2018/6/8
エリック・クラプトンの映画公開決定 ロック
ミュージシャンの伝記映画が流行りの昨今ですが、この秋、エリック・クラプトンを取り上げた映画が日本で公開されることが決定しました。
タイトルは「エリック・クラプトン〜12小節の人生〜」(原題:Eric Clapton: A Life In 12 Bars)。麻薬やアルコール中毒、息子の事故死など、波瀾万丈な彼の人生に焦点を当てた2時間以上に渡る生々しいドキュメンタリーです。
先日一足先に試写会で見る機会がありましたので、紹介したいと思います。
タイトルになっている「12小節」とは、言うまでもなくブルースの音楽フォーマットのことを意味します。なので、エリックがいかにブルースに取り憑かれていたかに焦点が当たる前半部分はある意味期待通りの内容です。映画は冒頭、エリック本人によるB.B.キングへの追悼メッセージから始まり、内向的にブルースにどんどんのめり込んでいった若き時代が描き出されます。
しかし、映画全体としては「ブルース」は音楽のジャンルというよりは、エリックの人生における苦悩という意味合いが強いです。幼少期に実の母から受けた拒絶に対するショックから始まり、クリームのメンバー同士の激しい対立、結局うまくいくことはなかったジョージ・ハリソンの妻パティとの関係と映画は進んでいきます。
そして、麻薬中毒に陥り表に出ることがなくなってしまった日々、死の淵まで彼を追いやったアルコール中毒と奇行の数々。この映画では、華々しいエリックのキャリアの表の部分ではなく、本人は思い出したくないであろう陰の部分にあえて切り込んでいます。彼と親交のあった人々はもちろん、本人も当時を振り返りながら語っているのがこの映画を価値のあるものにしている部分でしょう。全ては過去となった今だから、語ることができたということだろうと思います。
続いて、ストーリーは名曲”Tears In Heaven”を生むことにつながった最愛の息子コナー君の転落事故死へ。生前のコナー君の映像も流れる中で描き出されるこの悲劇には、思わずうるっと来てしまいます。
とても見応えのある映画で、クラプトン・ファンは必見だと思います。貴重な資料映像も見応えがあります。ヤードバーズのテレビ出演映像、ブラインドフェイスのライヴ映像、チャック・ベリーの映画「ヘイル!ヘイル!ロックンロール」のメイキング映像なども登場します。
ただ残念な部分があるとすれば、関係者の証言の殆どが音声のみなことで、次々出てくるため誰の発言なのかややわかりにくい点です。
またそれぞれ、いつの発言なのかわからないのも残念です。同じ人に語らせても今聞くのと30年前に同じ質問をしたのでは当然答えは変わってくるはずですが、音声のみだといつ頃のインタビューなのか想像がつかないし、字幕では人の名前はもちろん記載されていますが、発言の時期までは触れていないのです。
個人的には、パティがクラプトンと過ごした日々を語っている部分は非常に興味深いと感じました。彼らは出会っていたシチュエーションやタイミングがよければ、もしかしてうまく行ったのかも知れない、そんな印象を持ちました。
尚、配給会社のポイントセット側の資料では「関係者のインタビューを極力排除している」とあり、この資料に沿ったニュース記事が出回っています。しかし、実際には上記の通りインタビューがこの映画の肝となっています。インタビュー映像が少ないという意味なのかも知れませんが、誤解ないように強調しておきたいと思います。
映画の公開日はまだ決まっていないそうですが、秋よりTOHO シネマズ シャンテほか全国公開となることが決定しています。
——
STAR CHANNEL MOVIES作品
『エリック・クラプトン〜12小節の人生〜』
今秋、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:リリ・フィニー・ザナック(『ドライビングMissデイジー』製作)
製作:ジョン・バトセック(『シュガーマン 奇跡に愛された男』、『We Are X』)
編集:クリス・キング(『AMY エイミー』)
音楽:グスターボ・サンタオラヤ(『ブロークバック・マウンテン」)
出演ミュージシャン:エリック・クラプトン、B.B.キング、ジョージ・ハリスン、パティ・ボイド、ジミ・ヘンドリックス、ロジャー・ウォーターズ、ボブ・ディラン、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・ビートルズ etc.
配給:(株)ポイント・セット
2017年 イギリス
英語/ビスタ/135分
原題:ERIC CLAPTON : LIFE IN 12 BARS
日本語字幕:佐藤恵子
公式サイト
http://ericclaptonmovie.jp/
——
オリジナル・サウンドトラック
エリック・クラプトン − ライフ・イン・12・バーズ(仮)
2018年6月8日発売
2枚組2,980円+税 UICY-15738/9 日本盤特典 解説・歌詞対訳付
<収録曲>
DISC ONE
ビッグ・ビル・ブルーンジー / バックウォーター・ブルース
マディ・ウォーターズ / マイ・ライフ・イズ・ルーインド
マディ・ウォーターズ / アイ・ガット・モジョ・ワーキング(ライヴ・アット・ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル 1960)
ヤードバーズ / アイ・ウィッシュ・ユー・ウッド
ヤードバーズ / フォー・ユア・ラヴ
ジョン・メイオール&ブルースブレイカーズ / ステッピン・アウト
ジョン・メイオール&ブルースブレイカーズ / オール・ユア・ラヴ
クリーム / アイ・フィール・フリー
クリーム / ストレンジ・ブルー
クリーム / サンシャイン・ラヴ
アレサ・フランクイン / グッド・トゥ・ミー
クリーム / クロスロード(ライヴ)
ザ・ビートルズ / ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
クリーム / バッジ
クリーム / ホワイト・ルーム(ライヴ)
クリーム / スプーンフル(ライヴ・アット・LAフォーラム 1968) *未発表
ブラインド・フェイス / プレゼンス・オブ・ザ・ロード
DISC TWO
デラニー&ボニー&フレンズ・フィーチャリング・エリック・クラプトン / カミン・ホーム(ライヴ・アット・フェアフィールド・ホールズ)
エリック・クラプトン / アフター・ミッドナイト(オルタネイト・ミックス)
エリック・クラプトン / レット・イット・レイン(オルタネイト・ミックス)
デレク・アンド・ドミノス / 心の平静 *未発表
ジョージ・ハリスン / マイ・スウィート・ロード
デレク・アンド・ドミノス / 庭の木
デレク・アンド・ドミノス / だれも知らない
デレク・アンド・ドミノス / ベル・ボトム・ブルース
デレク・アンド・ドミノス / いとしのレイラ
デレク・アンド・ドミノス / リトル・ウィング(ライヴ・アット・フィルモア・イースト)*未発表
デレク・アンド・ドミノス / ゴット・トゥ・ゲット・ベター・イン・ア・リトル・ホワイル
エリック・クラプトン / アイ・ショット・ザ・シェリフ(フル・レングス・ヴァージョン)*未発表
エリック・クラプトン / リトル・クイーニー(ライヴ) *未発表
エリック・クラプトン / メインライン・フロリダ
エリック・クラプトン / ティアーズ・イン・ヘヴン
https://www.universal-music.co.jp/eric-clapton/news/2018-04-13-news/
[2018/09/10追記]
映画の劇場公開が2018年11月23日からと発表されました。公開劇場など詳しい情報は公式サイトにてご確認ください。
http://ericclaptonmovie.jp/
3