2013/12/30
2013年アルバム・ベスト10 ブルース
今年も残すところあと2日。今年僕が聴いたアルバムのベスト10、順不同です。ストレートなブルースものが少ないのが淋しいですが、いい作品は少なくなかったです。ブルースで言えば、W.C.カラスの作品で出会えたことが一つの大きな出来事でした。2013年にこの音かぁ!とぐぐぐと来ました。
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陶守正寛の2013年アルバム・ベスト10
◆JESSE DEE / On My Mind / In My Heart (Alligator ALCD 4952)
アリゲータからの1枚目を出したジェシー・ディー。初めて聞く人でしたが、いっぱつではまりました。1980年生まれのブルー・アイド・ソウル・シンガーです。外見からは想像もできないほどソウルフルで軽快なサウンドが気持ちのよいこと。サム・クックの再来かと思ったほど。このアルバムの前に1枚「Bittersweet Batch」(2009年)という作品があり、こちらもなかなか秀作です。
◆BEN HARPER & CHARLIE MUSSELWHITE / Get Up! (Stax STX-33874-02)
基本はベン・ハーパーの作品にチャーリーがゲスト参加した形ですが、この2人相性がよいと思います。アルバムに先行してリリースされた"I Don't Believe A Word You Say”がかなりハードなロックだったので、そんなノリなのかと思いきや、渋くブルージーなところもあって楽しめました。
◆TIN MEN / Avocado Woo Woo (Threadhead Records, no number)
この人たち、本当に久々の作品です。あちこちで何度も言ってますが、こんなに個性的で楽しいバンドもそういないと思います。3作目の作品ですが、過去2作にひけは取りません。ニューオーリンズのバンドですが、ニューオーリンズでも他にこんなバンドはいないと思います。ただ最高です。
◆SUNPIE & THE LOUISIANA SUNSPOTS / Island Man (BFR Records 010106)
サンパイも実に久しぶりの作品です。この人は、ザディコから出発して、ワールド的な展開を見せてきましたが、この作品は今までの彼の歩みの集大成的な力作だと思います。ブルース、カリブ、アフロ、ザディコ、渾然一体となってサンパイ・サウンドを織りなしています。
◆DAVID EGAN / David Egan (Rhonda Sue Records RSR003)
ルイジアナのラファイエットを拠点とするキーボード・プレイヤー、デイヴィッド・イーガン。ブルース畑の人という感じではありませんが、かなりブルージーです。渋いですが、味わい深い。この人って本当にいい曲を書くんですよね。
◆W.C.カラス / W.C.カラス (Pヴァイン PCD--21026)
冒頭に言いましたとおり、この人と出会えたことは今年の大きな収穫でした。スキップ・ジェイムズやミシシッピ・ジョン・ハートなどの戦前のブルースマンが現代日本に生まれていたらこんな音になったのだろうなぁと思うと、妙に腑に落ちます。ライヴを見ても思ったのは、この人は自然体でブルースマンなんです。独特のオーラを持っているのが素晴らしいと思いました。
◆AARON NEVILLE / My True Story (Blue Note 623489)
ネヴィル・ブラザーズからアーロンが抜けてしまったのは残念でしたが、このアルバムはとても愛聴しました。アーロンが若い頃に聴いていたドゥーワップやロックンロール、こういう音楽に彼は特別な愛着があるんでしょうね。原点回帰とも言える作品です。自然体な感じで、アーロンの楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
◆LOS LOBOS / Disconnected In New York City (429 Records FTN17956)
ロスロボスのライブ盤と言えば2005年のフィルモア・ライヴ、そして昨年にはKikoをライヴで全曲演奏したものが出ていますが、これは全てアコースティックで通した企画もの。これが想像以上によかったんですよね。普段エレキでやっている曲も違和感なく聴けたのは、スティーヴ・バーリンのサックスの活躍が大きいように思います。アコースティックでも、さほど原曲のイメージを壊すことなく、生音ギターが気持ちよく響きます。僕は、米国アマゾン仕様の2 CD+1 DVDという通常盤より曲目が多いものを入手。CD 2の"Bertha"、"Don't Worry Baby"あたりが最高でした。彼らの曲では最もハードなエレキサウンドだった"Mas Y Mas"までアコースティックでやっているのが面白かった。
◆PRESERVATION HALL JAZZ BAND / That's It! (Legacy 88883715212)
伝統的なニューオーリンズ・ジャズを保存・継承するために結成されたプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドですが、結成から50年を経て、初めてとなる全曲オリジナル曲で構成された新作です。トラディショナルな雰囲気は残しつつも、新たな音を作り出していく意欲に溢れています。
ALLEN TOUSSAINT / Songbook (Rounder/Universal 0011661915428)
シンプルな弾き語りによるライヴ盤ですが、そのシンプルさが、逆にトゥーサンの音楽の暖かみ、楽曲の素晴らしさを際立たせていると思います。お馴染みの曲が中心ではありますが、新曲も何曲があって、中でもニューオーリンズの名物サンドイッチを歌った"Shrimp Po-Boy, Dressed"がいい曲だなぁと思いました。エビのポーボーイ・サンドとよく冷えたビール、食欲をそそるコンビネーションです。
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以上、新録の新譜から選んでみました。発掘音源では、マジック・サムの「Live At The Avant-Garde」は驚きましたね。こんな録音がこれまで未発表のまま残っていたとは。サムのライヴと言えば「Magic Sam Live」がかなり音が悪いので、この音源の音の良さにまずびっくりしました。ベースのチューニングがかなり外れているのが残念ですが、不思議なことにそれほど気にならないんですよね。きっと、サムの演奏がいいのと、ベースもリズムが前のめりでいいグルーヴを生み出しているからだと思います。あとは、ザ・バンドの「Rock of Ages」完全版も聴き応えありました。
シュギー・オーティスの「Wings Of Love」は、彼の70年代から今日までの空白期間を埋めてくれる壮大な内容に目から鱗。そして、今年の来日公演。この人を日本で見る日が来るとは思いませんでした。もうプレイしていなかったのかと思いきや、ずっと音楽を作り続けていたという事実に驚き、感動しました。
来年もいい音楽に沢山出会えますように。
皆さん、よいお年を!
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陶守正寛の2013年アルバム・ベスト10
◆JESSE DEE / On My Mind / In My Heart (Alligator ALCD 4952)
アリゲータからの1枚目を出したジェシー・ディー。初めて聞く人でしたが、いっぱつではまりました。1980年生まれのブルー・アイド・ソウル・シンガーです。外見からは想像もできないほどソウルフルで軽快なサウンドが気持ちのよいこと。サム・クックの再来かと思ったほど。このアルバムの前に1枚「Bittersweet Batch」(2009年)という作品があり、こちらもなかなか秀作です。
◆BEN HARPER & CHARLIE MUSSELWHITE / Get Up! (Stax STX-33874-02)
基本はベン・ハーパーの作品にチャーリーがゲスト参加した形ですが、この2人相性がよいと思います。アルバムに先行してリリースされた"I Don't Believe A Word You Say”がかなりハードなロックだったので、そんなノリなのかと思いきや、渋くブルージーなところもあって楽しめました。
◆TIN MEN / Avocado Woo Woo (Threadhead Records, no number)
この人たち、本当に久々の作品です。あちこちで何度も言ってますが、こんなに個性的で楽しいバンドもそういないと思います。3作目の作品ですが、過去2作にひけは取りません。ニューオーリンズのバンドですが、ニューオーリンズでも他にこんなバンドはいないと思います。ただ最高です。
◆SUNPIE & THE LOUISIANA SUNSPOTS / Island Man (BFR Records 010106)
サンパイも実に久しぶりの作品です。この人は、ザディコから出発して、ワールド的な展開を見せてきましたが、この作品は今までの彼の歩みの集大成的な力作だと思います。ブルース、カリブ、アフロ、ザディコ、渾然一体となってサンパイ・サウンドを織りなしています。
◆DAVID EGAN / David Egan (Rhonda Sue Records RSR003)
ルイジアナのラファイエットを拠点とするキーボード・プレイヤー、デイヴィッド・イーガン。ブルース畑の人という感じではありませんが、かなりブルージーです。渋いですが、味わい深い。この人って本当にいい曲を書くんですよね。
◆W.C.カラス / W.C.カラス (Pヴァイン PCD--21026)
冒頭に言いましたとおり、この人と出会えたことは今年の大きな収穫でした。スキップ・ジェイムズやミシシッピ・ジョン・ハートなどの戦前のブルースマンが現代日本に生まれていたらこんな音になったのだろうなぁと思うと、妙に腑に落ちます。ライヴを見ても思ったのは、この人は自然体でブルースマンなんです。独特のオーラを持っているのが素晴らしいと思いました。
◆AARON NEVILLE / My True Story (Blue Note 623489)
ネヴィル・ブラザーズからアーロンが抜けてしまったのは残念でしたが、このアルバムはとても愛聴しました。アーロンが若い頃に聴いていたドゥーワップやロックンロール、こういう音楽に彼は特別な愛着があるんでしょうね。原点回帰とも言える作品です。自然体な感じで、アーロンの楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
◆LOS LOBOS / Disconnected In New York City (429 Records FTN17956)
ロスロボスのライブ盤と言えば2005年のフィルモア・ライヴ、そして昨年にはKikoをライヴで全曲演奏したものが出ていますが、これは全てアコースティックで通した企画もの。これが想像以上によかったんですよね。普段エレキでやっている曲も違和感なく聴けたのは、スティーヴ・バーリンのサックスの活躍が大きいように思います。アコースティックでも、さほど原曲のイメージを壊すことなく、生音ギターが気持ちよく響きます。僕は、米国アマゾン仕様の2 CD+1 DVDという通常盤より曲目が多いものを入手。CD 2の"Bertha"、"Don't Worry Baby"あたりが最高でした。彼らの曲では最もハードなエレキサウンドだった"Mas Y Mas"までアコースティックでやっているのが面白かった。
◆PRESERVATION HALL JAZZ BAND / That's It! (Legacy 88883715212)
伝統的なニューオーリンズ・ジャズを保存・継承するために結成されたプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドですが、結成から50年を経て、初めてとなる全曲オリジナル曲で構成された新作です。トラディショナルな雰囲気は残しつつも、新たな音を作り出していく意欲に溢れています。
ALLEN TOUSSAINT / Songbook (Rounder/Universal 0011661915428)
シンプルな弾き語りによるライヴ盤ですが、そのシンプルさが、逆にトゥーサンの音楽の暖かみ、楽曲の素晴らしさを際立たせていると思います。お馴染みの曲が中心ではありますが、新曲も何曲があって、中でもニューオーリンズの名物サンドイッチを歌った"Shrimp Po-Boy, Dressed"がいい曲だなぁと思いました。エビのポーボーイ・サンドとよく冷えたビール、食欲をそそるコンビネーションです。
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以上、新録の新譜から選んでみました。発掘音源では、マジック・サムの「Live At The Avant-Garde」は驚きましたね。こんな録音がこれまで未発表のまま残っていたとは。サムのライヴと言えば「Magic Sam Live」がかなり音が悪いので、この音源の音の良さにまずびっくりしました。ベースのチューニングがかなり外れているのが残念ですが、不思議なことにそれほど気にならないんですよね。きっと、サムの演奏がいいのと、ベースもリズムが前のめりでいいグルーヴを生み出しているからだと思います。あとは、ザ・バンドの「Rock of Ages」完全版も聴き応えありました。
シュギー・オーティスの「Wings Of Love」は、彼の70年代から今日までの空白期間を埋めてくれる壮大な内容に目から鱗。そして、今年の来日公演。この人を日本で見る日が来るとは思いませんでした。もうプレイしていなかったのかと思いきや、ずっと音楽を作り続けていたという事実に驚き、感動しました。
来年もいい音楽に沢山出会えますように。
皆さん、よいお年を!
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