スヌークス・イーグリン来日公演リポート
ついにやってきたクレセント・シティの巨人、
スヌークス・イーグリン来日リポート
日本に行くのを嫌がったなんていうはなしも聴き、ホントに来てくれるのかきがきではなかったが、スヌークスは来てくれた。ステージに現れた彼を見て僕はなんとも言えぬ感動を覚えた。
アルバム"Out Of Nowhere"が出た頃だっただろうか。僕はあるレコード屋のオヤジと話してたとき、「スヌークス、来ないッすかねえ」なんていってみたら、「来ても、50人も入らないんじゃないの」なんて言われた記憶がある。それがあの盛り上がりよう。いい時代になったなぁ、ホントに。(といってもそんなにときは経っていないのだが。)
問題のショーの内容だが、僕はためらうことなく100点満点を付けたい。いいや、120点をあげてもいい。それくらい素晴らしかった。本人の充実度も去ることながら、バックを務めたジョージー・ポーター・トリオが実によかった。彼らの楽器のテクニックについては、今更いうまでもないだろうが、特に"Teasin' You"を始め、随所で彼らのコーラス・ワークのよさが際立っていたのは印象的だった。聞くところによると、今回の来日を実現させるためにジョージが相当な尽力を払ったという。ステージでのスヌークスを見つめる彼の嬉しそうな表情が実に印象的だった。
冒頭のインストから、もう紛れもないスヌークスの世界で、全身どっぷり引き込まれた。ファッツ・ドミノの"Josephine"での緊迫感のあるドラミングに被るギターの切り込みも素晴らしい。"I Went To The Mardi Gras"では、4人しかいないのに、マルディ・グラの賑やかなリズムが鳴っていて、心が躍った。まるでホーン・セクションがそこで練り歩いているかのようだった。インペリアル時代の"Yours Truly"と"Down Yonder"では、一転して会場はほのぼのし、聴衆はスヌークスとスキャットの部分を大合唱した。
"Nine Pound Steel"、"Don't Take It So Hard"の様なバラードでの彼の切ない歌声はやはり感動的だったし、"Lilly May"での軽快なスウィング感もさすがだった。アルバム未収録の曲では、ジョニー・エイスの"The Clock"、それにやはり皆を参った!と言わせたのはスティーヴィー・ワンダーの"Boogie On Reggae Woman"だっただろう。見事スヌークス風味になっていて、彼の個性を見せ付けられた思いだった。
レパートリーに関しては私が同席した某誌のインタヴューで、本人は「1000曲くらい」と言っていた。それにしては、4日間通してやった曲はそう多くはないのでは?という声もあるだろう。でも、僕は彼が今回やったものはどれもあのメンバーで充分リハーサルをして、選びぬかれたものだったに違いないと感じている。だからこそ、あれほどの内容の濃いライブが可能だったのだろう。昔の曲ももっと聴きたかった、と僕も感じなかったわけではないが、彼は今が一番脂がのっているときなのだ。最近の曲であんなに盛り上がって、文句は言えまい。それでも、最終日の2回目のアンコールで、前日までやっていなかったインペリアル時代の"Mama, Talk To You Daughter"をやってくれたのは嬉しかった。聞くところによると、このアンコールは予定外のものだったということだ。
スヌークスは、ときとして曲の出だしで間違えてやり直したり、と並外れた力量を持ちながら結構ミスは多かったのだが、全然そんなことは気にさせない勢いと味と個性があった。
ツアーに同行していた奥さんのドロシアは、僕がスヌークスにあったときもずっと側にいたが、一時も離れられない存在なのだなぁ、と感じた。外出するときに、彼女が「外は寒いから暖かくしなきゃね」といってスヌークスに青い毛糸の帽子をせっせと被せていたのが、妙に可愛かった。
スヌークスは、公演最終日、満員の客を前に「日本には初めて来たけど、楽しかったよ。これが最後の来日なんてことにはならないよ。」と挨拶をした。その言葉を信じて彼を待っていたい、また近いうちに日本のステージに彼が上がる日を。今は、とりあえず出たばかりの彼の来日公演を収録したCDを聴きながら、楽しかったこの公演のことを思い出している。 (陶守 正寛, 1996.3)
SNOOKS EAGLIN Live At The Park Tower Blues Festival Set List
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DAY ONE Dec. 6, 1995 | DAY TWO Dec. 7, 1995
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Quaker City | Heavy Juice |
Josephine | Josephine |
Show Me The Way Back Home | I'm Not Ashamed |
I'm Not Ashamed | Dizzy Miss Lizzy |
Dizzy Miss Lizzy | I Went To The Mardi Gras |
Black Night | Teasin' You |
Travelin' Mood | Skinnie Minnie |
Lilly May | Black Night |
Nine Pound Steel | Show Me The Way Back Home |
Soul Train | The Clock |
Teasin' You | Travelin' Mood |
Mama & Papa | Yours Truly |
Yours Truly | Lilly May |
Red Beans | - encore - |
- encore - | Nine Pound Steel |
Boogie On Reggae Woman | Red Beans |
God Will Take Care Of You | |
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DAY THREE Dec. 9, 1995 | DAY FOUR Dec. 10, 1995 |
Quaker City | Quaker City |
Dizzy Miss Lizzy | Thrill On The Hill |
Don't Take It So Hard | Show Me The Way Back Home |
I Went To The Mardi Gras | My Love Is Strong |
Soul Train | Mama & Pama |
Josephine | Skinnie Minnie |
Down Yonder (We Go Balling) | Nine Pound Steel |
Show Me The Way Back Home | Josephine |
My Love Is Strong | Teasin' You |
Teasin' You | Yours Truly |
Lilly May | The Clock |
Black Night | Boogie On Reggae Woman |
Yours Truly | It's Your Thing |
Boogie On Reggae Woman | Down Yonder (We Go Balling) |
Red Beans | Travelin' Mood |
- encore - | - encore - |
It's Your Thing | Black Night |
Travelin' Mood | Red Beans |
| - second encore - | |
| God Will Take Care | |
| (Mama) Talk To Your Daughter | |
アルバム紹介
SNOOKS EAGLIN

  
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