5月2日(金)


本日のメニュー
Bobby Cure & The Summertime Blues w/Robert Parker (Polaroid, 12:20 - 13:30)
File (Fais Do-Do, 12:40 - 13:35)
Marcia Ball (Ray Ban, 12:50 - 13:50)
Milton Batiste's Magnificent 7th w/Big Al Carson (Polaroid, 13:55 - 15:00)
Sherman Robertson (House Of Blues, 15:00 - 16:00)
Carol Fran & Clarence Holliman (Music Heritage, 15:15 - 16:00)
The Iguanas (Polaroid, 15:20 - 16:20)
Andy J. Forest & The Blue Orleanians (House Of Blues, 16:30 - 17:30)
O'Landa Draper & The Associates (Gospel Tent, 16:20 - 17:10)
Bruce Hornsby (Ran Ban, 15:55 - 17:10)
Steve Riley & The Mamou Playboys (Polaroid, 16:45 - 17:45)
Dogon Dancers Of Mali (Congo Square)
Chris Ardoin & Double Clutchin' (Fais Do-Do, 17:50 - 19:00)
Michael Ray & The Cosmic Krewe (Jazz Tent, 18:15 - 19:05)
Coco Robicheaux & The Perspirators (House Of Blues, 18:00 - 19:00)

Parade at the Fairgrounds
フェスの会場を練り歩くパレード

前の晩はハウス・オブ・ブルースでタジ・マハールを観たのだが、その後ちょうどニューオーリンズに来ていたシナロケの鮎川さん、シーナさんのホテルに遊びに行った。これがまた、すごく面白かったのだが、この話はまた別の機会に。で、結局明け方まで彼らのホテルにいたので、この日も午前のライブはパス。でも、前日と同様正午過ぎに会場に着き、早速観戦開始...。気力があれば体力はついてくるもんだ。え?そんなこと言っていると、あとでガタが来るって?そう、その通り!

ロバート・パーカーからこの日のライブ見物はスタート。ご存知、"Barefootin'"のヒットで知られる人だ。正確に言うと、このライブはボビー・キュアという人のバンドのステージにロバートが飛び入りするという形のもので、彼の出番はそう長いものではなかった。これまでも、度々この組み合わせでジャズフェスに出演しているようだ。ボビー・キュアのバンドは、噂では相当ヒドイと聞いていたが、実際音を聴いてみて納得。ロバートに合わないとかそういう問題じゃなく、あまりにもショボく演奏もお粗末。宴会芸のバンドでも観ているようだ。オマケにベーシストがいなくて、キーボードが左手でベースをやっていた。なんでこんなバンドとやってるの?という声が挙がるのも無理はないな。ロバートが出てくる前に、早くも飽きてしまった。

Fileロバートが出てきたら、せめて"Barefootin'"は聴きたいと思っていたが、彼が数曲歌うのを聴いているうちに、となりのステージで演っていたフィレに心を奪われる。連れをおいてちょっと覗いて帰ってきてみたら、ロバートはもう歌い終わっていて、次のゲスト・シンガーが出ていた。ガッカリ。連れは、一応"Barefootin'"が聴けたからいっか、だって。ま、俺も本人が観れたからいいか。でも他の曲ってジョニー・テイラーの"Who's Makin' Love"とか、よくありがちなカバー。なんか、持ち曲が少ないのって淋しいな。でも、元気でした。

フィレというなんだかおいしそうな名前のバンドは、ケイジャン・バンド。前日ケイジャンでは比較的洗練された感じのボーソレイユを観ていたせいか、フィレは田舎っぽくのんびりした印象を受けた。こじんまりとした雰囲気がホーム・パーティのダンス・バンドっぽくて楽しめた。

続いて観たのはマーシャ・ボール。ロバート・パーカーらと重なっていたので最後の方しか観れなかったけど、"Hot Tamale Baby"で踊らせてもらいました。彼女のやったレイバン・ステージは人で一杯だった。去年も思ったんだけど、人気あるんだなあ。ピアノのスタイルはニューオーリンズ・スタイルだけではないのだけど、ニューオーリンズR&Bのブレンド具合がいい感じだと思います。

マーシャが終わるや否や、そこから一番遠いポラロイド・ステージに直行。アーニー・ケイドーのステージがあるからだ。着いてみると、バックを務めるミルトン・バティストのバンド、マグニフィセント・セブンスが演奏を始めたところだった。いい感じのR&Bインストだけど、やはりお目当てはケイドーだ。しばらくすると去年のステージにも出たアクロバットをしながら歌う、謎の白人のオジさんがブルースを2、3曲披露。

その後、ケイドーと並んでもうひとりのフィーチャー・ゲストとなっていた歌手、ビッグ・アル・カーソンが出てきた。この人、とてつもなく横にでかい。歩くより、転がったほうが速いのでは?とマジに考えてしまった。着ていたベストには"Built for Comfort"という文字が刺繍されている。声は野太いがクセは殆どなかったので、インパクトは見た目ほどはなかった。やっていた曲も、その"Built for Comfort"他、有名曲のカバーばかり。彼には、悪いけど早くケイドーを出してくれ、と思わずにはいられなかった。因みにカーソンは、マルディグラ・レコードからアルバムを出している。

でも、結局このステージ、最後までカーソンが歌い続け、アーニー・ケイドーは出てこなかったのだ。おいおい、なんのために待っていたんだ。がっかりしてしまった。後で新聞で知ったのだが、ケイドーはギャラの件で主催者と折り合いが付かず、最終段階でキャンセルになってしまったようだ。そう言えばバンドのMCでは、「来年も観てね。ケイドーは戻るかどうか判らないけど、ビッグ・アルは来年も出るから」と言っていた。もう、ジャズフェスには出ないのか、アーニー・ケイドー!だとしたら、残念だ。

ハウス・オブ・ブルース・ステージで観たシャーマン・ロバートソンは、ブルース勢があまり多くない今年のラインアップの中では、見逃せなかったひとり。アルバムはコンテンポラリーっぽい雰囲気の音になっていて、どうもスケールの小さいロバート・クレイみたいでいまいちだったが、ステージでの印象はもっとダウンホームなブルースをやっている感じで、なかなかよかった。ギターのプレイにも力がこもっていた。なおいいのは歌だ。アルバムでも思ったが、ソウル寄りな声の持ち主で歌はかなりうまい。余談だが、予想以上に小柄な人だった。

彼のステージは最後観るつもりだったのだが、2/3観たあたりで移動してしまった。(こんなのばっか)キャロル・フラン&クラレンス・ホリマンが気になったのだ。スケジュールを見るかぎり、ジャズフェス登場はこの日のミュージック・ヘリテージ・ステージ一回限り。それも、演奏ではなくインタビューという名目だ。インタビューを受けるためだけにニューオーリンズまで来ているのか?少しくらい演奏はあるかも、と思い覗きに行った。

このミュージック・ヘリテージ・ステージというのはフェス会場の隅にある、展示物用のテント内にある。演奏前後のミュージシャンのインタビューに使われるのが殆ど。演奏がなくインタビューのみ、というケースは珍しい。行ってみると案の定!2人だけでの演奏がこじんまりとした雰囲気の中で行われていた。客はせいぜい20人程度。キャロルがピアノを弾き、クラレンスの旦那が冴えたギター・ワークを披露していた。これは、超めっけもんだ。彼らは昨年ロングビーチ・ブルース・フェスティバルでも観たが、あのときはバンドが付いていたので、こういう演奏は聴けなかった。持ち時間が残り数分になった頃、司会進行役が「客席からもひとつだけ、彼らへの質問を受けましょう」と言った。質問をした人のその質問とは?「もう一曲やってくれます?」だった。「なかなかいい質問だ」という司会のコメントのあと、笑いながら2人がもう一曲。キャロルはピアノから立ち上がり、クラレンスと並んで彼のジャジーなギターをバックにバラードを歌った。もう本当にカッコいい。感動してしまった。今回のジャズフェス出演は、マーシャ・ボールが是非、ということで誘って実現したとのことだった。キャロルは、「やっとジャズフェスに出演できた。ここまで来るのに66年(キャロルの歳)かかっちゃった...。マーシャに感謝します」などと言っていた。66年もジャズフェスはやってないけど、本当にいい演奏だった。

聞くところによると、この日のマーシャのステージにも、彼らはゲストとして出演してたそうだ。それにしても、シャーマンは最後まで観れなくて残念だったとは言え、フラン&ホリマンを観に来てよかった。因みにシャーマンの方は、聞いた話だとその後ギターのボルテージが上がっていき、ワウをかけた音でジミヘンばりのプレイもしたそうだ。そっちも、ちょっと興味あったな。

僕らの欲張りぶりはなおも続く。フラン&ホリマンが終わるや否や、ポラロイド・ステージにダッシュ!もう終盤ギリギリなのに、イグアナスをちょっとだけでも拝んでおこうと思って。ステージに着いたときには、最後のアップテンポなロックンロールで盛り上がっていた。一応間に合ったという感じ。今度は、ゆっくりみよう。(いつだ、そりゃ)

移動は、続く。途中2ステージを経由して、一番遠いレイバン方面へ。まず、ハウス・オブ・ブルースで、アンディ・J・フォレスト&ザ・ブルー・オーリニアンズを。この人、地元では結構知られたハーモニカ・プレイヤーだけど、あまり日本では聞かない名前だな。ノリはいいし、個人的になかなか好きだけど。JモンクDあたりと並んで、ニューオーリンズ・ブルース・トゥデイをしょって立つひとりなのではないかな。派手さはないので、なかなかヒットはしにくそうだけど。でも、昔映画に出ていたこともあるらしい。バンドも軽快にハネてたし、本人も快調なステージでした。

続いては、ゴスペル・テントでオーランダ・ドレイパー&ザ・アソシエイツを観た。このグループはアクションが大袈裟でなかなか笑えた。オーランダは、頭がツルツルな、いかにもコミカルな感じの人で、グループ全体を煽る煽る!でも、言っちゃなんだけど歌の良しあしを言うようなグループではなかった。ゴスペル版ドリフといったところでしょうか。

レイバンでは、ブルース・ホーンズビーを観た。この日のヘッドライナーのひとりでもあり、やはりステージ周辺はスゴイ混雑ぶり。演奏はもう終盤だったので、遠くから模様眺めにちょっと観た。だが、これがよかったのだよ、実に。音はポップだけど、アメリカン・ルーツに根差した音してるっつぅかね。もうちょっと観たかった。僕がこの日観たかった人の中に彼は入ってなかったけど、食わず嫌いは良くないですね。

この後はポラロイド・ステージにとんぼ帰り。スティーヴ・ライリーを観るためだ。でも、彼も最後の数分を観れただけだった。今日は、本当にこんなんが多い。でも、観れてよかった。去年も観そこなってるし。彼らの締めはアップテンポのインストで、ライリーが気持ちよく弾きまくっていた。これぞ、パーティー音楽だ!

すぐさま、コンゴ・スクウェアーに移動し、マリのシンガー、ウム・サンガレを観ようと思ったのだが、行ってみるとなんだかステージにいるのは全く違う人たちだった。どうやら、同じマリのドゴン・ダンサーズのようだ。ウム・サンガレはどうしたのかな?キャンセル??煙に巻かれながら、しばしステージのダンスを眺めていた。民族衣装に身を包み、ステージの屋根の高さギリギリの高い帽子をかぶったダンサーが、エスニックなビートに合わせて踊っている。これはなかなかスゴイ。どうやってステージに出てきたのだろうか?いらんことを考えてしまった。

ウム嬢を観れなかったので、フェイ・ドー・ドー・ステージへクリス・アルドワン&ダブル・クラッチンを観に行った。クリスは恐らくまだ20歳くらいの若手のザディコのアコーディオン・プレイヤーだ。曲によっては、ベースも弾いていた。演奏はうまかったけど、なんかこうガツンと突き抜けるものを感じられなかったのも事実。ザディコは、まず勢いあってナンボっていう考え方は偏ったものなのか。このライブの目玉は、クリスのおじいさんに当たる巨匠、ボアセック・アルドワンとクリスの共演が組まれていることにあった。途中ステージに出てきた巨匠は、かなりのお歳という感じでイスに座ると、恍惚とした表情でアコーディオンを操った。その一歩後ろで、笑顔でプレイするクリス。不思議なことに、この両者の共演は全くの初めてのことなのだそうだ。親戚なのに、ホンマかいな。ほのぼのした雰囲気の溢れるセッションで、これは一見の価値はあった。因みにステージから目を離し、ふと振り返ると、すぐ後ろにいた女性には見覚えがあった。マーシャ・ボールだった。やはり結構背が高かった。

孫とおじいちゃんのセッションが終わるとジャズ・テントに移動。我ながら、本当にせわしないヤツ。ここでみたのは、マイケル・レイ&ザ・コズミック・クルーだ。サン・ラ・アーケストラとクール&ザ・ギャングを渡り歩いたという、マイケル・レイの経歴は独特だが、このバンド、その経験も生かされた個性的で面白いバンドだ。モダンなジャズだが、ステージ衣装はまるでPファンク軍団だし、本当にエンターテイメントに徹している。ドタバタのコミック・バンドのようでもあるが、演奏の腕は皆一流なので、ホットなステージで楽しませてくれた。マイケル・レイはトランペットを吹いたと思いきや、ステージを走り回っていたり、キーボードを弾いたりとこの忙しなさが面白い。ベーシストがソロを取ったときなんかは、"BASS SOLO!"と書いた大きなプラカードを持ってステージを右往左往。挙句の果ては、そのプラカードを客席に投げ込むし。あんなデカいもの、貰っても困るって...。

ジャズ・テントで盛り上がっている間にちょこっとだけ、ココ・ロビショーを観に抜け出したが、ステージも終盤だったのに、のんびりとした雰囲気の演奏をしていて、この人ってやっぱマイペースなのだな、と思った。

一方、マイケル・レイはスゴく熱くなってきて、定刻の19:05になってもまだ終わる気配はなかった。結局10分以上伸びたんではないかと思うが、いいステージだった。トラディショナルなジャズもいいけど、こういう人にはもっとメジャーなところで頑張ってもらいたいな、と思った。変人という感じはするけどね。







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