ミシシッピーのディープなブルースマン
ジャック・オーウェンズ逝く




ジャック・オーウェンズ(右)、バッド・スパイアーズとともに。
94年9月ロングビーチにて


追悼記事ばっかで気が重くなるが、これは伝えなければなるまい。ミシシッピー州ベントニア在住のブルースマン、ジャック・オーウェンズが97年2月9日、亡くなった。92歳だった。オーウェンズは、1904年11月17日、ベントニアの生まれ。ハーモニカのバッド・スパイアーズと組み、地からの叫びのような唯一無二のディープなブルースの世界を作りだしていた。ロバート・パーマー制作のCD"Deep Blues" (Atlantic 7 82450-2)での演奏で覚えている人も多いのではないだろうか。ちょっと前にフジテレビで放映された"Into The Music"のシリーズでもミシシッピー編に登場し、「俺は生涯ずっとこのベントニアの地で暮らして、細々と農業を営んできたんだ」というような発言をしていた。つくづく、彼の人生自体がブルースだったんだろうな、と思う。

古くは、70年録音のテスタメント録音、"It Must Have Been The Devil" (Testament TCD5016)(ジャケット下記)が有名だ。ここでも、バッド・スパイアーズとともにミシシッピー・ブルースの真髄と言える奥深い世界を展開している。

最近レフトハンド・フランク、それにまだ若かったハーピスト、ウィリアム・クラークも亡くなるなど、淋しい限り。ジャック・オーウェンズの場合、歳も歳だったけど、でもやはりがっくりくるよね。今ごろ、冥土で悪魔を前にブルースを唸っているのだろうか。安らかに眠って下さい。


"It Must Have Been The Devil"



号外速報! (3/9/97):
訃報続きで気が重いなどと言ってたそのはしから、今度は何とR.L.バーンサイド、フランク・フロストの訃報が入ってきた。音楽ライターの妹尾みえさん、中村利彦さんが知人から聞いた話しとして教えてくれた。詳細は不明で確認も取れてないが、未確認情報として伝えておきたい。R.L.は心臓が悪かったようで、それが原因で先月亡くなったそうだ。どちらも、ジャック・オーウェンズの文のなかでも触れた、"Deep Blues"での演奏が思い出される。R.L.は、ジョン・スペンサーとの共演で、ロック方面からも注目を集めはじめていたのに...。詳しいことが判ったら、また追って掲載したいと思います。何か情報をお持ちの方は是非ご一報下さい。

追記(3/15/97)
その後この訃報騒ぎの真相を知ろうと色々情報を捜したのですが、全然手掛かりはつかめず「こりゃ誤報かなぁ」などと思っていたら、昨日R.L.とフロストの所属するファット・ポッサムから僕の出したメールに返事が来ました。やはり、誤報だったようです。お騒がせしました。でもよかったなぁ、生きていて。R.L.の新譜も出たし、メデタシ、メデタシ。以下、ファット・ポッサムからのメールです:

From: "Fat Possum Records" <ftpossum@watervalley.net>
To: sumori@din.or.jp
Subject: Dead?
Date: Thu, 13 Mar 1997 13:01:48 -0800
X-Msmail-Priority: Normal
X-Priority: 3
Mime-Version: 1.0
Status:

Hello from Fat Possum,
To clear this rumour up. R.L. and Frank Frost are alive and well. In fact R.L. is sitting in the other room as I write this. So, tell everybody to shut-up. They are alive and kicking.

Brian






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