2013/12/31

2013年に見たライヴ  音楽全般

僕が今年見たライブです。数えたら45本見ていました。

この中で、ベストを選ぶのは非常に難しいですが、間違いなく最高だったのはベティ・ラヴェットでした。あれほど鬼気迫る緊迫感を持った歌はそう聴けるものではないと思いました。やっと実現した東京での単独公演に感慨もひとしおでした。すごい!と思わせたのはアラバマ・シェイクスもそうでした。初めて聴いたときからただならぬ存在感を感じましたが、生は更にインパクトがありました。今後が益々楽しみです。

27年ぶりの来日を果たしたクラレンス・カーターが思いのほか元気だったのも嬉しかったですねぇ。もうヨボヨボなのでは?それでも見たいと覚悟を決めて見に行ったのに、いい意味で肩すかしでした。久しぶりの来日ということではディッキー・ベッツ、アルバート・リーも来てくれただけで嬉しかった。両者ともいいライブを展開してくれたし。

Dec. 17 憂歌団 / 赤坂BLITZ (19:30)
Dec. 15 Eli "Paperboy" Reed x The Bawdies / 新木場STUDIO COAST (18:00)
Nov. 30 W.C.カラス / 三鷹Bayou Gate (20:00)
Nov. 22 Magic Dick with Tommy Castro & the Painkillers / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:30)
Nov. 16 to SIR DOUG, with LOVE / 三鷹Bayou Gate (19:00)
Nov. 12 Clarence Carter / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:30)
Nov. 5 Primal Scream with [Champagne] / 新木場STUDIO COAST (19:00)
Oct. 23 Allen Toussaint / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:30)
Oct. 14 Jon Cleary / 青山CAY (18:30)
Oct. 12 Jon Cleary Lecture Concert / 東京ウィメンズプラザ (18:30)
Oct. 10 Ana Popovic / Cotton Club Tokyo, 2nd show (21:00)
Oct. 6 Gatemania 2013 / 元住吉Powers2 (19:00)
Oct. 6 吾妻光吉&ミニバッパーズ / 渋谷タワーレコード (17:00)
Oct. 5 Richie Furay / Billboard Live Tokyo, 2nd Show (21:00)
Sep. 30 Dr. John / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:30)
Sep. 28 Jon Cleary / 浅草HUB 2nd show (21:30)
Sept. 22 Squeezebox Night Vol. 7 / 目黒Little Texas (19:00)
Aug. 24 夢野カブpresents W.C.カラス他 / 吉祥寺 BLACK and BLUE (19:30)
Aug. 9 Ben Sidran & Georgie Fame / Cotton Club Tokyo, 1st show (18:30)
Jul. 20 Japan Blues Festival / 青森市・安潟特設ステージ
Jul. 19 Japan Blues Festival / 青森市・安潟特設ステージ
Jul. 6 Go-Ahead with Gregory Boyd / 高円寺JIROKICHI (19:30)
Jun. 28 Dickey Betts & Great Southern / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:30)
Jun. 22 MTV VMAJ 2013 / 幕張メッセ・幕張イベントホール (18:00)
May 29 Irma Thomas / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:30)
May 25 Bettye Lavette / Billboard Live Tokyo, 2nd show (21:00)
May 24 Shun Kikuta & Legend of Rockers / 渋谷マウントレーニアホールPleasure Pleasure (19:00)
May 20 Jon Cleary Trio / 渋谷クラブクアトロ (19:00)
May 18 吾妻光良トリオ / 田無神社 (15:00)
May 13 Robben Ford / Cotton Club Tokyo, 1st show (18:30)
May 11 新宿春の楽しいジャズまつり2013 / 新宿文化センター (11:00)
Apr. 13 横浜ジャグバンドフェスティバル / Thumbs Up他
Apr. 12 Jim Kweskin Jug Band / 日本橋三井ホール (19:00)
Apr. 5 Nacomi & 高橋マコト / 三軒茶屋OHANA
Apr. 1 Steve Fobert / 渋谷クラブクアトロ (19:00)
Mar. 31 Shuggie Otis / Billboard Live Tokyo, 2nd show (19:30)
Mar. 31 Steve Fobert / 渋谷タワーレコード (15:00)
Mar. 23 一ヶ月遅れのマルディグラMIX / 渋谷7th Floor / 渋谷7th Floor (12:00)
Mar. 2 Don Nix & Lonnie Knight / 関交協ハーモニックホール (18:30)
Mar. 1 James Cotton / Cotton Club Tokyo, 2nd show (21:00)
Feb. 24 Les Dudek / 下北沢GARDEN (18:00)
Feb. 14 Charlie Hunter & Scott Amendola / 六本木Superdeluxe (19:00)
Jan. 31 Alabama Shakes / 恵比寿Liquid Room (19:30)
Jan. 27 バイユーゲイト7周年 / 吉祥寺プラネットK (17:00)
Jan. 11 Albert Lee / Cotton Club Tokyo, 2nd Show (21:00)
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2013/12/30

2013年アルバム・ベスト10  ブルース

今年も残すところあと2日。今年僕が聴いたアルバムのベスト10、順不同です。ストレートなブルースものが少ないのが淋しいですが、いい作品は少なくなかったです。ブルースで言えば、W.C.カラスの作品で出会えたことが一つの大きな出来事でした。2013年にこの音かぁ!とぐぐぐと来ました。

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陶守正寛の2013年アルバム・ベスト10
◆JESSE DEE / On My Mind / In My Heart (Alligator ALCD 4952)
アリゲータからの1枚目を出したジェシー・ディー。初めて聞く人でしたが、いっぱつではまりました。1980年生まれのブルー・アイド・ソウル・シンガーです。外見からは想像もできないほどソウルフルで軽快なサウンドが気持ちのよいこと。サム・クックの再来かと思ったほど。このアルバムの前に1枚「Bittersweet Batch」(2009年)という作品があり、こちらもなかなか秀作です。

◆BEN HARPER & CHARLIE MUSSELWHITE / Get Up! (Stax STX-33874-02)
基本はベン・ハーパーの作品にチャーリーがゲスト参加した形ですが、この2人相性がよいと思います。アルバムに先行してリリースされた"I Don't Believe A Word You Say”がかなりハードなロックだったので、そんなノリなのかと思いきや、渋くブルージーなところもあって楽しめました。

◆TIN MEN / Avocado Woo Woo (Threadhead Records, no number)
この人たち、本当に久々の作品です。あちこちで何度も言ってますが、こんなに個性的で楽しいバンドもそういないと思います。3作目の作品ですが、過去2作にひけは取りません。ニューオーリンズのバンドですが、ニューオーリンズでも他にこんなバンドはいないと思います。ただ最高です。

◆SUNPIE & THE LOUISIANA SUNSPOTS / Island Man (BFR Records 010106)
サンパイも実に久しぶりの作品です。この人は、ザディコから出発して、ワールド的な展開を見せてきましたが、この作品は今までの彼の歩みの集大成的な力作だと思います。ブルース、カリブ、アフロ、ザディコ、渾然一体となってサンパイ・サウンドを織りなしています。

◆DAVID EGAN / David Egan (Rhonda Sue Records RSR003)
ルイジアナのラファイエットを拠点とするキーボード・プレイヤー、デイヴィッド・イーガン。ブルース畑の人という感じではありませんが、かなりブルージーです。渋いですが、味わい深い。この人って本当にいい曲を書くんですよね。

◆W.C.カラス / W.C.カラス (Pヴァイン PCD--21026)
冒頭に言いましたとおり、この人と出会えたことは今年の大きな収穫でした。スキップ・ジェイムズやミシシッピ・ジョン・ハートなどの戦前のブルースマンが現代日本に生まれていたらこんな音になったのだろうなぁと思うと、妙に腑に落ちます。ライヴを見ても思ったのは、この人は自然体でブルースマンなんです。独特のオーラを持っているのが素晴らしいと思いました。

◆AARON NEVILLE / My True Story (Blue Note 623489)
ネヴィル・ブラザーズからアーロンが抜けてしまったのは残念でしたが、このアルバムはとても愛聴しました。アーロンが若い頃に聴いていたドゥーワップやロックンロール、こういう音楽に彼は特別な愛着があるんでしょうね。原点回帰とも言える作品です。自然体な感じで、アーロンの楽しそうな雰囲気が伝わってきます。

◆LOS LOBOS / Disconnected In New York City (429 Records FTN17956)
ロスロボスのライブ盤と言えば2005年のフィルモア・ライヴ、そして昨年にはKikoをライヴで全曲演奏したものが出ていますが、これは全てアコースティックで通した企画もの。これが想像以上によかったんですよね。普段エレキでやっている曲も違和感なく聴けたのは、スティーヴ・バーリンのサックスの活躍が大きいように思います。アコースティックでも、さほど原曲のイメージを壊すことなく、生音ギターが気持ちよく響きます。僕は、米国アマゾン仕様の2 CD+1 DVDという通常盤より曲目が多いものを入手。CD 2の"Bertha"、"Don't Worry Baby"あたりが最高でした。彼らの曲では最もハードなエレキサウンドだった"Mas Y Mas"までアコースティックでやっているのが面白かった。

◆PRESERVATION HALL JAZZ BAND / That's It! (Legacy 88883715212)
伝統的なニューオーリンズ・ジャズを保存・継承するために結成されたプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドですが、結成から50年を経て、初めてとなる全曲オリジナル曲で構成された新作です。トラディショナルな雰囲気は残しつつも、新たな音を作り出していく意欲に溢れています。

ALLEN TOUSSAINT / Songbook (Rounder/Universal 0011661915428)
シンプルな弾き語りによるライヴ盤ですが、そのシンプルさが、逆にトゥーサンの音楽の暖かみ、楽曲の素晴らしさを際立たせていると思います。お馴染みの曲が中心ではありますが、新曲も何曲があって、中でもニューオーリンズの名物サンドイッチを歌った"Shrimp Po-Boy, Dressed"がいい曲だなぁと思いました。エビのポーボーイ・サンドとよく冷えたビール、食欲をそそるコンビネーションです。

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以上、新録の新譜から選んでみました。発掘音源では、マジック・サムの「Live At The Avant-Garde」は驚きましたね。こんな録音がこれまで未発表のまま残っていたとは。サムのライヴと言えば「Magic Sam Live」がかなり音が悪いので、この音源の音の良さにまずびっくりしました。ベースのチューニングがかなり外れているのが残念ですが、不思議なことにそれほど気にならないんですよね。きっと、サムの演奏がいいのと、ベースもリズムが前のめりでいいグルーヴを生み出しているからだと思います。あとは、ザ・バンドの「Rock of Ages」完全版も聴き応えありました。

シュギー・オーティスの「Wings Of Love」は、彼の70年代から今日までの空白期間を埋めてくれる壮大な内容に目から鱗。そして、今年の来日公演。この人を日本で見る日が来るとは思いませんでした。もうプレイしていなかったのかと思いきや、ずっと音楽を作り続けていたという事実に驚き、感動しました。

来年もいい音楽に沢山出会えますように。
皆さん、よいお年を!
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2013/12/23

ブルース&ソウル・レコーズ 115号発売  BSR誌

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ブルース&ソウル・レコーズ、115号が出ます。今回は先月来日したクラレンス・カーターを始め、6本ものインタビュー記事を掲載。これだけでもかなり読み応えがあります。妹尾みえさんがアラン・トゥーサンに「なぜいつもサンダルを履いているんですか?」聞いているのは可笑しかったです。

僕はインタビューはやってないのですが、マジック・ディックとトミー・カストロのインタビューの質問作成をやらせてもらいました。幸い、2人とも話し好きで場は盛り上がったようで、面白い内容になってよかったです。

巻頭特集は、今話題沸騰中のマジック・サムの未発表ライヴ「ライヴ・アット・アヴァン・ギャルド」。このライヴを録音したジム・チャーニーのインタビューを始め、クロスレビュー的な記事構成で、このアルバムの魅力に迫ります。僕も遅ればせながら、先日聴きましたが、音質がいいのが驚きでした。サムが亡くなって40年以上も経って、こんな音源が出てくること自体がすごいことなんですが。やっぱりこれはひとつの「事件」ですね。

今回は付録CDが付いていませんが、その代わり、チェスとモータウンのディスクガイド(オールカラー)が付いています。ちょうど、ユニバーサルよりこの2つのレーベルの名作が1000円シリーズで発売され、それに連動した内容です。

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ブルース&ソウル・レコーズ 115
2013.12.25発売 ¥1,680(税込)
※特別小冊子付き

表紙 マジック・サム

特集 マジック・サム 驚愕の発掘ライヴ1968

★ 話題の発掘ライヴを私はこう聴いた
● 永井 ホトケ 隆 (blues.the-butcher-590213)「すべての人の心に入っていくサムのブルーズ・マジック」
● 小出 斉「サムのブルースは古びたりはしない」
● ワダマコト「感情が高まりギターが爆発する」
★ ジム・チャーニーが語る奇跡のアルバム誕生秘話
★ CDで追うマジック・サムの足跡

【特別付録小冊子】モータウン&チェス・ブック
これ一冊でモータウンとチェスの基本を押さえられる! 話題の1000円シリーズに登場した、モータウンとチェスの名盤計150タイトル、ブルース&ソウル・ファンの基本中の基本作から、世界初・日本初CD化となるマニア垂涎作まで、全タイトルを完全ガイド。ピーター・バラカンが選ぶフェイヴァリット・アルバム10枚、モータウンとチェスのレーベル・ストーリーも収録。

【その他の主な記事】
● 話題の音楽映画『バックコーラスの歌姫たち』
● ダニー・ハサウェイ未発表曲たっぷりのCD4枚組
● 年間ベスト・アルバム2013/必聴の10枚を本誌が厳選して発表!
● 日本のブルース土壌を耕した恩人に感謝! デルマーク・レコード60周年
● ブランズウィック・フェイヴァリット・コレクション/シカゴ・ソウルの名門レーベルが生んだ、傑作20タイトルをガイド[パート2]
● クラレンス・カーター・インタヴュー──60年代から変わらぬ魅力を放つサザン・ソウルの大ヴェテラン
● アラン・トゥーサン・インタヴュー──溢れ出る創造力で魅了し続けるニューオーリンズの音楽紳士
● いま、北ミシシッピからブルースの逆襲が始まる──セドリック・バーンサイド・プロジェクト/ノース・ミシシッピ・オールスターズ
● 近藤房之助インタヴュー──絶対の存在と語るブルースに真正面から取り組んだ『1968』シリーズ第3弾を語る
● Bloodest Saxophone/甲田“ヤングコーン”伸太郎インタヴュー──ヒップなジャズ&ジャンプ・バンドの新作は正真正銘のリズム&ブルース!
● 巨大! 豪華! 戦前ブルース・ボックス来る!
● 【ライヴ・リポート】アナ・ポポヴィッチ/クリス・デュアーテ/マジック・ディック&トミー・カストロ
● BSR REVIEW 新作アルバム・リヴュー
セドリック・バーンサイド・プロジェクト/シュガーレイ・レイフォード/ジョージ・ジャクスン・フェイム録音集第3弾/タワー・オブ・パワー初CD化ライヴ ほか

【連載】
☆ リヴィング・ブルース・ストーリー第3回/ジム・オニール
☆ ダイヤモンドリングよりブルース第16回/妹尾みえ
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦×編集部H
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ フード・フォー・リアル・ライフ〜歌詞から見るブルース&ソウルの世界[ボ・ディドリー/ユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・ザ・カヴァー]/中河伸俊
☆ 小出 斉の勝手にライナーノーツ「ジュニア・パーカー」
☆ リアル・ブルース方丈記 第二十二回「エアー・オー・プレインに乗って現れ出たマザー・マッコラム」
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル Vol. 44「シカゴの名物DJアル・ベンスンのレーベル、クラッシュ」
☆ ゴスペル・トレイン「ゴールデン・イーグル・ゴスペル・シンガーズ」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BAYOU RHYTHM サウス・ルイジアナの音楽と文化/はたのじろう
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.191/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ WORRIED MAN BLUES〜カントリー・ミュージックよもやま話/渡辺芳男
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ブルース×ロック森羅万象/山崎智之
☆ NEW BORN ROOTS! 新世代ルーツ・ミュージック/福住豪郎
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルの聴ける店
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか
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2013/12/23

ジョン・リー・フッカーの来日公演(1984年)  ブルース

古い思い出話ですみません。

思えば、ブルースに興味を持ってから、色々ライブを見に行きましたが、やはり初めて見たコンサートのインパクトを超えるものはそうないような気がします。

僕が初めて見たブルースのライブは、ジョン・リー・フッカー。1984年の夏、高校3年のときでした。高校に入った頃からブルースにずぶずぶとはまっていたのですが、生で見るジョン・リーの存在感に圧倒され、ますますブルース街道まっしぐらになりました。僕にとっては今振り返っても原点とも言えるショーでした。

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来日公演のチケット。コピー用紙くらい薄っぺらい紙で、半券のミシン目も
入っていなかったので、入口ではハサミで半券を切っていました(笑)。

彼が来日することを知ったのは偶然と言えば偶然でした。地元の書店で、「ブラック・ミュージック・リヴュー(bmr)」なる雑誌を見つけ、そこにジョン・リーの来日公演の告知が出ていたのでした。当時のbmrは、ミニコミ誌のように薄っぺらいのに500円もして、高校生には痛い出費でしたが、そこであの雑誌に飛びつかなければ、あのライブを経験することもなかったと思えば安い買い物だったのかも知れません。

ジョン・リー・フッカーのような大御所が来日するのなら是非見たいと、喜び勇んで主催のブルース・インターアクションズに電話をし、券を購入しました。とは言え、当時はたいして彼について知識があった訳でもなく、不謹慎ながら「まだ生きていたのか」なんて思った様な記憶があります。古いレコード・ジャケットの印象から、勝手に遥か昔の人と思い込んでいたのでした。「期待の若手」ロバート・クレイが前座に決まっていましたが、彼については全く知りませんでした。

そのクレイもよかったのですが、バックが自分のバンドではなかったこともあり、後に花開いてから見せたようなインパクトはなく、それだけにジョン・リーの存在感が一層際立ったのでした。

バンドメンバーの「It's time to boogie」とのMCで登場したジョン・リーはギターを抱えて椅子に座ると、開放弦で軽くデロリロリーンとギターを鳴らし、マイクに向かって唸りました。何の曲かは判らなかったけど、まぁそんなことはどうでもよかったんですね。本当にそのシンプルな数秒の音だけで、ジョン・リー節としか言いようのない独特な音をしていました。渋いけどノリノリでまさにtime to boogieでした。

ライブの前半に"Boom Boom"や"Serves Me Right To Suffer"など有名どころをもったいぶることもなく繰り出し、会場は大盛り上がり。このときの観客にも、僕は軽く衝撃を受けたんです。ウドーやキョードーがやるようなロック・コンサートの客と比べて、異様にノリがいい。藤田正さんがコンサート評で「アホ踊りのバカ騒ぎ」と酷評されていましたが、いやいや、僕はそれまで見ていたコンサートの客がお行儀よすぎると感じていたので、これくらいがちょうどいいと思いましたよ。素直に音に反応して心底楽しんでいる感じでした。思えばブルースカーニバルなんかも初期の頃は、すごく客のノリがよかった気がします。あの人達は今はどこへ行ってしまったのでしょうか?

会場では、手作り感いっぱいの「I'm Jealous」と書かれたジョン・リーのカセットが売られていてそれを買って帰りました。自主制作の新作で、リリースしてくれるレコード会社を探していたようです。結局それが正式にリリースになったのは2年後のことでした。

クリックすると元のサイズで表示します
これがそのカセット。
後にリリースされたLPはI'mが取れて「Jealous」というタイトルでした

ジョン・リーが来日したのは、結局このとき一回だけでしたが、幸い僕は、その後アメリカで彼のライブをあと何回か見る機会がありました。しかし、内容は殆ど変わらなかったです。でも何度でも見たくなるんです。行ってみれば老舗のラーメン屋さんのような感覚でしょうか。上手い下手とかそういう次元ではない存在感なんですよね。とにかくクセになるのです。

やっていることは極めてシンプル。だって、彼がギターを弾いている限り、キーは全部Eなんです。レギュラー・チューニングで開放弦を使えて楽ちんだからでしょう。初期のレコーディングではオープン・チューニングも多用していますが、ライブではそういう小技を見せることもない。色々見せてくれればいいのにと思っちゃうのは、小物的発想なのかも知れないですね。

ジョン・リーももう故人となってしまいましたが、あのとき遥々日本まで来てくれて本当に感謝、感激でした。そして、あのとき出会ったbmr誌に自分がライターとして書く日が来るとは思っても見ませんでした。

ジョン・リーの来日から約30年。bmrは休刊になってしまいましたが、当時のbmrの精神はブルース&ソウル・レコーズ誌がしっかりと引き継いでいます。余談ですが。
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2013/12/18

遂に憂歌団復活コンサート!  ブルース

九段会館の休眠コンサートから15年。憂歌団が帰って来ました。直接のきっかけは2012年10月、ドラムの島田和夫さんが急逝した事でしたが、それ以前にも木村充揮、内田勘太郎の2人が合流してのギグは何回か行われており、憂歌団再結成は機が熟していたのかも知れません。

復活コンサートは「島田和夫祭り」と題され、島田さんの追悼を兼ねています。ドラムスの椅子に座るのは、元RCサクセションの新井田耕造をはじめとする、ドラマーズの面々5人。

9月に大阪で一発目のライブをやっていますが、東京はこれが復活後初です。決して小さい会場ではない赤坂BLITZ二夜の公演は完売。憂歌団がかつて現役だった頃はそこまでの状況はなかったと思いますが、やはり、皆待っていたんですね。

ライブの雰囲気は長い歳月など感じさせない昔のまま。木村さんは以前よりダミ声がきつくなった感じがしましたが、キャラがそのまんまなので、些細なことに思えます。勘太郎の神業的テクニックは以前に増して磨きがかかっていました。

定刻19:30ぴったりに登場したのは、ドラマーズ。約20分、ドラムスのみで演奏をしました。これは意外な展開でしたが、島田和夫祭りですからね。彼らが終わると、休憩にはならず、クリームの"I'm So Glad"(ライブ版)が大音量で流れる中、急ピッチでセットチェンジ。ステージに大きな「憂」のマークが下りてきました。

憂歌団の3人が登場したのは、8時を回った頃。何の曲を冒頭に持ってくるのかと思いきや憂歌団の曲ではなく、ビリー・ホリディの"Fine And Mellow"からスタート。これは意表を突かれましたが、木村さんのソロ作で取り上げた流れなんでしょうね。

2曲目からお馴染みの憂歌団ナンバーが続きます。最初の50分くらいは、ドラムスなしの3人だけでの演奏でした。

"俺の村では俺も人気者"から、ドラマーが1人1人呼ばれ、交替で叩きました。叩いているのは、島田さんが愛用していたドラムセット。それまでの3人だけでの演奏が落ち着いた感じながら完成度が高かったので、ドラムスが入ると最初はなんだか違和感がありました。島田さんよりも、皆ドカドカ叩いていたせいもあったかも知れませんが、ここら辺は、意図的に賑やかにやっていたんでしょうね。その点新井田さんは、ブラシ中心の抑えたプレイで、しっくりはまりました。彼は憂歌団の正式なドラマーとして迎え入れられたそうですね。この日のプレイを聴いていると、それも納得でした。

後半はその新井田さんのドラムスで"おそうじオバチャン"、"シカゴ・バウンド"といった名曲が続き、客席も大盛り上がり。ラストはドラマーズが戻ってきて、"Stealin'"。客席も大合唱でした。

アンコールは3曲。最後は3人だけで、"WOO CHILD"でしっとり締めました。ドラマーズの演奏も含め3時間たっぷりのライブ。"パチンコ"はやらなかったけど、大満足です。

昔のままと言いましたけど、やはり彼らも僕らも歳を取りましたね。お約束の客席からのヤジもかつてより大人しめだったし、それに応える木村さんも以前よりは淡々としている印象。木村さんはかつてのように弦を切りまくることもなく、大人しかったと思います。でも、よく喋るし、よく飲むし、よくスパスパタバコを吸う。他愛もないギャグを言い続ける。まぁ、年相応に健在と言うことですね。以前よりも勘太郎と花岡さんもよく喋っていました。

決して枯れた訳ではない、円熟したという言い方がぴったり来るのではないでしょうか?木村さんは"君といつまでも"のセリフのところで、「ぼかぁ、死ぬまで君を離さないぞ」と言うところを、この日は「死ぬまで歌い続けるぞ」と叫んでしました。これからも、天使のダミ声に期待したいです。

この日は会場にカメラが入っていました。1/19 23:00より2時間番組としてCS-TBSでこの模様が放映されるそうです。
http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/o1494/

--

憂歌団
Tue., Dec 17, 2013
赤坂BLITZ

[Setlist]
1. Fine And Mellow
2. Midnight Drinker
3. 発破-ダイナマイト・ラブ
4. 10$の恋
5. 歩こう
6. 夢
7. ザ・エン歌
8. 君といつまでも
9. 地獄谷クロスロード
10. 俺の村では俺も人気者(with 杉山章二丸)
11. 嫌んなった(with 小林雅之)
12. ちっちゃなダイヤモンド(with 梶原徹也)
13. I'm Your Hoochie Coochie Man(with 富田京子)
14. 気分ヲ変エテ(with 新井田耕造)
15. Summertime Blues(with 新井田耕造)
16. 思い出酒場(with 新井田耕造)
17. Amen(with 新井田耕造)
18. あたしの彼氏(with 新井田耕造)
19. 胸が痛い(with 新井田耕造)
20. おそうじオバチャン(with 新井田耕造)
21. キスに願いを(with 新井田耕造)
22. シカゴ・バウンド(with 新井田耕造)
23. Stealin'(with the Drummers)
-encore-
24. Love and Jungle(with the Drummers)
25. ボクサー(with the Drummers)
26. WOO CHILD

19:30-19:53 The Drummers
19:53-20:01 セットチェンジ(Cream/I'm So Glad)
20:01-22:30 憂歌団
(20:49- drums)
(22:13- encore)

ドラマーズ:
杉山章二丸(ex.MOJO CLUB)
小林雅之(JUN SKY WALKER(S) )
梶原徹也(ex.THE BLUE HEARTS)
富田京子(ex.PRINCESS PRINCESS)
新井田耕造(ex.RCサクセション)

憂歌団:
木村充揮 - vo., gt.
内田勘太郎 - gt., vo.
花岡献治 - b., vo.

2014.6.2追記
この日のコンサートは、「憂歌団からの便り。 ~島田和夫祭り~」(SPACESHOWER MUSIC, 2014.5.28発売)としてDVD化されました。

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