4月27日(日)


本日のメニュー
Bobby Marchan & Higher Ground バックバンドのみ(Ray Ban, 12:25 - 13:20)
Wild Magnolias (Congo Square, 12:20 - 13:05)
Los Babies Del Merengue (Polaroid, 12:20 - 13:20)
Astral Project (Jazz Tent, 13:40 - 14:40)
Johnny Adams (Polaroid, 13:45 - 14:45)
Beau Jocque & Zydeco Hi-Rollers (Polaroid, 15:10 - 16:10)
funky Meters (Ray Ban, 15:20 - 16:45)
Dorothy Norwood (Gospel Tent, 16:20 - 17:10)
Earth, Wind & Fire (Ray Ban, 17:30 - 19:00)
Sonny Landreth (House Of Blues, 17:45 - 19:00)
Khadir (Bellsouth, 18:00 - 19:00)
Irma Thomas & The Professionals (Polaroid, 18:00 - 19:00)
Nathan & The Zydeco Cha-chas (Fais Do-Do, 17:50 - 19:00)

前日嵐に見舞われ、さんざんな目にあったにも関らず、この日も朝起きてみると雨だった。もういい加減にしてくれ!でも、仕方がない、と会場に向かう。

ちょうど、入場したときだった。雨が猛烈に強くなってきた。冗談じゃねえぜ!と入り口付近のテントに駆け込み体勢を立て直す。雨は滝の様に降っている。さっきまでは、しとしと程度だったのに。これは神様のいたずらか、我々の普段の行いが悪かったのか。

とりあえず、カッパで身をしっかり包み、最初の目的のライブへ移動。ボビー・マーチャン(レイバン・ステージ)だ。昨年ちょっとしか観なかったので、ちゃんと観ておきたかったのだ。しかし、行ってみるとなんてこと!演奏は始まっているのに、あのすごく広いレイバン・ステージ前は、殆ど誰もいない。一番前の方に3、4人客がいるのと後は警備員が何人かいるだけ。オマケに雨は強いまんまだし、ステージ前には池の様な水たまりが出来ている。悲惨だなぁ、まったく。

演奏はバック・バンドと前座のシンガーによるものだった。こんな状況の中で、御大の登場をもったいぶってもしょうがないよ。早く出てきてくれ!因みにその3、4人のわずかな客のひとりが、友人のK氏だった。ボビーが出てくるまでと思い、バンドの演奏をBGMに彼と立ち話をしていたが、話しがロクに出来ないほどの激しい雨でした、ホント。ボビーはなかなか出てこない。前座のシンガーがスタンダード曲を歌うのに数曲付き合ったが、シビれを切らして移動した。結局ボビーは観れずじまいだ。

お次はコンゴ・スクウェアのワイルド・マグノリアスだ。ステージに着いたときやっていた曲が"Handa Wanda"だったか"Pockey Way"だったか、すでによく覚えてないが、ファンキーでワイルドなビートに激しい雨の中で観衆は踊り狂っていた。マグノリアスのパワーは相変わらずだ。でも、よく見るとメンバー皆衣装が違う。普段の衣装の色違いのようなものを着ている。オマケに下半身は普段着だ。やはり大切な衣装は、雨にさらしてはならないのか。でも、モンク・ブードゥルーなんか、スラックス系のズボンに長靴はいて、何となく魚屋のオヤジのようでもあった。

しばらく、マグノリアスにはまっていたが、ちょっとだけロス・ベイビーズ・デル・メレンゲ(ポラロイド・ステージ)が気になり移動。早くしないと終わっちゃうゾ。最後の1曲だったが何とか、まだやっていた。彼らは、地元ニューオーリンズのメレンゲ・バンドだが、メンバーは中南米出身の人とニューオーリンズっ子の混成だ。CDも出ているのだが、聴いてなかったのでちょっとどんな感じか観てみたかったのだ。陽気なリズムにあわせ、フロントの歌手達が踊る、歌う。なかなかだ。その踊りが、またいい意味でイモッぽいというか何というか。いい味だしてる。

さっきまで激しかった雨が、いつのまに殆ど止んだようだ。次のステージへ向かって移動している間に少し晴れ間さえ見えてきた。変な天気だ。でも、止んでくれて嬉しい。ちょっとアストラル・プロジェクト(ジャズ・テント)をのぞきに行った。2枚目のアルバム"Elevado"が出たばっかのこのグループは、スティーヴ・マサコウスキーら地元の一流ジャズメン4人から成る前衛ジャズ・バンド。ホットなのにとてもクールな(判るかな?)激しいジャズがテント内をこだましてました。ジョニー・ヴィダコヴィッチの叩き出すビートが僕を熱くさせた。

ずっと彼らを見ていたかったのだが、ジョニー・アダムス(ポラロイド・ステージ)が始まってしまう。ジョニーは是非とも観なければならない。単に好きだというだけでなく、友人のヒロナリ君が彼のバンドでギターを弾くのだからということだったので、逃せなかった。と言うわけで、残念ながらアストラル・プロジェクトはじっくり観れなかった。また次回ということで...。

ステージに着くと、ジョニーが"Body And Fender Man"を歌っていた。おお、ヒロナリ君もいるいる!気合い入れて弾いてる弾いてる。なぜか、彼一人だけ黒いスーツでビシッと決めている。ジョニーは、思いっきりラフな格好だ。ジョニーは最近新作を出したこともあってか、去年観たときよりも貫録が感じられ、元気そうだった。最後を新作の曲"One Foot In The Blues"で締めたが、この曲は特に客に受けていた。新曲が受けるっていうのは、ベテランのアーティストにとっては嬉しいことだろうなあ。去年は、彼もちょっと元気がないなと思ったけど、まだまだ健在だった。あのときは、ほんの少ししか観れなかったし。

ジョニーが終わっても、僕らはそのままその場に居座った。ボー・ジョックを観るための場所取りだ。今年はじっくり観るぞ、躍るぞ、盛り上がるぞ!と休憩時間をワクワクしながら待っていたら、セッティングをしにボー・ジョック以下バンド・メンバーがぞろぞろ出てきてしまった。ボー・ジョックは、真ん中のイスに座ってアコーディオンのチェックをしている。バックのバンド演奏で何曲分も引っ張ったりしてじらす人も結構いるのに、この人あまりにも飾らなすぎる!会場が大きくても小さなクラブのノリそのままと言った感じだ。でも、それが妙にアット・ホームな雰囲気でよかったりもする。

演奏が始まったら、最初に一音で「をををを!」と盛り上がってくる。やはりボーは最高だ。彼は、去年観たときは立って演奏していたのに、このときは終始座ってリラックスした雰囲気。でも、パワーは全開。"Boogie Woogie All Night Long"など新曲を中心に盛り上がった。ちょっと、フュージョン風な"It's So Easy When You're Breezin'"もいい感じ。ボーってゴッつくデカくて恐そうだけど、演奏の合間に見せる優しい笑顔が妙に印象に残った。結構、人は丸そうだ。(体格の話じゃないよ!)バンドも勢いがあった。レコードでもお馴染みのドラマーの"Bring it up! Bring it up!"の掛け声で全体が煽られ、演奏はどんどん熱くなっていった。ひとつ残念だったのは、ギターが僕の好きだったスライ・ドリオンではなくなっていたことだ。あんなにスゴいプレイをするギタリストはそういないだろうから。でも、後任のギターも悪くはなかった。プレイヤーのタイプとしては、スライに近いものが感じられた。彼と同様、トークボックスも使っていたし。

ところで蛇足だが、ボー・ジョックのドラマーによる合いの手の掛け声、他にもいくつかパターンがあり、

その1 ぎぎぎぎぎぎぎ、ぎりぼーじょっく!
その2 でぃきりでぃきりでぃきりでぃきりでぃきりでぃきり、いやぁー!
その3 どぅどぅどぅどぅどぅどぅどぅ、どぅーだっとあげん!

ここら辺はレコードでも繰り返し聴けるが、こうやって書き出してみると、どれも最初の部分にタメがあり、そこで加速して最後に爆発させるというパターンが共通している。言ってみれば、単車でぶろろろーん、ぶろろろーんとエンジンを噴かした後にびゅわわわわーん!!と暴走していくようなもんだな。これがボー・ジョックの勢いの秘密か。参考になったらみんなで真似してみましょう!誰もしないって...。

ちなみに、もうこの頃雨は全然降ってなかったのだが、この日の朝までの雨で出来たぬかるみと水たまりで、依然グラウンドの状況は最悪。ポラロイド・ステージの前には一直線の大きな窪みがあり、ここが川のようになっている。この川にシャツを脱いでダイブするヤツもいたりして、もうわけが判らない。僕も水たまりの中をズブズブ入って歩き回っていたので、ヒザから下は泥だらけだ。さすがにダイブはしなかったけど。

ボーを堪能したあとは、いくつか観たいものがあり迷いつつも、まずはレイバン・ステージでのファンキー・ミーターズを覗きに行った。レオ・ノセンテリのいた頃のミーターズは観たことあったけど、考えてみればまだ新生ミーターズは聴いたこともなかったし。で、結局ちょっと覗いただけだったんだけど、白人のギタリストがレオにも負けないほどの弾きまくりぶりで、ジミヘンの"Voodoo Chile"をやっていた。応戦するジョージ・ポーターJr.もなかなか凄まじい。アート・ネヴィルは、やはりクールだったな。

お次は、となりのゴスペル・テントでのドロシー・ノーウッド。この人、あまり有名ではないかもしれないが、サヴォイ・レーベルのゴスペル・シリースで何枚かいい作品を残しているし、最近はマラコからアルバムを出しており、結構ファンもいるようだ。僕らは、いい音が聞こえてきたのでついでに寄りましたという状態だったのだが、もうこれがすごいのなんのって!ゴスペルでここまで衝撃を受けたのはファイブ・ブラインド・ボーイズを観て以来のことです。まず、ドロシーおばちゃんの強烈も強烈なシャウトぶり。それだけで、わたしゃ半分ブッ飛びました。でも、更にスゴイのは、そのシャウトぶりに呼応するクワイヤーのパワー。僕らのように日本に住んでるものにとって、ゴスペルを聴く機会自体があまりないのに、このような大勢のクワイヤーを従えてのライブを観ることは、本当に珍しいと言える。もう、昇天寸前状態で結局最後まで観てしまいました。あっぱれ!間違いなく、今回のフェス最大のハイライトのひとつです。

終わるやいなや、またも移動。クレオール・ザディコ・ファーマーズ(フェイ・ドー・ドー・ステージ)が終わってしまう。ダッシュだ!でも、道のりは長い。結局、途中、食べ物の補給などで道草を食ってしまったこともあり、ステージに行ったら彼らの演奏は終わっていた。グスン...。アルバムの演奏は結構気に入っていたので、観たかったのだが。

そうこうしているうちに、この日もそろそろトリの時間が迫ってきた。まず、ちょっとだけアース・ウィンド&ファイアー(レイバン・ステージ)を覗きに行った。ファンには申し訳ないが、モリス・ホワイトももう参加しないようだし、今更彼らにあまり興味はなかったのだが、一応観ておこうと思ったのだ。ステージでは、カラフルな衣装のダンサー達がステージ前方に並んで、ビートにのせて躍っていた。妙に軽い雰囲気で、「これが本当にアース?」と思ったが、ダンサーの中にフィリップ・ベイリーの姿が見えた。こんなもんか、とその場を後にした。

お次は、サニー・ランドレスだ。演奏の開始に間に合うことが出来た。彼の演っていたハウス・オブ・ブルース・ステージ周辺は、エラくぬかるんでいる。泥に足をズブズブはまらせながら、ステージに登場してきた彼を観に前の方に行った。風貌、弾き方はクールなのに、のっけからスライド・ギターが豪快に響きわたる。やっぱ、この人ってすごいなぁ。しばし、聴きほれる。

ずっと、そのままサニーを観てればいいのに、何せ彼とアーマ・トーマスが重なっていたので、こちらも観たかった。というわけで移動。アーマは、今年になって出た久々の新作がスゴくよかったし、ずっとファンだからやはり外せないのだ。移動の途中、カーディアというバンドをベルサウス・ステージでチラッと観た。よく知らないのだが、マイアミのバンドでニューオーリンズでもラテン・ファンクとか言って結構話題になっていた。でも、実際観た感じは全然違って、アクースティックののんびりとした感じの曲を演っていた。ちょっと聴いただけなので、全然判らないけどね。

でアーマだが、彼女は通常新曲をステージの前半で演ることが多いようで、僕らがステージに着いたときにはもう古い曲の部に入っていた。因みに新曲は3曲やったそうだ。この日のアーマは、随分とにこやかで上機嫌な印象を受けた。歌もいい感じで、"Hey Pockey Way"のセカンドライン・タイムなど、最高に楽しめた。曲はいつものやつのオンパレードで、最後は"Simply The Best"で華やかに締めてくれた。もうサイコー!驚いたのは、彼女の演っていたポラロイド・ステージのすぐ側の住宅街で火が上がっていたことだ。火事の煙が立ちこめる中でライブを観るというのもそうない経験かと思うが、あの火事は無事収まったのだろうか。バンドは、特にお構いなしでどんどん演奏していたけど。

何はともあれ、アーマのライブを堪能し、今日もこれにてお開きと思って歩いていると、フェイ・ドー・ドー・ステージからネーザン&ザ・ザイデコ・チャチャスの演奏が聞こえてきたので行ってみた。もう最後の曲だったけどちょっとだけでも観れたのは、ラッキーだった。

これで前半の日程は終わり。26日が大雨で消化不良となったせいか、それなりのラインアップはあったのに何か物足りなさも残った。今日も滑り出しは散々だったが、後半晴れてよかった!消化不良といっても、まだ後半4日があるのだから、まだまだこれからなのだよね。




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