5月3日(土)


本日のメニュー
Paky Saavedra's Bandido (House Of Blues, 11:15 - 12:00)
Raful Neal (House Of Blues, 12:20 - 13:15)
Dirty Dozen (Ray Ban, 12:50 -13:45)
Alex Chilton (House Of Blues, 13:40 - 14:35)
Clarence "Gatemouth" Brown & His Big Band (Ray Ban, 14:10 - 15:10)
Cookie & The Cupcakes (House Of Blues, 15:00 - 16:00)
Syl Johnson (House Of Blues, 16:25 - 17:25)
Fats Domino (Ray Ban, 17:40 - 19:00)

Paky Saavedra w/Charlie Miller今日は必死こいて、いつもより早く会場に行った。パキー・サヴェドラというホンジュラスのアーティストのステージを観るためだ。何で、彼のライブをそんなに観たかったかって?それには、ちと訳がありまして。いや、ドクター・ジョンのバンドで長年トランペットをやっているチャーリー・ミラーさんと、昨年インターネットを通じて知りあったのだけど、彼がこのバンドに参加するというのでちょっと興味があったし、ライブのあとに彼に声を掛けようと思って。ドクター・ジョンは既に観に行ってたんだけど、そこでは声を掛けられるような状態じゃなかったから。それに、パキーのライブの方が自分にとって未知の世界だから面白そうでしょ?アクースティック・ギターを弾くパキーの演奏は非常にクールでカッコよかった。時折待ってましたとばかりに、チャーリーが熱いラテン風なソロを入れる。いいなあ。ジャズフェスって、こんな風によく知らないアーティストを観てみて、思わぬ発見をしたりすることも多い。それがまた楽しいんだよね。

ステージ終了後、チャーリーと話すっことができた。彼によると、このバンドは1枚もレコードは出てないし、全く無名だということだった。チャーリーは、「こうやって、このステージに出られること自体本当に奇跡だよ」と言っていた。もったいないなぁ。結構いいと思いました。チャーリーはステージ脇の売店でビールをおごってくれて、しばらく飲みながら話した。彼に会ったのは初めてだったが、独特なペースをもった人という印象を受けた。日本にツアーで来たときの話とかで盛り上がってました。

Raful Nealそうこうしている間に、ステージでは次のアーティスト、レイフル・ニールの演奏が始まった。最初は彼の音楽をB.G.M.にしてチャーリーと話していたが、途中からステージ前に移動して観た。去年出演したときは、タブ・ベノワと一緒にやってたが、今年はニール・ファミリー勢揃いだ。当然、ギターは息子のケニー・ニール。ドラムス以外は皆兄弟という家族会議状態。そのドラマーも途中で、家族の誰かに変わっていた。ニール一族の醸し出す音はほのぼのと暖かく、南部の人らしくユルい。たまんないなぁ!レイフルお父っつぁんも、相変わらずのんびりした雰囲気を音に出しており、その個性は健在だった。曲はジミー・リードだったり、マディ・ウォーターズだったりと有名曲が多いけど、レイフルが演ると一味違う。関係ないけど、この人、日本まで来たんだよなぁ。いかにもアメリカの南部の土着な雰囲気を持った人なだけに、何か不思議な感じがした。

レイバン・ステージへダーティー・ダズンを覗きに行った。今まで、レコードは聴いてたし、好きなバンドだったのだが、今回やっとライヴを初めて観ることが出来た。今から考えれば、名前から「ブラス・バンド」が落ちる前に一度観ておけばよかった。新生ダーティ・ダズンはあまりいい評判は聞かないが、実際観てみたらそんなに悪くなかった。確かに「ブラス・バンド」というより、普通のバンドっぽくなっていたが、やってることはそう変わっていない。今度、最近の彼らのアルバムも買ってみよっと。("Voo Doo"以降のアルバムは聴いてなかったな、そういえば)

Alex Chiltonダーティ・ダズンが終わると、我々は、またもやハウス・オブ・ブルース・ステージへ舞い戻った。お目当ては、アレックス・チルトンだ。世をおちょくったような、かなり変わった雰囲気を醸し出している人だが、意外とポップな曲も多い。一体どんなステージになるのだろう。かなり期待しながら、ステージへ向かう。彼は、ベースとドラムスがバックに付いただけのトリオ編成で登場した。ウィリー・ティーの"Teasin' You"をやったりと、かなりストレートなR&B、ルーツ路線だ。ジャズのスタンダード"Shiny Stockings"でギターの技を披露したりもした。いやー、ギターうまいなぁ!でも、この曲をやる前に彼がひとこと。「次の曲はカウント・ベイシーからアイデアをパクッたものだけど、御大はもう死んじゃったし、誰も文句言うやつはいないだろう。」シニカルなところは相変わらずですね、この人。でも、音楽は最高。和んでしまった。

最後まで観たかったけど、ゲイトマウス・ブラウンのビッグバンドのステージがあったので、半分くらい観たところで移動した。発売を目前に控えた新作"Gate Swings"をライヴで再現するというもので、ここで観そこなうともう2度と観れないという貴重なライヴなのだ。まさか、ビッグバンドを連れて日本まで来れないだろうし。13人からなるホーン・セクションが並んだバンドは、観た感じもバッチリ決まっている。指揮をするのは、ワーデル・ケゼルグだ。演奏は、インスト曲からスタートした。大ステージとあって、もう最近はステージでは使わなくなっていた愛器のファイヤーバードを持って登場したゲイト。やっぱ、彼はこのギターだなぁ。いつもは自分のペースにバンドを引っ張るゲイトだが、やはり緻密なアレンジがされたホーン・セクションはそうもいかない。ゲイトがホーンとのユニゾンのフレーズを12小節早く入ってしまうというような場面もあったが、やはり彼の音楽はホーンが入ると、ムチャクチャカッコいい。"One O'Clock Jump"にはやられた!という感じだったが、アルバムにも入っていたんだね。特に"River's Invitation"でのキックの効いたホーンがカッコよかった。ゲイトがよくステージでやる曲だけど、こんなにカッコいいのは初めて。最後、1曲だけは、ホーンの面々はステージから去り、ケイジャン・フィドルのインストを披露。予定60分のところ、やや短めなステージだったが、内容はマルだ。でも、聞くところによるとゲイトは4月の半ば位から体調を崩していて、この日も体調は最悪だったらしい。だから、ステージも短めだったんだろうな。でも、演奏中はそんなことは微塵も感じさせない。プロとしての意地だろう。

Gatemouth & His Big Band

続いて観たクッキー&ザ・カップケイクス(HOBステージ)は、ステージ上の人の多さの力技で、迫力のある演奏を展開していた。演奏の完成度は?なとこもあったけど、結構楽しかった。でも、クッキーはどの人だったんだろう?フロントマンも入れ替わり立ち替わり状態だし、よく判んなかった。まぁいいや。彼らの昔のレコードも今度じっくり聴いてみよっと...。

ザリガニが食べたい!ゆでたてのザリガニを仕入れるため、食べ物の売店へ行った。たっぷり買って、ポラロイド・ステージへ!バックウィート・ザイデコを観ながら食べましょう。と思ったけど、行ってみたらちょうど終わったところだった。ははは。でもザリは、うまい。しばし、芝生に座ってのんびりしながら、たいらげる。頭の汁を吸うのがまた楽しみなのだ。

Syl Johnson再びハウス・オブ・ブルース・ステージへ戻る。シル・ジョンソンだ!わーい、わーい。この人一度も観たことなかったし、本当に観たかった。嬉しいぜ!バックのバンドが2曲ほどやったあと、シル登場。オープニングの曲は、"Back In The Game"だったかな?ギターを持つや、スゴい勢いでステージを右往左往。ここまで、よく動き回る人だとは思わなかった。動きだけでなく、演奏も気合い入りまくりで、もう盛り上がるのなんのって...。参った!って感じです。"Take Me To The River"では、ギターをハーモニカに持ち替えた。途中、客にマイクを向け歌うこと求めるなど、煽る煽る。「俺の曲は、TLC、アンヴォーグ、アイスTもサンプリングしている」と得意げに言って放ったシル・ジョンソン。サンプリング自体に否定的なブルースマンも多い中、彼はやはり新しい感覚を持った人なのだろうな、と納得した。そのコメントのあとやった曲は"Miss Fine Brown Frame"。やはりこの人は、これだろう。いやぁ、本当に観れてよかった。ホーン・セクションがいたらもっといいなとは思ったけど、ステージで完全燃焼するシルが観れて、本当に満足だ。

もう、この日はシルで満足すぎるくらいだったのだが、この後もっと楽しみにしていたライヴがファッツ・ドミノだった。以前、ジャパン・ブルース・カーニヴァルで来日が決定しながら、中止になったこともあった。まだ、一度も観たことがなかったし、僕の「死ぬまでには、一度は観たいリスト」(何じゃそりゃ?)の上位にランクされていた人だった。最近は殆どライヴをやっていないとのことで、2年以上も前のイギリスでやったのが最後だったらしい。その間、家庭内の問題が取りざたされたり、本人も体調はボロボロとか言われたりと、どこまで本当かは知らないが、果たして大丈夫なのだろうか?との思いが頭をよぎったりもした。

Fats Domino開演10分位前にレイバン・ステージに到着すると、そこはもうスゴい人!ファッツはやはり人気者だ。ややすいてる裏の方から周り、あとは根性で前の方に突き進んだ。ファッツは、是が非でも前の方で観たい。一番前まではさすがに行けなかったけど、あと一歩のところまで行った。でも、満員電車さながらの激しいひしめき合いで、立っているのがやっとだ。苦しい体勢で、ファッツの登場を待つ。

ファッツは元気だろうか?やはり、気になってしまう。これだけ楽しみにしていたけど、もしあまりにもボロボロだったら途中で移動するかも、なんて考えもした。しかし!ファッツは元気だったのだ。鮮やかな赤いシャツを身に付け登場した彼は、ピアノの横に置かれたマイクに向かって歌うあの見慣れたポーズで演奏し、歌い、変わらぬ笑顔を振りまいた。オープニングは、"I'm Walkin'"。正にこれ!というファッツのサウンドが聴けて、感無量!ああ、これだけでもニューオーリンズに来た甲斐があった。これでもか、とばかりにヒット曲が続く。だってあんた、2曲目にはもう"Blueberry Hill"ですよ。こんなことで、1時間以上もあるステージ、持つんだろうか?いや、持つんですよ。やはり、ヒット曲の多い人は強い。間髪入れず次々曲は続くが、1曲1曲毎に「ああ、これもあったなぁ」と思わせる。"Walkin' To New Orleans"、"My Girl Josephine"、"Blue Monday"、"Jambalaya"など、いくらやってもまだまだあるぞ!ファッツがどんどん曲を繰り出すので、バックのバンドが多少ついていくのが苦しそうにも見えたが、ホーン・セクションも付いて、音は豪華だった。デイヴ・バーソロミューはいなかったけど。もう、ファッツとはやらないのかな?それどころか、デイヴ・バーソロミューって自分のバンドも何も最近やってないんじゃないかなぁ。惜しいなぁ。

殆ど終盤に差しかかったとき、ちょっとだけディキシー・カップス(HOBステージ)が観たくて移動した。去年、ボー・ジョックと重なっていて、彼女達の"Chapel Of Love"を聴きのがしてしまったのが悔やまれたのだが、今年こそじっくりみようと心に決めていた。なのに、なのにスケジュールが発表されてみると、よりによってファッツとまるまる重なっているなって!無情よのぉ。と言うわけで観るのを諦めていたのだが、終盤で"Chapel Of Love"をやるだろうと踏んで、それだけでも聴こうと行ってみたというわけ。でも、既に彼女達は最後の曲、"Iko Iko"をやっていた。あー、また逃してしまった。去年は彼女達がステージから投げる特製カップを拾うことが出来たが、今年はそれも拾えなかった。

また、レイバンのステージ戻ってファッツで締めた。今日は、ファッツとシルの2つの最高な演奏を聴けて本当にいい一日だった。




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