新譜レビュー


Eddie Bo / Hole In It (Soulciety me 00672)

( 1) You Got A Hole In It
( 2) Stink Bomb
( 3) Back Up This Train
( 4) Down By The River
( 5) It Must Be Love
( 6) Blackbird
( 7) Louberta
( 8) Piano Roll
( 9) Hey Senorita
(10) Sister Lucie
(11) I Know You Mardi Gras
(12) I Wanna Be In That Number
(13) You Got A Hole In It (Instr.)

Produced by Eddie Bo
Eddie Bo

約2年ぶりのエディー・ボーの新作は、前作と同様ドイツのソウルサエティー・レーベルからのリリース。前作の充実振りには、なぜこのような力作がドイツでしか出てないんだ!と不思議に感じたが、今回も丁寧な音作りで、濃い内容になっている。(1)の思わずニコニコしちゃうような、ほのぼのしたファンキーさは、彼らしい個性。前作のように大きなゲストはいないが(ただし、バックにウルフマン・ワシントン、ジュリアス・ファーマーらが参加)、本人が充実しているから、それでいいのだ。(9)のラテン調もかっこいいっす。このようないい作品は、頼むから、もっと入手しやすいレーベルから出してちょうだいな。そういえば、エディー・ボーのホームページって知ってました?こちらです。(4/23/98) 





A.C. Reed / Junk Food (Ice Cube IC3970)

( 1) Junk Food
( 2) Big Woman
( 3) Broke Music
( 4) I Got Mad
( 5) The President Plays
( 6) Give It Up (Smoking)
( 7) Florine
( 8) Loney Man
( 9) Party House Blues
(10) 2 Women In A Pick-Up
(11) Party With Y'all
(12) You're Going To Miss Me
(13) Fed Up
(14) Last Time Around

Produced by A.C. Reed and Stan Jones
A.C. Reed

A.C.のおっちゃん、久々の便りです。アリゲーターからリリースとなった前作"I'm In A Wrong Business"は87年の作だから、実に10年以上の間が空いている。自己のレーベル、アイスキューブからのこの新作は、オリジナル・アルバムとしては通算3枚目となる。冒頭のタイトル曲から、ファンキーなビートにホーンセクションが入って、バリバリにA.C.節なのが嬉しい。彼のサックスのプレイも健在で、気合い充分かつブルージーにブロウしてくれる。

聴き進んでいくと、(3)で「ん?」と思わず他のことをしていた手が止まった。このギター!これは、アルバート・コリンズじゃないですか!A.C.といえば、コリンズのアイスブレイカーズのメンバーとして活躍したことは有名だが、既に彼が故人となってしまった今、こんなところで彼との共演が聴けるとは思いがけず得をした気分だ。曲調はスロー・ブルースで、コリンズはあの鋭い突っ込むプレイをたっぷり聴かせる。こんな演奏が入っているところを見ると、録音日時などのデータは記載されてないが、長い時間をかけて録りためたものを集めてCDを作ったという感じなのだろう。確かにレコーディングもシカゴを始め、カナダやニュージャージなどいろんなところで行われており、音もトラックによって多少のばらつきはある。でも、全体を通してのりはかなりよく、多いに楽しめるのだ。

(13)はファースト収録の名曲"I'm Fed Up With This Music"の再演だが、歌詞も変えていて雰囲気はちょっと違ていて、ただの二番せんじにはなっていない。曲は全て彼が書いたことになっているが、(9)はタイトルからも想像出来ると思うが、ドアーズの"Roadhouse Blues"のかなりストレートなカバーだ。お得意のハウリンウルフ・スタイルな(7)もカッコよく決まっている。(4/23/98) 





Hubert Sumlin / Wake Up Call (Blues Planet BPCD-1116)

( 1) I'm Coming Home
( 2) Makes Me Think About The One I Had
( 3) When You're In Love
( 4) I'm Your Baby
( 5) Wake Up Call
( 6) Gonna Move
( 7) Let Your Fingers Do The Talking
( 8) I Just Need Your Love
( 9) Hubert Runs The Hoodoo Down
(10) Get This Love Straight

Produced by Jeff Alperin and Jimmy Vivino
Hubert Sumlin

ハウリン・ウルフのバンドのギタリストとして活躍し、未だに根強いファンを持つヒューバート・サムリン。この新譜は、ニューヨークの新鋭レーベル、ブルース・プラネットからのもので、97年11月の録音だ。バックを務めるバンドは、アメリカのテレビ番組"Late Night With Conan O'Brien"でレギュラー・バンドとして活躍中のジミー・ヴィヴィーノのバンド。このしっかりとしたバックに支えられ、ヒューバートの演奏も充実している。
何回かヒューバートのライブは見たことがあるが、いずれものんびりした感じで、ウルフのバンド時代の狂ったような勢いとは対照的だった。ここでも、ヒューバートはマイペースな演奏を展開するが、この人らしい型破りな個性はばっちり楽しめる。ときとしておよよよ?と怪しい音も出したりするが、それも許せてしまうのは、この人のキャラクターのなせる技。曲調的にも、オーソドックスなシカゴ・スタイルあり、ファンキーあり、ブギあり、楽しませてくれます。全曲本人のオリジナルというところにも彼の充実振りを窺い知ることが出来る。ブルース・ファンとしては、是非チェックしたい注目盤でしょう。(4/20/98) 





Michael "Hawkeye" Herman / Blues Alive! (Topaz Productions OWR-0110)

( 1) The Great River Road
( 2) Your Mind Is On Vacation
( 3) Statesboro Blues
( 4) Nobody Knows You When You're Down And Out
( 5) The Great Flood Of '83
( 6) Stones In My Passway/Kind Hearted Woman Blues
( 7) Rocket To Chicago
( 8) Lost Mind
( 9) Sitting On Top Of The World
(10) I've Got The World On A String
(11) Come On In My Kitchen
(12) Man Or Mouse
(13) Key To The Highway
(14) Hawk's Worried Blues

Produced by M. Herman
Hawkeye Herman


マイケル・ホークアイ・ハーマンは、オークランドのブルースマン。アクースティック・ギター1本の弾き語りスタイルだ。このCDは彼のライヴを収録したもの。ソフトめのプレイとストーリーテラー的な彼の歌だと、(6)や(11)のようなロバート・ジョンソンの曲もいいけど、(4)のようなムードのある曲がよく似合う。パーシー・メイフィールドの(8)も弾き語りでやっているのでオッと思ったけど、これが実にいい出来なんですね。ミシシッピー川の洪水のことを歌った自作スロー・ブルース(5)も面白い。特に技巧的なところを見せるわけではないんだけど、落ち着いて聴いていられる安定感がある。なお、彼のホームページでも情報を見ることができます。(3/25/98) 





Various Artists / Hound Dog Taylor - A Tribute
(Alligator/King KICP 635)

( 1) Luther Allison: Give Me Back My Wig
( 2) Son Seals: Sadie
( 3) Sonny Landreth: Taylor's Rock
( 4) Gov't Mule: Gonna Send You Back To Georgia
( 5) Magic Slim & The Teardrops: Freddie's Blues
( 6) Steady Rollin' Bob Margolin: See Me In The Evening
( 7) Elvin Bishop: Let's Get Funky
( 8) Vernon Reid with Alvin Youngblood Hart: It's Alright
( 9) Dave Hole: Hawaiian Boogie
(10) Michael Hill's Blues Mob: She's Gone
(11) George Thorogood: I Just Can't Make It
(12) Ronnie Earl &Friends: Wayward Angel
(13) Cub Koda &The Houserockers: Take Five
(14) Lil' Ed & The Blues Imperials: It's Alright
(15) Boogie Boy Ikuto: Goodnight Boogie
Hound Dog Taylor Tribute Album

1971年、アリゲーター・レコードからの第一弾としてリリースとなったアルバムがハウンド・ドッグ・テイラーのファーストだった。それまで、デルマーク・レコードで働いていたブルース・イグロアは、デルマークからテイラーのアルバムを出すように働きかけたが、デルマークの社長、ボブ・ケスターはウンとは言わなかったという。それならば自分が、とアリゲーターを設立したのだ。
つまり、テイラーはアリゲーターの原点となるアーティストなのだ。それだけに、このトリビュート・アルバムも相当リキが入ったものとなっている。サン・シールズやルーサー・アリソンのようにアリゲーター所属の定番アーティストだけにとどまらず、レーベルを超えて多彩なアーティストが名を連ねる。リヴィング・カラーのヴァーノン・リード(8)、元オールマン・ブラザーズのメンバー達が結成したガヴァメント・ミュール(4)などは特に注目したいところ。ストレートなカヴァーもあるが、多くはそれぞれの解釈が入っていて、面白い。(8)と(15)は同じ曲だが、(8)はちょっと意外なアクースティックによるものなので、聴き較べると楽しみもある。(15)はご存知日本のハウンド・ドッグといえばこの人。日本盤のみのボーナス・トラックとなっている。ブルース・イグロアからの指名を受けて収録が決まったそうだ。(3/22/98)





Sonny Rhodes / Born To Be Blue (King Snake KS-040)

( 1) Born To Be Blue
( 2) End Of My Rope
( 3) Hide That Wine
( 4) It's Not Funny Any More
( 5) All Cried Out
( 6) I'd Rather Be Hot Than Cool
( 7) Five-Day Rain
( 8) Can't Get Enough
( 9) Satan
(10) She's My Woman
(11) Love Don't Get Old
(12) If I Had The Chance

Producer not credited (Bob Greenlee?)
Sonny Rhodes

サニー・ローズ、約2年ぶりキングスネイクからの第3段作。多分この人ってブルース・ファンの中でもそんなに聴かれてないのかもしれないけど、聴かねば損です、絶対。前作もかなりいい内容だったけど、今回も決して期待は裏切らない。頭にターバンまいて怖そうな顔してラップ・スティールを操る怪しいオヤジ、などと見た目だけで敬遠していてはもったいない。音は正攻法で攻める判りやすい音だし、ポップでソウル色がピリリと効いたサウンドの心地よさと言ったら、一度聴けば絶対このよさを判って貰えるでしょう。
ラップ・スティールは本当に単純なフレーズしか弾かないけど、インパクトは強い。一音一音にソウルを注ぎ込むことが重要であって、小難しいことをやる必要はないのだな、と本当に実感できます。キメのところでぎゅいいいい〜ん、とスライドさせるプレイの気持ち良さよ。キングスネイクというマイナー・レーベルながら、よくアレンジされたホーン・セクションなど、音作りが丁寧なのも嬉しいところ。そのかわりジャケットがダサダサなのはご愛嬌といったところですか。曲は、前半(8)あたりまでは主にバンドのベーシストのボブ・グリーンリーが書き、最後の4曲がローズのオリジナルとなっている。冒頭の勢いのいいタイトル曲もカッコいいし、スウィング感溢れる(8)もゴキゲンだ。でも、一番よかったのがしみじみとほのぼのさせるローズの人柄が出たソウル・バラードの(11)。うーん、染みます!是非、是非全てのブルース・ファンに聴いてもらいたい快作だ。(3/9/98) 尚、前作の紹介はこちら






Sax Gordon / Have Horn Will Travel (Bullseye Blues & Jazz BB9589)

( 1) Have Horn Will Travel
( 2) For Whom The Horn Honks
( 3) Melancholy Serenade
( 4) DD Rider
( 5) You Said She Wouldn't
( 6) Waterbed Lou
( 7) Hubcap Pete
( 8) The Last Mile
( 9) Squashy
(10) But Officer
(11) Heavy Soul
(12) Hallelujah
(13) Deep River

Produced by Duke Robillard
Sax Gordon


元ルームフル・オブ・ブルース、デューク・ロビラード・バンドのテナー、サックス・ゴードンの初のソロ・アルバム。アーネット・コブを彷彿させるワイルドなブロウが気持ちのよいアルバムだ。ジャンプ&ジャイブ系が好きな人は絶対お薦めです。自分版のCCライダーだと本人が解説している(4)はタイトルに笑ってしまうが、アップテンポなインストになっていて、ブレイクのところなんかでこれでもか、これでもか!とばかり吹きまくり、「ををを!」と聴くものをのめり込ませてくれる。彼の歌はアクはないけど、(10)などでは、ちょっとユーモアたっぷりに語りも混ぜて盛り上げてくれる。バンドは、かつての競演者のデューク・ロビラード、ルームフル・オブ・ブルースのホーン・セクションが入っていて、のりのりです。
関係ないけど、ブルズアイ・ブルース・レーベルは、最近「ブルズアイ・ブルース&ジャズ」と改名したようだけど、やはりブルースだけでは商売やってられまへん、ということなのだろうか。でも、サックス・ゴードンのようなジャズ色の入ったゴキゲンなブルースをリリースしていくという意思表示なのであれば、これは嬉しいなあ。GO! GO! GO!(3/1/98)





Lucky Peterson / Move (Verve/Gitanes 314 537 897-2)

( 1) You're The One For Me
( 2) Don't You Even Care
( 3) Let's Go Get Stoned
( 4) It's Your Thing
( 5) Move
( 6) Tin Pan Alley
( 7) I'm Back Again
( 8) Play Dirty
( 9) Purple Rain
(10) Move On Now
(11) Pickin'
(12) What Cha Doing Out There

Produced by Charles Mitchell
Lucky Peterson

数年前の来日でみせたラッキー・ピーターソンのせわしなく暴れまくるステージは最高だった。つい先日のシル・ジョンソンのサービス満点なライブとついになって頭の中をよぎってくる。でもラッキーの場合もっと極端だった。1時間半ほどのステージ、殆ど曲間もなく、プレイしっぱなしなのだ!ギターは弾くは、キーボードも弾く。しまいにゃ、ワイヤレスでギターを弾きながら客席に乱入。それだけでは飽き足らずに弾きながら会場から出ていってしまい、電波が届かないところまで行ってしまうという...。あーおもろい。
この新譜は、その彼の溢れんばかりのパワーを感じる快作だ。直球勝負でガンガン勢いのあるブルースを突きつけてくる。レイ・チャールズの(3)やアイズレー・ブラザーズの(4)などの判りやすいカバー曲のセレクションにも親しみが持てるし、演奏も大きくアレンジは変えてないのに、やはり彼の色にちゃんとなっているのだ。オリジナル曲もスライドギターが爽快な(5)など、ソウル・タッチも適度に入っていい感じだ。プリンスの(9)のカバーがしっくりきてしまうのも、彼の世代としては全然不思議ではない。前作でもスティングの"We'll Be Together"とかこなしてたもんね。ベースにジョニーB.ゲイデン、ドラムスにデニス・チェインバーズが参加。(2/28/98)





Various Artists / Blues Brothers 2000 Original Motion Picture Soundtrack
(Universal UD-53116)

( 1) The Paul Butterfield Blues Band:
Born In Chicago
( 2) Matt "Guitar" Murphy:
The Blues Don't Bother Me
( 3) John Popper: Harmonica Musings
( 4) D. Aykroyd, Lonnie Brooks, Jr. Wells & The Blues Brothers Band:
Cheaper To Keep Her
( 5) The B.B.B.:
Perry Mason Theme
( 6) J. Goodman, D. Aykroyd & The B.B.B.: Looking For A Fox
( 7) The B.B.B.: Can't Turn You Loose
( 8) Aretha Franklin & The B.B.B.: R-E-S-P-E-C-T
( 9) Eddie Floyd, Wilson Pickett, Jonny Lang & The B.B.B.: 634-5789
(10) Blues Traveler: Maybe I'm Wrong
(11) D. Aykroyd, J. Goodman & The B.B.B.: Riders In The Sky (A Cowboy Legend)
(12) Taj Mahal, Sam Moore, Joe Morton, Sharon Riley & The Faith Chorale:
John The Revelator
(13) The Carl LaFong Trio: Let There Be Drums
(14) Dr. John & The B.B.B.: Season Of The Witch
(15) J. Morton, D. Aykroyd, J. Goodman, Paul Shaffer, Erykah Badu & The B.B.B.:
Funky Nassau
(16) The Louisiana Gator Boys: How Blue Can You Get
(17) The Louisiana Gator Boys: Turn On Your Love Light
(18) The Louisiana Gator Boys & The B.B.B.: New Orleans

Produced by Paul Shaffer
Blues Brothers 2000

映画「ブルースブラザーズ」の続編のサウンドトラック。オリジナルの映画から18年もの歳月が経って公開された映画はまだみてないけど、サウンドトラックのメンツを見るかぎり、相当賑やかそうだ。ポール・バターフィルドの昔の名曲が冒頭に収録されているが、他は殆ど新しい演奏ばかりだ。ここまでいろんな人たちが共演しまくっているとドタバタだな、と思ったりもしたのだが、聴いてみると素直に楽しめた。ブルース・トラヴェラーのハーモニカ、ジョン・ポッパーが(3)、(10)以外にも(7)にもフィーチャーされてたりして、結構目立っている。吹きまくりタイプの攻撃的な彼のプレイは好みもわかるのかもしれないが、僕は結構好き。シュガー・ブルー的なバカテク・プレイを堪能した。ちなみに最後の「ルイジアナ・ゲイター・ボーイズ」とはB.B.キング、ジェフ・バクスター、ゲイリーU.S.ボンズ、エリック・クラプトン、ボー・ディドリー等々、てんこ盛り天丼10人前といった感じのオールスター・バンド。というわけで、(16)は当然この曲のオリジナル・アーティストのB.B.が歌う。最後は、このバンドにブルース・ブラザーズ・バンドまで加わるというウィー・アー・ザ・ワールド状態だ。映画のフィナーレはニューオーリンズで炎上、か?日本での映画封切りが楽しみですな。(2/23/98)






Various Artists / Downey Blues (HMG/Hightone HMG 5504)

( 1) T-Bone Walker, Jr.: Midnight Bells Are Ringing
( 2) Ace Holder: Leave My Woman Alone
( 3) Jessie Hill: Chip Chop (My Fair Lady)
( 4) Chuck Higgins: Sorry 'Bout That*
( 5) Little Johnny Taylor: I've Got News For You*
( 6) Jessie Hill: Woodshed
( 7) Ace Holder: Happy Anniversary
( 8) T-Bone Walker. Jr.: Empty Feeling
( 9) Jessie Hill: Understanding
(10) Ace Holder: When You Are Around
(11) Chuck Higgins: Night Scene*
(12) Jessie Hill: Down The Street
(13) Little Johnny Taylor: Stop Fooling Around*
(14) Ace Holder: This Love Of Mine*
(15) Jessie Hill: TV Guide
(16) T-Bone Walker. Jr.: Sumptin' Else*
(17) Jessie Hill: Never Thought
(18) Ace Holder: Doris Tee*

Produced by Bill Wenzel
*- Previously Unissued
Downey Blues

ロサンジェルスの郊外の都市ダウニーにあるレコード屋さん、ウェンゼルズ・ミュージックが興したレーベル、その名もダウニー。その60年代の秘蔵音源をCD化したコンピレーション・アルバムがこれだ。収録アーティストの多くは知名度は高くないが、内容はどれも大推薦の濃さ。巨匠Tボーンの甥に当たるTボーン・ウォーカーJr.は、さすがギターのスタイルは巨匠直系のプレイだが、よりクールでかつアンダーグラウンド的な雰囲気がたまらない。ハープのエイス・ホールダーは、サニーボーイに強く影響されたプレイがムチャクチャいい音していて、このCDの中でも目玉だといえる。この人は目が出ないまま音楽から引退してしまって、今は行方不明らしいが(死亡説もあり)、いやもったいないはなしですなぁ。この他にもニューオーリンズのタンバリンおじさんジェシー・ヒル、地元LAのサックスマン、チャック・ヒギンズなども収録、こちらはR&B、ラテン系の色合いも添えてこのコンピレーションをより一層面白くしている。若き日のリトル・ジョニー・テイラーの声の伸びも具合も素晴らしい!全18曲中7曲が未発表曲というのが嬉しいが、そもそもそれ以外の曲もみな珍しいものばかりなので、自分の持ってる他のCDとのダブりなど気にせず買える。(2/23/98)



過去のレビュー

その10(03/5〜  )

その9 (01/2〜03/2)

その8 (00/2〜01/1)

その7 (99/7〜99/8)

その6 (99/1〜99/6)
その5 (98/5〜99/1)

その4 (98/2〜98/4)

その3 (97/3〜98/1)

その2 (96/8〜97/2)

その1(96/3〜96/7)



Text by Masahiro Sumori unless otherwise noted.




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