新譜リビュー


Irma Thomas / The Story Of My Life (Rounder CD 2149)


Irma Thomas( 1) No Use Talkin'
( 2) The Story Of My Life
( 3) I Count The Teardrops
( 4) Cried Too Long
( 5) Love Don't Get No Better Than This
( 6) Hold Me While I Cry
( 7) I Won't Cry For You
( 8) We All Need Love
( 9) Get Here
(10) Keep The Faith
(11) Dr. Feelgood

Produced By Scott Billington and Irma Thomas

久々の新譜です。前作のWalk Around Heavenが94年だから約3年のブランク。これは、アーマのキャリアの中では最長記録だそうな。何をしてたの?といえば、エレクトラからビッグ・バンドでアルバムを出すという話しが持ち上がりながらキャンセルになったりと、ハプニングもあったようだが、じっくり選曲していいアルバムを作りたかったということらしい。でも、このアルバムいいです!待った甲斐はあります。ダン・ペンとアーマの共作となっている(6)では、しっとりとした味わい深い歌を聴かせてくれる。(9)は、アラン・トゥーサンが曲を提供しており、バラードのこの曲をアーマは朗々と歌い上げている。最後を締るご存じアリサの(11)もブルージーに決めてくれてます。アーマの貫禄を感じさせる傑作。




Eddie Bo / Shoot From The Root (Soulciety me 00452)


Eddie Bo( 1) A Shoot From The Root
( 2) Groove In My Soul
( 3) Dance, Dance, Dance
( 4) Every Dog's Got A Day
( 5) O'Lady
( 6) Kick It On Back
( 7) Will I Ever Learn
( 8) Fingers
( 9) Bring It On Home
(10) I Love You In Every Way
(11) Old Fashined Sookie
(12) Let's Get It Straight
(13) The Anchor

Produced By Eddie Bo

ニューオーリンズのピアノ・プレイヤー、エディー・ボーの新作だが、ドイツのソウルサエティという聞き慣れないレーベルからの発売となり、なかなか手に入りにくくて、昨年秋に出ていたのだが、ようやく先日入手した。これがかなりのいい内容。1曲目からチューバのベースラインにファンキーなビートが乗ってきて思わずニューオーリンズ・ファンなら腰が動いてしまうカッコよさ。全般通してビシッと決まっている。アール・キング、ジョニー・アダムズ、ボー・ドリスらがゲスト参加しているが、バックのコーラスに参加している程度のもので、あくまでも主役はエディー・ボーだ。ピアノも軽快にハネまくってるし、歌もノリノリだ。ニューオーリンズで会った彼はマイペースで人のよさそうな、ただのオヤジという感じの人だったが、やるときはやるんだねぇと感心させられた。曲も全曲彼の書き下ろしで、ここからも気合いが感じられる。




Darrell Nulisch / Bluesoul (Higher Plane HPR 511CD)


Darrell Nulisch( 1) Crime Of Passion
( 2) Love Song
( 3) You Were Right
( 4) I've Been Searching
( 5) Again And Again
( 6) Worried
( 7) I Don't Need Nothing
( 8) Going Back To Texas
( 9) Heartful Of Blues
(10) What Have I Done Wrong?

Produced By Bobby Hankins

ダリル・ニューリッシュは、元アンソン・ファンダーバーグ&ザ・ロケッツのボーカル、ハープをやってた人。(サミー・マイヤーズが入る前ね)ここでは、ロケッツよりずっとソウル寄りな音を聴かせる。(7)などを聴いてると「あ、この曲どっかできいたことあるな、オーティス・レディングじゃなくて、ソロモン・バークかな...」という感じの、なつかしい雰囲気を醸し出している。でも殆ど全曲オリジナルなんだけどね。ストレートなブルースというと、シャッフルの(6)、スローな(8)、マジック・サムの(10)などあたり。全体的に音がきれいに仕上がりすぎという難はあるが、まずは気持ちよく聴けるアルバムです。尚、このアルバムに関する問い合わせは、Higher Plane Recordsまで。ホームページはここです。




Snooky Pryor / Mind Your Business (Antone's/Discovery 74708)


Snooky Pryor( 1) Mind Your Own Business
( 2) Come On Down To My House
( 3) Goin' Back
( 4) Motty And Me
( 5) I'm So Glad
( 6) You Set Me Free
( 7) Miss Fanny Brown
( 8) Good Or Bad Times
( 9) Shake Your Boogie
(10) Diggin' My Potatoes
(11) No More Monkey Business
(12) Little Brown Hen

Produced By Derek O'Brien

この前来日したばかりなのでここ最近この人の話題もよく耳にしてはいたけど、新譜はちょっと久しぶりですね。とはいっても今確認したら、2年半ぶりくらいだけど。アントンズからはこれで3枚目。プロデューサーにもクレジットされているデレク・オブライエンがギターで全面参加し、あとドラムスで元ハウスロッカーズのテッド・ハーヴィーなんて人も入っている。スヌーキーってよい意味でワンパターンで、今回も基本的にはいつものやつ。悪いわけがない。あのミッドテンポのシャッフルが始まると、もうわくわくするなあ。でも今回はそれだけじゃないんだぜ。ちょっとテンポを変えた(5)、(9)ような曲が面白い。日本公演でもここら辺はやってた。バラードの(4)もいい味だ。でも、やはりこの人はシャッフルがいいね。ハープでお決まりのフレーズが出ると、これこれ!って感じで盛り上がっちゃうです、ハイ。相変らず快調なスヌーキーが聴ける一枚です。




Rockie Charles / Born For You (Orleans OR 1911)


Rockie Charles( 1) Born For You
( 2) Old Black Joel
( 3) Oh My Darling, Look What You're Doing To Me
( 4) Festis Believe In Justice
( 5) Please Tell Me It Aint So
( 6) Something Is Wrong With Our Love
( 7) I Need Your Love So Bad, I'm About To Lose My Mind
( 8) Don't Let Me Go
( 9) I Just Called To Wish You A Merry Christmas
(10) I Like To Make Love When Its Pouring Down Rain
(11) There Is A Rainbow Hangin' Over My Shoulder

Produced By Carlo Ditta

こちらはかなり地味です。ニューオーリンズのロッキー・チャールズ(ロッキー・チャックではない)は、かつてO.V.ライトなどのバックをつとめたこともあるというギタリスト。音は、ピンボケしたような感じの漂うかなりのユルさ。でも、これがたまんない。タイトル曲(1)なんてほんわかあったかいソウル・バラードで、ジーンと来てしまう。このユルユル感が南部だなぁ。特段ニューオーリンズっぽくはないけど、ソウル系の音が好きなブルース・ファンにはお薦めです。それにしても曲名が長い...。




Pat Ramsey / It's About Time (Rampat Records)


Pat Ramsey( 1) Allergic To Work
( 2) Georgia Swing
( 3) King Of Fools
( 4) Stingin' Stang
( 5) I Need Money
( 6) Broken Hearted
( 7) It's About Time
( 8) Jammin' In The Jungle
( 9) Baby Baby Let's Go
(10) Loan Me A Dime
(11) Too Many Drivers
(12) We Can Fly
(13) Hippie Song

Produced By Billy Gibson and Pat Ramsey

ちょっと時間が経っちゃったけど (95年作)、まあいいや。紹介してしましょ。パット・ラムゼイはメンフィスで活躍するハーピスト。ジョニー・ウィンターのアルバム、"White, Hot & Blue"で彼のプレイが全面にフィーチャーされていたりする。本作は、まぁ地味ですがノリノリなブルースです。(あー、語意がない。これでもレビューといえるのか...脳みそが溶けている。)ギターもカッコいいです。アントンズあたりのロッキン・ブルースっぽいところもあってこれがまたいい。もっと細かいことを書きたいけど、今日はあっし、これからロスロボスを見にいって来るでやんす。またのちほど書くでやんす。




Junior Wells / Come On In This House (Telarc CD-83395)


Junior Wells( 1) What My Momma Told Me/That's All Right
( 2) Why Are People Like That?
( 3) Trust My Baby
( 4) Million Years Blues
( 5) Give Me One Reason
( 6) Ships On The Ocean
( 7) She Want To Sell My Monkey
( 8) So Glad You're Mine
( 9) Mystery Train
(10) I'm Gonna Move To Kansas City
(11) King Fish Blues
(12) You Better Watch Yourself
(13) Come On In This House
(14) The Goat

Produced By John Snyder

ファンキー・ブルースの帝王、ジュニア・ウェルズの新作。売りは、ゲストのスライド・ギタリスト達。コリー・ハリス、アルヴィン“ヤングブラッド”ハート、サニー・ランドレス、ボブ・マーゴリン、ジョン・ムーニーとずらり勢ぞろいで、これ何とも豪華。スライドを聴かせるために必然的にそうなったのか、音はとてもダウンホームなシブめの仕上がり。ドラムスなしのアクースティックなんて曲も多いし。ファンキーなの期待すると外すけど、でも結構いいよこれ。すごく正統派な音だけど、アット・ホームで落ち着くというのかな。あと、ゲストがいっぱい入っていても、前作の"Everybody's Gettin' Some"のように散漫なところは感じないしね。デルマーク盤ではおもいっきりファンキーだった(9)も、アンプラグド・セッション風で雰囲気が変わってる。(10)では弱冠16歳というギタリスト、デレク・トラックスがワイルドでカッコいいスライドを聴かせてくれる。でも、全体的にもうちょっとジュニアのハープを押し出してもいいと思うけど、ゲストが沢山いるんだから仕方ないか。少なくともギター・ファンには楽しい一枚です。もちろんジュニア本人も快調ですぜ。




Tom Ball & Kenny Sultan / Double Vision (Flying Fish CD FF 656)


Tom Ball & Kenny Sultan( 1) Perfect Woman
( 2) Your Shoes Don't Fit My Feet
( 3) No Money No Honey
( 4) Automobile Mechanic
( 5) I Feel Alright Now
( 6) Sweet Georgia Brown/Bill Bailey
( 7) Sweet Temptation
( 8) Sloppy Joe
( 9) Television
(10) Roll Of The Tumblin' Dice
(11) Wing And A Prayer
(12) Ride That Train
(13) Back To California
(14) Who Drank My Beer?

Produced By Tom Ball, Kenny Sultan & Daniel Protheroe

カリフォルニア州サンタバーバラのデュオ、3年ぶりのアルバム登場だ。この人達殆ど無名だが、なぜもっと人気でないのかなぁ。こんなにいいのに。トム・ボールのハーモニカにしたって、ケニー・サルタンのギターにしたって、こんなにうまいのってそうないと思うよ。基本的にはアクースティックで、トラディショナルな路線を踏襲している部分もあるけど、カントリーやブルーグラスの要素がちりばめられていたりして、独自の色がある。歌詞にしてもユーモラスで、そのユーモアが結構今っぽいんだよね。トラディショナルと現代の融合という感じかな。本作でも彼らの世界は不変で、あー、3年まってよかったって感じです。今は廃盤になっている彼らの初期のアルバムの曲の再演の(9)、(14)もあって嬉しいっす。




Shunsuke "Shun" Kikuta / Chicago Midnight (Seven Seas KICP-546)


Shun Kikuta( 1) Four Crowns
( 2) Love Of Mine
( 3) Drinking Gasoline
( 4) Big Boss Man
( 5) 29 Ways
( 6) I'm Gonna Get Lucky
( 7) Rib Tips With Hot Sauce
( 8) Don't Tell Me What You've Been Doing
( 9) Luv Somebody
(10) Let's Straighten It Out
(11) Chicago Midnight

Produced By Shun Kikuta
Release date: Nov. 21, 1996

「シカゴ・ミッドナイトをBGMに、ブル銀見ながらコップ酒、これぞ秋夜のぜいたくかな。なんちゃって。」By 菊田俊介

Shun本人からありがたいお言葉(?)も頂き紹介させて貰います。菊田俊介のセカンド・アルバム。ファースト"They Call Me Shun"から約1年という快調なペースでのリリースだ。

聴いてみての印象はというと、これがかなりよい。ファーストよりもバンドとしての一体感が増し、Shun本人のプレイはもとより各メンバーもテンションの高いプレイを聴かせてくれる。特にインスト(7)がファンキーでよく、「をを!この快調ぶりわぁー!」と思わずわめきたくなる(ホンマかいな?)。いや、カッコいいです、マジで。ホーンもバッチリ決まっている。有名曲を並べた感じだったファーストと比べ、選曲にも幅が出てきて いるのも嬉しいところだ。

J.W.ウィリアムスのボーカルがやや平坦に聞こえてしまうという難もあるが、それを補ってあまりあるスペシャル・ゲストが本作には参加している。ブルースの女王ココ・テイラーが2曲で、ボーカルをとっているのだ((5), (6))。これがまたいい出来で、これだけ聴くためにアルバム買ったとしても決して損はしないと思う。この2曲にはビリー・ブランチも参加しているが、彼のここでのプレイは、ここ最近ではベストと言える素晴らしいものだ。これだけの作品を作り上げたShun。年末のパークタワーでの公演も期待 出来るんでないかな。




R.L. Burnside / A Ass Pocket Of Whiskey (Matador OLE 214-2)


R.L. Burnside( 1) Goin' Down South
( 2) Boogie Chillen
( 3) Poor Boy
( 4) 2 Brothers
( 5) Snake Drive
( 6) Shake 'em On Down
( 7) The Criminal Inside Me
( 8) Walkin' Blues
( 9) Tojo Told Hitler
(10) Have You Ever Been Lonely?

Produced By Bruce Watson

ファット・ポッサムのパンクなブルースオヤジの新作は、なんとジョン ・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンとの競演盤である。
本盤のレーベルは、ファット・ポッサムではなくマタドール。そうです、 ジョン・スペンサーの所属しているレーベルなのです。ブルース・エク スプロージョン(以下B.E.)というバンドは、音楽的にはブルースとは かなりかけ離れたものがある。R.L.バーンサイドなどと一緒にやって どうなってしまうのか、などと考えてしまったが、一聴してそれは無用 な心配だったことが判った。本作のラフでタフなブルースの音は、R.L.が 主導権を握ってことを感じさせるが、B.E.のカラーもかなり出ている。 例えば、(1)はファット・ポッサム盤でもやっていた曲だがここでの演奏 と聴き較べて欲しい。ここで聴かれるパンクのりの音は、B.E.の色が濃い。 だが、それが違和感を与えないのは、R.L.とB.E.の音楽に世代を 超えた共通性があるからだとは言えないだろうか?(5)のジョン・スペンサー がシャウトする終わり方なんて、B.E.ののりそのままで笑えてしまうが、 両者のパワーが正面から衝突する様はなかなかの迫力。やはり、これくらい メチャクチャやってくれなきゃね!
本作は、かつて60年代のイギリスのロックの連中が憧れのブルースマン達と 競演を果たしたときのようなノリとは全然違う。変にB.E.がR.L.に合わせたり、 引いたりしていないのがよい。両者自然で好き勝手やっているのに、それ が妙にあっている。B.E.の新譜では彼らと何とルーファス・トーマスの 競演もあるって言うし、これは目が離せませんなぁ。おもしろいことに なってきたゾ!




過去のレビュー

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その2 (96/8〜97/2)

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Text by Masahiro Sumori unless otherwise noted.





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