやるようなロック・コンサートの客と比べて、異様にノリがいい。藤田正さんがコンサート評で「アホ踊りのバカ騒ぎ」と酷評されていましたが、いやいや、僕はそれまで見ていたコンサートの客がお行儀よすぎると感じていたので、これくらいがちょうどいいと思いましたよ。素直に音に反応して心底楽しんでいる感じでした。思えばブルースカーニバルなんかも初期の頃は、すごく客のノリがよかった気がします。あの人達は今はどこへ行ってしまったのでしょうか?

会場では、手作り感いっぱいの「I'm Jealous」と書かれたジョン・リーのカセットが売られていてそれを買って帰りました。自主制作の新作で、リリースしてくれるレコード会社を探していたようです。結局それが正式にリリースになったのは2年後のことでした。

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これがそのカセット。
後にリリースされたLPはI'mが取れて「Jealous」というタイトルでした

ジョン・リーが来日したのは、結局このとき一回だけでしたが、幸い僕は、その後アメリカで彼のライブをあと何回か見る機会がありました。しかし、内容は殆ど変わらなかったです。でも何度でも見たくなるんです。行ってみれば老舗のラーメン屋さんのような感覚でしょうか。上手い下手とかそういう次元ではない存在感なんですよね。とにかくクセになるのです。

やっていることは極めてシンプル。だって、彼がギターを弾いている限り、キーは全部Eなんです。レギュラー・チューニングで開放弦を使えて楽ちんだからでしょう。初期のレコーディングではオープン・チューニングも多用していますが、ライブではそういう小技を見せることもない。色々見せてくれればいいのにと思っちゃうのは、小物的発想なのかも知れないですね。

ジョン・リーももう故人となってしまいましたが、あのとき遥々日本まで来てくれて本当に感謝、感激でした。そして、あのとき出会ったbmr誌に自分がライターとして書く日が来るとは思っても見ませんでした。

ジョン・リーの来日から約30年。bmrは休刊になってしまいましたが、当時のbmrの精神はブルース&ソウル・レコーズ誌がしっかりと引き継いでいます。余談ですが。
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