2020/1/29

アントニオ佐々木を追悼する  ブルース

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先日W.C.カラスとのライヴのレポートを上げた、ギタリストのアントニオ佐々木さんが1月23日早朝に亡くなったそうです。モアリズムのリーダー、ナカムラさんがツイッターで発表しました。1965年生まれの55歳。あまりにも早すぎます。ライヴを見るのはもしかするとこれが最後になるかも?とはうっすら思いましたが、これほど早く亡くなるとは!本当に残念です。

葬儀は直葬で済ませているそうです。

アントニオ佐々木は、福岡のスウィング&ジャイヴ・バンド、ちょい濡れボーイズでの活躍を経て2009年にモアリズムに加入。東京の国立を拠点に活動を始めました。モアリズムは、西川美和監督の映画「ディア・ドクター」(2009年)、「夢売るふたり」(2012年)に楽曲も提供してます。

アルバムもライヴ盤を含めモアリズム名義で7枚がリリースされましたが、2015年の「月のカタワレ」リリース後に佐々木さんが九州に戻ったため、バンドの活動は休止状態になっていました。モアリズムとは別にソロ作も計4枚リリースしています。今年1月4日にレコーディングしたという遺作「誰かギター弾きを知らないか」が今日1月29日からオンラインで発売開始となりました。詳しくはモアリズムの公式サイトへ。


今回佐々木さんにとって久々の東京での公演となったわけですが、7日のLODIのあと、翌日には同じW.C.カラスとのデュオで市川ALMANAC HOUSEに出演、翌々日9日に浅草の花ぐるめでジャズ・セッションに参加しましたが、これが最後のライヴとなってしまいました。この公演後に体調が悪化し急遽都内の病院に入院。1週間ほどで退院し、九州に帰郷したものの、18日に福岡で予定されていたモアリズムの公演も出演できなかったそうです。

佐々木さんが自ら「医師から余命半年と告げられた」とツイートしたのが10月31日のことだったので、1月に亡くなったのは随分早いと感じましたが、余命宣告があったのはもっと前だったようです。ナカムラさんは3月に本人からそのことを聞いたとのことでした。ということは、仮に3月を起点としても佐々木さんがツイートした時点で、宣告された余命は過ぎていたことになります。

佐々木さんの病気がなんだったのかは知りませんが、ウィルコ・ジョンソンが末期がんで余命宣告されたあとに元気に復活した例もあります。なんとか元気になってほしいと願っておりましたが、叶いませんでした。
(追記:W.C.カラスさんによると、佐々木さんは胆管がんを患っていたそうです。)

先のライヴ・レポートで「思ったより元気そうだった」と書きましたが、それはあくまでも「思ったよりは」でした。

その後かつてのモアリズムのライヴ映像を見たら、別人のように元気な佐々木さんがそこにいました。以前見たライヴの記憶が蘇って来ました。先日のライヴではプレイ自体に調子が悪い様子は見られなかったですが、かつてのような超絶プレイがなかったのもまた事実。ご自身の体調を見ながらできる範囲でやっていたということなのでしょうね。



佐々木さん、厳しい体調を押してファンに会いに来てくれてありがとうございました。

佐々木さんが大好きだったプレイヤーたちは、ロニー・ジョンソンを始めあちらの世界におられる人が多いと思います。

彼らと会えるといいですね。
でもまずはゆっくりお休みください。
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2020/1/11

W.C.カラス&アントニオ佐々木ライヴ・レポート  ブルース

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富山の木こりブルースマンW.C.カラスと、モアリズムのギタリストとして知られるアントニオ佐々木のデュオ。この組み合わせによるライヴ演奏が遂に実現しました。

カラスのファンならば彼のファーストCD(2013年)がモアリズムの全面サポートの下、彼らのレーベル、クニタチレコードからリリースされた経緯をご存知なはず。(その後同作はPヴァインから再リリース)カラス+モアリズムという形の演奏はライヴでも実現していますが、デュオということではこれがお初でした。

実はこの組み合わせは、この日の会場のLODIのマスターがかねてより「今度は是非これをうちの店でやりたい」と口にしていたものだったのです。しかし、昨年(2019年)はカラスがWild Chillunに注力していたため実現せず、そして昨年10月にアントニオがツイッターで「医師から余命半年と告げられた」と衝撃の告白。彼は東京から遠く離れた九州在住でもあり、もはやこのデュオを東京で実現するのは不可能かと思われました。

しかし、その後カラスが実現に向けて動き、年明けにデュオでのライヴをLODIと市川のALMANAC HOUSEで行うことが発表されました。12月上旬に予約受付を開始すると、両日とも即完売。小さなLODIの店内は、当日は手荷物を置く場所もないほどの満員状態になりました。

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W.C.カラス

この日の演奏は、主にカラスの曲にアントニオがサポート役に入る形で進行しました。ボビー・ブランドの"Members Only"で和やかにスタート。前半の第一部はモアリズムが参加したファーストのブルース・フィーリング溢れる曲を中心にプレイしました。"白いカラス"など、最近殆どやっていない曲もあって、これは貴重でした。

アントニオは、淡々とプレイしていて思ったより元気そう。カラスにトークを振られると、ボソッと「病人なので優しくしてください」とコメントし、笑いを取る一幕も。カラスが歌いながらリズムを刻んでいるので、アントニオのプレイは歌の合間のオブリガードやソロが中心でした。でも、やはり彼のプレイは素晴らしく、カラスのサウンドにすっと溶け込んでいきます。さして小難しいことをやっている感じではなく弾きまくることもないのですがしっかりブルースのツボを押さえていて、なかなかああは弾けないなと思いました。闘病中とは言え、アントニオ健在なり。

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アントニオ佐々木

第一部は、カラスのギターの弦が切れたところで、開始後40分弱でいったん休憩に。再開した第二部では雰囲気を変え、"信じるものなどありゃしない"(アントニオのリクエストだそう)などバラード・ナンバーや、高田渡のカバーも織り交ぜ、そして終盤は"うどん屋"、"軍手"で盛り上がりも最高潮に。

アンコールも3曲というサービスぶり。"今日も何とか切り抜けられた"は「アントニオが言った言葉を歌にしたんだけど、その本人は参加していなかったよね?」とカラス。そうかそうか、あの曲の歌いだしはこんな感じだったもんね。

 欲しくもない酒を飲みながら
 らしくもないアントニオがしみじみ言った
 今日も何とか切り抜けられた
 俺も同じさ何とか切り抜けられた


アントニオ、しみじみとギターを弾いていました(笑)。

そしてモアリズムの”笑う花”を挟み、この日初めてアントニオがヴォーカルを。カラス抜き弾き語りで"Goodnight Irene"をやってくれました。締めに相応しいこの曲でしっとりとこの日のショーはフィナーレを迎えたのでした。一部が短かったので、早めに終わるかと思いきや、時間は既にこのお店の終演タイム・リミット22時にあと数分と迫っていました。

終了後アントニオ氏に体調について聞いたところ「まぁ、あまりよくはない」とのこと。何とかお元気で!

本人は可能な限りライヴは続けていくそうなので、「また東京にぜひきてください」とお願いしました。でも無理はしないで…

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W.C.カラス&アントニオ佐々木
中野坂上LODI
Tue., January 7, 2020

1st set (19:43-20:20)
1. Members Only
2. Hot Dog Blues
3. 有頂天 BLUES
4. 白いカラス
5. 貧しい町
6. 飯炊き男のBLUES

2nd set (20:40-21:54, encore 21:37-)
7. Asphalt
8. 信じるものなどありゃしない
9. 機関車
10. 仕事探し(高田渡)
11. 誰かが死んだら足を見るといい
12. うどん屋で泣いた
13. 軍手の煮びたし
14. Moonlight Dreamer
-encore-
15. 今日も何とか切り抜けられた
16. 笑う花(モアリズム; W.C.カラスはギターなし)
17. Goodnight Irene(アントニオ佐々木のソロ弾き語り)

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【関連記事】
Wild Chillunレコ発ライヴ@高円寺JIROKICHI (2019/6/5)
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W.C.カラス@三鷹バイユーゲイト10周年FEST! (2016/2/29)
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W.C.カラス@フェスタ・イン・ビニールLa毛利 (2015/12/9)
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町田謙介、W.C.カラス@バイユーゲイト (2014/12/14)
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W.C.カラス@吉祥寺 BLACK and BLUE (2013/8/26)
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ナカムラ&アントニオ@BLUESラウンジ@新宿歌舞伎町BE-WAVE (2011/8/1)
https://black.ap.teacup.com/sumori/770.html
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2020/1/8

2019年の年間ベスト・アルバム  音楽全般

2019年にリリースされた作品の中から、陶守が個人的に特によいと思ったものを10枚挙げました。そんなにたくさん聴いている訳ではないのですが、10枚に絞るのは結構難しい!特によく聴いたもの、印象に残ったものを中心に選んでみました。10枚は順不同です。どれがベストというのは特にありません。

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◆ The Who / WHO (Polydor UICP-1197)
前作「Endless Wire」から13年も経っていた事実に驚きでしたが、新譜が出るというだけで興奮もののザ・フーです。それが、聴いてみるとまあ、曲作りといい、アレンジといい、演奏といい、どこをどう切ってもザ・フーとしかいいようのない個性が詰まった作品で嬉しくなりました。若いころのような破壊的な勢いこそないものの、より円熟味を増して元気なのはさすがです。


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◆ Jimmy Johnson / Every Day Of Your Life (Delmark DE861)
いまやシカゴ・ブルース界の最長老ではないかと思います。ここ最近、元気に誕生日を迎えたなど健在ぶりがSNSで伝わって来ていましたが、このアルバムを聴いて納得。91歳になるのですが、若々しく瑞々しい音をしています。フェントン・ロビンソンの”Somebody Loan Me A Dime”はマイナー調にアレンジされていて、いかにもジミーらしいクールな雰囲気です。あのボズ・スキャッグスのバージョンも彷彿させます。


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◆ Junior Watson / Nothin' To It But To Do It (Little Village Foundation 814519025535)
スウィング感の気持ちよい作品で、職人的なワトソンのギター・プレイも冴えています。ヴォーカルは主にリサ・ルシュナー(ギタリストのキッド・アンダーセンの奥さん)とアラバマ・マイクが分け合っていてともに元気いっぱいです。インストにもいいものが多く、スカのリズムに料理されたスタンダード曲”Caravan”あたりもいい感じでした。


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◆ The Subdudes / Lickskillet (no label, no number)
自主製作で知らないうちに地味に新譜をリリースしていましたが、サウンドは変わらずの極上のルーツ・ロック。美しいコーラスワーク、豪快なスライド・ギター、シンプルなパーカッションなどなど、この人たちの個性は不変です。クラリネットを入れてニューオーリンズ・ジャズっぽいサウンドを展開する曲もあります。ニューオーリンズも新しい人がどんどん出て来ていますが、こういうヴェテランが元気なのは嬉しいですね。


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◆ Chip Wilson / Stories And Occasional Lies (ArtistShare AS0165)
ニューオーリンズを拠点とするギタリストで、アコースティック・サウンドを中心にゴスペル、ブルース、フォークなどのアメリカン・ルーツを展開します。取り立ててニューオーリンズっぽい感じではないのですが、” Quarter to Four”でチューバを加え、セカンドライン・パレードっぽい雰囲気を出しているところなどは心憎いです。


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◆ The Revelers / At The End Of The River (The Revelers, no number)
理屈抜きに楽しいダンス・ミュージックです。この人たちは、前進のレッド・スティック・ランブラーズの頃から大ファンです。基本にあるのはケイジャン・ミュージックですが、ソウル、ロックンロール、ブルースなど色々な要素が織り交ぜられています。


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◆ Jontavious Willis / Spectacular Class (Kind Of Blue Music, no number)
本作で初めてブルース部門のグラミー賞にノミネートされました。この作品のインパクトは相当強烈でした。23歳という若手でここまでブルースに真っ直ぐに取り組んでいる人がいること自体が驚きでした。エレキから弾き語りまでスタイルは多様ではありますが、基本的に戦前ブルースを思い起こすトラディショナルなスタイルで、古きはかえって新鮮でした。


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◆ 吾妻光良 & The Swinging Boppers / Scheduled By The Budget (Sony Music AICL-3699)
これはやられましたね。バッパーズ節炸裂、最高におもろいし、最高にご機嫌です。かっぱえびせんじゃあるまいですが、やめられない止まらないです。大人はワイン2本まで?それ以上飲むのは子供?何言っているのかまるっきりわかりません(笑)。吾妻さんのギャグセンスは何度きいてもクスッときます。


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◆ Los Lobos / Llegó Navidad (Rhino R2 604538)
ロスロボスは、Will The Wolf Survive?の頃からのファンです。作品によって随分路線を変えて来たりしますが、僕はどれも好きです。今回は彼らの原点とも言えるメキシカン・トラディショナル風でクリスマス・アルバムを作ってくれました。年末に結構聴きまくりました。とにかく楽しい。


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◆ Wild Chillun / Rock & Roll Fantasy (P-Vine PCD-27040)
W.C.カラスとChihanaが組んで結成したバンドのデビュー作。ブルースとは違いますが、奇をてらった事は一切なく、ストレートにガツンと来るロックンロールで爽快です。

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これ以外で特筆すべきものとしては、久々の新譜だったジョン・ブッテ。過去の作品と比べると地味な印象でしたが、味わい深い作品でした。長年活動を共にしたギタリストで癌で亡くなったトッド・デュークが参加した最後の作品でもありました。

ジャズフェス50周年記念5枚組ライヴCDもなかなか凄いものがありましたが、これはひとつの作品という感じでもないので選外としました、

あとは、キケ・ゴメスとの共演盤、ライヴ盤と2枚のアルバムを立て続けにだしたロッキン・ジョニー、深みのある作品「We Get By」をリリースしたメイヴィス・ステイプルズ、日本からピアノでLeeさんも参加したキャッシュ・ボックス・キングス、キューバン・ミュージック色を押し出したプリザヴェーション・ジャズ・バンドなども印象に残りました。

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【過去の年間ベスト・アルバム10選】

2017年
https://black.ap.teacup.com/sumori/1772.html

2016年
https://black.ap.teacup.com/sumori/1721.html

2013年
https://black.ap.teacup.com/sumori/1487.html

2010年
https://black.ap.teacup.com/sumori/615.html

2008年
https://black.ap.teacup.com/sumori/209.html

2006年
https://black.ap.teacup.com/sumori/61.html
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2020/1/1

謹賀新年2020  ブルース

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今年もなにとぞよろしくお願いします。

これまでは、新年にはその年の干支が描かれたアルバム・ジャケット10選を載せたりしておりましたが、今年2020年の干支はネズミ(子)、困りました。ネズミをあしらったジャケットは10枚はおろか1枚も思いつきません。ミッキーマウスやトム&ジェリーのCDをさがせばありそうなんですが、そんなものでは面白くないのであえなく降参です。

というわけで、その代わりと言ってはなんですが、ネズミを歌ったブルースを2つほど。



Precious Bryant - Black Rat Swing


Sleepy John Estes - Rats In My Kitchen

どちらも勝手に食べ物を食い荒らす迷惑ものとして歌われておりますが、いずれにせよ今年そのねずみさんの年です。

みなさま、よいお正月をお過ごしください。
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