2019/1/30

映画「グリーンブック」  新譜情報

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映画「グリーンブック」(3/1[金]、TOHO CINEMAS日比谷他全国ロードショー)のオンライン試写会に当選したので、公開前に一足先に見ました。

ときは1962年、黒人ピアニストのドクター・ドン・シャーリー(役:マハーシャラ・アリ)がイタリア系の運転手、トニー・リップ(役:ヴィゴ・モーテンセン)とともに、8週間に渡る米南部へのコンサートツアーに出た際に起こった出来事を綴った映画です。

当時の米南部は、公民権運動の真っ只中。まだ、ホテルや公共施設でも白人と黒人が分けられていた時代です。ニューヨークに暮らし、ホワイトハウスでも演奏をするほど地位と名声を得ていたシャーリーは、あえて地元を飛び出し、そんな南部へのツアーを敢行しました。その際、名門クラブ、コパカバーナの用心棒として実績があったリップの評判を聞き、ツアーの運転手兼ボディーガードとして雇ったのでした。

「グリーンブック」とは、1964年まで米国で発行されていた、黒人が利用できる施設を記載したガイドブックのこと。彼らはこれを頼りに南部への旅に出たのです。

当初、自らも黒人に対し差別感情を持っていたリップでしたが、旅の先々で、シャーリーへの露骨な差別的扱いを目の当たりにし、意識が変わっていきます。

幼い頃から音楽の英才教育を受け、豪華な部屋で王様のような暮らしをしていたシャーリーと、ニューヨーク市ブロンクスの労働者階級出身のリップ。人種も置かれている境遇も全く違う2人が一緒に旅をし、ときにぶつかり合い、困惑しながらも次第に距離を縮めていく様が描かれています。

これは地位や立場を超えた友情の物語であり、多くの人が持ちがちな人種に対するステレオタイプ的な先入観を戒めるメッセージも込められています。

なお、この映画は冒頭に「Inspired by true story(実話に基づく)」とあります。描かれ方の正確さはともかく、制作者サイドによると映画の中で出てくる出来事は大方実際に起こったことだそうです。

しかし、留意すべきは、これはあくまでもトニー・リップ側の視点に立った「事実」である点です。当事者のリップ、シャーリーともに既に故人であり、本人たちはこの映画の制作には関わっていません。

脚本家の一人は、リップの息子、ニック・バレロンガであり、ストーリーは彼が生前の父親から聞いた話が元になっています。

この映画が米国で発表されて間もなく、ドン・シャーリーの弟モーリスを始め、シャーリー家からは、「白人視点の歪曲されたストーリー」と非難の声が上がりました。ここは、実在人物を題材とした映画の難しいところでしょう。この映画にはシャーリーの家族は加わっていないし、事前の相談も一切なかったそうです。

シャーリーの家族から具体的な指摘はあるものの、実際のところ、どの程度事実が歪められているか僕にはわかりません。しかし、純粋に映画として見れば、とても感動的でユーモアに溢れたいい話だし、よくできていると感じました。史実を正確に伝えるドキュメンタリーではなく、あくまでも実話を元に作られたストーリーと考えれば、この映画は見る価値は十分あります。

シャーリーがなぜあえて南部ツアーをする決断をしたかをシャーリーの共演者がリップに語るシーンは印象的でした。映画ではシャーリーが暴力には反対しつつも、人種差別に向き合っていこうとする姿勢が描かれています。

シャーリーの家族は、この映画をシャーリー本人や黒人社会に対する侮辱と捉えているようですが、僕はそのような印象は持ちませんでした。逆に、シャーリーという卓越したアーティストに今一度注目が集まるよいきっかけになるのではと感じました。

どのように感じるかは人それぞれなので、ぜひご自分で確認してみてください。

最後に映画に使われた音楽についてですが、これは期待したほど濃いものではなかったです。シャーリーのコンサートシーンは比較的さらっとしていましたし、BGMで流れる音楽についても、あくまでもBGMという感じです。

道中でラジオから流れるリトル・リチャードやアレサ・フランクリンなどのR&B、ロックンロールをシャーリーが知らなかったことをリップが「マジか?それでも黒人か?」と驚くシーンがあったり、バーミンガムのバーでシャーリーがR&Bバンドと即興で共演するシーンなどもあり、それは面白かったです。

またプロフェッサー・ロングヘアの”Go To Mardi Gras”がエンディングテーマとなっており、途中のシーンでも流れるのですが、これはどういう意味で選曲されたのか?ちょっと不思議に思いました。というのも、映画ではニューオーリンズは全く出てこないし(ルイジアナはバトンルージュのシーンが一瞬だけ)、マルディグラの季節でもないので、唐突な印象を受けました。単に雰囲気で、なのでしょうかね。※注)


【公式】『グリーンブック』3.1(金)公開/本予告(トレーラー動画)


【公式サイト】
https://gaga.ne.jp/greenbook/

監督:ピーター・ファレリー(『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』)
出演:ヴィゴ・モーテンセン(『イースタン・プロミス』『はじまりへの旅』)/マハーシャラ・アリ(『ムーンライト』)/リンダ・カーデリーニ(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』)ほか
制作年:2018年
製作国:アメリカ
時間:130分
日本配給:GAGA
日本公開:2019年3月1日(金)より、TOHO CINEMAS日比谷を始め全国の劇場で一斉公開。

※注)[2019/03/08追記] 「映画ではニューオーリンズは全く出てこない」と書きましたが、ロケの大半はニューオーリンズとその郊外(ハモンド、マンデヴィルなど)で行われたそうです。1960年代の古いシーンを撮影するのに最適との判断だったのでしょうね。
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