ブルースって何でしょ?


僕も大して詳しくないので、簡単な説明になりますが、アメリカで生まれた音楽のひとつです。19世紀の末頃、ミシシッピー州の黒人達によって生み出されたものと言われています。差別を受けながら、綿花畑などで重労働に従事し、苦しい生活を送っていた黒人達の心を癒すための音楽だったと言えるでしょう。

そういうと何かくらーいものを想像してしまいそうですが、実際はそうでもありません。暗いものもありますが、基本的にシンプルで楽しい音楽です。12小節形式、3コードという基本形式があり、多くはこの形式に沿って演奏されます。言ってみればブルースは五七五調の規則にのっとって謳われる俳句のようなものです。形式が決まっているので、ブルースはジャム・セッションでプレイしやすいのです。


12小節ブルースの例
EVERY DAY I HAVE THE BLUES
(Written by Peter Chatman, Arc Music Corp., BMI)



南部ミシシッピーで生まれたブルースは、やがて全米各地に広がっていきました。そして、それぞれの街で、その土地ならではの色を持ったサウンドに育っていったのです。中でもブルースの新天地として大きいのはシカゴです。40年代から50年代にかけ、多くの黒人達が南部での厳しい生活から逃れて北部の都市へ移住するようになりました。彼らは、ミシシッピー河周辺を沿って北上し、メンフィス、セントルイスなどの都市で新たなブルース・シーンを作り上げていきました。そして、その北上の旅で最も大きなブルースの1ページを作ったのがシカゴだったのです。

シカゴでは、ミシシッピーからやってきたマディー・ウォーターズらのブルースマンが、ミシシッピーで培ったブルースをベースにエレクトリックのバンド・スタイルのブルースを演奏するようになりました。シカゴ・ブルース黄金期の幕開けです。これは後にロックのバンド・スタイルにも大きな影響を与えた大事件だったと言えるでしょう。

その後60年代に、ローリンズ・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、クリームなどブルースに強く影響を受けたロック・バンドが次々に登場し、そういったバンド経由でブルースを聴くようになった人も多かったのではないかと思います。ブルースという音楽そのものは、残念ながらメジャーな音楽とは言えないですが、他の音楽に与えた影響力はとても大きいのです。

もともと黒人音楽だったブルースですが、今や世界各地に飛び火し、黒人のみならず人種を超えてプレイされ、聴かれています。日本でも多くのブルース・バンド、ブルース・ファンがいます。ぶる銀をご覧になって、あなたもブルースに興味を持ってくれたら、とても嬉しいです。さぁ、ブルースを聴きましょう!



地域別スタイル

では、地域別の代表的なスタイルを挙げてみましょう。尚、これは判りやすくするために分類したものに過ぎないことをご了解下さい。実際そんな単純に語れるものでもないし、「その地域のスタイル」といわれるものに当てはまらないアーティストも沢山います。また、これ以外の都市でも、ブルースが盛んなところは多々あります。なので、参考程度に思ってくれればいいです。

シカゴ
特徴: モダンなバンド・スタイル。
代表アーティスト: マディー・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、リトル・ウォルター、オーティス・ラッシュ


ミシシッピー州(主にデルタ地帯=クラークスデイル、グリーンヴィルなど)
特徴: ブルース発祥の地ですから、歴史を振り返れば古いブルースのスタイル(主にフォーク・ギターの弾き語り)が多いのですが、今日はバンド・スタイルやソウルっぽいものまで色々です。
デルタ以外では、ファット・ポッサムで注目を集めた北部のホリー・スプリングスなどで、ブルースは盛んです。
代表アーティスト: ロバート・ジョンソン、フレッド・マクダウェル、サン・ハウス、R.L.バーンサイド


テキサス州(オースティン、ヒューストンなど)
特徴: ワイルドなギター、ジャズ色の濃いピアノなど。ヒューストンはジャンプ・ブルースの本場でもあります。Tボーンを始め、西海岸(主にロサンジェルス)に拠点を移して活動した人も少なくありません。
代表アーティスト: Tボーン・ウォーカー、ゲイトマウス・ブラウン、アルバート・コリンズ、フレディー・キング、ライトニン・ホプキンズ、チャールズ・ブラウン


メンフィス
特徴: R&B色の濃い人が多い
代表アーティスト: ルーファス・トーマス、アルバート・キング、B.B.キング


ピードモント(東海岸:バージニア、キャロライナ州周辺の山岳地帯)
特徴: 泥臭さの少ないフォーク・ブルース。カントリー、ヒルビリーなどの影響もあり。
代表アーティスト: サニー・テリー&ブラウニー・マギー、ジョン・ジャクソン、シーファス&ウィギンズ


ルイジアナ州(ニューオーリンズ、バトンルージュ、シュリーヴポートなど)
特徴: ディープでユルーいのりのブルース。エクセロ・レーベルがルイジアナ・ブルースの宝庫として有名。
南西部には、アコーディオンで演奏されるザディコという独特な音楽もある。
ニューオーリンズのブルースは、R&B色なども濃く雑多な感じで、他のルイジアナとは違う面も多い。
代表アーティスト: ライトニン・スリム、スリム・ハーポ、タビー・トーマス、ケイティー・ウェブスター、プロフェッサー・ロングヘア(ニューオーリンズ)、クリフトン・シェニエ(ザディコ)







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