FAVORITE PICKS
DOCTOR CLAYTON / ANGELS IN HARLEM (P-Vine PCD-5774)
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- Peter's Blues
- Yo Yo Jive
- Slick Man Blues
- Black Snake Blues
- '41 Blues
- Back Door Man Blues
- Jitterbug Swing
- Love Is Gone
- Confessin' The Blues
- Doctor Clayton Blues
- Watch Out Mama
- Cheating And Lying Blues
- Gotta Find My Baby
- Honey Stealin; Blues
- Pearl Harbor Blues
- Ain't No Business We Can Do
- I Need My Baby
- Ain't Gonna Drink No More
- Angels In Harlem
- Root Doctor Blues
- Copper Colored Mama
- Hold That Train Conductor
Compilation for CD: Hitoshi Koide
Recordings between 1935 and 1946
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あのシカゴ・ブルースの大御所、サニーランド・スリムが駆け出しの頃、ドクター・クレイトンのダチ、という芸名でレコーディングをしたのは有名な話。これは、当時人気のあったクレイトンにあやかって付けられた芸名だった。初期のスリムの歌は、明らかにクレイトンの影響を色濃く受けている。B.B.キングもまた、彼の影響を受けた人として知られる。レコーディングの数は多くないし今現在ブルースファンの間で知名度が高いとは言えないが、クレイトンは戦前ブルースにおいては、少なからず影響力のあったシンガーだ。
彼が35年から46年の間に残したレコーディングの主要なところは、このCDで聴くことが出来る。ファルセットを効かせたその歌は、外見と同様ユーモラス。9などは、彼ならではの無茶苦茶なシャウトが楽しめる。大酒の飲みだった彼は、レコーディングの際も相当飲んでいたらしい。ソロをとるミュージシャンを「オイ、コラ」と言った具合に煽るところなど、ただの酔っ払いと言えなくもないのだが、そのヘベレケなノリも独特な雰囲気を作っていて面白いのだ。甘いムードも漂わせるジョン・デイヴィスのピアノが、バックの演奏の中では光っている。日本軍の真珠湾攻撃を批判した15など、時事ネタが出てくるのも興味深い。
(6/18/99)
BLIND BOY FULLER / RAG, MAMA, RAG (P-Vine PCD-5768)
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- If You Don't Give Me What I Want
- Boots And Shoes
- Trucking My Blues Away No. 2
- Let Me Squeeze Your Lemon
- If You See My Pigmeat
- Stingy Mama
- Put You Back In Jail
- Where My Woman Usta Lay
- Worried And Evil Man Blues
- Bull Dog Blues
- Oh Zee Zas Rag
- Careless Love
- Too Many Women Blues
- Shake That Shimmy
- Pistol Slapper Blues
- Mama Let Me Lay It On You No. 2
- Get Your Yas Yas Out
- Screaming And Crying Blues
- Blacksnakin' Jiver
- Red's Got The Piccolo Blues
- Step It Up And Go
- Somebody's Been Talkin'
- Three Ball Blues
- Good Feeling Blues
- Lost Lover Blues
- Rag, Mama, Rag
Compilation for CD: Hitoshi Koide
Recordings between 1935 and 1940
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ノースキャロライナに生まれたブラインド・ボーイ・フラーは、戦前の東海岸を代表するブルースマンのひとりだ。35年から40年までの間に約130曲を残している。本CDに収録された26曲は、その中から既発のソニー/レガシー盤、ヤズー盤と内容が重ならないように選曲された。だが、決して出がらしにはなっていない。これは、フラーの残したレコーディングの質の高さゆえだろう。
1.を始め、3.、7.、26.あたりのラグ・スタイルのナンバーは、フラーのトレードマークとも言えるものだ。小気味よいスキャットも挟んで、軽快な演奏を聴かせる。相棒ブル・シティー・レッドのウォッシュボードが入ることにより、一層歯切れのよさが際立つ。もちろん、ラグだけではフラーの魅力は語れない。本CDでは、彼の多様な音楽性に焦点を当てているのが嬉しい。気だるく歌われるスタンダード12.、ノヴェルティー的な20.、異色な小唄調19.など、それぞれが異なる色彩を持っている。スロー・ブルース4.も洗練された味わいが格別だ。38年頃からサニー・テリーが度々登場するが、特に22.では彼らしい見事なハープを聴かせてくれる。
(4/12/99)
BIG BILL BROONZY / WARM, WITTY & WISE (Sony/Legacy JPN: SRCS 9461, U.S.: 88114)
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- I Can't Be Satisfied
- Long Tall Mama
- Worrying You Off My Mind
- Too Too Train Blues
- How You Want It Done?
- C & A Blues
- Southern Flood Blues
- It's A Low Down Dirty Shame
- Trucking Little Woman
- Night Time Is The Right Time
- New Shake 'Em On Down
- Baby I Done Got Wise
- Just A Dream
- Whiskey & Good Time Blues
- Too Many Drivers
- When I Been Drinking
Reissue series produced by Lawrence Cohn
Recordings between 1930 and 1941
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洗練されたスタイルで、戦前のシカゴ・ブルースのボス的存在だったビッグ・ビル・ブルーンジー。マディー・ウォーターズ等が築き上げた戦後のシカゴのイメージとは対照的に、そのサウンドはジャズ的な要素も盛り込んだしゃれた雰囲気なものが多いのが特徴だろう。
26年の初録音から58年に亡くなるまで、自己名義のレコーディングだけでも200曲以上を残し、ウォッシュボード・サム等、他者のセッションにも多く顔を出しているビル。このCDでは、彼のキャリアのピークと言われる30年代後半の曲を中心に、30年から41年までのレコーディングを収録している。前半の6曲は弾き語りスタイルのものが中心となるが、1.や5.では、牧歌的な曲調の中にもはぎれのよいギターが聴くことができる。7.以降はピアノ等を加えたバンド・スタイルで、ぐっとモダンだ。特にクラリネット入りの8.、15.、クールなソロ・ギター(ジョージ・バーンズ)がフィーチャーされた10.では、バンドとしての音作りに、ビルの音楽性の幅広さを感じる。スタンダードとなった13.など、曲作りのセンスもお見事。(3/22/99)
SON HOUSE / THE ORIGINAL DELTA BLUES (Sony/Legacy JPN: SRCS 9459, U.S.: 65515)
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- Death Letter
- Pearline
- Louise McHee
- John The Revelator
- Empire State Express
- Preachin' Blues
- Grinnin' In Your Face
- Sundown
- Levee Camp Moan
- Pony Blues
- Downhearted Blues
Reissue series produced by Lawrence Cohn
Original sessions produced by John Hammond and Frank Driggs
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40年代半ばに演奏活動から遠ざかり、行方不明になってしまったサン・ハウスが、再発見されたのは64年のこと。翌65年に行われたセッションは、"Father Of Folk Blues"というタイトルのLPになり、名盤として語り継がれるようになった。本CDはそのLPの曲に、同じセッションの2曲を加えたもの。勢いこそ若い頃に及ばないが、歌には説得力が感じられるし、ギターも迫力は充分だ。キャンド・ヒートのアル・ウィルソンが、2曲で好サポートぶりを聴かせる。(3/22/99)
BLIND WILLIE JOHNSON / DARK WAS THE NIGHT (Sony/Legacy JPN: SRCS 9460, U.S.: 65516)
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- If I Had My Way I'd Tear The Building Down
- Dark Was The Night
- Lord I Just Can't Keep From Crying
- Church, I'm Fully Saved Today
- Jesus Make Up My Dying Bed
- Bye And Bye I'm Goin' To See The King
- Let Your Light Shine On Me
- John The Revelator
- I Know His Blood Can Make Me Whole
- God Moves On The Water
- Trouble Will Soon Be Over
- Praise God I'm Satisfied
- Mother's Children Have A Hard Time
- It's Nobody's Fault But Mine
- The Soul Of A Man
- Keep Your Lamp Trimmed And Burning
Reissue series produced by Lawrence Cohn
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戦前の多くのブルースメンが、ギターをかき鳴らして世俗的なブルースを歌ったのに対し、ジョンソンの歌は、音的には類似したスタイルを持ちつつも、決して宗教から離れることはなかった。27年からの30年に、30曲を残したに過ぎない彼だが(うちここでは16曲を収録)、ライ・クーダーを始め、彼を称賛するアーティストは多く、その影響ははかりしれない。ナイフを使ったスライド・ギターにも、がなり声の歌にも、並みならぬ感情がほとばしる。
ちなみに彼のレコーディングを完全収録した2枚組もリリースされています。"The Complete Blind Willie Johnson" (Columbia 52835) (3/22/99)
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Text by Masahiro Sumori unless otherwise noted.

  
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