2014/11/1
ジョン・リー・フッカーの初のアルバム・レコーディング ブルース
ジョン・リー・フッカーの興味深いCDがリリースになったので、紹介してみたいと思います。
1958年6月10日、シカゴでのヴィージェイ・セッションの音源です。ヴィージェイ時代と言えば、ジョン・リーが1955年から10年に渡って在籍し、その間8枚のアルバムをリリースした重要な時期。
このレーベル在籍時に、それ以前の弾き語り改め、バンド・サウンドを確立したことはよく知られていますが、同レーベルと契約した当初から、順風満帆だった訳ではありませんでした。ヴィージェイは当初ジョン・リーが新たなことに挑戦することに乗り気ではなく、積極的にレコーディングの機会を与えなかったようです。
このセッションの前の3年間程で、彼は5回しかレコーディングを行っておらず、初のアルバム「I'm John Lee Hooker」がリリースとなるのは1959年まで待たねばならなかったのです。
このセッションはその1年前、彼にとって初のフル・アルバムとしてレコーディングされたものです。しかし、ここから当時はシングル1枚(I Love You Honey / b/w You've Taken My Woman)が出されただけで、ヴィージェイは残る10曲をお蔵入りにしてしまいました。
その後、一部はチャーリー盤LP等で世に出ましたが、この様にヴィージェイ・リリースの2曲も含め、セッション全曲がCD化されるのは初だと思います。
（注）T_JROWさんより、Pヴァイン盤のボックス「ザ・ヴィー・ジェイ・ボックス6CD」に全曲収録されているとのご指摘を受けました。その通りでしたので、訂正します。すみませんです。
ヴィージェイがリリースした2曲はピアノ（Joe Hunter）とセカンド・ギター（Eddie Taylor）も入り、バンド・スタイルとして完成されたものを聴くことができますが、他の楽曲はウッドベース（Everett McCrary）とドラムス（Richard Johnson）のみを付けたシンプルな編成で、従来の弾き語りスタイルから大きく踏み出した印象はありません。ボツになったのは、新鮮味に欠けると判断されたのかも知れませんが、内容はすこぶるよいです。
弾き語りスタイルを基調としているとは言え、"Mama You Got A Daughter"（J.B. レノアの"Mama, Talk To Your Daughter"と同曲）では、低音弦をビートに乗せてべべン！と鳴らす辺りは、バンド・スタイルを意識したプレイだし、"Love Me All the Time"、"Lou Della"ではリード・ギターも聴くことができます。"Bundle Up And Go"などは、バンドならではのスウィング感を感じます。
ジョン・リーのバンド・スタイル創成期を伝える貴重な一枚。ジョン・リーの個性は全開です。
John Lee Hooker / I'm Going Home
(The Devil's Tunes/Easy Action DEVICD 002)
1. Mama You Got A Daughter
2. Nightmare
3. House Rent Boogie
4. Trying To Find A Woman
5. Drive Me Away
6. I’m Going Home
7. Love Me All The Time
8. Lou Della
9. Bundle Up And Go
10. Wrong Doin’ Woman
11. You’ve Taken My Woman*
12. I Love You Honey*
Recorded on the 10th of June 1958, Chicago
John Lee Hooker - guitar, vocals
Everett McCray - bass
Richard Johnson - drums
Eddie Taylor - guitar*
Joe Hunter - piano*
0