DAY ONE: Saturday, August 31


THE SMOKIN' JOE KUBEK BAND featuring BNOIS KING
中休みする間もないほど元気なメンツが揃った今年のこのフェスティバル。幕明けからいきなりこんな勢いのあるバンドが登場した。リーダーのスモーキン・ジョー・キューベックは白人のギタリストだが、ブノイス・キングという黒人のおじさんをボーカル/ギターで前面に立てた形になっているのが彼らの特徴といえるのではないかな。僕は、彼らのライブは初めて観たのだが、まずブノイス・キングがあんなによく喋るチャキチャキしたオヤジだとは想像していなかったので、驚いた。結構歳はいってるはずだが、小柄な体格に野球帽を被ったその姿は、小僧のように見えた。だが彼はギターを弾き出すと、これでもか!と言わんばかりに弾きまくる。これも驚いた。無口でクールに弾くキューベックとは対象的だった。キューベックは、かつてフレディ・キングのバンドでも活躍したベテラン。さすがの貫禄で聴かせた。スライドもなかなか。30分程のステージで充分観たとはとても言えないが、快調な演奏でまずは満足、満足。



CAROL FRAN AND CLARENCE HOLLIMON
この人たち、結構楽しみにしていたのです。クラレンス・ホリマンは、ボビー・ブランドを始め、往年のデューク/ピーコックの数々のレコーディングに参加したことで知られる名手。ここ最近は奥様のキャロル・フランとのデュオとして活動している。

ステージには、サラ・ブラウン、デレク・オブライエン、カズ・カザノフらのお馴染みアントンズ・バンドが上がる。ステージ中央には小柄なギタリストが...。ホリマンだ。背が低く弱々しそうな雰囲気は、写真で見たのとはイメージが違った。まず、キャロルが出てくる前にそのクラレンスのダンナが数曲披露。1曲目、ブラックトップの1枚目に入っているインスト"Gristle"。切れのあるギター・ソロ。サックスとギターのユニゾン。もう、ムチャカッコいい。やはりさすがだ。

キャロルが出てくると、その迫力に圧倒された。横にも縦にもダンナよりひとまわりデカい(失礼!)。声量もかなりのもの。「あなたたちの中には、私のことを知らない人も多いでしょうけど、『キャロル・フラン』という名前を今日は覚えて帰ってもらうわ!」と観客に語りかけると、歓声が起こる。ホリマンのギターもますます冴え、夫婦で息のあったところ見せてくれた。"Baby What You Want Me To Do"での2人のコーラス・ワークもなかなかのもの。すっかりゴキゲンになってしまった、私。



TEXAS JOHNNY BROWN, SONNY RHODES, LONG JOHN HUNTER
休憩を挟んで、ステージでは引き続きアントンズ・バンドがバックを務める。このギタリスト3人勢は1人の持ち時間が20分位と短く、もの足りなさも感じたが、三人三様で面白かった。

特に印象に残ったのは二番手だったサニー・ローズ。真っ赤なターバンに紫色のスーツを着たその姿は、音を出す前からスゴい個性と存在感を巻き散らしている。ここ最近いい作品をリリースしている彼だが、ここでの演奏もよかった。まず、普通のギターを使って1曲披露。ギター・ソロでのネック全体を大きく揺らしたビブラートがよい。次の曲からはラップ・スティール。シンプルなフレーズの繰り返しだが、ひとつひとつの音にパワーを感じた。因みにこの人一見恐そうに見えるが、よく見ると表情、仕草に異様に愛敬があり、可愛いオジさんなのだ。歌っているときも大抵は、キョトンとした表情をしている。

テキサス・ジョニー・ブラウンは地味な存在だが、クラレンス・ホリマン同様デューク/ピーコックでセッションマンとして活躍した人。エイモス・ミルバーンのバンドのギタリストとしても知る人ぞ知る存在だ。元気そうだったが、やはり演奏は地味だったなぁ。堅実なプレイヤーといったとこだろう。

ロング・ジョン・ハンターは最近アリゲーターから新譜を出して注目を浴びていることもあって、ちょっと期待していたのだ。でも、堪能するには持ち時間が短すぎた。新作の"T-Bone Intentions"から始まり、同アルバムから数曲を披露。いい感じだったが、盛り上がる前に終わっちゃった。最後の曲ではステージから降りてきて弾いてくれたけど。またの機会にフルステージ観たいな。



CHARLES BROWN
昨年に続いての登場。あっしゃあ大好きなんすよ、この人。私も彼を観るのは今回で3度目。ようやく、落ち着いて楽しめたという感じでした。"These Blues"からシブくスタート。メンバーは昨年同様ダニー・キャロンを始めとする最近のレコーディング・メンバーそのまま。昨年よりジミめな衣装で出てきたブラウンだったが、演奏はもう最高。もう円熟しきってる。今更それ以上言う必要もなし。"Is You Is Or Is You Ain't My Baby"や"Save Your Love For Me"など、ムードたっぷりに歌ってくれて大満足。ラストは、真夏の暑い中でもやはりこの人のトレードマークの"Merry Christmas Baby"。バンドも最高。特にダニー・キャロンのギターはやはりこの人じゃなきゃ!という大人の味で、ブラウン本人との相性もバッチリでした。


JOHNNY "CLYDE" COPELAND
去年心臓の移植手術を受けたとかで、ホントにこの人ステージに立てるんだろうか?と出てくるまでは半信半疑だった。でも予想に反していいステージを見せてくれた。ちょっとやせてしまって、演奏中も椅子に座っていたけど、調子はよさそうだった。かつてのテキサスのワイルドなギタリスト、という雰囲気からはすっかり変わってしまいメローな路線だったが、ソウルっぽいバラードなどもはさんで、元気なところを見せてくれたのは嬉しい。途中彼の17歳の娘シュミーカがゲストで出てきて一緒に歌ったが、このおねえちゃん、貫禄のある声でムチャクチャよかった。あれで17歳だなんて!注目株です。



BOBBY "BLUE" BLAND
フェスティバルは3日間もあるのに、初日からこんな人が出てしまっていいの?もう我々ぶるぎんスタッフの興奮は最高潮!ブランドはラフな格好だったが、出てきたときからカッコいい。のっけからデューク時代の名曲目白押しだ。"Further On Up The Road"、"I Pity The Fool"。うぉぉぉー!さすがブランド。これを待っていたのよ。"St. John's Infirmary"なんて流れるともう目からウロコ状態。こういうのを黒人の演歌って言うんだね。黒人のオジさん、オバさんが熱狂するのも判るわ。この曲では途中コルネット・ソロが入り、ステージ中央に出て来たソリストの楽器のアサガオにブランドがヴォーカル・マイクを突っ込んで"Play It Son!"と一言。ウットリです。

途中、何故かゲストでガンズ&ローゼスのスラッシュが飛び入り。こいつは驚きだ。でも彼、出てきたはいいんだけど酔っ払ってたかなんかで、かなりヘロヘロ。愛用のレスポールを使うが、アンプはステージにあったフェンダー・ツイン。慣れてないらしくて、音がちゃんと出なくて苦労してたみたい。暫くしてやっと弾きだしたはいいけど、どうも精彩を欠いてる。彼のヘロヘロなシャッフル・ビートにバックが合わせ、ブランドは"Every Day I Have The Blues"を歌うが、ピリッとしない。でも、ブランドは「彼はあのG&Rのスラッシュだ。みんな声援を!」だって。異色な組み合わせにブランドの包容力をみたのでした。でもフォローしておくと、G&Rであんなにカッコいいプレイをしてきたスラッシュ。いくら、自分の力を発揮しにくい環境だったとは言え、ちょっと元気のなさは気になる。最近彼は麻薬中毒で再起不能との噂もあり、ちょっとファンには心配な話ではないだろうか。最近聞いた話しでは、彼はガンズを抜けたようだ。大丈夫かな?

何だったんだろうという感じのスラッシュが去り、またブランドの世界にどっぷり。"Stormy Monday"とかいろいろやってくれた。ステージ後半は、マラコからの曲も演ったよ。痰はき唱法(キタなくて失礼!)も健在。カーッ!ッペッ!!って感じ。これがなきゃブランドじゃない。締めは"Members Only"。たっぷり演ってくれて大満足。観客も盛り上がってました。特に黒人の人たちのブランド熱は相変わらずだ。また観たいな。

ちなみにこの日ステージ脇にはボビー・ブランドの出店が出ていて、CDやグッズを売ってたのだが、グッズはブランドの絵が入ったTシャツのみならず、エプロンやベビー服、パンティーまであって、スゴいセンスだなと思った。

見てみたいな、ブランドのベビー服着た赤ちゃん...。ひえー。




前書き

第1日へ 第2日へ 第3日へ

フェスティバルについて

出演者リスト






inserted by FC2 system