ちょっと気分を変えて、こういう本はいかがでしょう?
新刊の紹介でーす




       

アフリカン・アメリカン
スラング辞典

泉山真奈美 著

研究社出版
定価1,600円(税別)
1997年7月25日 発売
ISBN4-327-46131-8

ブルースからはちょっと離れてしまうかもしれま
せんが、スラング辞典の紹介をさせて下さい。


ご存知の方も多いかと思いますが、R&B/
ソウル/ラップのライターや訳詞家として活躍
されている泉山さんの書き下ろしの辞典です。
構想7年(!)とのことですが、ヒップホップ
カルチャーから生まれたスラングを、豊富な
アーティスト取材や海外取材(LA,NY etc)のなかで収集してまとめた、まさに力作です。

ABC順に載っている単語には意味、発音や語源
などの他に、例文もついていて、これが
なかなかおもしろい。
たとえば、歌のタイトルや歌詞の中で
使われている例も多く取り上げられていて、
音楽ファンにはたまらない(笑)内容でしょう。

ラッパーたちが会話の中で好んで使う言葉
以外にも、アフリカン・アメリカン社会の歴史、背景を理解できるように、人物名や団体名
などもとりあげたとのこと。
付録で、関連文献や雑誌の紹介、歴史年表
などもついていて、
「最初から最後まで通して読んでも面白い辞典」です。
そういえば、発音についての考察の中の
「隙っ歯説」(笑)はなかなかスゴイです。


さて、その付録で、ラップのライヴでの
コール&レスポンスの決まり文句等も取り上げられているんですが、泉山さんに
訊かれてしまいした。
「ブルースのライヴでは、皆なんて言うの?」。うーん、普段なんて言ってるかなあ??

田中 智子

いや、この本ってそんなに
ぶるぎんの趣旨から外れるもん
ではないよ、多分。確かに焦点が
当てられているのは、黒人英語とは
言ってもラップ、ヒップホップを
中心としたものだけど、
ブルースの歌詞に登場する
表現も現に載っているし、
ブルースをアフリカン・アメリカン
の音楽として見た場合、
その言語感覚を知ることは、
決してムダではないはずです。

でも、スラング辞典と名の付くもの
を見るといつも思うけど、
こういうものをまとめるのって
大変だろうなあ。
何せ、スラングってときとともに
流行ったりすたれたりするものだし、
「今」の言葉を載せてこそ、
意義があるもんだしね。
急いで一機に調べてまとめて執筆…。
わあ、大変だあ。
ご苦労様です、泉山さん。

辞書としては、決して語数は多くは
ないけど、その分読みもの的に
面白くなるよう工夫されています。
巻末の関連文献紹介はいいですね。

陶守 正寛





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