• 5月1日(水)夜


    LEGENDS OF NEW ORLEANS

    featuring Tommy Ridgley, Eddie Bo & Oliver Morgan
    カバー・チャージ:$10

    Dream Palace(Cafe Istanbul)
    534 Frenchmen St.
    504-544-4180



    この会場、つい数日前のファンクフェスのときにはCafe Istanbulだったのに、この晩行ってみたら新しい名称のDream Palaceに変わっていた。看板が付け替えられていたが内装が変ったわけではない。名前を変えて心機一転といったとこか?

    タクシーで会場に着いたのは11時ちょっと前。この前のファンクフェスの客の多さがうそのように、人は少なく会場はがらがら。出演者の人たちもそこら辺を普通にうろついている。そばに黒人のオジさんがいたので、「あなたも今日出演のミュージシャンの方ですか?」と聞くと「そうだよ」と言われたが、後で彼はオリバー・モーガンだと判った。すいませんオリバーさん、判らなくて。 トミー・リッジリーもすぐそばの椅子に座ってたので声をかけた。「トミー・リッジリーさんですね。あなたのブラックトップ盤は楽しませて貰いました。」そういうと彼は嬉しそうにうなずいて、"Thank you! Thank you!"と繰り返した。

    間もなく今夜のバックを務めるロッキン・ジェイク・バンドの演奏が始まった。このバンドは、東海岸出身のハーピスト、ラリー“ロッキン”ジェイコブス率いるブルース・バンドで、最近地元ニューオーリンズでは注目株のようだ。先日アルバム"Let's Go Get 'Em" (Rabadash Records RAB-013)をリリースしたばかり。

    あれ?バンドのベーシスト、どっかで見た顔じゃないっすか?何、名前は?アンジェロ・ノセンテリ、そう彼はあのレオ・ノセンテリの弟なのです。そっくりだ。血は争えん。それはそうとこのバンド、オープニングに1時間くらいやったんだけど特に癖もなく淡々としてて、正直言って結構地味でした。でも、最後のハープのインスト曲ではジェイクがハープを吹きながら客席を練り歩き、あげく通りにまで出ていってしまうというパフォーマンスがあり、それなりに楽しませてもらった。

    続いて登場したのはオリバー・モーガン。"What'd I Say"などカバーが多かったが、元気いっぱいのステージだった。最後は十八番の"Who Shot The La La"で彼はおもむろに傘を開いて観客席に入り、客と列をなして会場内をパレードし、外まで出ていった(こんなのが多かったな)。その後も客席で客と一緒に踊って盛り上がった。

    休憩の後はエディー・ボーの登場だ。既に彼はジャズフェス会場で観ていたが、この日も相変わらず好調。さすがにバック・バンドは、ジャズフェス会場でのエディーのバンド程ファンキーではなかったが、それでも彼は気持ちのいいピアノを弾きまくり、アップテンポなナンバーを中心に聴かせた。何の曲を演ったかがよく思い出せないんだけど、"Slippin' & Slidin'"とか演ってたような気がする(あやふやですいません)。彼もまた客席に入り、客と一緒に通りまで出ていった。今夜はそういのがはやりなのかな?(笑)

    因みにエディー・ボーとも話したけど、飄々としたおもしろいオジさんだった。酒は一切飲まないそうだ。つい最近ナイト・トレインというレコード会社から彼のソロ・ピアノのレコードが出たので、それについて聞いてみたら、「え、何それ?そんなの知らないなぁ。きっと、どこかで演ったテープを使って勝手にだしてんじゃない」だって。それも全然怒ってないのだ。「よくあることだよ。今夜もWWOZ局がここに来て録音してるから、そのうちまたどっかで出したりするかもね。」あっけらかんとしている。でも、そういうCDが出ていることすら知らないなんて。レコード屋にいっぱい並んでるのに。余談だけどエディーのオジさんは、僕らとは別で来ていた日本人の女の子2人組がお気に入りだったようで、自分のステージが終わると彼女たちにずっと話しかけたり、飲み物を買ってあげたりしていた。

    この日のトリはトミー・リッジリー。彼は昨年腎臓を患って4ヶ月間も入院していたらしい。だが、ロッキン・ジェイクが言うには「彼は見事に回復し、かつてなかったほど今彼は快調」だそうだ。そんな紹介で登場したトミーのステージを観ていると、すぐにそれがうそでないことが判った。声に伸びがあるし、力強い。去年のブラックトップ盤の歌声と較べても、断然快調だ。そりゃあ、50年代のレコードのような美声は望めない。でも、あの時代にはなかった貫禄が感じられた。トミーのオヤジも伊達に歳食ってませんぜ。

    演った曲はやはりご自慢のブラックトップ盤の曲が殆ど。コンサート後にトミーが曲目リストをくれたので、そちらも観て下さい。あと、このリストにはないが、実際は"Ooh Poo Pah Doo"も演った。個人的にはこの日歌われた昔の曲のひとつ"Tina, Tina, Tina"が特によかった。

    終演は3時過ぎ。またタクシーを捕まえるのが面倒だなぁ、なんて思っていたらエディー・ボーがなんやら話しかけてくる。前述の女性たちと我々が一緒に来たものと思っているらしく、ホテルまでみんなを送って行ってあげたいが、あいにく彼のピックアップ・トラックにはあと3人しか乗れないというのだ。僕と連れ、それにその女性2名では4名になってしまう。そうしたら、横からトミー・リッジリーが口を挟んできて、「じゃあ、この2人は俺が送るよ」って言って、僕らに、「おいで!」と彼の車に案内された。ラッキーじゃないですか。帰りの足を探す手間が省けたばかりか、あのトミー本人に送ってもらえるなんて!

    トミーは、まだ腎臓の治療で通院しているそうで、「翌朝6時に病院に行かなきゃならん」と言って早く帰りたそうだった。「こういうライブは夜遅い上に、自分の出番がいつなのかが事前によく判らんから困る」とブツブツ言っていた。

    車の中で彼はずっとしゃべっていた。本当によくしゃべる人だなと思った。「南部のいいところはな、人が親切なことだ。これだけは言える。そりゃ、悪いやつもいるけどね」と彼の話しは続く。僕が今夜のライブは最高だった、と言うと、「じゃあ、ジャズフェスにも観に来てくれ。あと5月5日にはハウス・オブ・ブルースにも出るからそっちも」と誘われる。「もう行くつもりにしてます」と言うと、「私のレコードを聴いたかい。これじゃなくって...」と自分の脇にあるカセットの山を運転しながら探す。「ああ、これだ。昔のヒット曲がたくさん入っているから」と言って取り出したのはヘラルド時代のベスト盤だった。トミーは、本当に人のよさそうなオジさんだった。でも、その人柄のなかにブラックトップ盤のリリースで上向きになって来ている彼の自信が感じられた。早く2作目も出てほしいとも思う。内容には1作目以上に期待が持てるのではないだろうか。

    ホテルまではすぐに着いた。でも、そのわずかの間に随分トミーと話したような気がする。僕らは彼の親切に感謝し、早々に眠りについた。おやすみ。


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