DAY TWO: Sunday, September 1


HENRY QUALLS
こんな人が観れるのも珍しいかも。ヘンリー・クォールズは、エルモというテキサスの小田舎からやってきたギタリスト。何歳だか知らないけど、髭をはやしたかなりのおじいちゃんだ。この日のトップ・バッターとして、ギター・デュオの形で約20分演ってくれた。ギターの音がレイド・バックした音で気持ちいいんだなぁ、これが。ちょうど太陽が照り付けてきた会場の雰囲気と妙にマッチしていてハマった。1曲で弾いたスライドは音程が怪しかったけど、これも味か。うむうむ、こりゃよかよか。でも、クォールズをサポートしたハッシュ・ブラウンは、クォールズのテンポがメチャクチャだからか、きちんと付いていけてないように感じた。よく一緒にやっている仲なはずなんだけど。それだけがちょっと残念。



W.C. CLARK, CLARENCE HOLLIMON,
JOE "GUITAR" HUGHES, TEXAS PETE MAYES

前日のサニー・ローズ等に続いて、またまたギタリストてんこ盛り状態。ホントにテキサスはいいギタリストの宝庫だ。昨日に続いてバックを務めるのは、サラ・ブラウン等のアントンズの面々。

まずは、W.C.クラーク。この春にもニューオーリンズでみたばかりだったが、この人すごくいいのです。1曲目の"Heart Of Gold"。あー、このソウル風味なビート。もう最高です。弾きまくるわけでなし、シャウトするわけでもないのだが、気持ちよさのツボにはまったサウンドなのだ。この人ギターもいいけど、まずは歌がうまい。3曲くらいしかやんなかったけど、もったいないです、本当に。次はフル・ステージを是非観てみたい。

お次はクラレンス・ホリマン。前日に続いての登場だ。前日同様やはり3曲程度と短かったが、うまい。あの小柄で地味そうな人が弾いているとは思えない鋭く冴え渡ったギター・フレーズの数々。勢い余ったミスタッチもあったが、その腕前はなかなかのもの。だてにキャリアは積んでない。今回初めて観た人の中で特に印象に残った1人だ。

続いてのジョー“ギター”ヒューズは、今年ブルズアイから久々の新譜(その名も"Texas Guitar Slinger")も出した。この人もホリマン同様、ボビー・ブランドを始め色々な人のバックで活躍したセッション・ギタリスト。地味と言えば地味だけど、特に89年のブラックトップ盤なんか味わい深かった。でも、この日は味を聴かせる前に終わっちゃったかなって感じ。消化不良になるくらい次々いろんな人が出てくるなか、15分そこそこの短い時間でインパクトを与えるのは、こういう人には辛いかも。調子が悪いわけではないだけにチョット惜しい。

このブロックの締めはテキサス・ピート・メイズ。真っ赤なスーツに身を包んだメイズは、ちょっと顔が恐い。吾妻光良氏にどことなく似ていると感じたのは俺だけかな?(吾妻さん本人に言ったら「どうせ、だったらもっと派手な奴に似てると言って欲しいなぁ」だって。派手だったんだけどなぁ、スーツは...。でも、存在自体は地味?)彼は、脚が悪いらしく杖をついて現われ、スツールに腰掛けた。演奏は?これがゴキゲンそのもの!元気よくジャンプしたサウンドを聴かせてくれた。貫禄もあるし、全然地味じゃなかったですよ。サウンドも吾妻氏と共通点大いにあり。



ANGELA STREHLI, LOU ANN BARTON, MARCIA BALL
ギタリスト三昧を堪能した後は、アントンズのアルバム"Dreams Come True"参加の女性3人だ。バンドは当然アントンズ・バンドが続投。(よーやるな。スゴいスタミナだ。)

まず、バンドの紅一点、ベースのサラ・ブラウンがリード・ボーカルを取って1曲。(曲は"Bad Thing"だったかな?)前日からずっと彼女の姿は見ていたが、歌ってくれて「待ってました!」って感じ。アルバム"Dreams..."は上記の3人の名義のものだが、サラは実質的にこのアルバムの4人目のメンバーでもある。自作曲も2曲披露してるしね。

3人の先陣を切ってステージに立ったのはアンジェラ・ストレーリ。結構いい歳したオバさんなのに、短いキュロット・スカートなんかはいちゃってファッション・センスに田舎臭いものを感じたが、歌は快調。エディー・テイラーの"Big Town Playboy"もバッチリキメてのりのりだった。

間髪を入れずルー・アン・バートン登場。実は、僕結構この人好きなんだなぁ。彼女って、歌がテキサス訛り丸出しなところがまた粋。アントンズから出ているアルバム"Read My Lips"は、ファビュラス・サンダーバーズにも通ずるグッド・ロッキン・ブルースで最高なのです。因みにこのアルバムには、サンダーバーズの面々も参加している。選曲はやはりその"Read My Lips"からが多かったな。"Sugar Coated Love"とかパワフルかつブルージーに歌ってくれて満足だった。でも、彼女もそこらにいそうな主婦って感じの格好で、ステージ衣装ってものはないのかな?って思ってしまった。歌がよければいいんだけどね。

ストレーリ、バートンの2人が終わったところで、いったん休憩。ステージがセッティングし直される。なるほど。3人のうち楽器を弾くのはマーシャのみ。3人どうやって出てくるのかな?とは思ったがそう来ましたか...。

マーシャは、自分のバンドをバックにたっぷり演ってくれた。彼女のピアノが鳴り響くと「あれ?テキサス特集っていうお題目はどうしたの?」って声も聞こえてきそうなほどのルイジアナ・ミュージック全開ぶり。ホーン・セクションもバリバリ入って"Red Beans"なんか演って、ブギウギ・ピアノを弾きまくっちゃうもんだから、我々一同もう大盛り上がり大会。脚を組んで弾くスタイルがまたセクシーなんだな、これが。彼女は、この春にジャズフェスでも観たが、あのときよりのりで攻めてた。よかよか。

ステージ後半では、ストレーリ、バートン、ブラウンの3人が再びステージに戻り、"Dreams..."からの曲を披露。"Good Rockin' Daddy"でバートンがリード・ボーカルを取り、他の3人がコーラスをつけるなんていう光景が観れたのだから、これはなかなか贅沢だよ、全く。



CLARENCE "GATEMOUTH" BROWN
いやぁ、何回観てももっと観たくなるのがゲイト。日本からあなたを観にわざわざ来たYUKIちゃんなんて娘もいるんだから、ゲイトさんあんたは幸せもんです。でも、そうさせてしまうほどスゴいんだよな、やっぱり。

春にニューオーリンズで観たときは声が出てなくてちょっと心配したが、ここではそんなこともなかった。あれはやはり一時的に調子悪かっただけなんだな。ほっと、ひと安心。曲は最近のアルバムからのものが多くて、"Okie Dokie Stomp"も演らなかったが、ゲイトが快調だったのでまずは満足。最後には昨年の来日のときもやった"Thing Ain't What They Used To Be"からの南北戦争メドレー(?)も演り、ウムウムよかよか。

でもゲイト、最初に自分がソロ弾いたら後は何も弾かないで、パイプ加えて座ってるだよなぁ。指揮者みたいにときどき合図を出してたりする。パイプでメンバーを指して、「次のソロはお前だ」ってサインを送る。やっぱ、さすが歳だし、ずっと出ずっぱりは疲れるんだろうな。弾くときは弾くんで、文句はないけどね。86年の来日のときはああではなかったな、と思っただけ。



THE TEXAS TORNADOS
ゲイトが演奏後、ステージ脇でサイン会をするというんで、言ってみると長蛇の列。そうこうしているうちに、トルネードスのステージが始まってしまった。ステージにはスゴイ数の人が乗ってる。もちろん、主役のフラーコ、ダグ、オーギー、フレディーの4人もいたが、一瞬どこに彼らがいるのか判らないほどの賑わいだ。

フラーコ・ヒメネスのアコーディオンが鳴り響く。あぁ、もうトルネードスのテックス・メックス・ミュージック全開だ。軽快なダンス・ナンバーが続き、わくわくしてしまう。ダグ・ザームのブルース・ギターもいい。でも、僕はやはりフラーコが観たくてうずうずしていたのだ。ああ幸せ。"Ay Te Dejo En San Antonio"など数曲で歌も歌ってくれた。例年、このフェスティバルではあまり見掛けないチカーノ系のニイちゃんも最前列でフラーコ・コールを連発して大フィーバー。

他のメンバーも見せ場盛だくさん。ダグ・ザームのプレイもたっぷり聴けたし、フレディ・フェンダーも途中ギターを置いてマイクを握り、"Tell It Like It Is"を熱唱。アーロン・ネヴィル状態で聴かせた。控え目なオーギー・マイヤーズもアコーディオンを持って前に出てきて、1曲歌った。

フェスティバルのグランドは、もうダンスフロア状態だ。僕ものりまくってしまった。でも、そんな盛り上がりをよそに、彼らの出演に観客から不満が漏れていたのも事実。黒人層を中心に「こんなのブルースじゃない!」と言いたげに会場を去る人も目立った。確かにトルネードスの音楽はブルースとはいい難いが、いい音にそんな細かいジャンル分けは不用かな、と思った。そりゃあんた、単に個人的に彼らが好きなだけでしょ、と言われれば、まぁその通りなんですけどね。でも、黒人の人でも楽しんで踊ってる人も多くいたことは付け加えておきたいと思う。僕としては、帰った人の分ダンスフロアが広くなって決して悪くはなかった。

また、観たいな。そう思わせるいいライブだった。

というわけで日曜日の部が終了。去年までだったらこれで終わり。 実際、既にこの時点で「充分観た」と言える充実ぶり。でも、今年はまだ終わらない。さぁ、3日目月曜日。フィナーレに突入だ。



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