2014/8/5
訃報 Lynwood Slim 1953-2014 ブルース

Lynwood Slim with Kirk Fletcher
Cafe Boogaloo, Hermosa Beach, CA, 2003
(c)Photo by Masahiro Sumori
ロサンゼルスのブルース・シーンで活動して来たハーモニカ・プレイヤー、リンウッド・スリム
(本名 Richard Dennis Duran)が亡くなったというニュースが入ってきました。8月4日の朝7時、息を引き取ったということです。1953年生まれ。まだ60歳でした。
1970年代からLAで活躍し、70年代から80年代の10年間ほどは、ミネアポリスに居を移したこともありました。自己名義のアルバムは7枚ほどありますが、その他にもプロデューサーとしてもキッド・ラモスやニック・モスの作品を手掛けています。
ここ数年C型肝炎で体調が悪化し、最近は肝硬変になっていたそうです。7月17日に脳梗塞で倒れ意識不明の状態に。回復が見込めないことから、生命維持装置を外したとのこと。
彼の出した作品は、数は多くはないのですが、どれも内容は素晴らしいものばかりです。僕は個人的に親しくさせてもらっていたので、この訃報は非常にショックでした。
初めて彼に会った際、「お前は吾妻光良とスウィンギン・バッパーズというバンドを知っているか?あのバンドは大好きなんだ。俺が長年やりたいと思っている理想のサウンドを彼らはやっている」と言い出したのはビックリでした。何でも、ジュニア・ワトソンが彼らのレコードを持っていて、聞かせてもらったのだとか。
そんな彼に、吾妻さんのCDを送ってあげたことがありました。送る前に吾妻さんにお願いしてサインを入れてもらいました。「林森細男さん江」と吾妻さん流の茶目っ気たっぷりのサイン入りCDは無事スリムの手元に届きましたが、理解してくれたかな(笑)。
その後、吾妻さんがカリフォルニアを旅行した際にドヒーニー・ブルースフェスで両者の共演が実現したのですが、そのことも後になって嬉しそうに語ってくれたのを思い出します。
一度日本でプレイしてみたいと事あるごとに言っていたスリム。それが実現しなかったのは非常に残念です。2012年に最後に会ったときは、だいぶ病状もよくなって元気になってきたと言っていたんですが。
日本では決して有名とは言えないかも知れませんが、彼の作品を是非聴いてみて下さいね。特にブラジルのイゴール・プラド・バンドとの共演盤「Brazillian Kicks」は強力です。スリムも力が入っていますが、とにかくこのバンドが素晴らしすぎます。
ちなみにこのブログは2005年8月に立ち上げていますが、最初の記事がリンウッド・スリムのライヴ・レポートでした。
http://black.ap.teacup.com/sumori/1.html
スリム、安らかに眠ってください。今までありがとうございました。
Lynwood Slim and the Igor Prado Band - Shake It Baby
https://www.youtube.com/watch?v=MnsSWikDi74
Lynwood Slim - Tried To Call You
https://www.youtube.com/watch?v=fRHWV78IIzY
Lynwood Slim at Cafe Boogaloo, 2007(僕が撮影したものです)
https://www.youtube.com/watch?v=SIMZzOE7JmA

2012年4月、彼の自宅に遊びに行った際の写真です。
思ったよりずっと元気で安心したのですが…。
