• 4月28日(日)


    この日は、ジャズフェス前半の最終日。ラインアップも前日以上にスゴい。昨日は、1時過ぎにたらたらと会場にやって来たが、今日はそうもいかなかった。早くも1時からスヌークス・イーグリンのステージがあるのだから。

    というわけで、会場についたのは12時半頃だっただろうか?まず、売店でレッド・ビーンズ&ライスを買って腹ごしらえ。うまい、うまい。おっと、こんなことをしてる場合じゃなかった!すぐにレイ・バン・ステージへ行き、ロッキン・ドゥプシー・Jr.&ザ・ザディコ・ツイスターズを観に行く。昨日のバックウィートとは対照的というか、肉体を張って暴れるザディコらしい熱いステージが展開される。やはりジュニアは若い。

    でも、そうそこに長くはいられなかったのだ。スヌークスを観なければ!それも、彼がやるステージはレイ・バンから一番遠いポラロイド・ステージ。ロッキン・ドゥプシー・Jr.から10分そこそこで離れて、移動だ!フェアグラウンズの端から端までの移動は辛いぜ!と焦って移動しているようで、途中ゴスペル・テントに寄ってフレンドリー・ファイブ・ゴスペル・シンガーズを観たりしてるんだから、俺も欲が深い。

    尚、スヌークスについては、結局ニューオーリンズに滞在中3回も観たので、彼については別の記事でレポートしたい。因みにこの日のスヌークスは、3ピースのホーン・セクション付きでちょっとまた日本公演とは雰囲気が違っていた。でも、ベースはジョージ・ポーターだったけど。

    スヌークスが終わると、フェイ・ドー・ドー・ステージのクレオール・ワイルド・ウェストをかすめて、ハウス・オブ・ブルース・ステージへ。ブライアン・リーのバンド、ジャンプ・ストリート・ファイブ(House Of Bluesステージ、13:50)を観るのだ。このバンドがまたよかった。ちょっとジャジーなジャンプ・ブルースって感じですごくのれるのだ。最後の方では、"Lucille"なんて曲もやってくれちゃって、これは満足。長いあご髭がトレードマークのブライアン・リー。ジャケットではちょっと変なやつに見えたけど、実にカッコいいオヤジだった。

    お次は、マーシャ・ボール(Polaroidステージ、14:30)。ブライアン・リーに聴き入ってしまい行ってみたらもう始まっていた。先程のスヌークスのときよりもスゴく人が増えてる!彼女の人気に少々驚く。演奏の内容は悪いわけがない。ブギウギ・ピアノは絶好調だし、"Baby, Baby, Baby"ではしっとりと歌も聴かせる。場所柄か、ランディー・ニューマンの"Louisiana 1927"なんて曲も飛び出した。これには感動した。

    マーシャに続いてポラロイド・ステージに登場する予定になっていたのは大好きなアーマ・トーマス。絶対に見逃せない。でも、休憩時間の30分をじっと待つような余裕をこの日のラインアップは与えてはくれなかった。

    まず、ダヴェル・クロフォード(House Of Bluesステージ、15:15)を覗きに行く。途中、ジーノ・デラフォース(Fais Do-Doステージ、15:00)をかすめたが、なにせ時間がない。一瞬拝んだだけ。でも、若いわりにはなんかおとなしいステージだったなぁ。一方ダヴェルは、ラウンダーからのアルバムでも物足りなさを感じていたけど、それはステージを観ても同じだった。いや、もっと物足りなかったかな。ピアノはうまいのだが、なんかただやってるだけという感じで、面白みがない。2曲くらい聴いたところでもういいや、と帰ろうとしたのだが、そのときダヴェルの「この後うちのおじいちゃんが出るからね」という言葉に去りかけていた足は止まった。

    でてきた、でてきた!作業着のような服に身を包んだその人は、まさに50年代にR&Bシンガーとして名を馳せたジェイムズ・シュガーボーイ・クロフォードその人だった。60年代に交通事故に遭って活動を停止して以来、殆ど人前では歌ってないはず。「昔のようにR&Bを歌うことはもうしないがね」といいつつ、スピリチュアルを一曲ダヴェルと披露。まだ、声も出るじゃないですか!ちょっと得した気分だった。

    いけね、いけね。こんなにゆっくりしてる場合じゃなかったとポラロイド・ステージに戻る。アーマのショーは、すでに始まっていた。前半で"True Believer"のアルバムから"Trying To Catch A Cab In The Rain"、"Smoke Filled Room"の2曲を続けてやると、アーマは、「皆が聴きたがっている曲がこういう新しい曲じゃないのはわかってる。古いのは後でたっぷりやるから心配しないで」なんて言ってる。そんなことないですよ!新しい曲も僕は好きっす。でも、その後、"You Can Have My Husband"に始まり、"Time Is On My Side"、"Hip-shakin' Mama"などと往年のヒットが続くともう最高!盛り上がったところで、"I Done Got Over It"からお約束のセカンド・ライン・タイムになだれ込む。観衆がみんな一体となって白いハンカチを振って踊りまくり、曲は"Hey Pockey Way"へのメドレーとなる。これこれ!これだからアーマのライブはいいのだよ。この後、マーシャ・ボールがゲストで出てきてアーマとデュエット、なんていう見どころも用意されていた。2人並んでみるとマーシャがすごく背が高いのに驚いた。アーマは、「マーシャと一緒にいると自分がまるで小人みたいに感じるの」と言って笑う。この日のステージは"Simply The Best"で締めくくられた。堪能した。

    またまた移動だ。ルーサー・ケント(House Of Bluesステージ、16:45)を観るのだ。途中ノリのいいブルースが聞こえてきて、ちょっと立ち寄った。サンパイ・バーンズ&ザ・ルイジアナ・サンスポッツ(Fais Do-Doステージ、16:25)というバンドだ。彼らは初めて聴くが、結構ルイジアナにもこんないいブルースがたくさんあるんだね。惜しいが、彼らのステージを後にして移動した。しかしベルサウス・ステージでカッコいいロックン・ロールが聴こえて来たので、またしばし足を止めてしまった。ノース・キャロライナのデュオ、アル&エシー・モリスだ。僕は彼らを知らなかったが、結構年配の黒人の夫婦で、ソウル風味の効いた軽快なR&Rが心地よかった。アルがギターと歌、エシーがキーボードと歌をやっていた。

    あー、相当時間が過ぎてしまった。急いで、ルーサー・ケントのステージへ!なんか向こうから、すごーくゴキゲンなニューオーリンズR&Bが聴こえて来るゾ。あれだ、あれだ!最後の2曲くらいしか観れなかったけど、いやいやすごくよかったな。だって、まずホーン・セクションがすごいよ。トランペットだけで3人もいる7ピースなんだもん。彼らの繰り出すリズムのパワフルなこと!ルーサー・ケント本人の風貌については、あんなどこにでもいそうな太ったオヤジは想像してなかったけど、声のパワーはやはりただもんじゃない。やってた曲は、お決まりの"Hey Pockey Way"(N.O.滞在中何回聴いただろう)と"Let The Good Times Roll"(ルイ・ジョーダンがやってた方の曲)。ああ、こんなによいと判っていれば、もっと早く来て観たのに。ちょっと悔しい。代わりと言ってはなんだが、会場のCD屋で彼のアルバムを買って帰った。これは帰国してからの僕の愛聴盤となっている。

    この日の締めは、ライオネル・ハンプトン(WWOZ Jazz Tent、17:40)にした。テントにつくと、人でいっぱいだった。人波をかき分けてテント内に入った。軽快なサウンドが流れているが、ラ、ラ、ラ、ライオネルはどこだ?よーく、みるといたいた!ヴァイブの後ろに座っているのだった。もう彼も90歳に近い高齢。殆ど演奏面でバンドに貢献はしていなかった。曲の間に立ち上がって挨拶したり、手を叩いたりする程度。何回かヴァイブを叩いたが、当然ながらかつての勢いはない。でも、彼がいるのといないのでは大違いだ。客は、彼の一挙一動に注目し、割れんばかりの歓声を送る。やはり、彼はすごいのだ。僕もジャズの歴史上の巨人を目の当たりにして、感慨深かった。ラストの曲は、待ってました!の"Flying Home"。途中のブレイクもバッチリ決まって、もう最高!聴衆の歓声も本当にすごい。この曲が終わったとき、既に時計は終演予定の7時を過ぎていたのだが、熱烈な拍手に応えて2回もアンコールを演った。ライオネルが歌った2回目のアンコールは、なんと"What A Wonderful World"。客も思わず一緒に歌う。途中ライオネルは歌詞を忘れたらしく何回かトランペットの人に耳打ちされていたが、そんなのはこの高齢では愛敬愛敬!心暖まるラストで感激でした。歩くのももう楽じゃないと見えて、ステージを降りるのもえらく時間がかかっていたけど、観客の声援に応えて笑顔で手を振るその姿は、昔から殆ど変わっていないように思えた。きっと、体は衰えてもその精神は若い頃のままなのだろう。あんな、年取りかたをしたいね、僕も。そんなに長生き出来るかどうかも判りゃしないけど。

    彼らの演奏が終わったのは、7時半頃。今日も楽しかったなぁ。さて、夜の準備だ!今夜はハウス・オブ・ブルースでネヴィル・ブラザーズを観るのだ。

    因みに本日の観れなくて残念賞は、ディー・ディー・ブリッジウォーター(WWOZ Jazz Tent、16:10)。彼女ほどソウルフルに歌えるジャズ・シンガーもそういないのではないだろうか?すごくよかったらしく、観れなくて惜しかったなぁ。でも重なりまくっててしょうがなかったから...。でもこの後彼女は来日し、そのときステージを観ることができた(7月26日、ブルーノート東京)。素晴らしいステージを堪能させてもらいました。そういえば先日、ジョン・セイルズの84年作の映画"A Brother From Another Planet"を見たら彼女が出ていて、なんか嬉しくなったりした。余談だけど。ジャズフェスの話題に戻ると、ディー・ディーのステージと同じ頃、チャカ・カーン(Ray Banステージ、16:00)も演ってたんだよね。観れない人が多すぎる。そんな一日だったけど、充実してました。


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