ぬぁに〜?そいつは聞き捨てならねぇや!
ロバート・ジョンソンの未発表曲





Robert Johnson/Complete Recordings
(SME CSCS 5320/1)

人間つぅのはおもろいもんで、何かを集めていてもう少しで完璧、というところまでくると、どうしても最後まで集めたくなってしまうもんだ。(俺だけかな?)最初っから全部集められるわけもないものを、全部集めてやろうというような人はあまりいないだろうけど、これだったら行けそうだ!と思うとがぜん闘志が沸いてくる。

僕の場合、小学校の頃から何やかんやでものを集めるのはすきだったけど、はまったのは永谷園のお茶づけに付いてくる「東海道五十三次」のカードだ。あれを集めだしたら、持ってないカード欲しさにお茶づけを親にねだる、そんなこんなですっかりはまってしまった。だって、53枚という目標も明確だったし、カードには番号がふられていて、「あ、これがない!」というのも明確だったから、はまりやすかったのだ。

なんの話やらという感じだが、数多いブルースのレコーディングの中で、なかなかこの人の作品を全部集めよう!という気にさせてくれる人は少ない。B.B.キングとか、やはり好きだけど、彼の作品を全部集めようなんて考えただけでもコワイ。今出ているアルバムだけでもあんなにあるのに、曲も全部なんてことになると、結構大変だろうな。ロバート・ジョンソンはその点、楽だ。90年にやっとのことでリリースとなった「Complete Recordings」というアルバムで、全29曲41テイクが全て陽の目を見たのだから、要はあのアルバム1枚を買えばことは足りるわけだ。

が、しかし最近になってビックリなはなしが出てきた。実は、「Complete Recordings」には収録されていなかった42テイク目となるトラックが発見されたというのだ!これは、アメリカのライブラリー・オブ・コングレス(国会図書館)のフォークライフ・センターが会報"Folklife Center News"で発表したもので、これによると同センターはアラン・ローマックスからロバート・ジョンソンのSPのテストプレス6枚を譲り受け、これらの内容を確認したところ、5枚まではすでに前述のアルバムに収録されていたものであったが、残る1枚が未発表テイクだったという。曲は"Traveling Riverside Blues"で、この記事を書いた同センター長のアラン・ジャバー氏によると、既に発表されているテイクと較べるとかなり演奏の内容は異なっていて、テンポも違い、歌詞も違う部分があるという。

「Complete Recordings」を聴いていても思うのは、ロバートの演奏は1テイクごとに内容が大きく違うということ。この未発表曲の話が本当だとしたら、これはわくわくする話だ。今のところ、フォークライフ・センターでは、これをCD化するなどのはなしはまだ出ていないようだが、是非期待したいところです。

ちょっと前には、ロバート・ジョンソンのフィルム(つまり動画)が発見されたという話も聞いた。これには残念ながら音はないが、ビール・ストリートのシアターで発見された3分ほどのもので、保存状態もいいという。これは、某有名プロデューサーが発表の準備をしてしているそうで、近いうちに見ることができるかも。

もともと、ブルース研究家たちの間の権利のもめごとで「Complete Recordings」のリリースも当初の予定より20年以上遅れたという経緯もあり、まだまだ秘蔵の音や映像などが出てくる可能性もあるのかも知れない。この際出し惜しみしないでありったけだしてけろ!(3/3/98)




(9/28/98追記)
上記ジョンソンの未発表テイクは、早速CD化されて陽の目をみた。"King Of The Delta Blues Singers"のCDが、この未発表テイクを含んだ形で出し直されたのだ。(Columbia/Legacy CK 65746)このCDはジャケットはこれまでのものと同じだが、ライナーノーツをこのリリースのためにピーター・グラルニックが新たに書いている。

一方、「ジョンソンが映っているフィルム」とされていた映像だが、その後の調べでこれは1942年に撮影されたものであることが判明し、映っているのはジョンソンではないことが判明した。(ジョンソンは、1938年に死亡している。)がっくし。





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