2015/5/9

訃報: Travis Hill, 1987-2015  ニューオーリンズ

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Travis "Trumpet Black" Hill

ニューオーリンズの若きトランペッター、トラヴィス・ヒルが5月4日、亡くなりました。元気に活動している最中の突然の訃報にただただ唖然とするばかりです。

彼は、昨年に引き続き大阪のBLITZ & SQUASH BRASS BANDとの共演のため、5月2日から日本を訪れていました。彼らのウェブサイトとニューオーリンズのメディアの報道からの情報を整理しますと、4月末に行った歯科治療の患部が化膿し、日本へ旅立つ前日の4月30日には本人は痛みを訴えていたそうです。日本行きの機内で痛みがひどくなり、来日直後に病院へ搬送。応急処置を行い、5月3日のシンコ・デ・マヨ・フェスティバルには出演しましたが、病状が更にひどくなり、窒息する恐れもあったことからライブ後緊急入院となったとのことです。この時点で、この晩に横浜で予定されていた公演はトラヴィス抜きのBLITZ & SQUASH BRASS BANDで決行。翌日には日本での全日程のトラヴィス欠演が発表されました。

しかし、病状は改善せず、化膿が心臓にまで達してしまい、5月4日午後2時15分、都内の病院で息を引き取ったそうです。歯科治療の悪化で死に至るというケースは、僕は他に聞いたことがないのですが、どのような状況だったのでしょうか。これからの活躍が期待されるプレイヤーの一人だったので、非常に残念でなりません。

トラヴィス・ヒルは、1987年生まれ。”Ooh Poo Pah Doo”のヒット曲で知られるニューオーリンズのシンガー、ジェシー・ヒルの孫に当たり、トロンボーン・ショーティ、ジェイムズ・アンドリューズ、グレン・デイヴィッド・アンドリューズらはいとこで、彼らとは幼少期から非常に仲が良かったそうです。

トラヴィス自身はニュー・バース・ブラス・バンド、リル・ラスカルズ、トレメ・ファンクテットなどのバンドに参加し、自身のトランペット・ブラック&ザ・ハートアタックスでも活動していました。2002年にはリル・ラスカルズのメンバーとして15歳の若さで来日しており、昨年の来日はそれ以来12年ぶりでした。

その間、実は彼は強盗事件を起こし、8年間刑務所で服役。2011年に出所し、改心して活動に精を出していたのでした。来日する直前には、地元ジャズフェスに久しぶりに出演し、トロンボーン・ショーティらと共演したそうですし、新作のレコーディングも行っていたといいます。いよいよ活動が軌道に乗ってきた矢先にこんなことになり残念です。

昨年の来日の際は、駒沢オリンピック公園で行われた肉フェスでのライヴをみましたが、20分程度と短い時間ながら、思い切りニューオーリンズ魂を弾けさせた気持ちのいい演奏を聴かせてくれました。彼はトランペットもいいですが、歌も非常にうまいんです。

昨年の来日の告知記事を貼っておきます。
http://bluesginza.web.fc2.com/black.ap.teacup.com/sumori/1508.html

トラヴィス・ヒルのご冥福を心から祈りたいと思います。RIP。
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Travis "Trumpet Black" Hill
with Blitz & Squash Brass Band

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※写真はいずれも2014年5月4日(日)、肉フェスでのBLITZ & SQUASH BRASS BANDとのステージでのものです。((c)Photo by Masahiro Sumori. All rights reserved.)
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