2021/12/18

深みを感じさせる菅原広巳さんの新譜  新譜情報

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ギターの弾き語りスタイルでトラディショナルなブルースを聴かせる菅原広巳さん。そのセカンド・アルバム「Fのゴスペル」がリリースになりました。

菅原さんはドロドロしたミシシッピ・デルタなどとは一線を画したフォーキーでストーリーテラー的な歌を特徴としています。新作でもその持ち味は健在。サポートに佐野篤(ザ・宇宙ステーションズ)、桜井芳樹(ロンサム・ストリングス)という二人のマルチプレーヤーが参加し華を添えますが、基本は弾き語りスタイルです。

19世紀に奴隷の身分から逃れるために箱に入って脱出をした男の実話を歌う「ヘンリー“ボックス”ブラウン」、黒人へのリンチ事件を窺わせる「松林の下で」、有名な1900年のイリノイ・セントラル鉄道の列車事故を歌った「ケイシー・ジョーンズ」など、繊細なフィンガーピッキングと共に古風なアメリカの情景が描き出されます。

レヴァランド・ゲイリー・デイヴィスの” Oh Glory, How Happy I Am”(「Fのゴスペル」)、”Cocaine Blues”(「コケインブルース」)、ジョン・ハートの”Candy Man Blues”’(「キャンディ売りの唄」)といったナンバーも日本語になり、新たな息吹を与えられています。英語で歌われた曲も多かった前作と比べると、今回はストレートなカヴァーとなったジョン・ハートの”Avalon Blues"1曲を除いて全て日本語。より物語の部分をダイレクトに感じることができるのも魅力です。

あとは、本作を聴いて印象に残ったのは弦楽器の音の響きの美しさでした。ひとつひとつはじく弦の質感、そして余韻。非常に気持ちいいのです。相当なこだわりを感じました。

ちなみにアルバムのジャケットの写真は、昔ながらの湿板写真カメラで撮影されたものだそうです。100年前の世界からタイムスリップしてきたような風情がいいですね。

ブルースをプレイする人は結構いますが、菅原さんのジョン・ハート的アプローチはとても独特なのではないでしょうか。前作もよかったんですが、今回は更に充実した内容に仕上がっていると思いました。

11月27日、アルバムのリリースにあわせたレコ発ライヴを新橋のAratetsu Underground Loungeで堪能しました。完全にひとりで、新作の曲を中心にたっぷり歌ってくれました。淡々と弾き語る菅原さんには派手なところはありませんが、深みを感じる内容でした。今後のご活躍にも期待したいです。

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菅原広巳 / Fのゴスペル (Sidecar Monkey Records SMSC-S1)
2021年11月13日発売
2,500円

1. Fのゴスペル
2. ヘンリー“ボックス”ブラウン
3. 松林の下で
4. Avalon Blues
5. 馬車は走る
6. キャンディ売りの唄
7. コケインブルース
8. はれるや
9. ケイシー・ジョーンズ
10. 三文オペラのモリタート
11. あと少し待てば

参加ミュージシャン
• 菅原 広巳(Vocal/Acoustic Guitar)
• 桜井 芳樹(5string Banjo/Mandolin/Lap Steel Guitar/Electric Guitar/Weissenborn/ 6string Tenor Ukulele/12string Acoustic Guitar)
• 佐野 篤(Cello/Violin/Flugel Horn/Valve Trombone/Doun Doun/Cajon/Snare Drum/ Shekere/Reed Organ/Chorus)
Producer 佐野 篤
Co-Producer Sidecar Monkey Project
Recording Studio クロッキースタジオ / tamako home recording
Art Director 宮野 義保

公式サイト http://suga-blues.com/

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「Fのゴスペル」発売記念LIVE より
2021.11.27 Aratetsu Underground Lounge
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2021/11/29

半世紀後に再現されたLayla  新譜情報

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Tedeschi Trucks Band featuring Trey Anastasio
Layla Revisited (Live at LOCKN')

デレク&ザ・ドミノスの1970年のアルバム「Layla And Other Assorted Love Songs」。

半世紀上経った2021年、テデスキ・トラックス・バンドがライヴ・アルバムという形でその完全な再現を試みました。僕の周囲でもこれは大きな話題になっています。

僕がこのデレク&ザ・ドミノスのアルバムをを手に入れたのは中3のときでした。2枚組のLPで購入。ターンテーブルで聴いていたのに加え、カセットテープにも録音し、通学、合宿先でも毎日のようにウォークマンに入れて聴いていました。本当に耳にタコができるくらいに。大好きでした。今でもその気持ちは変わりません。

そんな作品を、これまた大好きなテデスキ・トラックス・バンドが正面から取り組んだのですから、当然関心は湧きます。

きっとデレク・トラックスを始め、テデスキ・トラックス・バンドの面々にとっても思い入れのある作品なのでしょう。このような形の作品を出すのは彼らとしてはごく自然なことだろうと思います。でも、正直僕には響くものはありませんでした。

自然だとは思いますが、あまりにもやりそうなことすぎて、まず新鮮味がなかった。これが大きいです。もちろんやっている曲は死ぬほど聴きまくったものばかりですから、その点も新鮮味はないですし。

そして、このような形でやられてはオリジナルと比べるなというのは無理な話です。どうしても比べてしまいます。その結果、「オリジナルがあればいいだろう」という結論になってしまうのです。

彼らの演奏が悪いわけではありません。彼らのカラーも感じることができます。オリジナルではデュエイン・オールマンがゲスト参加して活躍していますが、TTBのこの作品ではフィッシュのトレイ・アナスタシオが入り好演しています。デレク&ザ・ドミノスもライヴでは演奏しなかったであろう”Thorn Tree In The Garden”は、デレク・トラックスとスーザン・デデスキがスタジオで演奏する形で収録しています。オリジナル作品では、メインのヴォーカルはクラプトンだったのに対し、TTBはスーザン・テデスキ。キーを彼女の声域に合わせて変えるという手もあったでしょうが、全部オリジナルのキーでやっているのも凄い。

こだわりは十分に感じます。しかし、それも僕にはこれまでのTTBの作品を聴いて感じたほどのワクワク感は与えてくれませんでした。

なぜだろう?と考えると、やはりオリジナルの作品に思い入れがありすぎるからなんだろうなと思います。どんなに素晴らしい仕事をTTBがやってくれたところで、オリジナルを前には勝ち目がないんないんです。

デレク&ザ・ドミノスではクラプトンが声が出ていないところがあったりもするし、完成度で言えばTTBの方が高いでしょう。でも、オリジナルの方は不完全な部分も含めて、ある意味完璧なんです。これはこうでなければならないと思ってしまうんです、どうしても。一曲や二曲取り上げるのならそんな固いことを言う気にもならないんです。でも丸ごとだとね。

もっとアレンジなどを大胆に変えてオリジナリティを出すという手もあったかも知れませんが、それをやられたら僕にはなおさら受け入れがたいものになっていたかも。なにせ以前オリジナル作のリミックス版が出た際、音のバランスが違っていることに違和感が拭えなかったくらいですから。保守的になってしまっていることは認めつつ、これはどう考えても企画自体が僕にとってはムリだったんだろうなと思いました。

多分、そこまで考えずに「いいんじゃん」と素直に楽しんでいる人の方が多いでしょうが、こんな意見もあるということで書いてみました。
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2021/10/29

さよなら、江古田俱楽部  ブルース

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江古田俱楽部が閉店します。西武池袋線江古田駅から歩いて数分、小さなお店でしたが40年以上の歴史を持つ老舗、知る人ぞ知るブルース・バーでした。8月6日にマスターの出原義史さんが急逝し、以後営業はしておりませんでしたが、今月末で退去するそうです。

先日、お店を覗きに行ってみたら、マスターの奥様やお店に出演していたミュージシャンの人たちが片づけをしていました。たくさんのアンプや本、レコードなどが並べられていました。これらの多くは、お店にゆかりのなる人の下に引き取られていくようです。

思えば初めて僕がお店を訪れたのは1990年代の半ばくらい、スカンクちかのさんがここでライヴをやるというので行ったのが初めてだったと記憶しています。その後は、ずっと行っていなかったのですが、一昨年ZYDECO KICKSのライヴを見に本当に四半世紀ぶりくらいに行きました。しかし、時間が止まったように見覚えのある光景がそこにはありました。店内の壁を埋め尽くす古いブルースのポスターや楽器、雑然としながらもなんだか落ち着く隠れ家的な空間。マニアックなお店のようで、嫌みなところのない気楽な雰囲気がありました。それは、マスターのお人柄がそういうお店を作ったのでしょう。お客さんは勝手に冷蔵庫を開け、自分でほしい飲み物を取って栓抜きで開け、お代を置いていくセルフサービス。そんなシステムも慣れれば心地よいんですよね。

昨年2020年は、幸運にも3回ほどお店に行く機会がありました。

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Delta Beat@江古田倶楽部(2020.12.22)

「今度、いろいろお話をきかせてもらえないでしょうか?ウェブでお店を紹介したいんです」

これだけ長い間お店をやられているマスターなので面白い話が聞けるのではないか、そう思いマスターに聞いてみたら「いいよ」と快諾いただきました。しかし、コロナやマスターの入院でお店が営業できない日々が続き、お話を聞くことはかないませんでした。とても残念です。

皆「エコクラマスター」と呼んでいたので、僕はお名前すら知りませんでした。昨年お話しした際、お歳は73歳だと言われていたので、74歳だったのでしょうか。近年は体調がよくなかったようでしたが、よく東長崎のCREOLE COFFEE STANDまでお散歩していたそうです。

僕は常連と呼ぶには程遠いですが、久しぶりに訪れても変わらずに待っていてくれたこのお店がなくなってしまうことに淋しさを感じています。

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エコクラマスター、出原義史さん (2020.7.17)
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2021/10/25

BLUES & SOUL RECORDS 162号発売  BSR誌

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ブルース&ソウル・レコーズ162号が10月25日、発売になりました。159号に続くアリサ・フランクリン特集です。今回は映画「リスペクト」公開に合わせた内容となっています。前回は「アメイジング・グレイス」。今年はアリサの当たり年ですね。前回アリサのディスク・ガイドはやっているので、今回は他のR&B〜ソウル系音楽伝記映画、ライターが選ぶ女性シンガー愛聴盤100を別冊で付けるなど視点を変えた内容となっています。

このブログでも取り上げたマディ・ウォーターズの1954年のライヴ盤も小出斉さんの4ページに渡る解説とライター3氏のクロスレビューという形で大々的に取り上げられました。

僕は、今回キャロル・フランの追悼記事を書きました。彼女の足跡を追う3ページに渡る記事+6枚のオリジナル・アルバムを紹介するディスクガイドです。実はこのガイドのうち2020年リリースの遺作LPは亡くなったことを知ったあとにルイジアナから取り寄せたので、間に合わないかもとドキドキでした。原稿締め切り前日に届きました。何とかねじ込めてよかったです。改めて彼女の作品をつぶさに聴き、素晴らしい歌手だったなぁとしみじみと思いました。

他、吾妻光良氏によるロイ・ゲインズ追悼大特集。これも面白かったです。

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BLUES & SOUL RECORDS NO. 162
2021年10月25日発売
定価: 1,980円(1,800円+税)
https://bsrmag.com/magazine/bsr162/

表紙 ジェニファー・ハドソン(映画『リスペクト』より)
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今秋日本で劇場公開される映画『リスペクト』は「ソウルの女王」として知られるアリサ・フランクリンの物語を元にした音楽エンタテインメント。アリサ自身が指名した主演のジェニファー・ハドソンの熱演はすでに国内外で高い評価を得ており、多くの人々の心に触れたアリサの音楽を楽しむだけでなく、彼女の生き様をしっかり伝えてくれる話題作です。映画の見どころや、公開に合わせて発売されたCD4枚組セット『アレサ〜ザ・グレイテスト・パフォーマンス(デラックス)』の紹介など、『リスペクト』をさらに楽しむ特集です。
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★ 映画『リスペクト』を観る─クロス・リヴュー
【1】自分を解き放つ そのための歌[妹尾みえ]
【2】闇の中でつかんだ光[新井崇嗣]
【3】潔さがもたらした真実[鈴木啓志]
★ ジェニファー・ハドソン 飾らない歌でたどりついた『リスペクト』[荘治虫]
★ 『リスペクト』オリジナル・サウンドトラック収録曲解説[編集部]
★ 81曲で綴るアリサのストーリー/CD『アレサ〜ザ・グレイテスト・パフォーマンス(デラックス)』[菅波ひろみ]
★ R&B〜ソウル系音楽伝記映画4選[小出 斉]
『ドリームガールズ』『Ray/レイ』『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』『ティナ/TINA』
★ まだまだある“事実を基にした物語”/R&B〜ソウル系音楽伝記映画あれこれ[小出 斉]
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【別冊付録/ライターが選ぶ女性シンガー愛聴盤100─ブルース/ソウル/ゴスペル/ジャズ/R&B】
映画『リスペクト』のモデルとなったアリサ・フランクリンは、ソウルの発展に大きく寄与したことで知られますが、ゴスペル、ブルース、ジャズ、R&Bなど、ひとつのジャンルに縛られないシンガーとして活躍しました。今号の別冊付録では、10人のライターが女性シンガーのお気に入りのアルバムを10枚選び、ブラック・ミュージックの世界の素晴らしいシンガーを紹介します。
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【その他の主な記事】
● 驚嘆! マディ・ウォーターズ1954年ライヴ発掘![小出 斉]
クロス・リヴュー鈴木啓志/山田哲也(Walter’s Juke)/濱田廣也]
● 追悼 ロイ・ゲインズ─良質でファンキーなブルースを残した、生涯いちブルースマン[吾妻光良]/アルバム選[ワダマコト]
● 追悼 キャロル・フラン─可憐な歌声で魅了したスワンプ・ブルースの歌姫[陶守正寛]
● デニース・ウィリアムズのコロンビア/ARC期作品CD8枚組セット[高橋 誠]
● 中河伸俊著『黒い蛇はどこへ 名曲の歌詞から入るブルースの世界』を読む[柴崎祐二]
● 注目作をじっくり鑑賞する「語りたい逸品」コーナー
*ティト・ジャクスンのブルース・アルバム[小出 斉]
●[新作アルバム・リヴュー]アーマ・トーマス/セドリック・バーンサイド/ライトニン・ホプキンス/ウィスパーズ 他
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【連載】
☆ 永井ホトケ隆 好評連載「Fool’s Paradise」第10回
☆ KEEP ON KEEPIN’ ON ソウル/ファンク名盤のメッセージを読む 第5回 ギル・スコット=ヘロン『ピーセズ・オブ・ア・マン』/中田 亮
☆ SONS OF SOUL/林 剛 ☆ ゴナ・ヒット・ザ・ハイウェイ〜西海岸と南部を結ぶ「I-10」沿道音楽巡り/日向一輝
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦×編集部H
☆ フード・フォー・リアル・ライフ 〜歌詞から見るブルース&ソウルの世界/中河伸俊
☆ 小出斉の勝手にライナーノーツ「SUGAR PIE DeSANTO / Hello, San Francisco」
☆ リアル・ブルース方丈記/日暮泰文
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル VOL.91 「Uptite」
☆ ゴスペル・トレイン「クリスチャネアーズ」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.238/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルが流れる店/轟美津子
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか
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2021/10/20

追悼Warren Storm 1937-2021  R&B/ソウル

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Warren Storm
New Orleans Jazz & Heritage Festival, 2006
(c)Photo by Masahiro Sumori.

2021年9月7日、スワンプ・ポップのゴッドファーザー、ウォーレン・ストームが亡くなりました。84歳でした。ごく最近まで元気で活躍を続けており、2019年にはアルバム「Taking The World, By Storm」をリリースしています。

しかし8月中旬に新型コロナに感染し、入院治療を続けていたそうです。直接の死因は心不全とのこと。

2015年の映画「I AM THE BLUES(アイ・アム・ザ・ブルース)」に出演していたのを覚えている人もいるでしょう。同じくこの映画に出演していたキャロル・フランもウォーレンの1週間前に亡くなってしまいましたが、彼女とは同じ南ルイジアナ出身で、50年代からの旧知の仲でした。

ウォーレンはドラマーでしたが、歌手としても50年代から多くのシングル盤をリリースしています。

1937年2月18日、ルイジアナ州アビヴィルに生まれ育ったウォーレン。ケイジャンの家系で、幼少期はフランス語しか話せなかったといいます。本名はウォーレン・シェクスナイダー。父親がミュージシャンだったため、その影響で12歳から音楽活動を開始。1950年代に入ると同郷のボビー・チャールズと知り合い、一緒にニューオーリンズに出かけファッツ・ドミノら当時シーンを賑わせていた音楽に触れることになりました。

彼は最も影響を受けたドラマーとして、ヒューイ・スミスらと活動をしたことで知られるチャールズ・“ハングリー”・ウィリアムズの名を挙げています。

やがて彼はエクセロ・レーベルのJ.D.ミラーと知り合い、彼のクロウリーのスタジオで初レコーディング。1958年、ナッシュヴィルのレーベル、ナスコよりシングル“Prisoner’s Song”がリリースとなっています。また、セッション・ドラマーとしてもケイティ・ウェブスター、ライトニン・スリムなど、エクセロ・アーティストのレコーディングに多く参加しました。



1963年頃にはスワンプ・ポップのシンガーとして著名なロッド・バーナード、スキップ・スチュワートとザ・ションデルズを結成して活動。またソロでも、ロッコ、ドット、ジン、シンシア、アトコなどのレーベルからシングルのリリースを続けました。



ションデルズは1970年には解散してしまいますが、その後もソロでの活動は続き、1970年代はショータイム、スターフライト、クレイジーケイジャンなどのレーベルからシングルをリリースしました。1980年代以降はアルバム単位のリリースもするようになっています。

2000年頃からはスティーヴ・ライリー、C.C.アドコック、デイヴィッド・イーガンらとともにスワンプ・ポップ・グループ、リル・バンド・オ・ゴールドを結成し活動。同グループの3枚目「Plays Fats」(2012年)はファッツ・ドミノへのトリビュート作で、ロバート・プラント、ルシンダ・ウィリアムズ、アニー・ディ・フランコなど豪華ゲストを迎え、注目を集めました。


ウォーレンの歌がフィーチャーされた
リル・バンド・オ・ゴールドの7 Letters(ファースト収録)


2003年には、ソロとしてブルース・アルバム「Dust My Broom」もリリース。2010年には、ルイジアナ音楽の殿堂入りを果たしています。

ウォーレンは、リル・バンド・オ・ゴールドについては、3枚目のアルバムのリリース後、ツアーを嫌い脱退してしまいましたが、その後もサックス奏者のウィリー・ティーと組み、ラファイエット界隈で元気に活動を続けていたようです。僕は彼を最後に見たのは、2016年のニューオーリンズのジャズフェスでした。あの時点で79歳でしたが、スタンドアップシンガーとしてマイクを握り、熱唱していたのを覚えています。朗々と歌う姿に歳は感じさせませんでした。

2019年には前述のソロ・アルバム「Taking The World, By Storm」のリリースに加え、同名の自伝も出版しています。これは、ケイジャン・ミュージシャンのイヴェット・ランドリーとの会話を起こす形のものでした。

ルイジアナの音楽を彩ったヴェテランの突然の死に言葉もありません。残念です。RIP。

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Warren Storm
New Orleans Jazz & Heritage Festival, 2016
(c)Photo by Masahiro Sumori.


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[WARREN STORM DISCOGRAPHY]

Albums
1974年 At Last... (Showtime) Warren Storm And Bad Weather
1978年 Family Rules (Crazy Cajun)
1980年 Sincerly (Master-Trak)
1984年 Heart N' Soul (South Star)
1989年 Cajun Born (La Louisianne) with Johnny Allen and Clint West
1994年 Night After Night (Jin)
2002年 The Godfather Of Swamp Pop (HLE)
2003年 Dust My Broom (St. George)
2008年 Warren Storm - Willie Tee and Cypress (Jin)
2012年 Swamp Pop Jukebox (Jin) with Willie Tee & Cypress
2018年 Country By Storm (Jin)
2019年 Taking The World, By Storm (APO)
2020年 Warren Storm with Herb Landry & The Serenaders, Live 1957 (Swamp Pop Records)
    ラジオ放送用にレコーディングされていたヴィンテージ録音のCD化

Lil’ Band O’ Gold – Albums
2000年 Lil’ Band O’ Gold (Shanachie)
2010年 The Promised Land: A Swamp Pop Journey! (Room 609)
2012年 Plays Fats (Dust Devil)

Compilations
1964年 The Shondells At The Saturday Hop (La Louisianne) The Shondells recordings
1978年 Warren Storm & Johnny Allen (Crazy Cajun) compilation with Johnny Allen
2000年 King Of The Dance Halls (The Crazy Cajun Recordings) (Edsel)
2015年 The Bad Times Make The Good Times: Classic Texas Recordings 1964-1986 (Ace)
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