2021/8/31

追悼Roy Gaines 1937-2021  ブルース

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Roy Gaines
Long Beach Blues Festival, September 1, 2002
(c)Photo by Masahiro Sumori. All rights reserved.

ブルース・ギタリスト/シンガーのロイ・ゲインズが8月11日に亡くなりました。83歳でした。彼の娘でブルース・シンガーのキャロリンがSNS上で明らかにしました。翌日8月12日は84歳の誕生日でした。死因など詳細は明らかになっていません。

ゲインズは、Tボーン・ウォーカー直系のスウィング・サウンドを得意とするギタリストとして知られていますが、1981年の作「Gainelining」ではクルセイダーズのメンバーと共演し、フュージョン色のサウンドも聴かせるなど、懐の深い深いプレイヤーでもありました。リトル・リチャードとの共演で知られるサックス奏者の兄グレイディは、今年1月に亡くなっています。

1937年にテキサス州ワスコムで生まれ、ヒューストンで幼少期を過ごしたロイは、10代の頃からTボーン・ウォーカーやジョニー・コープランドらと共演し頭角を現しました。1950年代にロサンゼルスに移住してからは、セッション・ギタリストとしてボビー・ブランド、ビッグ・ママ・ソーントン、ビリー・ホリディなどブルースやジャズの大物と数多く共演を重ねました。

主に脇役だった彼がソロ・アーティストとしてデビューしたのは前述のアルバム「Gainelining」。1985年には映画「カラー・パープル」のサウンドトラックにミュージシャンおよびソングライターとして関わっています。

1988年にはグレイディ・ゲインズのアルバム「Fulll Gain」にゲスト参加し、兄弟共演を果たしました。

1999年にはパークタワー・ブルース・フェスティバル出演のために初来日。最終公演の日の夜、吾妻光良氏ら日本のミュージシャンとスタジオ入りし、レコーディングを敢行。「Guitar Clashers From Gainesville, Tokyo」としてリリースをしました。

近年は新譜のリリースなど、活動の状況もあまり聞こえてこなかったのでどうしているのかなとは思っておりましたが、なんとも残念です。

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Roy Gaines & Mitsuyoshi Azuma
Guitar Clashers From Gainesville, Tokyo
(P-Vine Records, 2000)
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2021/8/29

ハリケーン・カトリーナの記念日です  ニューオーリンズ

また今年も8月29日がやってきました。ハリケーン・カトリーナの16年目の記念日です。

8月23日にバハマ南東部に発生したカトリーナは、29日早朝にメキシコ湾岸にカテゴリー4の強さで上陸、ミシシッピ州のガルフポート、ビロクシ、そしてルイジアナ州のニューオーリンズに甚大な被害を与えました。

都市部の大半が海抜以下にあるニューオーリンズのもろさが露呈した惨事でした。巨大なミシシッピ川とポンチャートレイン湖に挟まれたニューオーリンズはこれらの湖や川よりも低く、堤防が決壊するといっきに水が街中に流れ込んでしまうのです。

もともと1718年にニューオーリンズが設立された当初は、ミシシッピ川に面した現在のフレンチクオーター周辺のみの小さな町だったニューオーリンズ。川沿いのフレンチクオーター周辺は川の流れで作られた自然堤防のために比較的町の中でも海抜が高かった訳ですが、その外の大部分は当時は沼地で人が住める状況ではなかったと言います。そこに人が住むようになったのは20世紀になってからポンプの技術が発達してからのこと。そういう経緯もあるので、浸水するのはある意味当然な土地なのですよね。

でも、だからこその独特な街並み(中心部にいまだにバイユーが残っています)と独特の文化なんですよね。
今は日本からニューオーリンズまで出かけるのはなかなか難しいですが、また気軽に行ける日が早く来ますように。

毎年この時期はハリケーンの季節です。今年は、8月23日ごろ発生したハリケーン・アイダがキューバ西部に上陸した後、8月29日の夜にルイジアナ州に上陸する見込みだそうです。当初はカテゴリー4の強さで上陸するのではと言われていましたが、最新の予報では、いったんカテゴリー4になった後、カテゴリー3に落ちてから上陸する見込みとのことです。被害が大きくなりませんように!

ところで、昨年話題に出したハリケーン・カトリーナのドキュメンタリー映画「Forced Change」は昨年から各地の映画祭で公開が始まっています。見てみたいですね。
ハリケーン・カトリーナのドキュメンタリー映画(2015/3/18)
https://black.ap.teacup.com/sumori/1604.html


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【過去のハリケーン・カトリーナに関する書き込み】
1周年 (2006年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/36.html
3周年 (2008年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/161.html
8周年 (2013年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/1441.html
9周年 (2014年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/1564.html
10周年 (2015年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/1644.html
11周年 (2016年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/1708.html
12周年 (2017年)  http://black.ap.teacup.com/sumori/1751.html
13周年 (2018年)  https://black.ap.teacup.com/sumori/1797.html
14周年 (2019年)  https://black.ap.teacup.com/sumori/1856.html
15周年(2020年) https://black.ap.teacup.com/sumori/1907.html
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2021/8/18

ニューオーリンズのジャズフェスが今年も中止に  ニューオーリンズ

ニューオーリンズのジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルが中止になってしまいました。10月8日から17日まで、2週に渡って開催の予定でした。元々春に予定されていたものが秋に時期を変更した挙げ句中止。昨年と全く同じパターンを辿ってしまいました。

昨年とは異なり、今年は6月頃までは米国ではワクチン接種も進み、楽観的な雰囲気も広がっていました。ニューオーリンズでもイベントのキャパ緩和でライヴ・ハウスの営業が徐々に再開し、5月末にはセカンドライン・パレードも復活しました。

その後全米でのデルタ株広がりとともに状況は一変、感染は再拡大の局面に。ジャズフェスのキャンセルが発表された8月8日の翌日には、ルイジアナ州で確認された新規感染者は6,100人にのぼったとのことです。コロナのワクチンに対する是非が政治的な問題になっていることはよく言われていますが、ルイジアナ州は州全体としてはワクチン否定派が多い共和党の牙城。今日8月17日現在でもニューヨーク州やカリフォルニア州では1回接種を済ませている人が65%を超えているのに対し、ルイジアナ州では47%にとどまっており、それも中止の要因の一つになったと言われています。(ニューオーリンズを含むオーリンズ郡では60%程度とだいぶ高いのですが。)

7月の時点で、出演予定者の日割りも発表されていました。2019年にミック・ジャガーの入院によって中止になってしまったローリングストーンズが再び組まれ、主催者には今度こそ!という思いがあったと思います。しかし、今回も流れてしまいました。ストーンズはジャズフェスが中止となる寸前に、チャーリー・ワッツが健康上の理由により今回のツアーに参加しないことが発表されていました。感染再拡大により、ストーンズの今回のツアー自体も場合によっては危なくなるかもしれませんね。

ジャズフェス中止の発表から6日後、同じく10月に開催される予定だったフレンチクオーター・フェスティバルも中止が発表されました。このフェスも元々4月だったものが10月に移動していたものでした。10月に毎年開催されているヴードゥー・フェスティバルも6月の時点で早々に中止を発表しています。

一方、8月のサッチモ・サマーフェスは予定通り開催されたようです。

観光と音楽を売りにしているニューオーリンズにとって、大きなフェスの相次いでの中止は痛手であることは間違いないと思います。

いずれのフェスも2022年の通常開催を目指して動いているようです。今後の感染症の状況は予断を許しませんが、何とか無事開催できますように。
日本でも、オリンピックが感染爆発の中で開催され、まもなくパラリンピック、フジロック、スーパーソニックなどのイベントが控えています。それぞれ開催には賛否があると思いますが、大変なことになりませんように!本当に祈っています。
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