貴重な歴史的遺産 マックスウェル・ストリートを救え!
嘆願のメールをUIC学長/David C. Broski氏に送ろう!




毎週日曜日に開かれるオープンエアー・マーケットで繰り広げれた、多くのブルースマンたちの演奏を通じてシカゴ・ブルースの震源地と言われるシカゴのマックスウェル・ストリート。この通りが取り壊しの危機にさらされています。古びた小さなこの一角は数年前から区画整理の対象としてあげられ、隣接するイリノイ州立大学シカゴ校(UIC)のキャンパスの一部として整理するという方向でことが進められていました。

これに対し各地のブルースファン、ミュージシャンをはじめ各方面の団体等が抗議をし、この案を白紙撤回するように求めてきたわけです。その活動の内容は以下のページでみることができます。


Preserve Maxwell Street
(Openair-Market Net)


一時は、マックスウェル・ストリート保存運動に理解を示し、案の再検討もあり得ると柔軟な姿勢をみせていきたUIC側ですが、去る1998年3月25日に、マックスウェル・ストリート保存運動団体のスティーブ・バルキン氏らと行った会議の中で、UIC側は「早期取り壊し」を一方的に主張、保存運動は最大の危機を迎えています。

UIC側の主張としては、キャンパスの当初の計画が狂い、寄宿舎が不足してしまっているので、現在マックスウェル・ストリートがある土地もその用地として使用する必要性が生じた、とのこと。建設を予定している新しい寄宿舎は4階建てで、1階は賃貸物件として貸出す計画もあるらしい。バルキン氏らは、建物を高くし使用する土地を節約することにより、マックスウェル・ストリート保存できないだろうかと提案しましたが、突っぱねられました。これに関しては、説明を求めてもただ、「それはできない」、「それはやりたくない」の一点張りだったと言います。

バルキン氏は、はじめに取り壊しありきというようなUIC側のこの態度について、UICは自分たちが使える用地としてこの一角を確保しておきたいだけだろう、と述べています。本当に悲しいことです。

言うまでもないですが、このような歴史的遺産は一度取り壊してしまったらもう二度と元へ戻すことはできません。その貴重な遺産が消えようとしています。この現状を悲しいと思われる方は、嘆願書を送って下さい。「こんな一方的に迷惑メールを送り付けるようなことしても意味ないんじゃない?」という意見もあるかと思います。しかし今は他のもっと有効な手段を模索しているような時間は与えられていません。メールを送ることは難しいことではありません。誰にでも出来ます。自分の出来る範囲のことで意思表示をしようではありませんか。

マディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、ロバート・ナイトホークら数々の大物ブルースマン達が演奏し、映画「ブルース・ブラザーズ」でも舞台となったこのマックスウェル・ストリート。今でも、この地を見ようと世界中から観光客が訪れるそうです。決してきれいなところではないかも知れないけど、やはりシカゴのそして世界の重要な財産ではないでしょうか。何としてでも、後世に残したいものです。(98.3.27)

嘆願書の宛先は:
Chancellor David C. Broski
University Of Illinois At Chicago
601 S. Morgan, Chicago, IL 60607
(Phone: 312-413-3350; Fax: 312-413-3393)

尚、UICに送ったメールをSteve Balkin氏へ転送すると
上記のホームページに掲載して貰えます。




Robert Nighthawk "Live On Maxwell Street"





(98.6.17追記)

もはや取り壊し計画阻止は絶望的という雰囲気が漂ってたのですが、6月3日、UIC側が「マックスウェル・ストリートの歴史的価値を抹殺するようなことはしない」と発表。できる限り保存することを約束すると公言しました。上の文からもお判りでしょうが、ほんの2ヶ月ほど前には「何が何でも取り壊す」という態度だったUICは、その姿勢を180度転換させたわけです。これは、取り壊しに反対してきたスティーヴ・バルキン氏を始めとする活動団体のメンバー、それに多くのブルース・ファン等の勝利だと言っていいと思います。4月3日にはマックスウェル・ストリートで、大規模な反対デモも行われ、ジミー・リー・ロビンソン、ピアノ・レッド等が歌で抗議の意思を示したりして、メディアにも大きく取り上げられました。これもUICの今回の発表に大きく影響しているものと思われます。

Maxwell St. Protesters
デモに参加するジミー・リー・ロビンソン(中央右)
Preserve Maxwell Streetより


「多くのシカゴの住民と同様、我々UICのメンバーもマックスウェル・ストリートの豊かな文化と伝統を評価している。我々はこの地区の再開発を行い、独特な個性を保存することを約束する」UICの学長ブロスキー氏は、このように述べています。

取りあえずはめでたい!ですが、マックスウェル・ストリートは歴史的遺産であるがゆえに古く、相当ガタが来ている建物もあり、取り壊しを中止しただけで保存が出来たことにはなりません。UICのいう「再開発」というのは、これらの保存のための工事のことですが、これには相当な資金が必要で、最終的にどれだけ保存が出来るかについては、現在検討中だとのこと。状況は一歩前進なれど、まだ問題が解決したわけではありません。「我々の予算は限られており、その予算の許す範囲のことしか我々にはできない」(Public Affairs Dept., Danny Chun氏)ともUICは言ってますし、今後は運動の焦点は資金集めになるのかもしれません。





inserted by FC2 system