5月4日(日)


本日のメニュー
Tommy Rigley & The Untouchables w/Cookie Gabriel (Polaroid, 12:05 - 13:00)
Thomas "Big Hat" Fields (Fais Do-Do, 12:15 - 13:15)
Creole Wild West (Bellsouth, 12:20 - 13:15)
ReBirth Brass Band (Ray Ban, 13:25 - 14:25)
Mem Shannon & Membership (House Of Blues, 13:40 - 14:40)
John Lee & The Herald Of Christ (Rhodes Gospel, 14:00 - 14:45)
Snooks Eaglin (Polaroid, 14:45 - 15:45)
Jazz Jamaica (Congo Square, 16:15 - 17:20)
Widespead Panic (Polaroid, 16:15 - 17:30)
Dorothy Love Coates Singers (Rhodes Gospel, 16:55 - 17:55)
Oumou Sangare (Congo Square, 17:50 - 19:00)
The Radiators (Polaroid, 17:50 - 19:00)
The Neville Brothers (Ray Ban, 17:45 - 19:00)

Weather Frogs
今日もいい天気だったのだ!
(タイムズ・ピケユーン紙の天気予報のページより)

Tommy Ridgley今日は、まずトミー・リッジリー(ポラロイド・ステージ)が観たい。そう思いながら、会場に着いたのは正午過ぎ。ステージに行くとトミーのバンド、アンタッチャブルズをバックにクッキー・ゲイブリエルが歌っていた。なんだ、トミーの登場はまだか。焦んないでもよかったとほっとしながら、クッキーの歌を聴く。続いてサミー・リッジリーが出てきた。トミーの弟だ。スムースな声のトミーとはまた一味違う声の持ち主で、もう少しワイルドな感じ。彼は初めて聴くが、なかなかいい歌手だ。彼が歌っているとき、ステージ端にあるピアノに目をやると、トミーが既にそこにいて、ピアノを弾いていた。地味な出かただなぁ。

それにしても、なかなかトミーの出番が回ってこない。時間は1時間近くもあるのに、どうしたことだろう。残り15分位になったところで、ようやくMCが入って彼がステージ中央に出てきたが、去年観たときより、ちょっと元気がなさそうに見えた。時間的にも、あまりにも物足りない。以前から患っていた腎臓の状態が悪くなってきたのだろうか?そんなにひどい状態ではなかったのだが、去年予想以上に元気だった姿を観ただけに、ちょっと気になった。(あのときは、本当に彼にお世話になったのだ。詳しくは去年のレポートを。)やった曲は"You Mean Everything To Me"などブラックトップ盤でやってた曲、それに"She Turns Me On"、そして最後は"Ooh-Poo-Pah-Doo"。

Thomas すぐとなりのフェイ・ドー・ドー・ステージでは、トーマス"ビッグ・ハット"フィールズのザディコが鳴り響いていた。この人、涼しい表情をしているが音はかなりホットだ。僕は初耳の人だったが、かなり楽しめた。嬉しいめっけもんです。

移動中に立ち寄ったベルサウス・テントでは、クレオール・ワイルド・ウェストを観た。昨年マルディグラ・インディアンは観れるだけ観たので、そう言えば今年はあまり観ていなかった。やはり、楽器といえばパーカッションくらいというコール&レスポンスの世界だったが、テント内にこだまする彼らの声は、なかなか迫力があった。途中、トライブのビッグ・チーフが出てきて紹介されていた。マルディグラ・インディアンのなかでは、最も由緒あるトライブのビッグ・チーフ。やはりかなりの長老のようだった。ステージ上には、まだ4、5歳の小さい子もいる。世代が入り乱れてのトライブの儀式といった感じだった。

このあと観たリバース・ブラス・バンド(レイ・バン・ステージ)は、ちょっとだけ。こういう人たちはもう少しこじんまりとした環境(もしくは大きなストリート・パレード)で観たいなあ、とも思った。地元のブラス・バンドのなかでは、一番人気だからしょうがないかもしれないけど。そういう意味では、フェスのなか日のときにルイジアナ・ミュージック・ファクトリーで彼らを観たのは結構よかった。管の音が生でガンガン響く距離で聴くのがやはりよいと思うです。

その名も"The Second Album"という名の2作目をリリースしたばかりのメム・シャノンは、ニューオーリンズで最近注目を集めているブルースマン。この日は、ハウス・オブ・ブルース・ステージで演奏していた。実は、彼の2枚のアルバムは未だ未聴なので、それとライヴを較べてどうこうは言えないけど、のんびりした感じでストレートなブルースを演奏していた。特段、ニューオーリンズっぽくはない。悪くはないけど、ずっと観ていたら退屈してしまう感じ。もう少しパンチが欲しい。アルバムではもう少し色んなことをやっているそうだから、今度聴いてみようっと。

John Lee & The Herald Of Christ続いてゴスペル・テントに移動し、地元のクワイアー、ジョン・リー&ザ・ヘラルド・オブ・クライストを観た。彼らは、ルーサー・ケントのゴスペル・アルバムに参加していたので、気になっていたのだ。ジョン・リーは小柄で結構歳も行ってそうだったが、彼以外にもソロ・ヴォーカルをとる人はいて、入れ替わりで楽しめた。特に、パワーがすごいって感じではなかったけど、無難にまとめていたという感じかな?

スヌークス・イーグリンのライブがあったのでゴスペル・テントを少々早めに抜けて、ポラロイド・ステージへ向かった。彼のライブをミッド・シティー・レーンズで観たときに、彼の奥さんが、ジャズフェスのときには楽屋に遊びにおいでと言ってくれていたので、演奏が始まる前にステージに向かったのだった。楽屋方面の入り口にいた警備員に事情を説明すると通してくれたが、そのとき「あんた、どうせだったらスヌークスのTシャツを着てればよかったのに」と言われてしまった。し、しまった!この日僕は何故かPファンク・オールスターズのシャツを着ていた。

Snooks Eaglin楽屋に行ってみると、ビックリ!スヌークス本人を含む半数以上の人が、ミッド・シティー・レーンズ製のスヌークス・シャツを着ていたのだ。そうか、それならうちらも同じものを着てくるべきだったか。ま、次回ということで。スヌークス夫妻はアイス・チェストを自ら持ち込みで来ていた。奥さんがその中から適当に飲み物を飲んで、と薦めてくれたのでビールを貰って飲みつつ、時間になるまで話したりして待っていた。楽屋には、スヌークスの向かいに住んでいるという一家もいた。皆軽食と飲み物を既に結構盛り上がっている。

この日のスヌークスは本当にいいステージを見せてくれた。去年のジャズフェスでの演奏はいまいちのりきれてない感じがしたが、この日のライブは選曲、本人ののり、バンド、どれをとってもいい内容だった。去年同様ホーン・セクションが入っていたが、こちらもバッチリ決まっていた。"Lipstick Traces"あたりでほろっと来ました。日本でもやっていたレイ・チャールズの"Ain't No Use Cryin'"もやっていた。ここ最近定番になりつつあるのかな?

因みに、ステージのすぐ脇でスヌークスをみていたとき、すぐ横で踊り狂っている男がいた。ビートル・ボブという男で、今年はフェスの会場、市内のライブハウスなど、あちこちでその個性的な踊りで注目を浴びていた。せっかくそばにいたので、話しかけてみた。いかにも60年代のモッズかビートルズかといった格好をしているのだが、彼はセントルイス在住のアメリカ人で、ラジオのDJ、雑誌のライターなどをしているという。今回もセントルイスに戻ったら、ジャズフェスの記事を書くんだ、と言ってたけど、あんなに踊ってばかりいて、書けんのかな、記事...。ま、いっか。

Jazz Jamaicaお次は、コンゴ・スクウェアでジャズ・ジャマイカを観た。ジャマイカとイギリスのメンバーからなるこのグループは、ホーン・セクションを主体とした"Skazz"というジャズとスカのクロスオーヴァーしたサウンドを聴かせる。ライブは初めて観たが、意外に大人しめな音をしていた。もう少しガンガンのれるものを期待していたのだが、ちょっと物足りなかった。悪くはないけど。

今キャプリコーン・レコードがイチ押しのワイドスプレッド・パニック。ポラロイド・ステージで彼らの演奏がやってるころだったので、行ってみた。が、が、が!行ってみてビックリ。あたり一面、人、人、人!通路も人で埋まっていて音楽を聴くどころじゃない。彼らって、そんなに人気があったのか。予想だにしてなかった。その人の群れに入り込んでしまったから、大変だった。結局、その混雑地帯を通り抜けるだけで15分はかかってしまい、その間だけ音を聴いていた。ヘヴィーなロックで悪くはないけど、あれほどの人が集まるというのはちょっと不思議な気もした。正直言って落ち着いて聴けなかったし...。あー、疲れたぜぇ!

Dorothy Love Coatesゴスペル・テントに戻り、この日一番楽しみにしていた人のひとり、ドロシー・ラヴ・コーツを観に行った。彼女はゴスペル・シンガーの超大物で、50年代にスペシャルティーへ残したレコーディングでのシャウトは絶品だ。当時はゴスペル・ハーモネッツ名義の録音だったが、この日のグループ名は"The Dorothy Love Coates Singers"。彼女の他に歌手が4人の5人組、それにバックバンドという編成だった。しっとりとした選曲も多かったが、その中で突如ドロシーが激しいシャウトをしたりする。ああ、昔からあまり変わってないなぁと思った。5人の歌手の中でもドロシーは一番体ががっしりしていて、迫力があった。終盤、ドロシーがステージから降りてきて、歌いながら客席を進む。手を差し伸べる客が見えているのかどうか、結構自分の世界に入って歌っている。自分からも観客に手を差し伸べてはいたけどね。僕のすぐそばまで彼女は歩いてきたのだが、近くで見ると迫力があること!失礼な言い方だが、まるで獅子舞の獅子のようで、圧倒されてしまった。それで、ときおり発作のように激しいシャウトをする。ウワー!こりゃくるぜぇ。

Oumou Sangareもう、まもなくフェスティバルも終演だ。ドロシー・ラヴ・コーツを堪能したので、この日の目的は達成したという気分だった。あと、何を観ようか。ポラロイド・ステージでレイディエイターズがやっていたので、観に行くことにした。しかし、コンゴ・スクウェア付近を通りかかると、ウム・サンガレが演っていることに気が付いた。 フェス後半は毎日出演するはずだったサンガレは、これまでいつ観に行っても演ってなかったので、中止になったものとばっかり思っていた。これは後で知った話だが、彼女は母国マリを出国する際パスポートの盗難に遭ってしまい、出国手続きが遅れていたのだそうだ。結局、ジャズフェスは最終日にしか出演できなかったらしい。

というわけで、急遽ウムを観ることにした。僕は彼女はもう少し年配の人かと思っていたのだが、若くて美人なおねえさんだった。エキゾティックなゆったりとしたリズムの曲調には、ナチュラルハイな気分にさせられる。ウムの高く澄んだ声がまたよく通ること!アルバムは"Ko Sira"しか聴いてなかったけど、あの雰囲気そのままで感動した。間奏では、彼女とコーラスの女性たちが巨大な木の実(?)で作ったマラカス系の打楽器を宙に放り上げてリズムを取っていた。(写真) 因みにマリはフランス語圏でウムも英語は話せないらしく、最初英語で"Thank You"と挨拶した後は、「英語はできませんから母国語で話します」、と片言な英語で言うとフランス語で話しだした。「こりゃ、わからん!」と思っていると、脇からスタッフらしき人が出てきて話を英語で要約していた。確か「ツアーというものは色々な有意義な経験をさせてくれるものだけど、その経験が有意義だと実感するのは、母国に帰ったときだったりすることが多い」というような話をしていたと思う。

しばらくウムに聴き入っていたが、レイディエイターズを観るという当初の目的を思いだしたように再び移動。地元のメジャーなロック・バンドだし気になる存在ではあったのだけど、去年は他のものと重なってたりして、結局観れずじまいだった。でも、今年もステージ終盤にほんの一瞬拝んだだけでした。 でも写真だけは、しっかり撮ってるやつ...。来年こそはちゃんと観るゾ!?

この日のラストは、当初ゴスペル・ソウル・チルドレン(ゴスペル・テント)を観るつもりだったのに、もう気が付くと時刻は6時50分。フェス終演の7時が迫っている。ウワー!と急にゴスペル・テントにダッシュした我々。あとで考えると我ながら飽きれるもんだ。ちょっとでも観ようと行ってみたのだが、なんと彼らのステージは6時50分までで、すでに終わってた。うー、がっかりだ。ライブが終わったテントからは客が外へ出てくる。向こうから「やあ!」と手を挙げてうちらに笑顔で挨拶する人がいた。ビートル・ボブだ。「あー、いいねえ、ゴスペル・ソウル・チルドレン!僕は、いつもジャズフェスの最後は彼らで締めることにしてるんだぁ」、と上機嫌。本当によくしゃべる人だな、と思った。今夜のライブは何を観るの?と訊かれたので、「HOBでロスロボスを...」と言うと、「あー、あれは僕も気になっていたんだ。ロスロボスも最高だけど、前座のロイヤル・フィンガーボール、彼らは見逃さないようにね。僕も多分今晩は同じものを見に行くよ!」とボブ。夜、HOBに行ってみると、本当にボブは来ていて、一番前で踊りまくってました。ははは。

さて、これで今年のジャズフェスはおしまい。と思ったけど、まだ、演奏が続いているステージもあったので、うろうろしていたら、レイバン・ステージではネヴィル・ブラザーズが最後の盛り上がりを見せていた。曲は"Cissy Strut"。一瞬だけど、一応ジャズフェス会場で初めてネヴィルも観たとこで、ジャズフェスもここまで。何か今年は。去年に較べてあっという間に終わってしまった感じがした。前半が悪天候で思うように楽しめなかったのもある。けど、後半は充分堪能したし、全体的に内容もなかなかよかった。来年はどうしよう。また来たいなあ。



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