2014/11/20

訃報: Finis Tasby、Johnny Dyer  ブルース

ロサンゼルスを拠点に活動するベテラン・ブルースマン2人の訃報が相次いで届きました。ファイニス・タスビー(Finis Tasby)とジョニー・ダイアー(Johnny Dyer)です。両者は共に、2004年以降、マニッシュ・ボーイズというブルース・セッション・バンドのメンバーとしても活躍していました。

FINIS TASBY
クリックすると元のサイズで表示します
(c)Photo by Masahiro Sumori
ファイニス・タスビーは、軽快なジャンプ系からドロリと濃いロウダウンなブルースまで歌いこなせる、いぶし銀の声を持ったヴォーカリスト。2012年12月、脳梗塞で倒れ闘病生活が続いていました。ファンやミュージシャンたちによってベネフィット・コンサートが行われたり、2013年には、彼がギタリストのキッド・アンダーセンとレコーディングしていた音源のCDがリリースされたりと、彼を支えるための動きがその間ありましたが、残念ながら再びステージに立つことは叶いませんでした。

1940年ダラスに生まれ、当初はブルース・ブラスターズというバンドでドラマーとして活躍。その後ベースに転向し、1962年にサンダーバーズを結成。Z.Z.ヒルやフレディ・キングらのバック・バンドを務めました。1973年にロサンゼルスに移住。1970年代にシングルを何枚か発表(編集盤CD「Shattered Dreams - Funky Blues 1967-1978」で2曲を聴くことができます)しました。1985年にはエイスより初のアルバム「Blues Mechanic」をリリースしています。

1995年には、ローウェル・フルソン、エルヴィン・ビショップらをゲストに迎えたアルバム「People Don’t Care」をリリースし注目を集め、2004年にはマニッシュ・ボーイズのデビュー作「That Represent Man」にメイン・ヴォーカリストとして参加。以後、このバンドのメンバーとしての公演も多くこなしています。

最後の作品となったのが、2011年にキッド・アンダーセンと録音した「Snap! Your Fingers」で、彼が倒れた後の2013年にリリースされました。このCDの収益は、彼の医療費当てられました。最後の作品とは言っても、倒れる前の元気な歌声が収録されており、この僅か3年後に亡くなってしまうことを思わせる内容ではありません。74歳で天に召されたファイニス。とても味わい深い歌い手でした。

FINIS TASBY DISCOGRAPHY
1985年「Blues Mechanic」(Ace 122)
1995年「People Don’t Care」(Shanachie 9007)
1998年 「Jump, Children!」(Evidence Music ECD 26097-2)
2002年「BLUES - A Tribute To John Lee Hooker」(Kon Kord KON-6617)
2005年「What My Blues Are All About」(Electro-Fi 3390)
2013年「Snap! Your Fingers」(with Kid Andersen, recorded in 2011) (Bluebeat Music BM104)


・ビデオクリップ
"America" - Finis Tasby
http://www.youtube.com/watch?v=_jf7s9Tkpys

---

JOHNNY DYER
クリックすると元のサイズで表示します
(c)Photo by Masahiro Sumori
一方、ハーモニカ奏者/シンガーのジョニー・ダイアーは、マディ・ウォーターズと同じ、ミシシッピ州ローリングフォークの出身。11月11日か12日頃亡くなった様です。公式な発表はありませんが、彼と親交のある複数のミュージシャンが彼が亡くなったことを確認しており、間違いはないものと思われます。僕のLAの友人にもジョニーと付き合いのあった人がいたので聞いてみたら、確かな情報だとの返事が来ました。ジョニーは自らの病状について注目されるのを好まなかったため、静かに亡くなったのも彼らしいとのことでした。

1938年12月7日の生まれなので75歳でした。リック・ホームストロムとの共演作で見せた抜群のスウィング感はまさにウェストコースト・サウンドの真髄。重厚感を持ったタイプではないですが、歌声もハーモニカもしなやかな躍動感にあふれています。

幼少期をミシシッピで過ごしたジョニーは1958年にLAに移住し、ジョージ・スミスと活動するようになりました。その後、1960年代には音楽から一度は引退していましたが、1970年代にシェイキー・ジェイクと演奏活動をするようになり、1983年にはマレー・ブラザーズからデビューLP「Johnny Dyer And The L.A. Jukes」をリリース。(後にブラインド・ピッグよりCD化)

1990年代には、ロッド・ピアッツァやメイヴィス・ステイプルズとの共演で知られるギタリスト、リック・ホームストロムと組んだアルバム2枚をリリースしました。2004年の「Rolling Fork Revisited」はマディ・ウォーターズ・ソングブック。あえてハーモニカ奏者のマーク・ハメルと組み、自らはヴォーカルに専念する形で往年のマディ・ウォーターズ・バンドの勢いを再現した好盤となりました。同年、ファイニスも参加したマニッシュ・ボーイズのデビュー作にゲスト参加しています。

近年は活動状況があまり伝わってこなったのですが、体調が良くなかったようです。

JOHNNY DYER DISCOGRAPHY
1983年「Johnny Dyer And The L.A. Jukes」(Murray Brothers MB 1004)
1994年「Listen Up」(featuring Rick Holmstrom) (Black Top BT 1101)
1995年「Shake It!」(featuring Rick Holmstrom) (Black Top BT 1114)
2003年「Hard Times Won」(with Barry Levenson) (Storyville 8107)
2004年「Rolling Fork Revisited」(with Mark Hummel) (Mountain Top MTPCD-201)


・ビデオクリップ
Johnny Dyer And The L.A. Jukes (1983) ※デビュー・アルバム
http://www.youtube.com/watch?v=4WKsn1sTCP4

得がたい味を持った2人が亡くなり、LAのブルース・シーンも淋しくなります。決して大物という訳ではありませんが、彼らの残した作品の数々を聴いてもらえれば、その魅力がわかるでしょう。ご冥福をお祈りします。

LAではないですが、最近ヒューストンのブルースマン、リトル・ジョー・ワシントンの訃報も入って来ました。彼については別途書きたいと思います。
1
inserted by FC2 system "; var ifrd = ifr.contentWindow.document; ifrd.open(); ifrd.write(htmlcode); ifrd.close(); } } var CriteoAdUnits = { "placements": [{ "slotid": criteoSlotId, "zoneid": criteoZoneId }]}; window.Criteo = window.Criteo || {}; window.Criteo.events = window.Criteo.events || []; var processCdbBid = function() { var bids = Criteo.GetBidsForAdUnit(criteoSlotId); if (bids.length > 0) { var bidFound = bids[0]; Criteo.RenderAd({ bidId: bidFound.id, containerId: bidFound.impressionId }); } else { passback(); } }; Criteo.events.push(function() { Criteo.RequestBids(CriteoAdUnits, processCdbBid, 2000);}); }();



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ

inserted by FC2 system "; var ifrd = ifr.contentWindow.document; ifrd.open(); ifrd.write(htmlcode); ifrd.close(); } } var CriteoAdUnits = { "placements": [{ "slotid": criteoSlotId, "zoneid": criteoZoneId }]}; window.Criteo = window.Criteo || {}; window.Criteo.events = window.Criteo.events || []; var processCdbBid = function() { var bids = Criteo.GetBidsForAdUnit(criteoSlotId); if (bids.length > 0) { var bidFound = bids[0]; Criteo.RenderAd({ bidId: bidFound.id, containerId: bidFound.impressionId }); } else { passback(); } }; Criteo.events.push(function() { Criteo.RequestBids(CriteoAdUnits, processCdbBid, 2000);}); }();


teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ
inserted by FC2 system