2020/6/13

ジョニー・バーギンの新譜で日本のブルースシーンが世界にはばたく  ブルース

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Johnny Burgin & Special Guests / No Border Blues

大げさな言い方のようですが、ある意味このアルバムは革命的な作品だと思います。

長年シカゴで活躍したブルース・ギタリスト、ジョニー・バーギンの新譜。実際聴くまでは、ここまで日本のミュージシャンが大々的にフィーチャーされているとは思いもよりませんでした。これは実質的にはジョニーのソロ作品というより、彼と日本のミュージシャン達の作品と言っていいと思います。随所に楽器でフィーチャーされているのはもちろん、リード・ヴォーカルも半分以上は日本のミュージシャンたちが取っています。

それがアメリカでも最も歴史のあるブルース&ジャズ・レーベルのデルマークからリリースとなったのですからこれは大事件です。

日本で初めてブルース・ブームに火がついて半世紀近く。その間数多くのブルース・ミュージシャンたちが日本のシーンを盛り立ててきました。その中には渡米して活躍する人もいましたが、このように日本のブルース・シーンの一角をそのまま切り取るような形で、米国盤CDが出るのは初めてのことではないしょうか。

僕は、先日デルマークの担当者に感想を送りました。
「これは正直言って驚きました。日本のブルース・クラブで聴くサウンドそのもの。アメリカのリリースじゃないみたい。アメリカのファンにこのサウンドが受け入れられるのか非常に興味があります」と。

僕はすげーなと思ったので、率直にそれを伝えたつもりでしたが、彼は僕があまり気に入ってないと取ったらしいです。

すると、このアルバムのプロデューサーでジョニーの奥さんでもあるステファニー・タイスさんにそれが伝わり、彼女から「気に入ってくれなくて残念」というメールが届きました。

いやいやいや、違うんだよ、ステファニー。これは凄いことだと思うよ、本当に。彼女は、レコーディングする随分前からこのプロジェクトに相当力を入れていたので、相当リスナーの反応を気にかけていたのでしょう。

参加した面々は、いつものノリノリなプレイをのびのびとやっている感じです。Lee、大野木一彦ペアでハモるBなんかすごくいい雰囲気だし、Kotezなんかリトル・ウォルターの名曲を日本語で歌っちゃってます。ジョニーは5曲で歌いますが、「俺が俺が」ではなく、あくまでもバンドの一員という感じですね。楽しそうなセッションです。

本当はジョニーはこのアルバムを引っ提げて5月に来日し、ここで共演した人たちとも一緒にプレイする予定でした。コロナのせいで流れてしまい、出鼻をくじかれたのは残念ですが、ツアーは中止ではなく延期です。近いうちにきっと実現するでしょう。

本作は、日本では米国に先駆けPヴァイン・レコードより4月22日に発売となりました。そしていよいよデルマークからの米国盤が6月19日にリリースとなります。向こうでどのような反応があるか楽しみですね。

Johnny Burgin & Special Guests – No Border Blues
ジョニー・バーギン / ブルースに国境はない
(US: Delmark DE863/JP: P-Vine PCD-24937)

1. One Day You're Gonna Get Lucky (Carry Bell Harrington)
2. Sunnyland (James/Josea)
3. So Crazy About You (Tampa Red)
4. Hurry Up Baby (Johnny Burgin)
5. Pumpkin's Boogie (Kanehira/Kunze)
6. I Just Keep Loving Her (Mada Sukinanda) (Walter Jacobs)
7. Rattlesnake (John Brim)
8. Old School Player (Johnny Burgin)
9. Two Telephones (Bridge/Redd/Thompson)
10. Samurai Harp Attack (Onishi/Nogio/Kotez)
11. Sweet Home Osaka (Robert Johnson)

[参加ミュージシャン]
KOTEZ(hca, vo)、Lee Kanehira(p, vo)、NACOMI(vo)、大野木一彦(hca, vo)、Zee(b)、ヨシ水野(g)、平田よしみ(b)、アイパー大西(hca, vo)、鈴木暖(ds)、TAKAGIMAN(ds)
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2020/6/11

ミシシッピのラジオ局WABGに救いの手を!  ブルース

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綿花畑が広がるミシシッピ州グリーンウッドにある小さなコミュニティAMラジオ局、WABG (Awesome A.M. 960 KC)が存亡の危機に瀕しており、彼らを救うためにオンライン署名サイトが立ち上がっています。

WABGはブルースをはじめとするミシシッピデルタの音楽を新興、保存することを目的とした局ですが、他州から参入したラジオネットワーク企業Delta Radio Network(DRN)が競合を潰すために動いており、WABGもその標的になっているとのことです。

彼らは当初WABGに買収を持ちかけたものの断られ、その結果方針を変えてWABGの放送免許を奪うために動いているそうです。WABGの放送免許は今月更新期を迎えますが、DRNはFCC(米国連邦通信委員会)に働きかけ、同局の放送免許を更新しないように圧力をかけているとのことです。

彼らのような草の根的な活動をするラジオ局の存在はブルースのコミュニティにとって死活的に重要であり、一企業の圧力によって廃業追いやられるのを黙って見過ごすことはできません。

是非、日本の皆さんもご支援をお願いします。

因みに、WABGの設立者でゼネラル・マネージャーのジェイムズ・ポー氏は、日本の一部ブルース・ファンにもよく知られた存在です。何度か来日して日本のアーティストやお店をラジオ番組で紹介したこともあります。

WABGはローカルのAMラジオではありますが、日本からでも公式サイトから聴くことができますので、ぜひ聴いてみてください。

WABG公式サイト
http://www.awesomeam.com/

存続運動署名サイト(WABG Radio License Renewal)
https://secure.avaaz.org/en/community_petitions/federal_communications_commission_fcc_wabg_radio_license_renewal/
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2020/5/20

追悼!ラッキー・ピーターソン 1964-2020  ブルース

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Lucky Peterson初来日公演(1995)のチラシ

まさに青天の霹靂。5月17日、ラッキー・ピーターソンが亡くなりました。彼のfacebookページによると、ダラスの自宅で具合が悪くなった彼は危篤状態で病院に搬送されたものの、回復することなく米国中部標準時(CST)5月17日午後2:25に帰らぬ人となったとのことです。

https://www.facebook.com/LuckyPetersonMusic/photos/a.154262927954185/2953262278054222/?type=3&theater

死因については触れられていませんが、急なことだったようです。昨年(2019年)は新作「Just Warming Up!」をリリースしていますし、先月4月27日はオンラインで自宅からの演奏も配信しています。特に具合が悪そうではありません。

大好きなアーティストが亡くなってしまうことは少なからずありますが、ラッキーが亡くなるとは思いもよりませんでした。だってまだ55歳ですよ。近年もバリバリ活躍していましたし、ビックリしすぎて言葉を失いました。

1964年12月13日、ニューヨーク州バッファロー生まれ。ブルースマンのジェイムズ・ピーターソンを父親に持つ彼は幼い頃から音楽活動を始め、わずか5歳のとき(1969年)ウィリー・ディクソンのプロデュースの下、デビュー・アルバム「Our Future: 5 Year Old Lucky Peterson」をリリースしています。初めて日本にやってきたのは1983年4月。リトル・ミルトンのバンドのキーボード奏者としてでした。この時点でもまだ10代です。

その後1995年、2000年とソロ・アーティストとしても来日しています。僕はどちらも見に行きましたが、やり過ぎなくらい全力で疾走するステージは圧巻でした。

ギターを弾きまくり、オルガンも弾きまくり、客席に乱入し、ギターを弾きながら会場から出て行ってしまう。そんな爆走ステージが終わり、客席の照明が点くと、もう後ろのカウンターに座っていたのを覚えています。しかも汗だくでゼーゼーいいながら。(笑)彼には、「ひと仕事終えて楽屋で休む」という概念はなかったのでしょうね。

リーダー作は、アリゲーター、ジタン、JSPなどのレーベルから数多く出ています。プリンスやスティングをカヴァーしてみたり、ジャズにも触手を伸ばしたりと、音楽性は幅広かったですが、根底にはいつもブルースがあったのではと思います。

勢い命という感じで、味で聴かせるタイプではありませんでしたが、セッションマンとしては、相手の持ち味を理解した好演が多く、そこはさすがベテランです。メイヴィス・ステイプルズと組んだCD「Spirituals & Gospel」(1996年)などはバンドもなくシンプルな作品ですが、メイヴィスの歌を引き立てる渋いプレイが光っていました。最近では、クリスタル・トーマスの新譜「Don't Worry About The Blues」(2019年)でも元気な演奏を聴かせていたのが思い出されます。

まだまだこれからの活躍に期待していたのに、本当に残念。暴れ足りない分はぜひ天国でお願いします。

2020/05/22追記
ラッキー・ピーターソンの死因については公式な発表はないものの、彼の長年の友人で彼のバンドのギタリストでもあったショーン・ケラーマンによると、脳卒中だったとのことです。やはり本当に急なことだったようです。
https://www.wbgo.org/post/lucky-peterson-bluesman-prodigious-gift-both-organ-and-guitar-has-died-55
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2020/5/15

Percy Mayfieldを聴こう!  ブルース

パーシー・メイフィールドというブルース・シンガーが僕は本当に好きです。

ブルースっていうとギターがゴリゴリだったり、泥臭いやつも大好きなんですが、パーシーはそういうサウンドとは対極にあります。メローで、どこかすっとぼけた雰囲気もあり、バラード中心で、パンチが効いているわけでもない。でも、でも、沁みるんですよね。いろいろなものを聴いて最終的に帰ってくるべき心のふるさとというか、そんなおもむきがあります。

彼はシンガーとしても素晴らしいですが、それ以上にソングライターとしての才能がブルースの世界の中でもずば抜けています。一ひねりあるウィットの効いた歌詞が多く、ブルースの詩人などと称されています。

生まれはルイジアナ州ながら長年ロサンゼルスで活躍し、1984年に亡くなったパーシー。絶頂期の50年代に交通事故で瀕死の状態となり、以後ステージに立つ機会はめっきり減ったようです。

特に後年はあまりピリッとしなかったという話もありますが、それでもいいので一度生で見てみたかった人です。僕がブルースにはまり出したのが1982年ごろ、ロサンゼルスでブルースのライヴに行くようになったのが1985年くらい。何だか惜しいニアミス(と勝手に思っています)。

そんな彼、名曲が多い中で一番有名なのが"Please Send Me Someone To Love"(1950年)という曲です。ブルースとしては珍しく世界平和という壮大なテーマを語っているのが印象的なのですが、この曲の面白いところは、「If it’s not asking too much」と、ついでに付け足す感じで神様に「私は恋人がほしい」とお願いするところなんですよね。次元の違いすぎることをついでに混ぜてくる(そして実はそっちが本題!)ところが妙に親近感が沸くというか、ブルースだなぁと思ってしまいます。シンプルながら本当に奥深い歌詞です。

世界が政治やら人種・民族問題やらなにかと対立を深める今こそ、説得力があるなぁと思ってしまうんです。和みます。くだらない対立なんてやめようよ、本当にそういう気持ちになる曲です。

とても多くの人がカバーしていて、名演は多いですが、僕はなんだかんだで、このオリジナル・バージョンが一番好きです。ぜひ今一度パーシー・メイフィールドの魅力をご堪能ください。
歌詞の和訳を付けてみました。↓↓↓



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Please Send Me Someone to Love (1950)
和訳:陶守正寛

天の神様
全ての人類に思いやりと心の平和をもたらしてください
そして、もし大変でなければ
私に愛する人をいただけませんか

世界の人々に仲よくする術をお教え下さい
憎しみがなくなれば、やがて平和が訪れるでしょう
そして、もし大変でなければ
私に愛する人をいただけませんか

眠れない夜、私は世界のもめ事に思いを馳せます
そして、いつも同じ結論に達するのです
人類がこの忌まわしい罪を終わらせなければ
憎しみが世界を炎で包むことになるでしょう
残念なことです

私が惨めな気持ちになったとしても
同情を請うたりしません
でも、もし大変でなければ
私に愛する人をいただけませんか

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Please Send Me Someone to Love (1950)
Words and music written by Percy Mayfield
©Sony/ATV Music Publishing LLC

Heaven please send to all mankind
Understanding and peace in mind
But if it's not asking too much
Please send me someone to love
Someone to love

Show all the world how to get along
Peace will enter when hate is gone
But if it's not asking too much
Please send me someone to love
Someone to love

I lay awake nights and ponder world troubles
And my answer is always the same
That unless men put an end to this damnable sin
Hate will put the world in a flame, what a shame

Just because I'm in misery
I don’t beg for no sympathy
But if it's not asking too much
Please send me someone to love
Please send me someone to love
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2020/4/27

ボビー・ラッシュ、新型コロナ(?)から復帰宣言  ブルース

ボビー・ラッシュが新型コロナウイルス感染症らしき症状で自宅療養中であることをfacebook上で公表していましたが、4月22日付の書き込みで、自ら復帰宣言をしました。心身ともに状態はよく、医者からも問題なしとお墨付きを得たそうです。

4月9日の書き込みでは「検査結果は出ていないものの、熱、身体の痛み、食欲不振、咳、体力の減少などCOVID-19に一致する症状が出ている」としていました。

4月17日付けのThe New Tri-State Defender紙の記事では、4月20日まで強制隔離措置が続くとしており、その間彼の自宅にはミシシッピ州から毎日2食の配達があるとのことでした。

結局、復帰宣言でも新型コロナが陽性だったのかについては明言していないのですが、隔離されていたことからすれば陽性だったということなのでしょう。

ボビーもかなりのご高齢(諸説ありますが、80歳代なかばくらいと思われます)なのでとても心配でした。なにはともあれ無事回復してよかったです。三月末まではオンラインで動画を配信するなど、音楽活動を続けていたボビー。今の状況からすると暫くはツアーを行うのは難しいと思いますが、今後の活動にも期待したいです。
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