JUNIOR KIMBROUGH
1930 - 1998


Junior Kimbroughいつの間に、この「BLUES NEWS」のコーナーが死亡のニュースで膨れ上がってしまった。もういい加減にして欲しいけど、悲しいかな、命というものはいつかは失われる。ベテランのブルース・ミュージシャン達がどんどん、歳をとって行くにつれて、今後もこんな調子で訃報に接するかと思うとなんともやり切れない気持ちだ。

ジュニア・ウェルズが死んでしまった、と沈んだ気持ちになってたところに、今度はジュニア・キンブローの訃報が飛び込んできた。キンブローは、地元ミシシッピー州ホリー・スプリングスの姉の家にいたとき心臓発作にみまわれ、1998年1月17日朝急逝したとのこと。67歳だった。キンブローはしばらく体調が芳しくない状態が続いていたようだが、彼の死去は直接その体調の不調とは関係がないようだ。事実、ごく最近でみれば以前よりは体調がよかったそうである。

キンブローは1930年7月28日、ミシシッピー州ハドソンヴィルに生まれた。初録音は1968年、フィルウッド・レーベルの"Tramp"。その後、殆どレコーディングの機会に恵まれなかったが、その彼を一躍ブルースの表舞台に立たせたのが、先日亡くなったブルース・ライター、ロバート・パーマーの制作したドキュメンタリー映画"Deep Blues"(91年)である。その後、ファット・ポッサムから"All Night Long"(92年)をリリース。これが62歳にして、キンブロー初のフル・アルバムとなった。ファット・ポッサムでは、続いて"Sad Days, Lonely Nights"(95年)、Most Things Haven't Worked Out"(97年)の2枚のアルバムを発表していた。最近、ハイウォーター時代のレコーディングも、未発表を含めてCD化されたりもしている。

ワン・コードでいつ終わるともなく続くジュニア・キンブロー流のブルースは、単純なスタイルの中に、長年のミシシッピーのジューク・ジョイントで培った年期を感じさせた。あのような音を出せる人は他にいないだろう。自らもジューク・ジョイントを経営し、ホリー・スプリングスでは長年にわたって愛された、ブルースのドンであった。大変残念な死だ。心からごめい福をお祈りしたい。

キンブローの葬儀は、1月24日ホリー・スプリングスのラスト大学構内でとりおこなわれたようだ。キンブローは子だくさんで、遺族のうち子供だけでも36人もいるという。 
(1997.1.28記)


(写真は95年のロングビーチ・ブルースフェスでのもの。撮影:陶守正寛)






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