5月1日(木)


本日のメニュー
Mamou (Fais Do-Do, 12:20 - 13:15)
BeauSoleil avec Michael Doucet (Ray Ban, 12:45 - 13:45)
J. Monque'd Blues Band & the Lil' Pats Of Butter (Fais Do-Do, 13:45 - 14:30)
Clarence "Frogman" Henry (Polaroid, 14:15 - 15:15)
Eddie Bo (House Of Blues, 15:20 - 16:15)
The Coolie Family (Gospel Tent, 15:15 - 15:50)
Mary Chapin Carpenter (Ray Ban, 15:50 - 17:00)
Luther Kent & Trick Bag (Polaroid, 17:30 - 18:45)

Jazzfest!

さて、フェスティバル後半4日の幕開けだ。中日の3日間は見事に晴れ渡り、天気予報では、この日からまた低気圧が戻ってくると言っていた。だが、とりあえずこの日起きてみるとお日さまの差す気持ちのいい天気だった。ようし、いいぞ!天気予報なんかことごとく外れてしまえ!

朝いちで出ていたポーラ&ザ・ポンティアックス(HOBステージ)が観たかったので早く起きようかと思ったが、やはり無理だった...。グスン。ま、ルイジアナ・ミュージック・ファクトリーで観たからいっか。会場に着いたのはいつもと大体同じ正午過ぎ頃でした。この日は天気もよかったし、のんびりした雰囲気で過ごし、観たアーティストもやや少なめだった感じだ。

まず最初に適当に食い物を調達しつつ、マムースティーヴ・マサコウスキーあたりをつまみ食いする。マムーは、なかなかノリのよいケイジャン・バンドで踊れた。ケイジャンとしては珍しく色々斬新な試みもやっているようで、ケイジャンとヘヴィー・メタルの融和に挑戦したりしてるんだそうな。うーん、そこまではちょっと観ただけでは判んなかったけどね。

一方、ハウス・オブ・ブルースのステージではエグゼクティブ・スティール・バンドという地元のスティール・ドラム・バンドが演奏していた。大小様々なスティール・ドラムが並んで華やかではあったけど、意外と音はおとなしめ。でも、スティール・ドラムの音って気持ちいいよね。

そうこうしいる間に、本日の本命第一号ボーソレイユの時間となる。僕らは、いそいそとレイバン・ステージへ向かった。ルイジアナにケイジャン・バンドは多かれど、やはり彼らは一味も二味も違う。ケイジャンらしいいい意味での田舎臭さを失うことなく、王者たる貫録も感じられる。昨年、彼らの演奏を初めて観て、すっかり気持ちよさに舞い上がってしまったのだけど、今年もこのステージ、最初から最後まで観て堪能しました。新作"L'Amour Ou La Folie"の曲を織り交ぜながらステージは進行していく。リーダーのマイケル・ドゥセーが、フランス語の曲目の意味を英語で解説してくれる丁寧さが嬉しい。(とはいっても、もうその内容は忘れてしまったが...)今回の彼らの演奏は、昨年観たときよりも落ち着いた曲調が多いような印象を受けた。新作のイメージもそんな感じなので、それ自然といえるだろう。もちろん、内容は最高だった。特に終盤になって演奏した"It's A Sin To Tell A Lie"(嘘は罪)は最高だった。2拍子のダンスだけがケイジャンではないもんね。

続いてフェイ・ドー・ドー・ステージのJ.モンクD・ブルース・バンドを経由して、ポラロイドのクラレンス“フロッグマン”ヘンリーを観に行った。新作"After The Beep"も好調なJ.モンクDは、去年はちょっとしか観ていなかったが、今年はもう少し観ることが出来た。この人、アクはないけどノリがいいので前の方に行って楽しんだ。ハープを吹くときは、本人も大きなアクションを付けて動き回り、客を沸かせた。ちょっと聴いた感じではよくあるブルース・バンドなんだけど、そこは地元。やはりニューオーリンズ風味は隠し味になっている。因みに彼のバンドには、今回"Lil' Pats Of Butter"というゲスト・メンバーが付いていた。これは、10人以上から成る幼い女の子たちで、J.モンクDのTシャツを着てステージの端に並び、タンバリンを叩いたり、ハーモニカを吹いたりしているのだ。みんなとても可愛いのだが、これがやらせ臭くて、「もういいや」って顔しながら適当やっているのが面白かった。因みに彼女達は前述のJ.モンクDの新作に写真も出ている。

フロッグマンは去年じっくり観たので、大体どんな感じかは予測は付いたのだが、やはり観ておきたいなと思った。今回は最後までは観なかったけど、曲目、演奏も殆ど去年と同じ感じ。本人は元気なんだけど、もうちょっとバンドが締まっていたらいいなと思った。でも、この人ももうレコードは出してないですよね。普段は何してるんだろう?ジャズフェスには、そういう疑問をいだかせる人が多々出演している。結構、地道に家業をやってたりする人も多いんだろうな。

フロッグマンを観たあとは、エコノミー・テントでライオネル・ファーボスの軽快なディキシーランド・ジャズなどを聴きつつ、ハウス・オブ・ブルースのエディー・ボーへ。彼は、昨年素晴らしい新作を出したにも係らず、ドイツ盤のみのリリースで、未だにアメリカでは入手困難なようだ。そんな状況でどんなライブを繰り広げるか期待しつつステージへ向かう。結局のところ、いつもの彼という感じなんでしょうね。昨年観たときと同様に元気いっぱいだったが、新作の曲は演らずじまい。でも、"Check Out Mr. Popeye"や"The Bucket's Got A Hole In It"などのファンキーなのりのナンバーを中心に楽しいステージとなった。演奏途中でキーボードから離れ、他のバンド・メンバーを煽るなんていうのも、朝飯前。しまいには、パラソルを持ってステージを降りて来て、客の女の子たちとパレードの行列を作って練り歩いていた。こんな光景、去年も観た観た!お変わりないようでなによりです。早く、新作が世界でリリースになるといいですね。

このあとは、この日の目玉だったと思われるメアリー・チェイピン・カーペンターを観にレイバン・ステージへ。ベテランのカントリー系シンガーソングライターで、アメリカ本国ではすごく人気もあるようだ。でも、僕はあまり追ってなかったのだが。ステージへ向かう途中、ゴスペル・テントに立ち寄ってクーリー・ファミリーという人たちを観ているのだが、どんな人たちだっけ?もう既に記憶が吹っ飛んでいる...。で、メアリー・チェイピン・カーペンターの演奏内容はと言えば、これが本当によかった。カントリーのみならず、ブルース、R&Rの要素もふんだんに取り入れた曲調は気持ちよかったし、何せ踊れるのがよかった。曲によってはレイバンの大観衆(やはり白人のオジさん、オバさんが多い)がみんな一緒に歌ってたりして、この人の人気ってすごいんだなあ、と実感してしまった。バンドもよかったな。ギターの2人は名前は忘れてしまったが、どちらもソロ・アーティストとしても、ヴァンガードとラウンダーからそれぞれアルバムを出しているとメアリーは言っていた。ブルースっぽいフレーズもうまい人たちだった。因みに、メアリーってジャケットに写っている印象と実際に観た感じが随分違っていた。やはり、写真では美しく写ろうと努めているのだろうな。実際には、もっと普通のオバさんっぽかった。(失礼!悪気はありません。)

このライブのクライマックスは、エンディングだった。「せっかくルイジアナにいるんだから、この人たちに出てもらわなければ!」とのメアリーの掛け声で、ボーソレイユの面々がステージに登場し、メアリーのアルバム"Shooting Straight in the Dark"でも共演しているケイジャン・ナンバー"Down At The Twist & Shout"をやったのだ。これを観れただけでも、この場に居合わせてよかった!そう思った私でした。

今日のトリは、ルーサー・ケントで決まり。でも、それまで暫く時間があったので、出店をふらふらして、おいしい食べ物に舌つづみを打つ。考えてみたら、このときようやくゆっくり会場で食べ物を楽しむ機会に恵まれたという感じだ。天気が悪かったからね。食べたのは、クロウフィッシュ・モニカにアリゲーター・パイ。どちらもルイジアナならではのうまさなんだな、これが。

ルーサーは、バンドのドラマー、ビッグ・ジョン・トマシーが最近亡くなってしまったものの、昨年と同様大所帯なバンドで楽しませてくれた。まず、御大が出てくる前にバンドだけで3曲ほど。バンドのアレンジャー/ミュージカル・ディレクターのチャールズ・ブレント(gt., sax.)がバンドを仕切るが、彼の動きはベタベタで相当変だ。あごを突き出し、暑苦しい表情で楽器を操る。一度観たら忘れないような存在だ。

ルーサーは、去年もそうだったがあまりにも普段着で、アメリカの街角のどこにでもいそうな白人のオヤジという感じだ。サンタクロース系だな。そんなオヤジだが、歌いだすと本当にスゴイ。朗々と歌い上げるバラードもよし、"Trick Bag"などのR&Bもノリノリ+ファンキーでもう言うことありません!

彼らの演奏を楽しんでいた真っ最中、何だか雲行きが怪しくなってきた。それまで、よく晴れていたのに、急にザー!とにわか雨が。これがニューオーリンズらしい気候というものだろうか。ふと、振り返ってみると、さっきまで普通に聴いていたオバさんが、すっぽりレインコートに身を包み、てるてる坊主の置き物のように恍惚とした表情で座っていた。あまりに用意がいい+素早いので驚いてしまった。

まぁ、そんなことはどうでもいい。幸い雨はすぐに止み、ルーサーの演奏はなおも続いた。6人からなる豪華なホーンセクションの威力はさすがにすごい。R&Bナンバーでのノリはピカイチだった。最後はいつものなのかな?"Let's The Good Times Roll"で締めた。アンコールもやってくれた。曲は"I Can't Quit You Baby"。このバンドは、こういうストレートなブルースをやっても様になっている。いいライブでした。




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