New Orleans Jazz Fest 2006
Day 6: Sun., May 7

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[本日の個人的お品書き]
Feufollet, The Batiste Brothers, Geno Delafose & French Rockin' Boogie, Wild Magnolias, Irma Thomas, Danza, The Dixie Cups, Sherman Washington & The Zion Harmonizers, New Orleans Klezmer Allstars, Pete Fountain, Ivan Neville's Dampstaphunk, Thomas "Big Hat" Fields

最終日も客の入りはまずまずだ

ガンボ・フィレの実演販売

早いもので、もうフェス最終日だ。これまで、何とか天気は持ちこたえてきたのは、市の復興をかけたジャズフェスには嬉しいことだろう。個人的にも好天でやれやれだ。子連れの野外フェスで降られてるのはかなり厳しい。

最終日は、なんと言っても大とりのファッツ・ドミノが楽しみだったが、実は何と彼、ライブをドタキャンしたのだった。詳しくは後ほど。がっくしだった。

Feufolletこの日は、朝はまずキッズ・テントによった。工作コーナーでネイティブ・アメリカンの工芸品、ドリーム・キャッチャーを作る体験コーナーがあり、娘は喜んで参加していた。なかなかよくできたんでないの?因みに午後は、「シングル盤レコードでうちわを作ろう」コーナーもあり、これにも娘は参加した。テント側で用意したシングル盤レコードの中から1枚選び、ビーズやら、羽根やらをのり付けして飾り付けし、最後に柄を付けて完成!というもの。楽しそうな子ども達をよそに、うちら夫婦はシングル盤の内容が気になってしかたなかった。Chessのレーベルも目に付いた。「こっそりくすねたら怒られるだろうな?」と冗談半ば、本気半ばのつぶやきを漏らす僕ら。因みに、娘が選んだのはクール&ザ・ギャングの"Jungle Boogie"のシングル。ナイス・セレクション!(笑)

今日のライブ鑑賞はフォーフォーレ (11:35am, Fais Do-Do)でスタート。1995年に幼い子供たちが結成したケイジャン・ファンならお馴染みのバンドだ。しかし、デビューから10年以上経ち、もう既に幼くはない。まぁ伝統的なケイジャンのプレイヤーの中では若手であることは間違いないが。楽しそうにプレイする様は、日本の学校っぽくいうと軽音部のようにも見えた。軽音部でケイジャンをやる生徒もそういないだろうが。正直言うと、演奏は突出した感じではないのだが、楽しそうに一所懸命演っているのが聴き手にも伝わってくる。僕も観ていて楽しくなってきた。

Batiste Brothers続いてはバティスト・ブラザーズ (11:30am, Southern Comfort)だ。ニューオリンズの名門一家によるバンドで、パパ・グロウズ・ファンク、ファンキー・ミーターズなどで活躍したラッセル・バティスト(ds.)を始め、メンバーそれぞれが輝かしい経歴を持っている。ブラザーズ名義のステージをずっと前に観たときは、兄弟のみの小編成だったと思うが、この日は女性を含む大勢がステージに乗り、コピー・バンド的なことをやっていた。一瞬違うバンドかなと思ったが、そうではなかった。演奏は意外にも結構雑だったが、勢いはあった。特にキーボードのデイヴィッド・バティストは、飛び跳ねたりターンをしながら弾くアクロバット的な(?)プレイで大いに盛り上げた。

Geno Delafoseジノ・デラフォース&ザ・フレンチ・ロッキン・ブギ (1:00pm, Fais Do-Do)のステージは、円熟したというのにふさわしい内容だったのではないだろうか。この人のライブを初めてみたときは、ガツンと来るものがなく、今ひとつピンと来なかったのだが、聴きこむとくせになる。ザディコの人は勢いで聴かせる人も多いが、この人は古きよき田舎ののんびりとした雰囲気がひとつ魅力なのだ。それも歳を重ねるとともに、サウンドにも余裕と深みが加わったようにも思う。バンドは、ドラムスのカーリー・テイラーがソロになって抜けたが、ポップ・エスプリ(b.)、ウィルフレッド・ピエール(rubboard)ら主要メンバーは健在だった。ケイジャン・ナンバーも織り交ぜながらのステージは、あたかもルイジアナの片田舎にいるかのような、暖かい気分にさせてくれた。

Wild Magnolias5日の夜にロックンボールでもワイルド・マグノリアス (12:40pm, Acura)は観ていたが、そのときはメンバーも揃っていなくて、ギターの山岸潤史の代わりにちょっと別の東洋人っぽいギタリストが入っていた。山岸はパパ・グロウズ・ファンクで忙しいから、マグノリアスはもう辞めちゃったのかなと思ったが、この日のジャズフェスではちゃんといた。他のメンバーもちゃんと揃っている。ビッグ・チーフのボ・ドリスはガンでつい最近まで入院していたと聞いていたが、そんなことは感じさせない元気さだった。MCが「これは奇跡だ。彼は今日ここにいること自体が奇跡なんだ」と彼の健在振りをたたえた。

マグノリアスが終わると、キッズテントへ。そこで娘の工作に付き合っていると、突如大粒の雨が降ってきた。周囲を歩いていた人たちも、僕らがいたテントに逃げ込んでくる。そろそろ、夫婦交代でライブを観にいこうと思っていた矢先に、しばし足止めを食らった。

Irma Thomas30分くらいテントにいただろうか。雨が止んだので、抜け出してアーマ・トーマス (2:05pm, Acura)のステージを覗きにいった。すると、狙ったのかどうか判らないが、アーマはタイミングよく"It's Raining"を歌っていた。「雨が激しく降っている。一晩中降り続きそう」と。しかし、この日はこれ以上雨が降ることはなかったが。アーマもハリケーンで被災し、まだニューオリンズに戻れないでいるはずだが、元気そうだ。新曲もやってくれた。でも、以前よりだいぶぽっちゃりしてきたなぁ。

またキッズテントに戻ったが、その帰りにダンザ (2:35pm, Economy Hall)をちょっとつまみ食い。トム・マクダーモット(p.)とイーバン・クリストファー(cl.)によるデュオ。古きよきアメリカを感じさせるレトロな雰囲気がなかなかよかった。他にもこの時間帯はみたいものが沢山!ロッキン・デュプシー (2:25pm, Southern Comfort)とジョン・ブッテ (2:30pm, Jazz Tent)も是非観たかったのだが、足止めを食った分時間がなくなり断念。特にブッテはとても残念。

Dixie Cupsいつもジャズフェスに来ると観るのがディキシー・カップス (2:35pm, Congo Square)。今年は「ニューオリンズR&Bレディーズ」と題してワンダ・ルーザンとセットでの出演とあって、これは観なければ!と駆けつけた。しかし、僕が着いた時点で、もうワンダは終わっていた。(涙)2年前のフェスではかなり盛り上げていたのでまた観たかったんだけど。その代わり、ディキシー・カップスはしっかりと観た。"Iko Iko"に"Chapel Of Love"、両方聴けて満足。もう彼女たちがこれらの曲をレコーディングしてから40年くらい経っているけど、当時の可愛らしい雰囲気はまだまだ持っている。前者では傘を持って踊ってくれたし、紙ナプキンが回ってきて観客がそれを振ってセカンドラインタイムに。後者はあたり一帯が和やかな雰囲気に包まれた。他にもやってたけど、やはりこの2曲ですな。最後にお決まりのオリジナル・カップを客席に投げ入れたが、数が少なく、お客さんも多かったので、ゲット出来なかった。でも、彼女たちはあとで郵便局のブースでサイン会をやっていたのでサインと、記念写真も撮ったゾ。イエーイ!

Zion Harmonizers地元ベテラン・ゴスペル・グループ、ザイオン・ハーモナイザーズ (3:35pm, Gospel Tent)は、ジャズフェス最終日の定番。例年ならば、アーロン・ネヴィルの飛び入りがあって、そのために大勢の人が集まるのだが、今年はアーロンが喘息のためニューオリンズに戻れないということで、飛び入りはもちろんネヴィル・ブラザーズのジャズフェス出演もなくなってしまったのだった。

Sherman Washingtonしかし、それでザイオン・ハーモナイザーズのステージが面白くなくなってしまう訳ではなかった。いや、本当にすごいものを観たって感じだ。ハーモニーがきれいとかそんな次元の話しではない。とにかく彼らのパワーに圧倒されてしまった。特に、リーダーのシャーマン・ワシントン。彼がこのグループに加わったのが1942年というから、相当なお歳と思われる。歩く足下もおぼつかないほどのご老人だが、歌い出すとギョッとするような強烈シャウトを繰り出した。身体の動きはぎこちないが、手を前に出して力を籠めながら、ジーザスへの賛美を歌う。泣く子も黙る迫力だ。

Klezmer Allstars続いて、ニューオリンズ・クレズマ・オールスターズ (4:05pm, Fais Do-Do)を観た。この人たちも息が長い。クレズマのスタンダード的なナンバー"Ot Azoy"で激しく踊るダンサーが乱入していたけど、10年前に観たときも同じ光景を観た記憶が....。クレズマのメロディーって短調で、結構激しくて、独特の雰囲気があるね。僕は結構好きだなぁ。

サム・ムーア (3:50, Southern Comfort)は、きっとサム&デイヴのヒット曲のオンパレードになるのだろう。それもちょっと観たいなと思って終演ギリギリの時間に足を運んでみたが、ステージにはバンドが並び、ホーンセクションの音合わせをしていた。本来ならば、ラストで盛り上がっている頃なのに何故?しばらく見ていたが、状況が変わらないので、移動した。

Pete Fountainニューオリンズの音楽も世代交代が進み、ジャズにせよR&Bにせよ、シーンのアイコン的な存在って随分と減ってしまったように思う。ピート・ファウンテン (4:10pm, Economy Hall)は、ニューオリンズ・ジャズのアイコン的存在と言っていいのではないだろうか。彼は以前もジャズフェスで観たことはあったが、今回は足をとめたら聴きほれてしまい、最後までその場にいた。彼のクラリネットは、客席を包み込むような暖かみのある音色がたまらない。バラードでもアップテンポのスウィングでも、本当に楽器がよく歌っていた。そして、ラストでは「聖者の行進」が演奏された。観衆が傘を広げ、数珠つなぎになってテント内の通路をパレードしてまわる。演奏が熱くなってくるにつれ、パレードの列も長くなってきた。そして、フィナーレ。文句なしの高揚感あふれる演奏に客席はスタンディング・オベーションを贈った。ピート・ファウンテン健在なり。見れてよかった。70を超えているはずだが、肌のつやといい、とても元気そうだった。

フェス最後の腹ごしらえをしようと食べもののブース巡りをした。最終日とあって、早々人気メニューが売り切れるブースも出てきていて、中には既に店じまいをしたところもあった。ソフトシェル・クラブのポーボーイ・サンドを食べようと思って列に並んだが、突如列が短くなったと思ったら、並んでいる最中に売り切れたらしい。残念。(泣)

そろそろ本日のお目当て、ファッツ・ドミノ (5:50pm, Acura)の時間が近づいてきた。一家でアキュラ・ステージへ移動し、場所を確保した。準備万端である。そして、定刻をやや過ぎた頃、MCが「遂に今年のジャズフェスの輝かしいフィナーレの時間がやって来ました」とアナウンスした。イエーイ盛り上がるぜ!とファッツ登場を待っていたら、「大きな拍手でお迎えください。ライオネル・リッチーです!」とアナウンスは続いた。な、なぬぅ?ファッツはどうした?ライオネルは反対側のサザン・コンフォート・ステージへ出演する予定だったはず。彼を観る予定はなかったので、なんだか状況が把握できないまま、せっかく取った場所から移動した。

Ivan Nevilleファッツがキャンセルになったと知ったのは、歩いている途中に会った知人に知らされてのこと。翌日新聞を見たら、出演予定時間のほんの数時間前のドタキャン劇だったそうだ。僕らが入場した時点より、明らかにあとだ。それじゃあ判らないわなぁ。朝起きて気分がすぐれなかったファッツは、迎えにきた人に会場に連れて行ってもらうかわりに病院に向かわせたとのこと。しかし、公演寸前に会場に現れてステージから直接ファンに謝罪をしたらしい。僕らは、その直後にその場に着いたってわけか。謝罪しに来る元気があるのなら歌っていけばいいのにとも思ったが、体調ばっかしは、本人でないと判らんもんね。しゃーないか。でも、ドタキャンで有名なファッツらしい話ではあった。フェスのポスターの図柄にもなり、カトリーナで被災したことが大々的に報道されたあとの初のステージだったので、フェスの大目玉だったのだが、後味が悪いフィナーレとなった。ライオネルは、ファッツの穴を埋めるために急遽ステージを変更されたんだそうだ。その結果、反対側のステージでは大幅にスケジュールが変更になった。先ほど、サム・ムーアを観にいってもまだやってなかったのは、そういうことでまだ始まっていなかったのだった。

で、トリを見損なって、何を見たかというと、まずアイヴァン・ネヴィルダンプスタ・ファンク (5:55pm, Congo Square)。先にリリースされたCD「New Orleans Social Club」の中で、彼はミーターズばりのファンク・バージョンの"Fortunate Son"をやっていたが、僕がいったとき、ちょうどその曲をプレイしていた。うん、やっぱかっこいいぞ。これぞニューオリンズという演奏だ。今回のジャズフェスは、ネヴィル・ブラザーズが出演しておらず、個々のメンバーとしても出演しているのは、ミーターズで出演したアートの他はこのアイヴァンだけ。そういう意味でも彼の熱演は嬉しい。

Thomas Big Hat Fieldsそして今回個人的なラストとなったのはザディコのおっちゃん、トーマス“ビッグ・ハット”フィールズ (5:40pm, Fais Do-Do)だ。97年のジャズフェスで観て以来久々だったが、変わらず元気そうだった。のほほん系の田舎オヤジなんだけど、そんな雰囲気の中でもサウンドは結構ガツンと来る。気持ちいい。曲の間に冗談も飛ばしながら、ステージはノリノリで和やかないいムードだ。6日間のフェスを締めるには地味?いやいや、ルイジアナらしい彼の演奏はラストに相応しかったと思う。

というわけで終わってしまった6日間。期間は1日短縮、ステージも1つ減り、夜の公式コンサートもなかったりと縮小しての開催ではあったが、街の復興状況も厳しい中、正直言ってよくここまで盛大にできたなと思った。それは、関係者と街の人たちの熱意あってのことだろう。素直に大きな拍手を送りたい。来年は更に盛大に行われますように。




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