2015/6/23

ホームズ・ブラザーズのウェンデル・ホームズ、逝く  ブルース

ホームズ・ブラザーズのウェンデル・ホームズが6月19日、メリーランド州ローズデイルの自宅で亡くなりました。71歳でした。今年4月に肺高血圧のため演奏活動からの引退を発表したばかりでした。バンドのギタリストであり、ピアニストでもあり、メインのヴォーカリストでもあった彼が亡くなったことにより、ホームズ・ブラザーズの長い歴史に終止符が打たれることになります。今年1月9日にはドラマーのポプシー・ディクソンが膀胱ガンのため他界しており、残るはウェンデルの兄でベーシストのシャーマンひとりとなってしまいました。彼は、シャーマン・ホームズ・プロジェクト名義でホームズ・ブラザーズの伝統を継承していく姿勢を示しています。

昨年(2014年)、アルバム「Brotherhood」で変わらぬ元気なところを聴かせてくれたのですが、もう彼らのパワフルな演奏を生で聴くことができないと思うと非常に淋しいものがあります。

声域の異なる3人による絶妙なコーラスワークはたった3人でゴスペルのクワイヤを聴いているようでもありました。圧倒的なパワーでゴスペル、ブルース、ソウル、はたまたカントリーまでを縦横無尽にプレイする彼らの演奏は痛快でした。彼らは2002年に一度だけ来日し、パークタワー・ブルース・フェスでその魅力を余すところなく披露してくれました。

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来日時の3人(Dec. 14, 2002; 新宿パークタワー・ホール楽屋にて)
左からSherman Holmes, Popsy Dixon, Wendell Holmes
(c)Photo by Masahiro Sumori.

来日時に、僕は3人にインタヴューすることができましたが、ゴスペル界の中にはブルースを悪魔の音楽として拒む人もいるという現実をどう思うか聞いた際のウェンデルの答えが印象に残っています。

「聖書には、イエスが婚礼の席で水をワインに変えたと書かれている。僕が思うにイエスはジューク・ジョイントでプレイすることを悪いとは思わないはずさ。彼はパーティ好きだったんじゃないかな(笑)」と。(ブルース&ソウル・レコーズ誌 No. 50, P.90)

彼のこの発言が宗教的にどうなのかはおいといて、僕は妙に納得してしまいました。いかにもホームズ・ブラザーズらしいと思いました。

シャーマンとウェンデルの2兄弟に、ドラマーのポプシーが加わりバンドが立ち上がったのが1979年頃。1989年にラウンダーからアルバム「In The Spirit」で表舞台に躍り出ます。

ホームズ・ブラザーズは、通算11枚のアルバムを発表。2014年には日本の人間国宝に相当する米国芸術基金のナショナル・ヘリティッジ・フェロウシップを授与されています。

ウェンデルは、亡くなる前にホスピスケア下に入り、友人とファンに対するお別れのオープンレターを書いていました。その内容は自らの死が近いことを悟り冷静に人生を振り返るものでとても感動的だったので、勝手ではありますが、和訳して紹介したいと思います:

原文はこちら

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《ウェンデルが友人、ファンに宛てたオープンレターの全文和訳》

私はこの手紙を書き、ホスピスケアを受けながら故郷に戻る準備をしています。ホスピスのよいところは、愛する人、大切にしている人に対して言いたかったことを言う時間を与えてくれることです。私と妻のバーバラに対し愛情を示してくれた多くの友人たちに「ありがとう」をいう機会が与えられたことを、私は嬉しく思います。

私の人生の友人になってくれてありがとう。あなたがたは沢山のカード、手紙、電話、自宅と病院へのお見舞い、オンラインでの暖かい言葉を通じて気にかけてくれていることを示してくれました。そして、もっと大切なのは私のために祈ってくれたことです。とても感謝しており、畏敬の念に心を揺さぶられる思いです。それは、私にとって大きな意味があることなのです。

エイブラハム・リンカーンは「世界は、我々がここで述べることにさして注意を払わず、長く記憶にとどめることもないだろう。しかし、彼らがここで成した事を決して忘れ去ることはできない」と言いました。もちろん私はリンカーンではありませんが、彼の言葉の中には真実があると思います。私が書いた曲であれ、歌ったものであれ、あるいはプレイしたメロディのほんの一部であっても、私の音楽が長く人々の心に残れば嬉しいと思います。

私の話を聞いてくれる人に対して、私は「何でも自分ひとりではないんだよ」と言うことにしています。私の人生の旅路が本当に楽しいものであったことは神のすばらしき恵みのおかげなのです。また、今日までの素晴らしい人生の道のりは、あなたがたのおかげなのです。ありがとう。

皆さんを愛しています。そして、あなた方全てに神のご慈悲があらんことを!

ウェンデル・ホームズ

追伸)私の兄、シャーマンが今後ホームズ・ブラザーズの伝統をブルックス・ロング、エリック・ケネディとともにシャーマン・ホームズ・プロジェクトを通じて継承していきます。彼に対するサポートとその音楽を楽しんでもらえればありがたいと思います。


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Rest in peace, Wendell. And thank you!

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ニューオーリンズのタワーレコードでのインストアライブ
(Apr. 28, 1997, New Orleans, LA, USA)
(c)Photo by Masahiro Sumori.
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タグ: 訃報 gospel R&B
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